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シスターパニック! 第5話」(2020/03/12 (木) 14:32:46) の最新版変更点

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<div class="main">5話<br> <br> <br> 「キョンくん! 朝だよ、起きて~!」<br>  ん……あぁ、あと5分……。<br> 「も~う! ダメだって! お母さんとハルにゃんが怒るよ!」<br>  いいって、怒られたら起きる。……おやすみ。<br> 「起きろっ! バカキョン兄!!」<br>  うぶっ! み、みぞおち……。<br>  ハルヒの全体重が俺のみぞおちに落ちて来た。<br> 「あ、ありゃ? ちょっと嫌な感触だったわね……大丈夫?」<br>  い、いや……もう無理だ。……おやすみ。<br> 「だ~か~ら起きてよ、キョンくん!」<br>  妹に布団を引き剥がされ、痛むみぞおちを押さえながら渋々と起きた。<br> 「ごめんね、キョン兄。あんな所に当たるなんて思ってなかったのよ」<br>  マジで痛い……つーかヤバい。吐き気がする。<br> 「……え!? ほんと大丈夫? ごめんね、キョン兄……あ、病院に行こうか?」<br>  俺が痛がるフリをしていると、ハルヒは酷く慌てた。これ、意外に面白いな。<br>  あ~、立っていられねぇよ。ちょっと座るから。<br>  階段の途中に座り込むと、今度は慌てて親の所へ向かって行った。まったくもって面白い。<br> 「お母さん! キョン兄が、キョン兄が……」<br> <br>  本気で心配して慌ててるな……。幸せ者だな、兄としての俺は。<br>  ゆっくりと腰を上げて、ハルヒの後ろに立って頭を撫でた。<br>  大丈夫だ。確かに痛かったけど、病院とかは行かなくても問題ない。<br> 「……も、もう! 心配させないでよねっ!」<br>  悪い悪い。お前の反応が面白くてな。<br> 「人を使って遊ぶなぁっ!」<br> 「あんた達、早くご飯食べて行きなさい!」<br>  久しぶりに母親に怒られ、朝飯を掻き込んでハルヒと一緒に自転車に飛び乗った。<br>  まったく……母親には朝倉以上の恐怖を感じるぜ。……いや、冗談だ。<br> 「ねぇ、キョン兄。今日の夜に話したいことがあるの。だからさ、絶対に部屋にいてよね」<br>  ……すまん、今日は少し出かけなきゃいかん。<br> 「え……」<br>  どうしても外せない用事なんだ。本当にすまん。<br>  表情は見えないが、ハルヒがしょげているのがわかる。……本当なら断りたくはないさ。<br> 「……それならさ」<br>  そう言うと、いきなりハルヒは自転車から飛び降りた。<br>  おい! いきなり飛び降りると危ないだろうが!<br> 「今日一日さぼって遊びに行こう? もちろん、キョン兄の奢りで!」<br>  ハルヒは俺の大声を無視して、無邪気に笑いながらそう言った。<br>  ……最後だし、別に構わないか。出席については後で長門に頼もう。<br>  しょうがないな、何処へでも連れてけよ!<br> <br> <br>  それから、ハルヒの指示する通りに自転車を走らせた。まずは街中だ。<br> 「キョン兄、これかわいい! 買って!」<br>  ハルヒは安物のペアリングを指さしていた。<br>  ん~……まぁ、これくらいなら買ってやるさ。<br>  俺は、代金を払うと、ハルヒに手渡した。……ってここで開けるのか。<br> 「はい、これはキョン兄の分ね。ちゃんと肌身離さず付けとくのよ!」<br> <br>  おいおい、妹とはいえ、ハルヒとペアリングか。<br>  なかなか恥ずかしいものがあるが、ハルヒを不機嫌にさせると古泉がうるさいからな。<br>  渋々とリングを付け、ハルヒの満足な顔を見た後、自転車屋に行った。<br> 「う~ん……これなんか後ろの乗り心地良さそうよね」<br>  どうやら、自分の自転車ではなく、俺の後ろに良い席を取る為の品定めらしい。<br>  まったくもって無駄だよな。<br>  さらに小物屋、本屋などを回り、食事をとったりした後にハルヒは元気いっぱいに声をかけてきた。<br> 「キョン兄、次はあそこ! 少しだけ休ませてあげるわ!」<br>  ハルヒが指さした場所は、何の変哲もない公園だった。そこに自転車を止めて、ベンチに二人で座った。<br> 「今日はいい一日だわ! 天気もいいし、楽しいし!」<br>  そりゃよかったぜ。天気がいいのはキツいがな。<br> 「キョン兄は楽しい?」<br>  ……あぁ、すごく楽しいぞ。<br>  とは答えたものの、ハルヒの考えがわからん。何のために俺と遊んでるんだ? しかも学校をさぼってまで。<br>  楽しいということは間違い無いんだがな。<br> 「よかった、あたしだけ楽しんじゃってるのかと思っちゃったわ!」<br>  ……なぁ、夜にしようとしてた話ってなんだよ?<br>  そうだ、たしかハルヒはこれを言おうとしてたはずなんだ。今まで忘れていたがな。<br> 「あ、あれのこと!? あはは……べ、別に言わなくてもいいのよ!」<br>  言わなくてもいいってことはないだろう。少なくとも俺は気になるから聞きたい。<br>  ハルヒは、黙ったまま顔を赤くした。……俺、なんか恥ずかしいこと言ったか?<br> 「ど、どうしてもって言うなら……」<br>  どうしてもだ。<br> 「本気だからね、笑わないでよね」<br>  あぁ、笑わないさ。<br>  しばらくの沈黙の後、ハルヒはゆっくりと言った。<br> <br> 「キョン兄、ずっとあたしと一緒に居てね。ちゃんと帰って来てね」<br>  ……どうした? そんな、俺がどっかに消えちまうみたいなこと言ってさ。<br> 「だって……そんな感じの夢を見たのよ。心配になるに決まってるじゃない!」<br>  しっかりと俺の目を見つめながらも、その瞳はうっすらと涙を溜めていた。<br>  わかったよ、ずっと一緒だ。俺は勝手にいなくなったりしない、約束する。<br> 「……ほんとね? いきなりいなくならないでよ、やだからね!」<br>  ハルヒは、何度も何度も、いつもより本気で心配してるような口調で念を押してきた。<br>  大丈夫、約束だ。ほら、指きりしようぜ。<br> <br> ――ゆびきりげんまんうそついたらはりせんぼんのます、ゆびきった――<br> <br>  そんな子どもっぽいリズムに乗せて指きりをしたら、ハルヒが『くすっ』と控えめに笑った。<br> 「キョン兄。あたし今夜ね、帰ってくるまでずっと起きて待ってる! ……そしたら話したいことがあるから!」<br>  なんだ、もったいぶらずに今言えよ。<br> 「ダメ、帰ったら言うからね! あんまり遅くに帰ったら……死刑なんだからっ!」<br> <br>  ハルヒは100Wの笑顔で指をさしながらそう言うと、寄るところがあると言って一人で走って行った。<br>  ……死刑は嫌だから、全部終わったら早く帰るか。いや、帰ってもハルヒはいない状態になってるんだろうが。<br>  そのとき、俺の携帯が猛然と震えだした。<br>  誰だバカ野郎……古泉?<br> 『緊急事態です。今すぐに長門さんの家に向かってください。僕達もすぐに学校を抜け出しますので』<br>  わかった、すぐ向かう。<br>  公園の入口に止めた自転車に飛び乗り、長門の家へと漕ぎ急いだ。<br>  まったく……今日で終わりだってのに何なんだよ。<br> <br> <br> 「涼宮ハルヒの深層部分が完全に消滅しようとしている。そうなったら手の打ちようが無い」<br>  長門は平坦な口調でそう言った。……少しは慌てるとかないのか?<br> 「あなたが、妹の涼宮さんに何か言ったんじゃないですか? 元の世界に戻らなくても彼女が満足するようなことを」<br>  ……心当たりはないな。今日はハルヒとずっと一緒にいたが。<br> 「つい2、30分前はどんな話をしてましたか? その時間に反応が薄くなったらしいのですが……」<br>  確か、ずっと一緒にいるから絶対帰ってくるとか言って、指きりしたりしたな。兄妹としては当たり前だろう?<br>  二つの溜息が重なって聞こえた。朝比奈さんと古泉だ。……ダメなのか?<br> 「キョンくんって、本当に鈍感なんですね。わざとやってると思ってたのに……」<br>  朝比奈さん、そんなに溜息をつかないでください。俺の心が深海よりも深く沈んでしまうじゃないですか。<br> 「ともかく、予定を繰り上げましょう。今のうちに手を打たないと危険です」<br>  あ~、なんだ。よくわからんがわかった。今すぐに元のハルヒと話をすればいいんだな?<br> <br>  長門は平坦な口調で、だけど今までに無いほど真剣な表情で言った。<br> 「そう。たぶんこれが最後のチャンス。逃したら二度と涼宮ハルヒには会えない」<br>  最初で最後か。ドタバタな俺の人生らしいぜ。<br> 「……わたしは、涼宮ハルヒが居る時のあなたの表情がいい。だから……頑張って」<br>  長門が『頑張って』だと? こいつはますます失敗出来なくなったな。<br>  人並みに感情の芽生えてきた長門の為に、そして何より俺の為にもハルヒを《妹》という立場から引っ剥がさないとな。<br>  長門、頼む。やってくれ。<br>  小さく頷く長門を見た後、すぐに意識が途切れる感覚に陥った。<br>  意識は途切れているが、どこかに潜るような奇妙な感覚だ。<br>  とりあえずハルヒ、やっと会えるんだから一緒に連れて帰ってやる。<br>  話したいこともたくさんあるし……な。<br> <br> <br></div> <ul> <li> <div class="main"><font color="#666666"><a href= "http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/772.html">第6話</a>へ</font></div> </li> </ul> <!-- ad -->
<div class="main">5話<br /> <br /> <br /> 「キョンくん! 朝だよ、起きて~!」<br />  ん……あぁ、あと5分……。<br /> 「も~う! ダメだって! お母さんとハルにゃんが怒るよ!」<br />  いいって、怒られたら起きる。……おやすみ。<br /> 「起きろっ! バカキョン兄!!」<br />  うぶっ! み、みぞおち……。<br />  ハルヒの全体重が俺のみぞおちに落ちて来た。<br /> 「あ、ありゃ? ちょっと嫌な感触だったわね……大丈夫?」<br />  い、いや……もう無理だ。……おやすみ。<br /> 「だ~か~ら起きてよ、キョンくん!」<br />  妹に布団を引き剥がされ、痛むみぞおちを押さえながら渋々と起きた。<br /> 「ごめんね、キョン兄。あんな所に当たるなんて思ってなかったのよ」<br />  マジで痛い……つーかヤバい。吐き気がする。<br /> 「……え!? ほんと大丈夫? ごめんね、キョン兄……あ、病院に行こうか?」<br />  俺が痛がるフリをしていると、ハルヒは酷く慌てた。これ、意外に面白いな。<br />  あ~、立っていられねぇよ。ちょっと座るから。<br />  階段の途中に座り込むと、今度は慌てて親の所へ向かって行った。まったくもって面白い。<br /> 「お母さん! キョン兄が、キョン兄が……」<br /> <br />  本気で心配して慌ててるな……。幸せ者だな、兄としての俺は。<br />  ゆっくりと腰を上げて、ハルヒの後ろに立って頭を撫でた。<br />  大丈夫だ。確かに痛かったけど、病院とかは行かなくても問題ない。<br /> 「……も、もう! 心配させないでよねっ!」<br />  悪い悪い。お前の反応が面白くてな。<br /> 「人を使って遊ぶなぁっ!」<br /> 「あんた達、早くご飯食べて行きなさい!」<br />  久しぶりに母親に怒られ、朝飯を掻き込んでハルヒと一緒に自転車に飛び乗った。<br />  まったく……母親には朝倉以上の恐怖を感じるぜ。……いや、冗談だ。<br /> 「ねぇ、キョン兄。今日の夜に話したいことがあるの。だからさ、絶対に部屋にいてよね」<br />  ……すまん、今日は少し出かけなきゃいかん。<br /> 「え……」<br />  どうしても外せない用事なんだ。本当にすまん。<br />  表情は見えないが、ハルヒがしょげているのがわかる。……本当なら断りたくはないさ。<br /> 「……それならさ」<br />  そう言うと、いきなりハルヒは自転車から飛び降りた。<br />  おい! いきなり飛び降りると危ないだろうが!<br /> 「今日一日さぼって遊びに行こう? もちろん、キョン兄の奢りで!」<br />  ハルヒは俺の大声を無視して、無邪気に笑いながらそう言った。<br />  ……最後だし、別に構わないか。出席については後で長門に頼もう。<br />  しょうがないな、何処へでも連れてけよ!<br /> <br /> <br />  それから、ハルヒの指示する通りに自転車を走らせた。まずは街中だ。<br /> 「キョン兄、これかわいい! 買って!」<br />  ハルヒは安物のペアリングを指さしていた。<br />  ん~……まぁ、これくらいなら買ってやるさ。<br />  俺は、代金を払うと、ハルヒに手渡した。……ってここで開けるのか。<br /> 「はい、これはキョン兄の分ね。ちゃんと肌身離さず付けとくのよ!」<br /> <br />  おいおい、妹とはいえ、ハルヒとペアリングか。<br />  なかなか恥ずかしいものがあるが、ハルヒを不機嫌にさせると古泉がうるさいからな。<br />  渋々とリングを付け、ハルヒの満足な顔を見た後、自転車屋に行った。<br /> 「う~ん……これなんか後ろの乗り心地良さそうよね」<br />  どうやら、自分の自転車ではなく、俺の後ろに良い席を取る為の品定めらしい。<br />  まったくもって無駄だよな。<br />  さらに小物屋、本屋などを回り、食事をとったりした後にハルヒは元気いっぱいに声をかけてきた。<br /> 「キョン兄、次はあそこ! 少しだけ休ませてあげるわ!」<br />  ハルヒが指さした場所は、何の変哲もない公園だった。そこに自転車を止めて、ベンチに二人で座った。<br /> 「今日はいい一日だわ! 天気もいいし、楽しいし!」<br />  そりゃよかったぜ。天気がいいのはキツいがな。<br /> 「キョン兄は楽しい?」<br />  ……あぁ、すごく楽しいぞ。<br />  とは答えたものの、ハルヒの考えがわからん。何のために俺と遊んでるんだ? しかも学校をさぼってまで。<br />  楽しいということは間違い無いんだがな。<br /> 「よかった、あたしだけ楽しんじゃってるのかと思っちゃったわ!」<br />  ……なぁ、夜にしようとしてた話ってなんだよ?<br />  そうだ、たしかハルヒはこれを言おうとしてたはずなんだ。今まで忘れていたがな。<br /> 「あ、あれのこと!? あはは……べ、別に言わなくてもいいのよ!」<br />  言わなくてもいいってことはないだろう。少なくとも俺は気になるから聞きたい。<br />  ハルヒは、黙ったまま顔を赤くした。……俺、なんか恥ずかしいこと言ったか?<br /> 「ど、どうしてもって言うなら……」<br />  どうしてもだ。<br /> 「本気だからね、笑わないでよね」<br />  あぁ、笑わないさ。<br />  しばらくの沈黙の後、ハルヒはゆっくりと言った。<br /> <br /> 「キョン兄、ずっとあたしと一緒に居てね。ちゃんと帰って来てね」<br />  ……どうした? そんな、俺がどっかに消えちまうみたいなこと言ってさ。<br /> 「だって……そんな感じの夢を見たのよ。心配になるに決まってるじゃない!」<br />  しっかりと俺の目を見つめながらも、その瞳はうっすらと涙を溜めていた。<br />  わかったよ、ずっと一緒だ。俺は勝手にいなくなったりしない、約束する。<br /> 「……ほんとね? いきなりいなくならないでよ、やだからね!」<br />  ハルヒは、何度も何度も、いつもより本気で心配してるような口調で念を押してきた。<br />  大丈夫、約束だ。ほら、指きりしようぜ。<br /> <br /> ――ゆびきりげんまんうそついたらはりせんぼんのます、ゆびきった――<br /> <br />  そんな子どもっぽいリズムに乗せて指きりをしたら、ハルヒが『くすっ』と控えめに笑った。<br /> 「キョン兄。あたし今夜ね、帰ってくるまでずっと起きて待ってる! ……そしたら話したいことがあるから!」<br />  なんだ、もったいぶらずに今言えよ。<br /> 「ダメ、帰ったら言うからね! あんまり遅くに帰ったら……死刑なんだからっ!」<br /> <br />  ハルヒは100Wの笑顔で指をさしながらそう言うと、寄るところがあると言って一人で走って行った。<br />  ……死刑は嫌だから、全部終わったら早く帰るか。いや、帰ってもハルヒはいない状態になってるんだろうが。<br />  そのとき、俺の携帯が猛然と震えだした。<br />  誰だバカ野郎……古泉?<br /> 『緊急事態です。今すぐに長門さんの家に向かってください。僕達もすぐに学校を抜け出しますので』<br />  わかった、すぐ向かう。<br />  公園の入口に止めた自転車に飛び乗り、長門の家へと漕ぎ急いだ。<br />  まったく……今日で終わりだってのに何なんだよ。<br /> <br /> <br /> 「涼宮ハルヒの深層部分が完全に消滅しようとしている。そうなったら手の打ちようが無い」<br />  長門は平坦な口調でそう言った。……少しは慌てるとかないのか?<br /> 「あなたが、妹の涼宮さんに何か言ったんじゃないですか? 元の世界に戻らなくても彼女が満足するようなことを」<br />  ……心当たりはないな。今日はハルヒとずっと一緒にいたが。<br /> 「つい2、30分前はどんな話をしてましたか? その時間に反応が薄くなったらしいのですが……」<br />  確か、ずっと一緒にいるから絶対帰ってくるとか言って、指きりしたりしたな。兄妹としては当たり前だろう?<br />  二つの溜息が重なって聞こえた。朝比奈さんと古泉だ。……ダメなのか?<br /> 「キョンくんって、本当に鈍感なんですね。わざとやってると思ってたのに……」<br />  朝比奈さん、そんなに溜息をつかないでください。俺の心が深海よりも深く沈んでしまうじゃないですか。<br /> 「ともかく、予定を繰り上げましょう。今のうちに手を打たないと危険です」<br />  あ~、なんだ。よくわからんがわかった。今すぐに元のハルヒと話をすればいいんだな?<br /> <br />  長門は平坦な口調で、だけど今までに無いほど真剣な表情で言った。<br /> 「そう。たぶんこれが最後のチャンス。逃したら二度と涼宮ハルヒには会えない」<br />  最初で最後か。ドタバタな俺の人生らしいぜ。<br /> 「……わたしは、涼宮ハルヒが居る時のあなたの表情がいい。だから……頑張って」<br />  長門が『頑張って』だと? こいつはますます失敗出来なくなったな。<br />  人並みに感情の芽生えてきた長門の為に、そして何より俺の為にもハルヒを《妹》という立場から引っ剥がさないとな。<br />  長門、頼む。やってくれ。<br />  小さく頷く長門を見た後、すぐに意識が途切れる感覚に陥った。<br />  意識は途切れているが、どこかに潜るような奇妙な感覚だ。<br />  とりあえずハルヒ、やっと会えるんだから一緒に連れて帰ってやる。<br />  話したいこともたくさんあるし……な。<br /> <br />  </div> <ul> <li> <div class="main"><font color="#666666"><a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/772.html">第6話</a>へ</font></div> </li> </ul>

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