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ガール・ミーツ・ガール コスプレ衣装の現実?」(2007/01/14 (日) 05:04:58) の最新版変更点

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<div class="main"> <p>  SOS団全員で朝倉が作り出したらしい謎空間へ閉じ込められるという奇天烈な経験から、早一週間。<br> <br>  私はナース姿になっていた。<br> <br> 「おお、結構似合うわね~♪」<br> 「キョンさん可愛いです~」<br> <br>  上機嫌なハルヒと朝比奈さん。<br>  長門は相変わらず無言で、古泉は今日は不在だ。<br> <br> 「……」<br> <br>  何かもうコメントさえ浮かばない。<br>  私達があの謎空間で危機に陥ったのも、この二人のナースかチャイナかという不毛な争いが原因らしいからな。<br>  馬鹿馬鹿しいにもほどが有るが、現実にはもっと馬鹿げたことが色々有るらしいので、最早ツッコミを入れる気にすらならない。<br> <br> 「ほらキョン、あんたもちょっとは喜びなさいよ。新しい衣装よ、嬉しいでしょう!」<br> 「そうですよキョンさん。……それに、明日になれば、ねっ」<br>  朝比奈さんの三点リーダ以降は耳打ちだ。<br>  そう言えば、朝比奈さんには聞かれているんだったな。<br>  いや、しかしですね……、好きな相手がどんな趣味をしているかも分からないのに、ナースになったら喜んで見てくれるんだろうなんて考えを持てるほど、私はおめでたくないんですが?<br>  メイド服には一応似合っているって言葉を貰ったけども……、それも、ハルヒの前だからって可能性が有るしなあ。<br> <br>  そうそう、この数日の間で『私』に出来たことといえば、一人称の強制修正くらいだ。<br>  まだ時々『俺』と言いそうになるときが有るんだが、言うとハルヒの容赦ないツッコミが振ってくるからなあ……、まあ、変えることに別に異論はないさ。元々たいした拘りが有るわけじゃなかったしな。<br> <br> 「……そういや、このメイド服はどうするんだ?」<br> 「とりあえず置いておくわ、有って困るものじゃないし」<br> 「あ、あの……」<br> 「何、みくるちゃん?」<br> <br> 「わたしが着てみてもいいですか?」<br> <br>  唐突な提案だった。<br>  メイド服を着たいと言うんですか、この上級生さんは。<br>  それはメイドになりたいからですか、それとも私が着ていた服だからですか。<br>  ……とはいえ、まさかそんなことを自分から訊ねるほど私も馬鹿じゃない。<br> <br> 「みくるちゃんがメイド?」<br> 「はい、あの……、駄目でしょうか?」<br> 「そうねえ、元はと言えば萌え担当はみくるちゃんのつもりだったんだし……。良いわ、着てみてちょうだい」<br> <br> 「はい、着てみますね!」<br> <br>  朝比奈さんは、元気よくそう答えた。<br>  ……頭が痛い。<br> <br> <br>  結論から言うと、朝比奈さんはそのメイド服を着れなかった。<br> <br> 「胸がきついです……」<br> <br>  ちょっと羨ましいかも知れないその一言が、駄目だった理由を単的に物語っている。<br>  要するに、胸が大きすぎて後ろのファスナーが上がらなかったのだ。<br> 「みくるちゃん、バスト幾つ?」<br> 「ええっと、Fの70だったと思います」<br>  ちょっと曖昧だが答え方自体に迷いはない。<br>  現在も成長中ってことかな?<br>  私は今の朝比奈さんよりもっと未来から来た朝比奈さんを思い出す。<br>  この朝比奈さんでFの70ってことは、あの朝比奈さんは一体どれだけだったんだろう。<br> 「やっぱりでかいわねえ」<br> 「それだと、服選びに苦労しそうですね」<br> 「あ、はい……」<br>  Fの70ってことは、トップで92、3って辺りだ。<br>  女性用の既成服のMサイズでのトップバストは83、4辺りを想定して作られているからな。多少の緩みがあったとしても、10センチ近く大きかったら入らないものの方が多いだろうし、Lでも場合によっては入らないだろう。<br>  というかL以上だと多分、胸以外の部分が余りすぎる。朝比奈さんは小柄な方だからな。<br>  朝比奈さんは多分、努力して自分に合うサイズの服を探しているんだろう。<br> <br> 「ふうん、でもまあ、胸が大きいんだからそのくらいいいんじゃない?」<br> <br>  しかし、ハルヒにはそんな他人の悩みを全く理解する気が無いらしい。<br>  こいつらしいな。<br> <br> 「あ、そうだ、胸と言えば」<br> <br>  何か思い出したらしい。<br> <br> 「キョン、あんたもっとちゃんとサイズの合うブラをすべきよ!」<br> <br>  唐突だなあ、おい。<br>  というかなんでサイズが合ってないと分かるんだ。<br>  いや、もうそこは訊くべきところじゃないと思うんだが。<br> 「そう言われてもな、アンダー65未満のなんてのをろくに見たことないんだが」<br>  ハルヒが気になっているのは、多分私が普段からアンダーカパカパのブラをしているのが当たり前だからだろう。<br>  しかしな、現実は厳しいんだぞ。<br>  アンバランス体型に合う下着や服なんて、世の中にはそう多くないんだ。<br> 「……そうなの?」<br> 「そうだよ」<br> 「一応見たことはあるわけ?」<br> 「高い金出して通販で一回買ったことはあるけど、きつかったからそれっきりだな」<br> 「ふうん……。で、正確には幾つなのよ?」<br> 「何がだ」<br> 「サイズよサイズ。あんた、胸自体は結構有るわよね」<br> 「知らないよ。それに、最近まともに計った記憶がないからな」<br> 「何よそれ、下着選び以前の問題じゃない」<br> 「そう言うなよな……。まあ、計れって言うなら計るけどさ」<br> <br> 「あんた自分のことなのに投げやり過ぎよ。……まあ良いわ、とりあえずあんたは当分ナースで居なさい。ああそうだ、みくるちゃんの分の衣装を用意するってのも良いかもね」<br> <br>  ハルヒの興味は朝比奈さんの方に流れたようだ。<br> 「え、え、わたしですか?」<br> 「そう、メイドも良いけど他も良いと思うわよ」<br>  にこにこ笑顔で迫るハルヒ、明らかに逃げ腰の朝比奈さん。<br> <br>  ……どうやら、わたしのさっきの想像は後者で当たっていたらしい。<br> <br>  あんまり当たっていても嬉しくないというか、寧ろ外れて欲しかったんだが。<br> 「あ、で、でも、あたしの体型じゃ入るものの方が少ないと思いますよ!」<br> 「そんなの着てみなきゃ分からないじゃない! そうだ、今度試着に行きましょう」<br> 「え、えっ、ええ~っ」<br> 「みくるちゃんの体型じゃ、着てみないと分からないものね」<br>  どうやら朝比奈さんは墓穴を掘ってしまったらしい。<br>  自業自得ってことか。<br> 「そ、そんな……」<br> 「何よ、メイドは良くて他は駄目なわけ?」<br> <br> 「そそそ、そんなことないですけど……、あ、だったらキョンさんも一緒に行きましょう!」<br> <br>  おいおい、そこで私の名前を出しますか。<br> 「キョンも?」<br> 「そうですそうです。だってキョンさんならどんな服でもMサイズで大体大丈夫だと思いますけど、やっぱり似合うかどうかは着てみないと分からないじゃないですか!」<br> 「そうねえ……、じゃあ、3人で行きましょう!」<br>  ハルヒが朝比奈さんに乗せられやがった。<br>  勘弁してくれ。<br>  メイドでナースで、次は一体なんだって言うんだ。<br> <br>  ちなみに3人で延々話ている間中、長門はだんまり読書モードだった。<br>  長門らしいといえば長門らしいが、完全に蚊帳の外でよかったんだろうか?<br>  内容はともかく、自分以外の同性三人が部室でわいわいやっていて、こいつは疎外感を感じなかったんだろうか……、まあ、私がそんな風に長門のことを振り返ることが出来たのは、その日家に帰ってからのことなんだが。<br> <br> <br>  週末、私達三人はそれ系というか、まあ、コスプレ系衣装のあるショップにいた。<br>  あんまり高いところじゃないが、安くも無い。<br>  一応ハルヒの支払いってことらしいが、大丈夫なんだろうか?<br>  まあ、財布については私が心配する所じゃない気もするんだが。<br>  さて、そこで私達が何をしているかといえば、三人揃って延々試着だ。<br> 「んー、この服はラインが綺麗に出ないわね」<br> 「やっぱり胸がきついですぅ~」<br> 「なあハルヒ、流石にこれは丈が短くないか?」<br> 「キョンさん似合ってます~」<br> 「これはさすがに高いわ。ああん、ニット系は試着できないのが痛いわね」<br>  とまあ、こんな感じである。<br>  ハルヒはどうやら3人お揃いが買いたいらしく、大分難航している。<br>  一つ一つが安くないし、朝比奈さんの体型に有ったのを探すのが難しいからな。<br>  ちなみに私とハルヒは殆ど問題無しだ。似合うかどうかはともかく、着られないというものはほぼ無かった。<br>  若干、タイトすぎる服だとスカート丈が短すぎると思えたり、ハルヒの胸がギリギリは入りきらなかったりするくらいだ。<br>  でもってハルヒの言う通り、朝比奈さんが努力すれば入りそうなニット系は大抵試着禁止と来ている。<br> 「バスト92まで……、仕方ないわ、1センチくらい詰め込めば何とかなるわよね!」<br>  無茶言うなよ。<br>  まあ、大抵の服なら1センチくらいどうにかならないことも無いと思うが、それでも冒険に変わりはないと思うぞ。<br> 「試着できないんだから仕方ないのよ! それに、可愛いし安いからいいのよ! みくるちゃんがもし駄目だったら有希に着せれば良いし!」<br> 「え、ええ~、わたしだけ仲間はずれなんてさびしいですぅっ」<br>  現時点で長門を仲間外れにしているという事実に気付いていないのか、朝比奈さんが泣き言を言った。<br>  やれやれ。<br>  SOS団の女子4人中3人でコスプレするっていうんだったら、私は仲間外れにされても全然構わないんだが。<br>  まあ、ハルヒと朝比奈さんがそれを許してくれるとは思えないんだけどな。<br> <br> <br>  さて、ハルヒが選んだお揃いの衣装とは、チアガールだった。<br>  購入後に部室で一応着てみたところ、朝比奈さんもギリギリ着ることができた。<br>  しかしチアガールなんて、何に使うのだろうか……。<br> <br>  そうそう、ハルヒが胸のところに「SOS団」と書かれたロゴを縫いつけようとしていたが、私はそれを全力で阻止した。<br> 「何でよ、せっかくのチアガールなんだからSOS団の名前くらい入れるべきだわ!」<br> 「そんなもの縫い付けたら、胸元がきつくなって朝比奈さんが着られなくなる可能性が高いだろうが。ただでさえギリギリなんだぞ?」<br> 「そ、そうね……」<br>  どうやら、ハルヒは思いとどまってくれたらしい。<br>  こんな恥ずかしい格好を実際にするところなんて想像したく無いが、その上塗りなんてもっと勘弁だ。<br> <br>  さて、このチアガール衣装。<br>  活躍するのは、このほんの少し後だったわけだが……、それはまた、別の話だ。<br> <br> <br> <br>  ――おわり </p> </div> <!-- ad -->

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