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<div class="main"> <div>一章<br></div> <br> <div>何かが変ね……。<br> あたしが部室のドアを開ける、いつものように本を読む有希、二人でボードゲームに熱中する古泉くんとキョン。<br> ここまではいつものみんな。ただ一人、みくるちゃんの様子が異常。<br> ボードゲームをするキョンの横に座り、盤面ではなくキョンの顔をじーっと見ている。<br> たまにキョンが気にして目が合うと、頬を赤らめて体をよじる。前から不思議な娘だったけど……おかしいわ。<br> 「みくるちゃんお茶っ!」<br> 「あ、す、涼宮さんこんにちわぁっ!いま、お茶淹れますぅっ!」<br> ……あたしは3分前くらいからずっと居たんだけどね。<br> いつもは、ムカつくけどキョンがみくるちゃんを眺めてるから、なんか入れ替わったみたいねぇ……ま、あたしには関係無いけどさ。<br> あたしは団長席に座り、パソコンを起動させた。<br> ディスプレイ越しに二人の様子を探る。<br> どうやら古泉くんが考えてる間にゴニョゴニョと内緒話をしてるみたい。なんかムカツクわね……。<br> あたしはまだ熱過ぎるお茶を一気に飲み干した。ついでに、舌を火傷したみたい。<br> 「あつつ!みくるひゃん、おひゃ!!」<br> 「ハルヒよ。お茶というのは火傷しながら一気に飲むものじゃないぞ」<br> キョンの的確なツッコミが来た。どうしてこいつは普通のツッコミしか出来ないのかしら?<br> 「うるさい!なんとなく早く飲みたかったの!」<br> みくるちゃんはすぐに湯飲みを下げていった。<br> ……と同時に一枚の紙を残した。<br> 「今日、わたしが着替える時に部室に残っててください」<br> ……なるほどね。みくるちゃんはとうとうあたしのものになる決心がついたようね。<br> なんてことはないだろうと考えながら、あたしはネットサーフィンを堪能した。<br> </div> <br> <div> みんなのいない、二人の部室。あたし達は向かいあって座っていた。<br> 「な~に?みくるちゃん。あたしに話って」<br> ちょっと様子が違うみくるちゃんに声をかけた。なんか、反抗的というか、決意を秘めた目をしていた。<br> 「あ、あの……わたし、本気でキョンくんのこと好きになっちゃったみたいです…」<br> はぁ?この娘はいきなり何を言い出すのかしら。あたしじゃ無くてキョンに直接言えばいいのに……。<br> 「そ、それでですね、……す、涼宮さんには負けませんからっ!《宣戦布告》ですっ!そ、それだけですぅっ!」<br> 椅子から立って走りだし、お約束のように転んでからみくるちゃんは部室から出て行った。<br> 「なんなのよ……もう」<br> あたしは呟いた。<br> あたしはキョンのことなんて知らないわよ。<br> あいつが誰と付き合おうが、何してようが知らないわ。……まぁ、多少はムカつくこともあるけどさ。<br> 部室のドアを開けて、出て行く。しばらく歩いて校門まで行くとみんな待っていた。<br> 「さ、帰るわよ」<br> あたしは有希と並んで歩いた。後ろではみくるちゃんとキョンが並んで歩き、古泉くんは一人。<br> …なんかムカつく配置ね。いや、あたしには関係無いけどさ。<br> あたしは有希と手を繋いだ。何故かイライラする時って自分でも理解しがたいことをしちゃうのよね。<br> 有希があたしの目を見ていた。いけない、迷惑かけちゃったかな?<br> 「あ……ご、ごめんね?有希。嫌だった?」<br> 「……いい。あったかい」<br> 有希はそのまま視線を戻した。今日は肌寒いとはいえ、もう夏なのにあったかいって何なのかしら?<br> 後ろから聞こえてくる二人の声にイライラを感じながらも、あたしは有希と手を繋いで坂を降りていった。<br> すると、有希が不意に口を開いた。<br> 「……彼らは次の探索の日にデートに行く約束をした」<br></div> <br> <div> なんですって?デート?あたしのSOS団の活動を差し置いて?<br> ……これは処罰が必要ね。<br> 「有希。これは黙って泳がせといて当日に尾行るわよ」<br> 「……つける?」<br> 「尾行するってこと」<br> なるほどというような感じで縦に首を振った有希はかわいいと思った。……あたし、そっちの気があるのかしら?<br> まぁ、何処に行くのかは古泉くん辺りにそれとなく調べてもらおう。<br> キョンがみくるちゃんに手を出したらすぐさま写真でも撮ってやろうかしら。あ~、いまから楽しみだわ。<br> いろいろな事や罰ゲームを考えながらあたしは家に帰った。<br> </div> <br> <br> <div>部屋で一人でいるあたし。<br> 何もしていない。というより、する気力が起きなかった。<br> キョンとみくるちゃんのデートの妨害工作や罰ゲームを考えていると、途端に虚しくなり、イライラして何もする気が起きなくなった。<br> 「なんで探索に来てくんないのよ、バカ」<br> 勝手に口から言葉が出て来て、慌てて両手をバタバタさせて打ち消した。<br> あたしがあいつの事考えてるなんてありえないわ。うん、やっぱり大人数で、団員みんなで行った方が楽しいもんね!<br> だから今みたいな言葉が出て来たんだわ!<br> あたしは一人でこんな思考を巡らせ、顔を枕に埋めた。<br></div> <br> <div> 「あ~、もう。なんでこんなにあの二人のことが気になるのかしら……」<br> 不意に頭の中にみくるちゃんの声がよみがえってきた。<br> 『涼宮さんには負けませんから』、『《宣戦布告》です』みたいなことを言ってたわね……。<br> キョンがあたしを好いてるからあんな事を言ったのかしら?……いや、好きな女には普通はあんなケンカ腰で当たりはしないわね。<br> それどころか巨乳で、ロリ顔で、かわいくて、おしとやかなみくるちゃんなんかメチャクチャ好みそうよね、キョンの。<br> ………考えていて何故かイライラしてきたから、お風呂に入ることにした。<br> やっぱり夏の蒸し暑い日には熱いお風呂に入るのが一番よね!<br> あたしは熱いお風呂に入って、すぐにベッドに横になった。ごちゃごちゃ考えるくらいなら、寝てスッキリしよう。<br> </div> <br> <div> お願いだから今日だけはスッキリするように良い夢を見せてちょうだい。<br> 特に、キョンが出てこないような夢を……。<br></div> <br> <br> <ul> <li><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/712.html"><font color= "#666666">二章</font></a></li> </ul> </div> <!-- ad -->
<div class="main"> <div>一章</div>   <div>何かが変ね……。<br /> あたしが部室のドアを開ける、いつものように本を読む有希、二人でボードゲームに熱中する古泉くんとキョン。<br /> ここまではいつものみんな。ただ一人、みくるちゃんの様子が異常。<br /> ボードゲームをするキョンの横に座り、盤面ではなくキョンの顔をじーっと見ている。<br /> たまにキョンが気にして目が合うと、頬を赤らめて体をよじる。前から不思議な娘だったけど……おかしいわ。<br /> 「みくるちゃんお茶っ!」<br /> 「あ、す、涼宮さんこんにちわぁっ!いま、お茶淹れますぅっ!」<br /> ……あたしは3分前くらいからずっと居たんだけどね。<br /> いつもは、ムカつくけどキョンがみくるちゃんを眺めてるから、なんか入れ替わったみたいねぇ……ま、あたしには関係無いけどさ。<br /> あたしは団長席に座り、パソコンを起動させた。<br /> ディスプレイ越しに二人の様子を探る。<br /> どうやら古泉くんが考えてる間にゴニョゴニョと内緒話をしてるみたい。なんかムカツクわね……。<br /> あたしはまだ熱過ぎるお茶を一気に飲み干した。ついでに、舌を火傷したみたい。<br /> 「あつつ!みくるひゃん、おひゃ!!」<br /> 「ハルヒよ。お茶というのは火傷しながら一気に飲むものじゃないぞ」<br /> キョンの的確なツッコミが来た。どうしてこいつは普通のツッコミしか出来ないのかしら?<br /> 「うるさい!なんとなく早く飲みたかったの!」<br /> みくるちゃんはすぐに湯飲みを下げていった。<br /> ……と同時に一枚の紙を残した。<br /> 「今日、わたしが着替える時に部室に残っててください」<br /> ……なるほどね。みくるちゃんはとうとうあたしのものになる決心がついたようね。<br /> なんてことはないだろうと考えながら、あたしはネットサーフィンを堪能した。</div>   <div>みんなのいない、二人の部室。あたし達は向かいあって座っていた。<br /> 「な~に?みくるちゃん。あたしに話って」<br /> ちょっと様子が違うみくるちゃんに声をかけた。なんか、反抗的というか、決意を秘めた目をしていた。<br /> 「あ、あの……わたし、本気でキョンくんのこと好きになっちゃったみたいです…」<br /> はぁ?この娘はいきなり何を言い出すのかしら。あたしじゃ無くてキョンに直接言えばいいのに……。<br /> 「そ、それでですね、……す、涼宮さんには負けませんからっ!《宣戦布告》ですっ!そ、それだけですぅっ!」<br /> 椅子から立って走りだし、お約束のように転んでからみくるちゃんは部室から出て行った。<br /> 「なんなのよ……もう」<br /> あたしは呟いた。<br /> あたしはキョンのことなんて知らないわよ。<br /> あいつが誰と付き合おうが、何してようが知らないわ。……まぁ、多少はムカつくこともあるけどさ。<br /> 部室のドアを開けて、出て行く。しばらく歩いて校門まで行くとみんな待っていた。<br /> 「さ、帰るわよ」<br /> あたしは有希と並んで歩いた。後ろではみくるちゃんとキョンが並んで歩き、古泉くんは一人。<br /> …なんかムカつく配置ね。いや、あたしには関係無いけどさ。<br /> あたしは有希と手を繋いだ。何故かイライラする時って自分でも理解しがたいことをしちゃうのよね。<br /> 有希があたしの目を見ていた。いけない、迷惑かけちゃったかな?<br /> 「あ……ご、ごめんね?有希。嫌だった?」<br /> 「……いい。あったかい」<br /> 有希はそのまま視線を戻した。今日は肌寒いとはいえ、もう夏なのにあったかいって何なのかしら?<br /> 後ろから聞こえてくる二人の声にイライラを感じながらも、あたしは有希と手を繋いで坂を降りていった。<br /> すると、有希が不意に口を開いた。<br /> 「……彼らは次の探索の日にデートに行く約束をした」</div>   <div>なんですって?デート?あたしのSOS団の活動を差し置いて?<br /> ……これは処罰が必要ね。<br /> 「有希。これは黙って泳がせといて当日に尾行るわよ」<br /> 「……つける?」<br /> 「尾行するってこと」<br /> なるほどというような感じで縦に首を振った有希はかわいいと思った。……あたし、そっちの気があるのかしら?<br /> まぁ、何処に行くのかは古泉くん辺りにそれとなく調べてもらおう。<br /> キョンがみくるちゃんに手を出したらすぐさま写真でも撮ってやろうかしら。あ~、いまから楽しみだわ。<br /> いろいろな事や罰ゲームを考えながらあたしは家に帰った。</div>   <div>部屋で一人でいるあたし。<br /> 何もしていない。というより、する気力が起きなかった。<br /> キョンとみくるちゃんのデートの妨害工作や罰ゲームを考えていると、途端に虚しくなり、イライラして何もする気が起きなくなった。<br /> 「なんで探索に来てくんないのよ、バカ」<br /> 勝手に口から言葉が出て来て、慌てて両手をバタバタさせて打ち消した。<br /> あたしがあいつの事考えてるなんてありえないわ。うん、やっぱり大人数で、団員みんなで行った方が楽しいもんね!<br /> だから今みたいな言葉が出て来たんだわ!<br /> あたしは一人でこんな思考を巡らせ、顔を枕に埋めた。</div>   <div>「あ~、もう。なんでこんなにあの二人のことが気になるのかしら……」<br /> 不意に頭の中にみくるちゃんの声がよみがえってきた。<br /> 『涼宮さんには負けませんから』、『《宣戦布告》です』みたいなことを言ってたわね……。<br /> キョンがあたしを好いてるからあんな事を言ったのかしら?……いや、好きな女には普通はあんなケンカ腰で当たりはしないわね。<br /> それどころか巨乳で、ロリ顔で、かわいくて、おしとやかなみくるちゃんなんかメチャクチャ好みそうよね、キョンの。<br /> ………考えていて何故かイライラしてきたから、お風呂に入ることにした。<br /> やっぱり夏の蒸し暑い日には熱いお風呂に入るのが一番よね!<br /> あたしは熱いお風呂に入って、すぐにベッドに横になった。ごちゃごちゃ考えるくらいなら、寝てスッキリしよう。</div>   <div>お願いだから今日だけはスッキリするように良い夢を見せてちょうだい。<br /> 特に、キョンが出てこないような夢を……。</div>   <ul> <li><a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/712.html"><font color="#666666">二章</font></a></li> </ul> </div>

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