「a long wrong way 五章」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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<div class="main">
<div>「一人、か」<br>
思わず呟く俺。<br>
今日、古泉が転校していった。これで、北高に残ってる団員は<br>
俺と朝比奈さんと長門だけだ。<br>
朝比奈さんと長門は俺が進級するのと前後して、学校から去って行く。<br>
「一人、か」<br>
また、呟く。俺の周りから、ハルヒの痕跡が消えていく。<br>
そう、何より寂しいのは、ハルヒが俺の側にいないことだ。<br>
気力が出ない。全く何にも手が付かない。<br>
それだけ大きな存在だったのか、ハルヒは。<br>
そんな状態のまま時間は過ぎていき、今日は卒業式の日だ。<br>
卒業式で朝比奈さんの姿を目に焼き付けた。恐らく今日で最後だからな。<br>
卒業式のあと、何となしに文芸部室に向かった。<br>
ノックなしで部屋に入ろうとしたら、後ろで待ったがかかった。<br>
「ちょっと、待つっさ、キョン君」<br>
鶴屋さん?なんでここに?<br>
「みくるがどうしてももう一回見たいって言うからついて来たのさ」<br>
今、中に?<br>
「そうさっ。ところでキョン君。君、目が死んでるにょろよ?<br>
大丈夫かい?」<br>
あんまり大丈夫じゃないですね、近ごろ何にも手が付かないんですよ。<br>
「そいつは、重症だね。ハルにゃんも罪なことをしたもんだっ!」<br>
同感です。<br></div>
<br>
<div>
「古泉くんも転校しちゃったしね。後は長門ちゃんだけかい?」<br>
「その長門も家の都合で来年度にはいなくなるそうです」<br>
鶴屋さん目を大きく見開いた。<br>
「じゃあ、キョン君だけなのかい?<br>
そうだなー、寂しかったら、あたしんちに来なよ。<br>
お茶ぐらいなら何時でも用意できるよ!<br>
……それとも、みくるのお茶しか飲めないかい?」<br>
そんなことはありませんよ。<br>
「それならいいっさ。愚痴くらいならいつでも聞いたげるよっ!」<br>
「ありがとうございます」<br>
俺の返事を聞いて鶴屋さんはうなっている。何か、不満でもあるのだろうか?<br>
「まーだ暗いなぁ。人生は明るい方がいいことあるんだよ。<br>
空元気でも笑って過ごすんだよ。いいかい?」<br>
そんなにあっさり言わないで下さいよ。<br>
「そだねー……お、みくる、もういいのかい?」<br>
鶴屋さんがいつの間にか部室から出ていた朝比奈さんに言った。<br>
「ええ、もういいです。<br>
……あの、キョン君、少し付き合って、もらえませんか?」<br>
喜んで。<br></div>
<br>
<div>場所はいつかの川沿いのベンチ。<br>
「懐かしいですねー、ここ……」<br>
確かにそうですね。ここで未来人だ、って言われたんでしたよね?<br>
「ええ。結局、保留、って言われちゃいましたけど」<br>
「今は疑ってませんよ」<br>
……正直に言うと、嘘であって欲しい。<br>
ハルヒだって、長門だって、古泉だって、一般人だったら、<br>
どんなに良かっただろう。<br>
少なくともこんなふうに別れることはなかっただろう。<br>
でも、俺は一度そんな世界を否定した。<br>
あの時、俺は俺の『日常』を取り戻そうとしていた。<br>
今度はその『日常』のせいで全てを失ったのだ。<br>
まるで子供のわがままだよな。あれが欲しい。やっぱりいらない。<br>
情けねえな。<br>
「キョン君?」<br>
何でしょう。<br>
「最後に一つ、……お話があります」<br>
そう言ったきり、黙って俯いてしまう朝比奈さん。<br>
おれも促す気はない。残り少ない朝比奈さんとの時間を楽しんでいたい。<br>
顔を上げて口を開く朝比奈さん。<br>
「キョン君。わたしは、わたしは……」<br></div>
<br>
<div>
そっから先は言葉にならない。けど、以心伝心ってあるんだな。<br>
「……すいません。でも、俺はやっぱり……」<br>
「……そうですよね。でも良いんです。この結末が正しいんです。<br>
わたしはここにいるべきでない人だから」<br>
普段はアイコンタクトが通じない朝比奈さんなのに<br>
今日は、言葉が足りなくても分かりあえる。<br></div>
<br>
<div>
それにしても、こんな悲しそうな顔した彼女を放っておけるだろうか?<br>
そんなことは出来ない。でも、俺じゃ朝比奈さんの悲しみは消せない。<br>
「そろそろ時間です。今まで楽しかったですよ。<br>
鶴屋さんによろしく」<br>
そう言った彼女は涙を残して消えた。<br></div>
<br>
<div>……。<br></div>
<br>
<div>溜め息が一つ、俺の口からこぼれ落ちた。<br>
「さようなら、朝比奈さん。いつか会う過去の俺によろしく」<br>
</div>
<br>
<div>あと一人。たった一人しか残っていない。<br>
……でも、俺みたいな一般人の周りにあんなにゴロゴロ超常現象が<br>
転がってる方がおかしかったのだ。<br>
そうだ。俺は面白みのない現実に戻って来たんだ。<br></div>
<br>
<div>三学期も終わり、春休になった。<br>
こんなに暇な長期休暇はいつ以来だろう?<br>
もちろん、受験勉強は始めたがな。<br>
春期講習の合間をぬって俺は長門を一回だけ図書館に誘った。<br>
本を黙々と読む長門を見ていたら何時しか寝てしまったらしい。<br>
気付けば閉館の時間だった。<br>
「すまんな、長門」<br>
「いい」<br>
そっか。<br>
「そう」<br>
なあ、お前はこれからどうすんだ?<br>
「禁則事項」<br>
知らない方がいいってことか。<br>
「思念体はあなたにもう何の価値も見出だしていない。<br>
鍵は消失したと考えている。<br>
だから、あなたにわたしのことを教える必要はないと」<br>
そうだよな、ハルヒの側にいない俺は、お前の親玉からすれば無価値だよな。<br>
「でも、わたしはあなたがまだ鍵だと考えている」<br>
そう言う根拠はなんだ?<br>
「……あなたの側に長くいたから、だから」<br>
そう思うだけ、って?あの長門が?<br>
「ありがとよ、長門」<br>
「……いい」<br>
少し照れてるみたいだな。<br>
良いものが見れたな。<br></div>
<br>
<div>
これが長門との最後の会話。あっさりとし過ぎてるな。<br>
学年が上がると、長門は転校したことになっていた。<br>
それを知った日。俺は長門のマンションに走って行った。<br>
ハルヒがしたようにマンションの中に侵入して、長門の部屋に向かった。<br>
扉に鍵はかかってなかったが中は空っぽだった。<br>
……いや、一つだけ残っていた。<br>
それは、俺が作った貸出しカード――。<br></div>
<br>
<div>期末試験も近付く七月の始めのこと。<br></div>
<br>
<div>「おい、キョンよー。お前、大丈夫か?」<br>
何がだ、谷口?<br>
「中間は赤点だらけだったんだろ?三年でそれはまずいだろう」<br>
谷口に心配されるとは俺も落ちたものだ。<br>
「んなこた、担任に何度も言われてるって。<br>
……それに正直、どうでもいい」<br>
「まだ、引きずってんのか?いい加減にしとけよ。<br>
たかだか涼宮のためだけに人生、棒に振る気か?」<br>
さあ?だけどそれもいいかもな。<br>
「こりゃ、重症だな」<br>
俺もそう思うさ、谷口君。<br>
だが安心しろ。大学全入時代はすぐそこだ。<br>
「キョン、それはまずいんじゃない。何なら、勉強教えて上げるよ?」<br>
ありがとう、国木田。気持ちだけ受け取っておこう。<br>
「国木田、しばらくこいつは放って置いた方がいいな」<br>
「そうだね。一浪ぐらいすれば目も覚めるんじゃない?」<br>
ひどいこと言うなよ。<br></div>
<br>
<div>帰って家でぼーっとしている、鬱真っ盛りな<br>
俺に懐かしい奴から電話がかかって来た。<br>
『お久し振りです。元気ですか?』<br>
「いや、ひどいもんだ。で、何のようだ?古泉」<br>
こいつが用もなしに電話してくるはずがない。<br>
『話が早いですね。実は頼みごとがあるのですよ』<br>
「なんだ?」<br>
古泉は一流大学の名前をズラズラと上げて、こう言った。<br>
『どれかに入って貰えませんか?どれも涼宮さんの志望大学です』<br>
無茶を言うな。そもそもどうして、そんなことを頼む?<br>
『閉鎖空間の発生頻度が中学時代並みに戻ってしまったんです』<br>
だから、俺とハルヒがくっつけばいいってか?<br>
『悪くはないでしょう?<br>
……実を言いますとね、ちょっとカッとなって<br>
不必要なことを言ってしまったんですよ。<br>
そのせいで彼女が自己嫌悪に陥っちゃいまして……』<br>
何で俺が、お前の尻拭いをしなけりゃいけない?<br></div>
<br>
<div>『半分はあなたのために怒ったんですよ?』<br>
訳が分からん。<br>
『あなたが最後の日に謝ろうとしてたことを話してしまったんです』<br>
……余計なことを言いやがって。<br>
「……分かったよ。なにすれば良いんだ?」<br>
なぜか咳払いしてから、こう言っていた。<br>
本当になんでだろう?<br>
『引き受けてくれるんですか!?ありがたい……。<br>
ああ、方法はお任せします。<br>
結局、涼宮さんと仲直りすることで<br>
一番恩恵を受けるのはあなたたち自身ですから』<br>
否定はしないさ。今の俺の状況を見る限りそれは正しいだろう。<br>
</div>
<br>
<div>電話を切ったあとベットに転がり天井を見た。<br>
長い間待ち望んでいた、やり直しの機会が来た。そのことに心臓が高鳴る。<br>
――なあ、ハルヒ。<br>
やっぱりお前がいないと寂しいよ。<br></div>
<br>
<br>
<ul>
<li><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/708.html"><font color=
"#666666">六章</font></a></li>
</ul>
</div>
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<div class="main">
<div>「一人、か」<br />
思わず呟く俺。<br />
今日、古泉が転校していった。これで、北高に残ってる団員は<br />
俺と朝比奈さんと長門だけだ。<br />
朝比奈さんと長門は俺が進級するのと前後して、学校から去って行く。<br />
「一人、か」<br />
また、呟く。俺の周りから、ハルヒの痕跡が消えていく。<br />
そう、何より寂しいのは、ハルヒが俺の側にいないことだ。<br />
気力が出ない。全く何にも手が付かない。<br />
それだけ大きな存在だったのか、ハルヒは。<br />
そんな状態のまま時間は過ぎていき、今日は卒業式の日だ。<br />
卒業式で朝比奈さんの姿を目に焼き付けた。恐らく今日で最後だからな。<br />
卒業式のあと、何となしに文芸部室に向かった。<br />
ノックなしで部屋に入ろうとしたら、後ろで待ったがかかった。<br />
「ちょっと、待つっさ、キョン君」<br />
鶴屋さん?なんでここに?<br />
「みくるがどうしてももう一回見たいって言うからついて来たのさ」<br />
今、中に?<br />
「そうさっ。ところでキョン君。君、目が死んでるにょろよ?<br />
大丈夫かい?」<br />
あんまり大丈夫じゃないですね、近ごろ何にも手が付かないんですよ。<br />
「そいつは、重症だね。ハルにゃんも罪なことをしたもんだっ!」<br />
同感です。</div>
<div>「古泉くんも転校しちゃったしね。後は長門ちゃんだけかい?」<br />
「その長門も家の都合で来年度にはいなくなるそうです」<br />
鶴屋さん目を大きく見開いた。<br />
「じゃあ、キョン君だけなのかい?<br />
そうだなー、寂しかったら、あたしんちに来なよ。<br />
お茶ぐらいなら何時でも用意できるよ!<br />
……それとも、みくるのお茶しか飲めないかい?」<br />
そんなことはありませんよ。<br />
「それならいいっさ。愚痴くらいならいつでも聞いたげるよっ!」<br />
「ありがとうございます」<br />
俺の返事を聞いて鶴屋さんはうなっている。何か、不満でもあるのだろうか?<br />
「まーだ暗いなぁ。人生は明るい方がいいことあるんだよ。<br />
空元気でも笑って過ごすんだよ。いいかい?」<br />
そんなにあっさり言わないで下さいよ。<br />
「そだねー……お、みくる、もういいのかい?」<br />
鶴屋さんがいつの間にか部室から出ていた朝比奈さんに言った。<br />
「ええ、もういいです。<br />
……あの、キョン君、少し付き合って、もらえませんか?」<br />
喜んで。</div>
<div>場所はいつかの川沿いのベンチ。<br />
「懐かしいですねー、ここ……」<br />
確かにそうですね。ここで未来人だ、って言われたんでしたよね?<br />
「ええ。結局、保留、って言われちゃいましたけど」<br />
「今は疑ってませんよ」<br />
……正直に言うと、嘘であって欲しい。<br />
ハルヒだって、長門だって、古泉だって、一般人だったら、<br />
どんなに良かっただろう。<br />
少なくともこんなふうに別れることはなかっただろう。<br />
でも、俺は一度そんな世界を否定した。<br />
あの時、俺は俺の『日常』を取り戻そうとしていた。<br />
今度はその『日常』のせいで全てを失ったのだ。<br />
まるで子供のわがままだよな。あれが欲しい。やっぱりいらない。<br />
情けねえな。<br />
「キョン君?」<br />
何でしょう。<br />
「最後に一つ、……お話があります」<br />
そう言ったきり、黙って俯いてしまう朝比奈さん。<br />
おれも促す気はない。残り少ない朝比奈さんとの時間を楽しんでいたい。<br />
顔を上げて口を開く朝比奈さん。<br />
「キョン君。わたしは、わたしは……」</div>
<div>そっから先は言葉にならない。けど、以心伝心ってあるんだな。<br />
「……すいません。でも、俺はやっぱり……」<br />
「……そうですよね。でも良いんです。この結末が正しいんです。<br />
わたしはここにいるべきでない人だから」<br />
普段はアイコンタクトが通じない朝比奈さんなのに<br />
今日は、言葉が足りなくても分かりあえる。</div>
<div>それにしても、こんな悲しそうな顔した彼女を放っておけるだろうか?<br />
そんなことは出来ない。でも、俺じゃ朝比奈さんの悲しみは消せない。<br />
「そろそろ時間です。今まで楽しかったですよ。<br />
鶴屋さんによろしく」<br />
そう言った彼女は涙を残して消えた。</div>
<div>……。</div>
<div>溜め息が一つ、俺の口からこぼれ落ちた。<br />
「さようなら、朝比奈さん。いつか会う過去の俺によろしく」</div>
<div>あと一人。たった一人しか残っていない。<br />
……でも、俺みたいな一般人の周りにあんなにゴロゴロ超常現象が<br />
転がってる方がおかしかったのだ。<br />
そうだ。俺は面白みのない現実に戻って来たんだ。</div>
<div>三学期も終わり、春休になった。<br />
こんなに暇な長期休暇はいつ以来だろう?<br />
もちろん、受験勉強は始めたがな。<br />
春期講習の合間をぬって俺は長門を一回だけ図書館に誘った。<br />
本を黙々と読む長門を見ていたら何時しか寝てしまったらしい。<br />
気付けば閉館の時間だった。<br />
「すまんな、長門」<br />
「いい」<br />
そっか。<br />
「そう」<br />
なあ、お前はこれからどうすんだ?<br />
「禁則事項」<br />
知らない方がいいってことか。<br />
「思念体はあなたにもう何の価値も見出だしていない。<br />
鍵は消失したと考えている。<br />
だから、あなたにわたしのことを教える必要はないと」<br />
そうだよな、ハルヒの側にいない俺は、お前の親玉からすれば無価値だよな。<br />
「でも、わたしはあなたがまだ鍵だと考えている」<br />
そう言う根拠はなんだ?<br />
「……あなたの側に長くいたから、だから」<br />
そう思うだけ、って?あの長門が?<br />
「ありがとよ、長門」<br />
「……いい」<br />
少し照れてるみたいだな。<br />
良いものが見れたな。</div>
<div>これが長門との最後の会話。あっさりとし過ぎてるな。<br />
学年が上がると、長門は転校したことになっていた。<br />
それを知った日。俺は長門のマンションに走って行った。<br />
ハルヒがしたようにマンションの中に侵入して、長門の部屋に向かった。<br />
扉に鍵はかかってなかったが中は空っぽだった。<br />
……いや、一つだけ残っていた。<br />
それは、俺が作った貸出しカード――。</div>
<div>期末試験も近付く七月の始めのこと。</div>
<div>「おい、キョンよー。お前、大丈夫か?」<br />
何がだ、谷口?<br />
「中間は赤点だらけだったんだろ?三年でそれはまずいだろう」<br />
谷口に心配されるとは俺も落ちたものだ。<br />
「んなこた、担任に何度も言われてるって。<br />
……それに正直、どうでもいい」<br />
「まだ、引きずってんのか?いい加減にしとけよ。<br />
たかだか涼宮のためだけに人生、棒に振る気か?」<br />
さあ?だけどそれもいいかもな。<br />
「こりゃ、重症だな」<br />
俺もそう思うさ、谷口君。<br />
だが安心しろ。大学全入時代はすぐそこだ。<br />
「キョン、それはまずいんじゃない。何なら、勉強教えて上げるよ?」<br />
ありがとう、国木田。気持ちだけ受け取っておこう。<br />
「国木田、しばらくこいつは放って置いた方がいいな」<br />
「そうだね。一浪ぐらいすれば目も覚めるんじゃない?」<br />
ひどいこと言うなよ。</div>
<div>帰って家でぼーっとしている、鬱真っ盛りな<br />
俺に懐かしい奴から電話がかかって来た。<br />
『お久し振りです。元気ですか?』<br />
「いや、ひどいもんだ。で、何のようだ?古泉」<br />
こいつが用もなしに電話してくるはずがない。<br />
『話が早いですね。実は頼みごとがあるのですよ』<br />
「なんだ?」<br />
古泉は一流大学の名前をズラズラと上げて、こう言った。<br />
『どれかに入って貰えませんか?どれも涼宮さんの志望大学です』<br />
無茶を言うな。そもそもどうして、そんなことを頼む?<br />
『閉鎖空間の発生頻度が中学時代並みに戻ってしまったんです』<br />
だから、俺とハルヒがくっつけばいいってか?<br />
『悪くはないでしょう?<br />
……実を言いますとね、ちょっとカッとなって<br />
不必要なことを言ってしまったんですよ。<br />
そのせいで彼女が自己嫌悪に陥っちゃいまして……』<br />
何で俺が、お前の尻拭いをしなけりゃいけない?</div>
<div>『半分はあなたのために怒ったんですよ?』<br />
訳が分からん。<br />
『あなたが最後の日に謝ろうとしてたことを話してしまったんです』<br />
……余計なことを言いやがって。<br />
「……分かったよ。なにすれば良いんだ?」<br />
なぜか咳払いしてから、こう言っていた。<br />
本当になんでだろう?<br />
『引き受けてくれるんですか!?ありがたい……。<br />
ああ、方法はお任せします。<br />
結局、涼宮さんと仲直りすることで<br />
一番恩恵を受けるのはあなたたち自身ですから』<br />
否定はしないさ。今の俺の状況を見る限りそれは正しいだろう。</div>
<div>電話を切ったあとベットに転がり天井を見た。<br />
長い間待ち望んでいた、やり直しの機会が来た。そのことに心臓が高鳴る。<br />
――なあ、ハルヒ。<br />
やっぱりお前がいないと寂しいよ。</div>
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<li><a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/708.html"><font color="#666666">六章</font></a></li>
</ul>
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