「in the middle of nowhere 六章」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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<div>
古泉の独り語りは終わった。最後に大仰にお辞儀までしてみせた。<br>
何が『心残り』のないように、だ。<br>
俺の『心残り』はもう、別世界に引っ込んでるんだよ。<br>
「さて、僕はもう行きます。たとえ世界が終わるにしても、<br>
僕には『機関』からの制裁が待っています」<br>
それから、逃げるってのか?<br>
「いいえ。甘んじて受けるつもりですよ。何せ、僕の復讐は果たされたんですから。<br>
それこそ『心残り』なんてありませんよ。<br>
この清々しい気分を抱いたま死ねるなら幸せです。<br>
さようなら、世界。<br>
さようなら、皆さん。<br>
さようなら」<br>
狂気を秘めた笑い声とともに古泉はどこかへ去っていった。<br>
</div>
<br>
<div>
あいつのことは放っておこう。それより俺にはやらなければいけないことがある。<br>
たとえ逆転が絶望的なゲームだって、諦めなければ可能性は残ってるんだ。<br>
最後まで頼りっぱなしというのは気が引けるが、<br>
「長門」<br>
最後はこいつに頼むしかない。<br>
ところが、振り向いた俺の目は嫌な光景が映った。<br>
朝比奈さんが、薄れていた。<br>
「朝比奈さん!?」<br>
「キョン君、落ち着いて聞いてください。今この時間は未来の分岐点なんです。<br>
世界が崩壊の方向に進んだから、私たちの時間平面も消え始めているんです」<br>
「でも!」<br>
俺は未来のあなたに会っています、と言おうと思ったがいえなかった。<br>
「最後まで言わせてください。<br>
大丈夫です。キョン君なら。<br>
キョン君と涼宮さんなら。うまくやってくれます。<br>
信じてるんじゃないんです。分かってるんです。<br>
だから、『さようなら』だけ言ってお別れなんてしませんよ?<br>
『また会いましょう』って言ってお別れです」<br>
そう言うと朝比奈さんは消えてしまった。<br></div>
<br>
<div>
精神の安定を図るため、俺は長門に一つ質問をする。<br>
「長門、俺は朝比奈さんの――何て言ったけな、そうだ――異時間同位体に会ってるぞ。<br>
朝比奈さんがあそこまで成長するのは『規定事項』じゃないのか?」<br>
長門は空を見上げて、首を振った。<br>
「現在のこの時間は朝比奈みくるの言ったように未来の分岐点。<br>
彼女たちは崩壊しなかった世界から来た」<br>
「つまり、世界は崩壊の未来の方にハンドルを切っちまったわけだな」<br>
そんなこと、認めてたまるか。ここが分岐点というならば<br>
「そう。今からでも未来はかえられる。あなたの行動が、<br>
世界をもう一つの未来につなげる可能性がある」<br>
やってみせるさ。<br></div>
<br>
<div>「長門。俺を閉鎖空間に連れて行ってくれないか」<br>
「分かった」<br>
早口で呟く長門。突然目の前が暗くなる。<br>
そして、長門の声が聞こえる。<br>
「あなたは今閉鎖空間にいる。涼宮ハルヒは誰もいない世界を作った。<br>
でも、あなただけはそこにいることが出来る。<br>
あなたは鍵。閉じこもってしまった彼女を再び外に連れ出すための。<br>
あなたに全て任せる。あなたになら任せられる」<br>
その言い方に不穏な物を覚える。<br>
「長門、お前は?」<br>
「私はそこへ行けない。あなたをそこに送るのが私に出来る精一杯。<br>
あたしはここに残ることになる。<br>
残って、新世界の創造に巻き込まれて……消える。<br>
さようなら。がんばって」<br>
どういうことだ?<br>
お別れ?<br>
そんな、まさか……。<br>
おい、長門!<br>
「さようなら、また――」<br>
そして俺の意識は途切れた。<br></div>
<br>
<br>
<ul>
<li><font color="#666666">七章</font></li>
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古泉の独り語りは終わった。最後に大仰にお辞儀までしてみせた。<br>
何が『心残り』のないように、だ。<br>
俺の『心残り』はもう、別世界に引っ込んでるんだよ。<br>
「さて、僕はもう行きます。たとえ世界が終わるにしても、<br>
僕には『機関』からの制裁が待っています」<br>
それから、逃げるってのか?<br>
「いいえ。甘んじて受けるつもりですよ。何せ、僕の復讐は果たされたんですから。<br>
それこそ『心残り』なんてありませんよ。<br>
この清々しい気分を抱いたま死ねるなら幸せです。<br>
さようなら、世界。<br>
さようなら、皆さん。<br>
さようなら」<br>
狂気を秘めた笑い声とともに古泉はどこかへ去っていった。<br>
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あいつのことは放っておこう。それより俺にはやらなければいけないことがある。<br>
たとえ逆転が絶望的なゲームだって、諦めなければ可能性は残ってるんだ。<br>
最後まで頼りっぱなしというのは気が引けるが、<br>
「長門」<br>
最後はこいつに頼むしかない。<br>
ところが、振り向いた俺の目は嫌な光景が映った。<br>
朝比奈さんが、薄れていた。<br>
「朝比奈さん!?」<br>
「キョン君、落ち着いて聞いてください。今この時間は未来の分岐点なんです。<br>
世界が崩壊の方向に進んだから、私たちの時間平面も消え始めているんです」<br>
「でも!」<br>
俺は未来のあなたに会っています、と言おうと思ったがいえなかった。<br>
「最後まで言わせてください。<br>
大丈夫です。キョン君なら。<br>
キョン君と涼宮さんなら。うまくやってくれます。<br>
信じてるんじゃないんです。分かってるんです。<br>
だから、『さようなら』だけ言ってお別れなんてしませんよ?<br>
『また会いましょう』って言ってお別れです」<br>
そう言うと朝比奈さんは消えてしまった。<br></div>
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精神の安定を図るため、俺は長門に一つ質問をする。<br>
「長門、俺は朝比奈さんの――何て言ったけな、そうだ――異時間同位体に会ってるぞ。<br>
朝比奈さんがあそこまで成長するのは『規定事項』じゃないのか?」<br>
長門は空を見上げて、首を振った。<br>
「現在のこの時間は朝比奈みくるの言ったように未来の分岐点。<br>
彼女たちは崩壊しなかった世界から来た」<br>
「つまり、世界は崩壊の未来の方にハンドルを切っちまったわけだな」<br>
そんなこと、認めてたまるか。ここが分岐点というならば<br>
「そう。今からでも未来はかえられる。あなたの行動が、<br>
世界をもう一つの未来につなげる可能性がある」<br>
やってみせるさ。<br></div>
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<div>「長門。俺を閉鎖空間に連れて行ってくれないか」<br>
「分かった」<br>
早口で呟く長門。突然目の前が暗くなる。<br>
そして、長門の声が聞こえる。<br>
「あなたは今閉鎖空間にいる。涼宮ハルヒは誰もいない世界を作った。<br>
でも、あなただけはそこにいることが出来る。<br>
あなたは鍵。閉じこもってしまった彼女を再び外に連れ出すための。<br>
あなたに全て任せる。あなたになら任せられる」<br>
その言い方に不穏な物を覚える。<br>
「長門、お前は?」<br>
「私はそこへ行けない。あなたをそこに送るのが私に出来る精一杯。<br>
あたしはここに残ることになる。<br>
残って、新世界の創造に巻き込まれて……消える。<br>
さようなら。がんばって」<br>
どういうことだ?<br>
お別れ?<br>
そんな、まさか……。<br>
おい、長門!<br>
「さようなら、また――」<br>
そして俺の意識は途切れた。<br></div>
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<li><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/954.html"><font color=
"#666666">七章</font></a></li>
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