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「あさひなの泣く頃に~鶴屋殺し編~」(2007/01/12 (金) 00:54:06) の最新版変更点
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ある日の昼休み、委員会で遅れた昼食を食べようとしたとき、<br>
みくるがいないことに気がついた。その辺の女の子に聞いてみると、<br>
不良達に連れ去られたとのこと。早速探しにいった。<br>
…………十五分後、学校中を駆けずり回ってもみくるは見つからず、<br>
肩を落としていた。ちょうどチャイムも鳴り、<br>
みくるが戻っているかもしれないので、一度教室に戻る。<br>
しかし、みくるはいなかった。先生に訊ねると、保健室にいるらしい。<br>
おそらく不良達にいじめられたのだろう。<br>
真っ先に飛んでいきたかったが、みくるには気持ちの整理が必要だから、<br>
後で行ってみよう。<br>
放課後。逸る気持ちを抑えて保健室へ向かう。<br>
みくるはやはり最後まで授業に出なかった。傷は深いのだろう。<br>
保健室のドアを開け、担当教諭にみくるがいるか訊く。<br>
「昼休みからずっと横になってるわよ」<br>
「そうですか……」<br>
「それと……あの子には気づかないフリをしていたんだけど、<br>
どうも彼女、吐いちゃったみたいなのよ。何かのヒステリーじゃなきゃいいんだけど……」<br>
「…………」<br>
先生の「お願いね」という言葉に首肯して、ベッドを仕切るカーテンの中に入る。<br>
みくるは気づいたのか、こちらを見た。軽く緩めた制服からのぞく素肌の、生々しい傷跡。<br>
あたしは涙が溢れてきた。一体みくるが何をしたというのだ。何故あたしの親友が、こんな理不尽な暴力を受けねばならないのか。<br>
「みくるっ、ごめんよ。止められなくて。あの時その場にいれば止められたのにね」<br>
肩が震える。目から涙が零れ落ちる。<br>
「いいんです。あたしがいけないんだから……」<br>
そういってみくるはあたしの手を優しく握った。何で? みくるは何も悪くない。どうしてそんな風に……。優しすぎるよみくるは。<br>
「みくるは何も悪くないよっ!」<br>
つい力んで、強く握り返してしまう。<br>
「今度ひどい目に遭わされたら、ちゃんと言うんだよっ!」<br>
みくるはほのかに笑った。<br></div>
<br>
<div>あたしは保健室を出て、不良グループを探した。<br>
彼女達は近所のコンビニの前で集まっていた。<br>
「ねえ!」<br>
強い語調で話しかける。全員がだるそうな目であたしを見て、一人が<br>
「何?」<br>
と反応した。あたしはそのままの語調で、<br>
「みくるをいじめるなっ!」<br>
と言ってやった。するとリーダー格の女子が不機嫌そうに言った。<br>
「何? あいつが何か言ったの?」<br>
「違うけど、そうでしょ!?」<br>
女子は肩をすくめ、<br>
「証拠もないのにあたしらを犯人扱いしないでよね。……いこ」<br>
鶴の一声で全員はぞろぞろと移動を始めた。あたしはそれ以上言えることは無いので、それを傍観していた。<br>
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翌日からは、みくるは呼び出されなくなった。それどころか彼女達は近寄ろうともしなかった。<br>
「昨日のあれが効いたのかな?」と思ったが、その後のみくるの様子が妙に引っかかる。<br>
毎日カーディガンを羽織っているし、毎朝震える手で靴箱を開けている。<br>
それに体育の時間は、誰よりも早く来て着替えている。<br>
そして最も引っかかるのが――部活に参加しないことだ。<br>
これは気まぐれで部室に訪れたときに、キョン君に聞いた。<br>
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<br>
<div>「みくるっ、部活に行かなくていいにょろか?」<br>
あれから数日たったある日の帰り道、思い切って訊いてみた。<br>
するとみくるは顔を曇らせた。<br>
「うん。最近調子悪いから……」<br>
あたしの脳裏を嫌な予感が過った。<br>
「! やっぱりまだ……!?」<br>
あたしがそういうと慌てて首を振り、<br>
「ううん、違うの。ただ、何となく」<br>
釈然としないけど、とりあえず安堵した。<br>
「ならいいにょろ。でもめっがさ心配だよっ!」<br>
「ふふふ。ありがとう」<br>
みくるが久しぶりに笑顔を見せたので、これ以上の詮索は止めた。<br>
でもやっぱり、確かめる必要はある――<br></div>
<br>
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以前いた場所に、彼女達はいった。あたしに気づいた一人が、<br>
リーダーに「また来たよ」と告げた。リーダーは振り返るなり、<br>
「今度は何?」<br>
うざったそうに訊いた。<br>
「本当にみくるに暴力とか振るってないんだよね!?」<br>
「だから言ったじゃん」<br>
「本当だね!? もしそんなことしてたら、許さないから!!」<br>
それだけ言って、走って帰る。これでもダメだったら、<br>
また次の手を考えよう。<br></div>
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家に帰って、しばらく呆けていると、電話が鳴った。受話器を取り、<br>
耳に当てる。<br>
『朝比奈が町外れの廃工場で暴力を受けている。早めに行ったほうが良い』<br>
それだけ言って電話は切れた。あたしは制服のまま、自転車でそこへ向かった。<br>
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町外れの廃工場。そこには一度、小学生のとき肝試しに来たことがあった。<br>
ここは最近では、性質(たち)の悪い不良や暴走族のたまり場になっているらしい。<br>
しかしそんなことはどうでもよかった。そこには乱暴されているみくるがいて、それを何とか止める。あたしの頭の中にはそれしか無かった。<br>
廃工場についた。自転車から降り、中に入る。誰もいない。<br>
みくるどころか、不良も暴走族もいない。怪訝に思い、<br>
辺りを見回そうとすると――<br>
「んむっ!?」<br>
後ろからいきなり鼻と口に湿ったハンカチを押し付けられ、<br>
押さえつけられた。呼吸を続ける内に、段々意識が朦朧としてきた。<br>
体が思うように動かない。腕から解放されたとき、倒れこんでしまう。<br>
「最高だ……こんな上玉、めったにお目にかかれねえ……」<br>
ニット帽を被った男が恍惚とした様子で言う。<br>
男は無遠慮にあたしに覆いかぶさってきた。<br>
「いや!」<br>
何とか動く体を駆使して、抵抗する。<br>
すると偶然、ひじが男のあごをとらえた。男が仰け反る。<br>
「このアマ!」<br>
両腕を片手で押さえつけ、残った片手であたしの顔を何度も殴る。<br>
口の端から出血し、顔のあちこちに痣ができる。鼻からも血が出た。<br>
「痛い……もうやめて……」<br>
そう懇願すると、男は殴る手を止め、<br>
「へへへ。最初からそうしてりゃいいんだよ」<br></div>
<br>
<br>
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男はナイフを取り出し、あたしの制服や下着をズタズタに裂いていく。<br>
月光の中、浮かび上がるあたしの素肌。男はそれをなめるように見ている。<br>
「やっぱいいな、若い女は」<br>
乳房に顔を埋め、下腹部に手を這わせる。<br>
自分でも全然触っていない聖域に指を這わせていく。<br>
「んっ……」<br>
「ククク。何だかんだ言っても、やっぱり女の性だな」<br>
ズボンを下ろし、男は自身の分身を取り出した。<br>
「ホラ、咥えな!」<br>
口に突っ込まれ、吐き出そうとするたびに殴られた。<br>
だから嫌々咥え、舌を這わせる。しばらくすると男は呻いて、体液を放出した。出す瞬間、あたしの口から取り出して、あたしの体にかけた。<br>
「やっぱいいねえ。うん、絵になる」<br>
男はにんまりとして言う。あたしは早くこれが終わることをいのった。<br>
「さて、じゃあクライマックスだ」<br>
男はあたしの花園に狙いを定め、突き刺した。身を裂かれるような痛み。<br>
あたしは絶叫した。<br>
「いいなあ。その声興奮するよ!」<br>
律動がより活発になる。<br></div>
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<div>男はロープの輪をあたしの首に引っ掛けた。<br>
「これでも十分きついけど、こっちの方がよくしまるんだぜ?」<br>
男はリモコンのスイッチを押した。<br>
それに呼応したクレーンがあたしの首に掛かっているロープを引き上げようとする。<br>
あたしは宙に浮いた。首が絞まり、息苦しい。<br>
頭に霧が掛かったようにぼうっとしてくる。男はそれを嬉々として眺め、<br>
「うう……キツイ。最高だ!」<br>
そのまま中に欲望を吐き出して男はあたしから離れ、<br>
懐からカメラを取り出した。<br>
「ホラ、笑って笑って! 記念撮影だ」<br>
カメラのフラッシュが眩しい。もう目の前があまり見えない。<br>
頭が働かない。手足が痺れる。<br></div>
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――みくる、ゴメンね。助けてあげられなくて――<br></div>
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一人の勇敢な少女は糞尿を撒き散らして絶命した。後に残るのは男の哄笑と、一枚の写真だけだった。<br>
その後、それを知った親友は発狂する。生死問わず、二人に未来は無い。<br>
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