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in the middle of nowhere 六章」(2007/01/14 (日) 04:49:17) の最新版変更点

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<div> 古泉の独り語りは終わった。最後に大仰にお辞儀までしてみせた。<br> 何が『心残り』のないように、だ。<br> 俺の『心残り』はもう、別世界に引っ込んでるんだよ。<br> 「さて、僕はもう行きます。たとえ世界が終わるにしても、<br> 僕には『機関』からの制裁が待っています」<br> それから、逃げるってのか?<br> 「いいえ。甘んじて受けるつもりですよ。何せ、僕の復讐は果たされたんですから。<br> それこそ『心残り』なんてありませんよ。<br> この清々しい気分を抱いたま死ねるなら幸せです。<br> さようなら、世界。<br> さようなら、皆さん。<br> さようなら」<br> 狂気を秘めた笑い声とともに古泉はどこかへ去っていった。<br> </div> <br> <div> あいつのことは放っておこう。それより俺にはやらなければいけないことがある。<br> たとえ逆転が絶望的なゲームだって、諦めなければ可能性は残ってるんだ。<br> 最後まで頼りっぱなしというのは気が引けるが、<br> 「長門」<br> 最後はこいつに頼むしかない。<br> ところが、振り向いた俺の目は嫌な光景が映った。<br> 朝比奈さんが、薄れていた。<br> 「朝比奈さん!?」<br> 「キョン君、落ち着いて聞いてください。今この時間は未来の分岐点なんです。<br> 世界が崩壊の方向に進んだから、私たちの時間平面も消え始めているんです」<br> 「でも!」<br> 俺は未来のあなたに会っています、と言おうと思ったがいえなかった。<br> 「最後まで言わせてください。<br> 大丈夫です。キョン君なら。<br> キョン君と涼宮さんなら。うまくやってくれます。<br> 信じてるんじゃないんです。分かってるんです。<br> だから、『さようなら』だけ言ってお別れなんてしませんよ?<br> 『また会いましょう』って言ってお別れです」<br> そう言うと朝比奈さんは消えてしまった。<br></div> <br> <div> 精神の安定を図るため、俺は長門に一つ質問をする。<br> 「長門、俺は朝比奈さんの――何て言ったけな、そうだ――異時間同位体に会ってるぞ。<br> 朝比奈さんがあそこまで成長するのは『規定事項』じゃないのか?」<br> 長門は空を見上げて、首を振った。<br> 「現在のこの時間は朝比奈みくるの言ったように未来の分岐点。<br> 彼女たちは崩壊しなかった世界から来た」<br> 「つまり、世界は崩壊の未来の方にハンドルを切っちまったわけだな」<br> そんなこと、認めてたまるか。ここが分岐点というならば<br> 「そう。今からでも未来はかえられる。あなたの行動が、<br> 世界をもう一つの未来につなげる可能性がある」<br> やってみせるさ。<br></div> <br> <div>「長門。俺を閉鎖空間に連れて行ってくれないか」<br> 「分かった」<br> 早口で呟く長門。突然目の前が暗くなる。<br> そして、長門の声が聞こえる。<br> 「あなたは今閉鎖空間にいる。涼宮ハルヒは誰もいない世界を作った。<br> でも、あなただけはそこにいることが出来る。<br> あなたは鍵。閉じこもってしまった彼女を再び外に連れ出すための。<br> あなたに全て任せる。あなたになら任せられる」<br> その言い方に不穏な物を覚える。<br> 「長門、お前は?」<br> 「私はそこへ行けない。あなたをそこに送るのが私に出来る精一杯。<br> あたしはここに残ることになる。<br> 残って、新世界の創造に巻き込まれて……消える。<br> さようなら。がんばって」<br> どういうことだ?<br> お別れ?<br> そんな、まさか……。<br> おい、長門!<br> 「さようなら、また――」<br> そして俺の意識は途切れた。<br></div> <br> <br> <ul> <li><font color="#666666">七章</font></li> </ul>
<div> 古泉の独り語りは終わった。最後に大仰にお辞儀までしてみせた。<br> 何が『心残り』のないように、だ。<br> 俺の『心残り』はもう、別世界に引っ込んでるんだよ。<br> 「さて、僕はもう行きます。たとえ世界が終わるにしても、<br> 僕には『機関』からの制裁が待っています」<br> それから、逃げるってのか?<br> 「いいえ。甘んじて受けるつもりですよ。何せ、僕の復讐は果たされたんですから。<br> それこそ『心残り』なんてありませんよ。<br> この清々しい気分を抱いたま死ねるなら幸せです。<br> さようなら、世界。<br> さようなら、皆さん。<br> さようなら」<br> 狂気を秘めた笑い声とともに古泉はどこかへ去っていった。<br> </div> <br> <div> あいつのことは放っておこう。それより俺にはやらなければいけないことがある。<br> たとえ逆転が絶望的なゲームだって、諦めなければ可能性は残ってるんだ。<br> 最後まで頼りっぱなしというのは気が引けるが、<br> 「長門」<br> 最後はこいつに頼むしかない。<br> ところが、振り向いた俺の目は嫌な光景が映った。<br> 朝比奈さんが、薄れていた。<br> 「朝比奈さん!?」<br> 「キョン君、落ち着いて聞いてください。今この時間は未来の分岐点なんです。<br> 世界が崩壊の方向に進んだから、私たちの時間平面も消え始めているんです」<br> 「でも!」<br> 俺は未来のあなたに会っています、と言おうと思ったがいえなかった。<br> 「最後まで言わせてください。<br> 大丈夫です。キョン君なら。<br> キョン君と涼宮さんなら。うまくやってくれます。<br> 信じてるんじゃないんです。分かってるんです。<br> だから、『さようなら』だけ言ってお別れなんてしませんよ?<br> 『また会いましょう』って言ってお別れです」<br> そう言うと朝比奈さんは消えてしまった。<br></div> <br> <div> 精神の安定を図るため、俺は長門に一つ質問をする。<br> 「長門、俺は朝比奈さんの――何て言ったけな、そうだ――異時間同位体に会ってるぞ。<br> 朝比奈さんがあそこまで成長するのは『規定事項』じゃないのか?」<br> 長門は空を見上げて、首を振った。<br> 「現在のこの時間は朝比奈みくるの言ったように未来の分岐点。<br> 彼女たちは崩壊しなかった世界から来た」<br> 「つまり、世界は崩壊の未来の方にハンドルを切っちまったわけだな」<br> そんなこと、認めてたまるか。ここが分岐点というならば<br> 「そう。今からでも未来はかえられる。あなたの行動が、<br> 世界をもう一つの未来につなげる可能性がある」<br> やってみせるさ。<br></div> <br> <div>「長門。俺を閉鎖空間に連れて行ってくれないか」<br> 「分かった」<br> 早口で呟く長門。突然目の前が暗くなる。<br> そして、長門の声が聞こえる。<br> 「あなたは今閉鎖空間にいる。涼宮ハルヒは誰もいない世界を作った。<br> でも、あなただけはそこにいることが出来る。<br> あなたは鍵。閉じこもってしまった彼女を再び外に連れ出すための。<br> あなたに全て任せる。あなたになら任せられる」<br> その言い方に不穏な物を覚える。<br> 「長門、お前は?」<br> 「私はそこへ行けない。あなたをそこに送るのが私に出来る精一杯。<br> あたしはここに残ることになる。<br> 残って、新世界の創造に巻き込まれて……消える。<br> さようなら。がんばって」<br> どういうことだ?<br> お別れ?<br> そんな、まさか……。<br> おい、長門!<br> 「さようなら、また――」<br> そして俺の意識は途切れた。<br></div> <br> <br> <ul> <li><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/954.html"><font color= "#666666">七章</font></a></li> </ul>

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