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a long wrong way 五章」(2020/03/13 (金) 01:07:54) の最新版変更点

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<div class="main"> <div>「一人、か」<br> 思わず呟く俺。<br> 今日、古泉が転校していった。これで、北高に残ってる団員は<br> 俺と朝比奈さんと長門だけだ。<br> 朝比奈さんと長門は俺が進級するのと前後して、学校から去って行く。<br> 「一人、か」<br> また、呟く。俺の周りから、ハルヒの痕跡が消えていく。<br> そう、何より寂しいのは、ハルヒが俺の側にいないことだ。<br> 気力が出ない。全く何にも手が付かない。<br> それだけ大きな存在だったのか、ハルヒは。<br> そんな状態のまま時間は過ぎていき、今日は卒業式の日だ。<br> 卒業式で朝比奈さんの姿を目に焼き付けた。恐らく今日で最後だからな。<br> 卒業式のあと、何となしに文芸部室に向かった。<br> ノックなしで部屋に入ろうとしたら、後ろで待ったがかかった。<br> 「ちょっと、待つっさ、キョン君」<br> 鶴屋さん?なんでここに?<br> 「みくるがどうしてももう一回見たいって言うからついて来たのさ」<br> 今、中に?<br> 「そうさっ。ところでキョン君。君、目が死んでるにょろよ?<br> 大丈夫かい?」<br> あんまり大丈夫じゃないですね、近ごろ何にも手が付かないんですよ。<br> 「そいつは、重症だね。ハルにゃんも罪なことをしたもんだっ!」<br> 同感です。<br></div> <br> <div> 「古泉くんも転校しちゃったしね。後は長門ちゃんだけかい?」<br> 「その長門も家の都合で来年度にはいなくなるそうです」<br> 鶴屋さん目を大きく見開いた。<br> 「じゃあ、キョン君だけなのかい?<br> そうだなー、寂しかったら、あたしんちに来なよ。<br> お茶ぐらいなら何時でも用意できるよ!<br> ……それとも、みくるのお茶しか飲めないかい?」<br> そんなことはありませんよ。<br> 「それならいいっさ。愚痴くらいならいつでも聞いたげるよっ!」<br> 「ありがとうございます」<br> 俺の返事を聞いて鶴屋さんはうなっている。何か、不満でもあるのだろうか?<br> 「まーだ暗いなぁ。人生は明るい方がいいことあるんだよ。<br> 空元気でも笑って過ごすんだよ。いいかい?」<br> そんなにあっさり言わないで下さいよ。<br> 「そだねー……お、みくる、もういいのかい?」<br> 鶴屋さんがいつの間にか部室から出ていた朝比奈さんに言った。<br> 「ええ、もういいです。<br> ……あの、キョン君、少し付き合って、もらえませんか?」<br> 喜んで。<br></div> <br> <div>場所はいつかの川沿いのベンチ。<br> 「懐かしいですねー、ここ……」<br> 確かにそうですね。ここで未来人だ、って言われたんでしたよね?<br> 「ええ。結局、保留、って言われちゃいましたけど」<br> 「今は疑ってませんよ」<br> ……正直に言うと、嘘であって欲しい。<br> ハルヒだって、長門だって、古泉だって、一般人だったら、<br> どんなに良かっただろう。<br> 少なくともこんなふうに別れることはなかっただろう。<br> でも、俺は一度そんな世界を否定した。<br> あの時、俺は俺の『日常』を取り戻そうとしていた。<br> 今度はその『日常』のせいで全てを失ったのだ。<br> まるで子供のわがままだよな。あれが欲しい。やっぱりいらない。<br> 情けねえな。<br> 「キョン君?」<br> 何でしょう。<br> 「最後に一つ、……お話があります」<br> そう言ったきり、黙って俯いてしまう朝比奈さん。<br> おれも促す気はない。残り少ない朝比奈さんとの時間を楽しんでいたい。<br> 顔を上げて口を開く朝比奈さん。<br> 「キョン君。わたしは、わたしは……」<br></div> <br> <div> そっから先は言葉にならない。けど、以心伝心ってあるんだな。<br> 「……すいません。でも、俺はやっぱり……」<br> 「……そうですよね。でも良いんです。この結末が正しいんです。<br> わたしはここにいるべきでない人だから」<br> 普段はアイコンタクトが通じない朝比奈さんなのに<br> 今日は、言葉が足りなくても分かりあえる。<br></div> <br> <div> それにしても、こんな悲しそうな顔した彼女を放っておけるだろうか?<br> そんなことは出来ない。でも、俺じゃ朝比奈さんの悲しみは消せない。<br> 「そろそろ時間です。今まで楽しかったですよ。<br> 鶴屋さんによろしく」<br> そう言った彼女は涙を残して消えた。<br></div> <br> <div>……。<br></div> <br> <div>溜め息が一つ、俺の口からこぼれ落ちた。<br> 「さようなら、朝比奈さん。いつか会う過去の俺によろしく」<br> </div> <br> <div>あと一人。たった一人しか残っていない。<br> ……でも、俺みたいな一般人の周りにあんなにゴロゴロ超常現象が<br> 転がってる方がおかしかったのだ。<br> そうだ。俺は面白みのない現実に戻って来たんだ。<br></div> <br> <div>三学期も終わり、春休になった。<br> こんなに暇な長期休暇はいつ以来だろう?<br> もちろん、受験勉強は始めたがな。<br> 春期講習の合間をぬって俺は長門を一回だけ図書館に誘った。<br> 本を黙々と読む長門を見ていたら何時しか寝てしまったらしい。<br> 気付けば閉館の時間だった。<br> 「すまんな、長門」<br> 「いい」<br> そっか。<br> 「そう」<br> なあ、お前はこれからどうすんだ?<br> 「禁則事項」<br> 知らない方がいいってことか。<br> 「思念体はあなたにもう何の価値も見出だしていない。<br> 鍵は消失したと考えている。<br> だから、あなたにわたしのことを教える必要はないと」<br> そうだよな、ハルヒの側にいない俺は、お前の親玉からすれば無価値だよな。<br> 「でも、わたしはあなたがまだ鍵だと考えている」<br> そう言う根拠はなんだ?<br> 「……あなたの側に長くいたから、だから」<br> そう思うだけ、って?あの長門が?<br> 「ありがとよ、長門」<br> 「……いい」<br> 少し照れてるみたいだな。<br> 良いものが見れたな。<br></div> <br> <div> これが長門との最後の会話。あっさりとし過ぎてるな。<br> 学年が上がると、長門は転校したことになっていた。<br> それを知った日。俺は長門のマンションに走って行った。<br> ハルヒがしたようにマンションの中に侵入して、長門の部屋に向かった。<br> 扉に鍵はかかってなかったが中は空っぽだった。<br> ……いや、一つだけ残っていた。<br> それは、俺が作った貸出しカード――。<br></div> <br> <div>期末試験も近付く七月の始めのこと。<br></div> <br> <div>「おい、キョンよー。お前、大丈夫か?」<br> 何がだ、谷口?<br> 「中間は赤点だらけだったんだろ?三年でそれはまずいだろう」<br> 谷口に心配されるとは俺も落ちたものだ。<br> 「んなこた、担任に何度も言われてるって。<br> ……それに正直、どうでもいい」<br> 「まだ、引きずってんのか?いい加減にしとけよ。<br> たかだか涼宮のためだけに人生、棒に振る気か?」<br> さあ?だけどそれもいいかもな。<br> 「こりゃ、重症だな」<br> 俺もそう思うさ、谷口君。<br> だが安心しろ。大学全入時代はすぐそこだ。<br> 「キョン、それはまずいんじゃない。何なら、勉強教えて上げるよ?」<br> ありがとう、国木田。気持ちだけ受け取っておこう。<br> 「国木田、しばらくこいつは放って置いた方がいいな」<br> 「そうだね。一浪ぐらいすれば目も覚めるんじゃない?」<br> ひどいこと言うなよ。<br></div> <br> <div>帰って家でぼーっとしている、鬱真っ盛りな<br> 俺に懐かしい奴から電話がかかって来た。<br> 『お久し振りです。元気ですか?』<br> 「いや、ひどいもんだ。で、何のようだ?古泉」<br> こいつが用もなしに電話してくるはずがない。<br> 『話が早いですね。実は頼みごとがあるのですよ』<br> 「なんだ?」<br> 古泉は一流大学の名前をズラズラと上げて、こう言った。<br> 『どれかに入って貰えませんか?どれも涼宮さんの志望大学です』<br> 無茶を言うな。そもそもどうして、そんなことを頼む?<br> 『閉鎖空間の発生頻度が中学時代並みに戻ってしまったんです』<br> だから、俺とハルヒがくっつけばいいってか?<br> 『悪くはないでしょう?<br> ……実を言いますとね、ちょっとカッとなって<br> 不必要なことを言ってしまったんですよ。<br> そのせいで彼女が自己嫌悪に陥っちゃいまして……』<br> 何で俺が、お前の尻拭いをしなけりゃいけない?<br></div> <br> <div>『半分はあなたのために怒ったんですよ?』<br> 訳が分からん。<br> 『あなたが最後の日に謝ろうとしてたことを話してしまったんです』<br> ……余計なことを言いやがって。<br> 「……分かったよ。なにすれば良いんだ?」<br> なぜか咳払いしてから、こう言っていた。<br> 本当になんでだろう?<br> 『引き受けてくれるんですか!?ありがたい……。<br> ああ、方法はお任せします。<br> 結局、涼宮さんと仲直りすることで<br> 一番恩恵を受けるのはあなたたち自身ですから』<br> 否定はしないさ。今の俺の状況を見る限りそれは正しいだろう。<br> </div> <br> <div>電話を切ったあとベットに転がり天井を見た。<br> 長い間待ち望んでいた、やり直しの機会が来た。そのことに心臓が高鳴る。<br> ――なあ、ハルヒ。<br> やっぱりお前がいないと寂しいよ。<br></div> <br> <br> <ul> <li><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/708.html"><font color= "#666666">六章</font></a></li> </ul> </div> <!-- ad -->
<div class="main"> <div>「一人、か」<br /> 思わず呟く俺。<br /> 今日、古泉が転校していった。これで、北高に残ってる団員は<br /> 俺と朝比奈さんと長門だけだ。<br /> 朝比奈さんと長門は俺が進級するのと前後して、学校から去って行く。<br /> 「一人、か」<br /> また、呟く。俺の周りから、ハルヒの痕跡が消えていく。<br /> そう、何より寂しいのは、ハルヒが俺の側にいないことだ。<br /> 気力が出ない。全く何にも手が付かない。<br /> それだけ大きな存在だったのか、ハルヒは。<br /> そんな状態のまま時間は過ぎていき、今日は卒業式の日だ。<br /> 卒業式で朝比奈さんの姿を目に焼き付けた。恐らく今日で最後だからな。<br /> 卒業式のあと、何となしに文芸部室に向かった。<br /> ノックなしで部屋に入ろうとしたら、後ろで待ったがかかった。<br /> 「ちょっと、待つっさ、キョン君」<br /> 鶴屋さん?なんでここに?<br /> 「みくるがどうしてももう一回見たいって言うからついて来たのさ」<br /> 今、中に?<br /> 「そうさっ。ところでキョン君。君、目が死んでるにょろよ?<br /> 大丈夫かい?」<br /> あんまり大丈夫じゃないですね、近ごろ何にも手が付かないんですよ。<br /> 「そいつは、重症だね。ハルにゃんも罪なことをしたもんだっ!」<br /> 同感です。</div>   <div>「古泉くんも転校しちゃったしね。後は長門ちゃんだけかい?」<br /> 「その長門も家の都合で来年度にはいなくなるそうです」<br /> 鶴屋さん目を大きく見開いた。<br /> 「じゃあ、キョン君だけなのかい?<br /> そうだなー、寂しかったら、あたしんちに来なよ。<br /> お茶ぐらいなら何時でも用意できるよ!<br /> ……それとも、みくるのお茶しか飲めないかい?」<br /> そんなことはありませんよ。<br /> 「それならいいっさ。愚痴くらいならいつでも聞いたげるよっ!」<br /> 「ありがとうございます」<br /> 俺の返事を聞いて鶴屋さんはうなっている。何か、不満でもあるのだろうか?<br /> 「まーだ暗いなぁ。人生は明るい方がいいことあるんだよ。<br /> 空元気でも笑って過ごすんだよ。いいかい?」<br /> そんなにあっさり言わないで下さいよ。<br /> 「そだねー……お、みくる、もういいのかい?」<br /> 鶴屋さんがいつの間にか部室から出ていた朝比奈さんに言った。<br /> 「ええ、もういいです。<br /> ……あの、キョン君、少し付き合って、もらえませんか?」<br /> 喜んで。</div>   <div>場所はいつかの川沿いのベンチ。<br /> 「懐かしいですねー、ここ……」<br /> 確かにそうですね。ここで未来人だ、って言われたんでしたよね?<br /> 「ええ。結局、保留、って言われちゃいましたけど」<br /> 「今は疑ってませんよ」<br /> ……正直に言うと、嘘であって欲しい。<br /> ハルヒだって、長門だって、古泉だって、一般人だったら、<br /> どんなに良かっただろう。<br /> 少なくともこんなふうに別れることはなかっただろう。<br /> でも、俺は一度そんな世界を否定した。<br /> あの時、俺は俺の『日常』を取り戻そうとしていた。<br /> 今度はその『日常』のせいで全てを失ったのだ。<br /> まるで子供のわがままだよな。あれが欲しい。やっぱりいらない。<br /> 情けねえな。<br /> 「キョン君?」<br /> 何でしょう。<br /> 「最後に一つ、……お話があります」<br /> そう言ったきり、黙って俯いてしまう朝比奈さん。<br /> おれも促す気はない。残り少ない朝比奈さんとの時間を楽しんでいたい。<br /> 顔を上げて口を開く朝比奈さん。<br /> 「キョン君。わたしは、わたしは……」</div>   <div>そっから先は言葉にならない。けど、以心伝心ってあるんだな。<br /> 「……すいません。でも、俺はやっぱり……」<br /> 「……そうですよね。でも良いんです。この結末が正しいんです。<br /> わたしはここにいるべきでない人だから」<br /> 普段はアイコンタクトが通じない朝比奈さんなのに<br /> 今日は、言葉が足りなくても分かりあえる。</div>   <div>それにしても、こんな悲しそうな顔した彼女を放っておけるだろうか?<br /> そんなことは出来ない。でも、俺じゃ朝比奈さんの悲しみは消せない。<br /> 「そろそろ時間です。今まで楽しかったですよ。<br /> 鶴屋さんによろしく」<br /> そう言った彼女は涙を残して消えた。</div>   <div>……。</div>   <div>溜め息が一つ、俺の口からこぼれ落ちた。<br /> 「さようなら、朝比奈さん。いつか会う過去の俺によろしく」</div>   <div>あと一人。たった一人しか残っていない。<br /> ……でも、俺みたいな一般人の周りにあんなにゴロゴロ超常現象が<br /> 転がってる方がおかしかったのだ。<br /> そうだ。俺は面白みのない現実に戻って来たんだ。</div>   <div>三学期も終わり、春休になった。<br /> こんなに暇な長期休暇はいつ以来だろう?<br /> もちろん、受験勉強は始めたがな。<br /> 春期講習の合間をぬって俺は長門を一回だけ図書館に誘った。<br /> 本を黙々と読む長門を見ていたら何時しか寝てしまったらしい。<br /> 気付けば閉館の時間だった。<br /> 「すまんな、長門」<br /> 「いい」<br /> そっか。<br /> 「そう」<br /> なあ、お前はこれからどうすんだ?<br /> 「禁則事項」<br /> 知らない方がいいってことか。<br /> 「思念体はあなたにもう何の価値も見出だしていない。<br /> 鍵は消失したと考えている。<br /> だから、あなたにわたしのことを教える必要はないと」<br /> そうだよな、ハルヒの側にいない俺は、お前の親玉からすれば無価値だよな。<br /> 「でも、わたしはあなたがまだ鍵だと考えている」<br /> そう言う根拠はなんだ?<br /> 「……あなたの側に長くいたから、だから」<br /> そう思うだけ、って?あの長門が?<br /> 「ありがとよ、長門」<br /> 「……いい」<br /> 少し照れてるみたいだな。<br /> 良いものが見れたな。</div>   <div>これが長門との最後の会話。あっさりとし過ぎてるな。<br /> 学年が上がると、長門は転校したことになっていた。<br /> それを知った日。俺は長門のマンションに走って行った。<br /> ハルヒがしたようにマンションの中に侵入して、長門の部屋に向かった。<br /> 扉に鍵はかかってなかったが中は空っぽだった。<br /> ……いや、一つだけ残っていた。<br /> それは、俺が作った貸出しカード――。</div>   <div>期末試験も近付く七月の始めのこと。</div>   <div>「おい、キョンよー。お前、大丈夫か?」<br /> 何がだ、谷口?<br /> 「中間は赤点だらけだったんだろ?三年でそれはまずいだろう」<br /> 谷口に心配されるとは俺も落ちたものだ。<br /> 「んなこた、担任に何度も言われてるって。<br /> ……それに正直、どうでもいい」<br /> 「まだ、引きずってんのか?いい加減にしとけよ。<br /> たかだか涼宮のためだけに人生、棒に振る気か?」<br /> さあ?だけどそれもいいかもな。<br /> 「こりゃ、重症だな」<br /> 俺もそう思うさ、谷口君。<br /> だが安心しろ。大学全入時代はすぐそこだ。<br /> 「キョン、それはまずいんじゃない。何なら、勉強教えて上げるよ?」<br /> ありがとう、国木田。気持ちだけ受け取っておこう。<br /> 「国木田、しばらくこいつは放って置いた方がいいな」<br /> 「そうだね。一浪ぐらいすれば目も覚めるんじゃない?」<br /> ひどいこと言うなよ。</div>   <div>帰って家でぼーっとしている、鬱真っ盛りな<br /> 俺に懐かしい奴から電話がかかって来た。<br /> 『お久し振りです。元気ですか?』<br /> 「いや、ひどいもんだ。で、何のようだ?古泉」<br /> こいつが用もなしに電話してくるはずがない。<br /> 『話が早いですね。実は頼みごとがあるのですよ』<br /> 「なんだ?」<br /> 古泉は一流大学の名前をズラズラと上げて、こう言った。<br /> 『どれかに入って貰えませんか?どれも涼宮さんの志望大学です』<br /> 無茶を言うな。そもそもどうして、そんなことを頼む?<br /> 『閉鎖空間の発生頻度が中学時代並みに戻ってしまったんです』<br /> だから、俺とハルヒがくっつけばいいってか?<br /> 『悪くはないでしょう?<br /> ……実を言いますとね、ちょっとカッとなって<br /> 不必要なことを言ってしまったんですよ。<br /> そのせいで彼女が自己嫌悪に陥っちゃいまして……』<br /> 何で俺が、お前の尻拭いをしなけりゃいけない?</div>   <div>『半分はあなたのために怒ったんですよ?』<br /> 訳が分からん。<br /> 『あなたが最後の日に謝ろうとしてたことを話してしまったんです』<br /> ……余計なことを言いやがって。<br /> 「……分かったよ。なにすれば良いんだ?」<br /> なぜか咳払いしてから、こう言っていた。<br /> 本当になんでだろう?<br /> 『引き受けてくれるんですか!?ありがたい……。<br /> ああ、方法はお任せします。<br /> 結局、涼宮さんと仲直りすることで<br /> 一番恩恵を受けるのはあなたたち自身ですから』<br /> 否定はしないさ。今の俺の状況を見る限りそれは正しいだろう。</div>   <div>電話を切ったあとベットに転がり天井を見た。<br /> 長い間待ち望んでいた、やり直しの機会が来た。そのことに心臓が高鳴る。<br /> ――なあ、ハルヒ。<br /> やっぱりお前がいないと寂しいよ。</div>   <ul> <li><a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/708.html"><font color="#666666">六章</font></a></li> </ul> </div>

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