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「凉宮ハルヒの奮闘@コーヒーふたつ」(2020/03/12 (木) 15:34:45) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
<div class="main">では、行かせて頂きます。<br>
今日はハルヒ視点で!なんとか15レス程に収まればいいんだけど・・・<br>
<br>
<br>
━━━━━突然だけど・・・とにかくアタシは授業が嫌いだ。<br>
<br>
だから、なにかしら暇潰しのネタを見付けては、放課後まで一日をやりすごす。<br>
前に座ってるキョンの背中をペンで突っついたり、背中にムフフな言葉を書いて困らせたり・・・も、いいんだけどね?<br>
あんまりヤリ過ぎると、本気で怒るのよ!<br>
だから何か他の事を・・・<br>
そうね、最近は漫画にハマッてる。<br>
なんてったって、読書の秋だし!<br>
今日も五時間目から教科書でカモフラージュしながら「花男」を読みっぱなし!<br>
まさか、道明寺がニューヨークへ行っちゃうとは思わなかったわよ!<br>
つくしちゃんとの関係は、どうなるのかしら・・・<br>
<br>
って、あれ?<br>
<br>
<br>
気が付くと、授業はとっくに終わっていて、アタシ以外のクラスのみんなは居なくなっていた・・・。<br>
<br>
不覚だわっ!早く部室に行かなくちゃ!━━━━━<br>
<br>
<br>
【凉宮ハルヒの奮闘@コーヒーふたつ】<br>
<br>
<br>
<br>
アタシは急ぎ足で、午後になって少し冷え込んできた廊下を、部室棟へと歩いた。<br>
ちなみに、我がSOS団の本日の活動内容は未定。<br>
歩きながら、今日は何をしてやろうか少し考えてみるけど、これといって名案が浮かばない。<br>
まあ、いいわ!部室で、ゆっくりお茶でも飲みながら考えるとしよう!<br>
部室に近付くと、楽しそうな話し声がドアの向こうから聞こえてきた。<br>
<br>
(みんな、もう来てるな・・・)<br>
<br>
なんだか楽しい気分になって、アタシは勢い良くドアを開けた。<br>
<br>
-みんな、揃ってるわねっ?・・・て、あれ?何を食べてるの?<br>
<br>
「おう、ハルヒか!朝比奈さんが、クッキーを焼いて来てくれたんだ!」<br>
<br>
キョンが口をモゴモゴさせながら、嬉しそうにしている。<br>
<br>
<br>
「いやぁ、実に美味いですね!商業的価値すら感じさせる味わいですよ?」<br>
「・・・・学習により疲労した脳には糖分の摂取を推奨する。」<br>
<br>
古泉君もユキも夢中で食べてる・・・。<br>
みくるちゃんに、こんな特技があったとはね・・・。<br>
<br>
「いやぁ、朝比奈さん!本当に美味いですよ!」<br>
「やだ・・・ふふっ、キョン君たら!じゃあ・・・また何か作りましょうか?」<br>
「ええ、是非!」<br>
<br>
くっ・・・馬鹿キョンの奴!甘いものは苦手だって言ってた癖にっ!<br>
デレデレしちゃって何よっ!<br>
<br>
「おい、ハルヒも食ってみろ?美味いぞっ!」<br>
-いらない。<br>
「なにムクれてるんだ?」<br>
-・・・ムクれてなんかないわよっ!<br>
「ハルヒ?」<br>
-今日は先に帰るっ!<br>
<br>
なんだかものすごく頭に来て、アタシは部室を飛び出した。<br>
<br>
<br>
<br>
<br>
学校を離れてしばらくたっても、アタシの腹の虫は治まらなかった。<br>
まったく・・・馬鹿キョンの奴・・・<br>
あんなに嬉しそうにする事ないじゃない・・・<br>
<br>
大体・・・お菓子作りくらいアタシだって出来るわよ・・・<br>
<br>
あ!<br>
<br>
そうだっ!良い事思い付いたっ!<br>
明日のSOS団のオヤツをアタシが作れば良いのよっ!<br>
そうね・・・クッキーとかじゃなくて、ゴージャスにショートケーキなんかどうかしらっ!<br>
お菓子作りなんてやった事ないけど、『萌え系ドジっ娘』の代名詞のみくるちゃんが出来るんですもの!<br>
やってやれない事は無いわ!<br>
とりあえず作り方さえ解れば、後は材料を買って楽勝よっ!<br>
<br>
アタシはとりあえず、商店街へと向かった。<br>
<br>
<br>
買い物を済ませて家に帰ったアタシは、早々と夕食を済ませるとキッチンに立って準備を始めた。<br>
一通り道具を揃えて、材料を並べるアタシを見て、母さんが驚いてる。<br>
<br>
「ハルヒ・・・あんた、何やってるの?」<br>
-ん~?ケーキ作るのっ!<br>
「ええっ?あんた、カレーさえマトモに作れないのにっ?ケーキって難しいのよ?」<br>
-煩いわね!人間、やる気になれば、なんでも出来るのよっ!<br>
「まったく・・・やれやれだわね・・・」<br>
<br>
母さんは呆れた顔で茶の間へと戻って行った。<br>
まったく・・・大きなお世話よね!<br>
おおっと、母さんに構ってる暇なんて無いわっ!早く作らなきゃ。<br>
えーと・・・小麦粉にベーキングパウダー・・・無塩バターに砂糖に卵っと・・・。<br>
卵は黄身と白身に分けるのか・・・。<br>
そして、先に黄身にバターと砂糖を入れてかきまぜる・・・あれっ?<br>
<br>
砂糖が溶けないじゃないっ!どうするのよ、これっ!<br>
<br>
「ちょっとハルヒ!お砂糖は少しづつ入れるのよっ!」<br>
-あれ?母さん・・・居たの?<br>
「まったく、おちおちテレビも視てられないわね!いいから全力でかきまぜて、溶かしてしまいなさい!」<br>
-う、うん。<br>
「そしたら白身を泡立ててっ!モコモコになるまでやるのよっ!」<br>
-でええっ?全然モコモコになんかならないわよ?<br>
「パワーとスピードが足りないのよっ!ココで気合いを入れないと、スポンジが膨らまないんだから!」<br>
-わ、わかってるわよ!どぉぉりゃああああああああっ!<br>
「そう!そしてそれにさっきの黄身を混ぜて、最後に粉を混ぜるっ!」<br>
-うん!・・・それっ!<br>
<br>
アタシは用意しておいた小麦粉を全部、勢い良くボールに入れた。<br>
<br>
「・・・やっちゃったわね?」<br>
-えっ?何?<br>
「・・・小麦粉もフルイにかけながら少しづつ入れるんだけど?」<br>
-あ・・・!ねえ、母さんっ!どうしよう・・・・<br>
「うーん・・・とりあえず、粉がダマにならないように良く混ぜなさい。もしかしたら上手に焼きあがらないかもしれないけど・・・まあ、初めは誰でもそんなもんよっ!」<br>
<br>
とりあえずアタシは、母さんに言われた通りに良く混ぜた後、型にそれを流し込んだ。<br>
<br>
<br>
そして、オーブンに入れて焼けるまで待つ・・・・けど、なんだか全然膨らまない。<br>
<br>
-母さん、どうしよう・・・。<br>
「やっぱり駄目か。ねえ、ハルヒ?ケーキ作りは勢い良くやっちゃ駄目よ?地味に、丁寧にやらなくちゃね。」<br>
-うん・・・。これ、失敗?<br>
「・・・大丈夫よ。焼き上がったら上下半分に切って、フルーツとクリームを多目に挟めばいいわ。それに・・・アンタの選んだ彼は、少しくらい美味しく無くたって喜んでくれるわよ!」<br>
-っ!母さんっ?<br>
<br>
な、なんでっ?母さんにはキョンの事なんか話した事ない筈なのにっ!<br>
<br>
「なに赤くなってるのよ?ふふっ・・・アンタは本当に母さんの若い頃にそっくりね。」<br>
<br>
<br>
それから少し後・・・<br>
アタシのショートケーキは完成した。<br>
ちょっと生地が固くなっちゃったけど、中々の出来栄えねっ!<br>
明日の放課後に、みんなの驚く顔が目に浮かぶわっ!<br>
そして、夢中で食べるキョンの顔もねっ!<br>
さてさて、疲れたからもう寝ようっと!<br>
<br>
次の日・・・<br>
アタシは、朝起きてすぐにキョンにメールした。<br>
『今日は電車で行く』っと・・・これで、良し!<br>
一緒に行くとケーキの存在がバレちゃうじゃない?<br>
放課後に驚いてもらわなきゃ、意味ないのよ!<br>
<br>
そして、アタシは急いで着替えて学校へと向かった。<br>
<br>
学校に着くと、誰にもバレないように部室に寄って、冷蔵庫に持って来たケーキを隠す。<br>
ふふっ、完璧だわっ!<br>
そして、何事も無かった様にアタシは教室へと向かった。そう、何事も無かった・・様に・・・<br>
<br>
「おい、ハルヒ!何ニヤけてるんだ?」<br>
-へっ?なななななんでも無いわよっ!<br>
「また、妙な事考えてるんじゃないだろうな?」<br>
-なによっ!「妙」とは失礼ね!<br>
<br>
まったく、キョンは解ってないんだから。<br>
まあ、いいわっ!とにかく放課後、放課後っ!<br>
<br>
<br>
そして放課後・・・<br>
<br>
不覚だった・・・。<br>
また授業中に漫画を読んでたら、知らない内に授業が終ってた・・・<br>
何やってるんだろ、アタシ・・・<br>
<br>
ま、いいか。<br>
少し遅れたけど、部室に行ってケーキのお披露目といきますかっ!<br>
<br>
部室に近付くと、楽しそうな話し声がドアの向こうから聞こえてきた。<br>
<br>
(みんな、待ってなさいよっ・・・)<br>
<br>
いよいよ、みんなにアタシのケーキを・・・!<br>
味はイマイチ自信が無いけど、クリームとフルーツのボリュームなら負けないわっ!<br>
<br>
アタシは勢い良くドアを開けた。<br>
<br>
-みんな、揃ってるわねっ?・・・て、あれ?・・・何を・・・食べてるの?<br>
<br>
「おう、ハルヒか!朝比奈さんが、マドレーヌを焼いて来てくれたんだ!」<br>
キョンが口をモゴモゴさせながら、嬉しそうに・・・している。<br>
「いやぁ、実に美味いですね!昨日のクッキーも美味しく頂きましたけど、今日のマドレーヌもまた素晴らしい!」<br>
「・・・・。(ムシャムシャモグモグモグモグ)」<br>
古泉君もユキも夢中で食べてる・・・。<br>
<br>
「おい、ハルヒも食ってみろ?フワフワで美味いぞっ!」<br>
-いらない。<br>
「なに怒ってるんだ?」<br>
-・・・怒ってなんかないわよっ!<br>
「おい、ハルヒ?」<br>
<br>
<br>
なんだかものすごく悲しくなって、アタシは部室を飛び出した。<br>
<br>
そして・・・<br>
とりあえず屋上に来てみた。<br>
もう、西の空は微かにオレンジ色になりかけていて、それを見てるとなんだか益々切なくなってくる。<br>
<br>
-なにやってんだろうな・・・アタシ。<br>
<br>
しばらくぼんやりしていると、微かなオレンジ色はみるみる朱色に変わり、やがて淡い紫色を連れて来た。<br>
<br>
少し寒いな・・・もう、帰ろう。<br>
<br>
アタシはとりあえず、食べてくれる相手を失ったケーキを取りに部室に戻る。<br>
<br>
部室には、もう誰も居なかった。<br>
<br>
冷蔵庫を開けると、今朝のままの姿でケーキが置いてあるのが見えた。<br>
アタシは、そっとそれを取り出すと、机の上に置いてみる。<br>
<br>
どうしようかしらね、これ・・・<br>
<br>
その時!突然、ドアが開く音がした!<br>
<br>
「ハルヒっ、ここに居たのか!探したんだぞ?」<br>
<br>
ドアの方を見ると、キョンが呆れた様子で立っていた。<br>
<br>
-な、なによ!キョンこそ何やってんのよ?<br>
「お前を待ってたんだろうが!今日は一人で帰るともなんとも言ってなかったし!」<br>
-そう・・・だっけ?<br>
「そうだ!・・・ところで、それは何だ?ケーキか?」<br>
<br>
キョンは、アタシが机の上に置いたケーキの箱に気付いたみたい。<br>
でも・・・もう、遅いわね・・・。<br>
<br>
-なんでも・・・ないわよ・・・。<br>
「そうか・・・。」<br>
<br>
そう言うと、キョンは何か考える素振りを見せた。<br>
<br>
そして「なるほど」って顔をしたと思ったら、突然ケーキの箱を開け始めた。<br>
<br>
-ち、ちょっと!何するのよっ?<br>
「ん?ああ、食べようぜ?」<br>
-えっ・・・?<br>
「駄目か?」<br>
-駄目じゃ・・・無いけど・・・。<br>
「ん。待ってろ?今、切り分けるから。」<br>
<br>
キョンは、流し台から包丁とお皿を取り出すと、手際よくケーキを切り始めた。<br>
でも・・・やっぱり固そうだな。<br>
さっきの、みくるちゃんのマドレーヌとは全然違う・・・。<br>
<br>
「おい、食べないのか?」<br>
-え?ああ、食べるわよ。<br>
「それじゃあ、いただきます!ん・・・おお!美味いな、これ!ハルヒが作ったんだろ?」<br>
-そうだけど・・・。<br>
「んん!美味い!」<br>
-そ、そんなことないわよ・・・。<br>
「いや、本当に美味いぞ?」<br>
-っ!そんな事ないって言ってるでしょっ!<br>
<br>
何だか、見え見えのお世辞を言われてる気がして、アタシはだんだんイラついてきた。<br>
だって・・・どう考えても、みくるちゃんの作るお菓子には及ばない・・・<br>
アタシは夢中で食べているキョンに、思わず声を張り上げてしまう。<br>
<br>
-そんなに『美味い美味い』って言うんだったら、どんなふうに『美味い』んだか説明してみなさいよっ!<br>
<br>
ふと、キョンのケーキを食べる手が止まった。<br>
そして・・・顔を上げてアタシをじっと見つめてる・・・。<br>
<br>
「ハルヒの・・・一生懸命な味がして、美味いぞ。」<br>
<br>
-・・・バカ。キョンの・・・バカ。<br>
<br>
何だか嬉しくて照れ臭くて、アタシは夢中でケーキを食べて誤魔化した。<br>
そして、やっぱり少し固いな・・・と思う。<br>
<br>
ごめんね、キョン。<br>
次は、とびっきりのヤツを作ってあげるからね!<br>
<br>
<br>
おしまい<br>
<br>
<br>
と、見せかけて・・・<br>
<br>
<br>
<br>
<br>
<br>
「おい、ハルヒ。口の周りがクリームだらけだぞ?」<br>
-え?ああ、本当だ・・・<br>
「・・・とってやるよ」<br>
-え?ち、ちょっと!キョ・・・ン・・・<br>
んっ・・・<br>
<br>
<br>
<br>
本当におしまいっ!</div>
<!-- ad -->
<div class="main">では、行かせて頂きます。<br />
今日はハルヒ視点で!なんとか15レス程に収まればいいんだけど・・・<br />
<br />
<br />
━━━━━突然だけど・・・とにかくアタシは授業が嫌いだ。<br />
<br />
だから、なにかしら暇潰しのネタを見付けては、放課後まで一日をやりすごす。<br />
前に座ってるキョンの背中をペンで突っついたり、背中にムフフな言葉を書いて困らせたり・・・も、いいんだけどね?<br />
あんまりヤリ過ぎると、本気で怒るのよ!<br />
だから何か他の事を・・・<br />
そうね、最近は漫画にハマッてる。<br />
なんてったって、読書の秋だし!<br />
今日も五時間目から教科書でカモフラージュしながら「花男」を読みっぱなし!<br />
まさか、道明寺がニューヨークへ行っちゃうとは思わなかったわよ!<br />
つくしちゃんとの関係は、どうなるのかしら・・・<br />
<br />
って、あれ?<br />
<br />
<br />
気が付くと、授業はとっくに終わっていて、アタシ以外のクラスのみんなは居なくなっていた・・・。<br />
<br />
不覚だわっ!早く部室に行かなくちゃ!━━━━━<br />
<br />
<br />
【凉宮ハルヒの奮闘@コーヒーふたつ】<br />
<br />
<br />
<br />
アタシは急ぎ足で、午後になって少し冷え込んできた廊下を、部室棟へと歩いた。<br />
ちなみに、我がSOS団の本日の活動内容は未定。<br />
歩きながら、今日は何をしてやろうか少し考えてみるけど、これといって名案が浮かばない。<br />
まあ、いいわ!部室で、ゆっくりお茶でも飲みながら考えるとしよう!<br />
部室に近付くと、楽しそうな話し声がドアの向こうから聞こえてきた。<br />
<br />
(みんな、もう来てるな・・・)<br />
<br />
なんだか楽しい気分になって、アタシは勢い良くドアを開けた。<br />
<br />
-みんな、揃ってるわねっ?・・・て、あれ?何を食べてるの?<br />
<br />
「おう、ハルヒか!朝比奈さんが、クッキーを焼いて来てくれたんだ!」<br />
<br />
キョンが口をモゴモゴさせながら、嬉しそうにしている。<br />
<br />
<br />
「いやぁ、実に美味いですね!商業的価値すら感じさせる味わいですよ?」<br />
「・・・・学習により疲労した脳には糖分の摂取を推奨する。」<br />
<br />
古泉君もユキも夢中で食べてる・・・。<br />
みくるちゃんに、こんな特技があったとはね・・・。<br />
<br />
「いやぁ、朝比奈さん!本当に美味いですよ!」<br />
「やだ・・・ふふっ、キョン君たら!じゃあ・・・また何か作りましょうか?」<br />
「ええ、是非!」<br />
<br />
くっ・・・馬鹿キョンの奴!甘いものは苦手だって言ってた癖にっ!<br />
デレデレしちゃって何よっ!<br />
<br />
「おい、ハルヒも食ってみろ?美味いぞっ!」<br />
-いらない。<br />
「なにムクれてるんだ?」<br />
-・・・ムクれてなんかないわよっ!<br />
「ハルヒ?」<br />
-今日は先に帰るっ!<br />
<br />
なんだかものすごく頭に来て、アタシは部室を飛び出した。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
学校を離れてしばらくたっても、アタシの腹の虫は治まらなかった。<br />
まったく・・・馬鹿キョンの奴・・・<br />
あんなに嬉しそうにする事ないじゃない・・・<br />
<br />
大体・・・お菓子作りくらいアタシだって出来るわよ・・・<br />
<br />
あ!<br />
<br />
そうだっ!良い事思い付いたっ!<br />
明日のSOS団のオヤツをアタシが作れば良いのよっ!<br />
そうね・・・クッキーとかじゃなくて、ゴージャスにショートケーキなんかどうかしらっ!<br />
お菓子作りなんてやった事ないけど、『萌え系ドジっ娘』の代名詞のみくるちゃんが出来るんですもの!<br />
やってやれない事は無いわ!<br />
とりあえず作り方さえ解れば、後は材料を買って楽勝よっ!<br />
<br />
アタシはとりあえず、商店街へと向かった。<br />
<br />
<br />
買い物を済ませて家に帰ったアタシは、早々と夕食を済ませるとキッチンに立って準備を始めた。<br />
一通り道具を揃えて、材料を並べるアタシを見て、母さんが驚いてる。<br />
<br />
「ハルヒ・・・あんた、何やってるの?」<br />
-ん~?ケーキ作るのっ!<br />
「ええっ?あんた、カレーさえマトモに作れないのにっ?ケーキって難しいのよ?」<br />
-煩いわね!人間、やる気になれば、なんでも出来るのよっ!<br />
「まったく・・・やれやれだわね・・・」<br />
<br />
母さんは呆れた顔で茶の間へと戻って行った。<br />
まったく・・・大きなお世話よね!<br />
おおっと、母さんに構ってる暇なんて無いわっ!早く作らなきゃ。<br />
えーと・・・小麦粉にベーキングパウダー・・・無塩バターに砂糖に卵っと・・・。<br />
卵は黄身と白身に分けるのか・・・。<br />
そして、先に黄身にバターと砂糖を入れてかきまぜる・・・あれっ?<br />
<br />
砂糖が溶けないじゃないっ!どうするのよ、これっ!<br />
<br />
「ちょっとハルヒ!お砂糖は少しづつ入れるのよっ!」<br />
-あれ?母さん・・・居たの?<br />
「まったく、おちおちテレビも視てられないわね!いいから全力でかきまぜて、溶かしてしまいなさい!」<br />
-う、うん。<br />
「そしたら白身を泡立ててっ!モコモコになるまでやるのよっ!」<br />
-でええっ?全然モコモコになんかならないわよ?<br />
「パワーとスピードが足りないのよっ!ココで気合いを入れないと、スポンジが膨らまないんだから!」<br />
-わ、わかってるわよ!どぉぉりゃああああああああっ!<br />
「そう!そしてそれにさっきの黄身を混ぜて、最後に粉を混ぜるっ!」<br />
-うん!・・・それっ!<br />
<br />
アタシは用意しておいた小麦粉を全部、勢い良くボールに入れた。<br />
<br />
「・・・やっちゃったわね?」<br />
-えっ?何?<br />
「・・・小麦粉もフルイにかけながら少しづつ入れるんだけど?」<br />
-あ・・・!ねえ、母さんっ!どうしよう・・・・<br />
「うーん・・・とりあえず、粉がダマにならないように良く混ぜなさい。もしかしたら上手に焼きあがらないかもしれないけど・・・まあ、初めは誰でもそんなもんよっ!」<br />
<br />
とりあえずアタシは、母さんに言われた通りに良く混ぜた後、型にそれを流し込んだ。<br />
<br />
<br />
そして、オーブンに入れて焼けるまで待つ・・・・けど、なんだか全然膨らまない。<br />
<br />
-母さん、どうしよう・・・。<br />
「やっぱり駄目か。ねえ、ハルヒ?ケーキ作りは勢い良くやっちゃ駄目よ?地味に、丁寧にやらなくちゃね。」<br />
-うん・・・。これ、失敗?<br />
「・・・大丈夫よ。焼き上がったら上下半分に切って、フルーツとクリームを多目に挟めばいいわ。それに・・・アンタの選んだ彼は、少しくらい美味しく無くたって喜んでくれるわよ!」<br />
-っ!母さんっ?<br />
<br />
な、なんでっ?母さんにはキョンの事なんか話した事ない筈なのにっ!<br />
<br />
「なに赤くなってるのよ?ふふっ・・・アンタは本当に母さんの若い頃にそっくりね。」<br />
<br />
<br />
それから少し後・・・<br />
アタシのショートケーキは完成した。<br />
ちょっと生地が固くなっちゃったけど、中々の出来栄えねっ!<br />
明日の放課後に、みんなの驚く顔が目に浮かぶわっ!<br />
そして、夢中で食べるキョンの顔もねっ!<br />
さてさて、疲れたからもう寝ようっと!<br />
<br />
次の日・・・<br />
アタシは、朝起きてすぐにキョンにメールした。<br />
『今日は電車で行く』っと・・・これで、良し!<br />
一緒に行くとケーキの存在がバレちゃうじゃない?<br />
放課後に驚いてもらわなきゃ、意味ないのよ!<br />
<br />
そして、アタシは急いで着替えて学校へと向かった。<br />
<br />
学校に着くと、誰にもバレないように部室に寄って、冷蔵庫に持って来たケーキを隠す。<br />
ふふっ、完璧だわっ!<br />
そして、何事も無かった様にアタシは教室へと向かった。そう、何事も無かった・・様に・・・<br />
<br />
「おい、ハルヒ!何ニヤけてるんだ?」<br />
-へっ?なななななんでも無いわよっ!<br />
「また、妙な事考えてるんじゃないだろうな?」<br />
-なによっ!「妙」とは失礼ね!<br />
<br />
まったく、キョンは解ってないんだから。<br />
まあ、いいわっ!とにかく放課後、放課後っ!<br />
<br />
<br />
そして放課後・・・<br />
<br />
不覚だった・・・。<br />
また授業中に漫画を読んでたら、知らない内に授業が終ってた・・・<br />
何やってるんだろ、アタシ・・・<br />
<br />
ま、いいか。<br />
少し遅れたけど、部室に行ってケーキのお披露目といきますかっ!<br />
<br />
部室に近付くと、楽しそうな話し声がドアの向こうから聞こえてきた。<br />
<br />
(みんな、待ってなさいよっ・・・)<br />
<br />
いよいよ、みんなにアタシのケーキを・・・!<br />
味はイマイチ自信が無いけど、クリームとフルーツのボリュームなら負けないわっ!<br />
<br />
アタシは勢い良くドアを開けた。<br />
<br />
-みんな、揃ってるわねっ?・・・て、あれ?・・・何を・・・食べてるの?<br />
<br />
「おう、ハルヒか!朝比奈さんが、マドレーヌを焼いて来てくれたんだ!」<br />
キョンが口をモゴモゴさせながら、嬉しそうに・・・している。<br />
「いやぁ、実に美味いですね!昨日のクッキーも美味しく頂きましたけど、今日のマドレーヌもまた素晴らしい!」<br />
「・・・・。(ムシャムシャモグモグモグモグ)」<br />
古泉君もユキも夢中で食べてる・・・。<br />
<br />
「おい、ハルヒも食ってみろ?フワフワで美味いぞっ!」<br />
-いらない。<br />
「なに怒ってるんだ?」<br />
-・・・怒ってなんかないわよっ!<br />
「おい、ハルヒ?」<br />
<br />
<br />
なんだかものすごく悲しくなって、アタシは部室を飛び出した。<br />
<br />
そして・・・<br />
とりあえず屋上に来てみた。<br />
もう、西の空は微かにオレンジ色になりかけていて、それを見てるとなんだか益々切なくなってくる。<br />
<br />
-なにやってんだろうな・・・アタシ。<br />
<br />
しばらくぼんやりしていると、微かなオレンジ色はみるみる朱色に変わり、やがて淡い紫色を連れて来た。<br />
<br />
少し寒いな・・・もう、帰ろう。<br />
<br />
アタシはとりあえず、食べてくれる相手を失ったケーキを取りに部室に戻る。<br />
<br />
部室には、もう誰も居なかった。<br />
<br />
冷蔵庫を開けると、今朝のままの姿でケーキが置いてあるのが見えた。<br />
アタシは、そっとそれを取り出すと、机の上に置いてみる。<br />
<br />
どうしようかしらね、これ・・・<br />
<br />
その時!突然、ドアが開く音がした!<br />
<br />
「ハルヒっ、ここに居たのか!探したんだぞ?」<br />
<br />
ドアの方を見ると、キョンが呆れた様子で立っていた。<br />
<br />
-な、なによ!キョンこそ何やってんのよ?<br />
「お前を待ってたんだろうが!今日は一人で帰るともなんとも言ってなかったし!」<br />
-そう・・・だっけ?<br />
「そうだ!・・・ところで、それは何だ?ケーキか?」<br />
<br />
キョンは、アタシが机の上に置いたケーキの箱に気付いたみたい。<br />
でも・・・もう、遅いわね・・・。<br />
<br />
-なんでも・・・ないわよ・・・。<br />
「そうか・・・。」<br />
<br />
そう言うと、キョンは何か考える素振りを見せた。<br />
<br />
そして「なるほど」って顔をしたと思ったら、突然ケーキの箱を開け始めた。<br />
<br />
-ち、ちょっと!何するのよっ?<br />
「ん?ああ、食べようぜ?」<br />
-えっ・・・?<br />
「駄目か?」<br />
-駄目じゃ・・・無いけど・・・。<br />
「ん。待ってろ?今、切り分けるから。」<br />
<br />
キョンは、流し台から包丁とお皿を取り出すと、手際よくケーキを切り始めた。<br />
でも・・・やっぱり固そうだな。<br />
さっきの、みくるちゃんのマドレーヌとは全然違う・・・。<br />
<br />
「おい、食べないのか?」<br />
-え?ああ、食べるわよ。<br />
「それじゃあ、いただきます!ん・・・おお!美味いな、これ!ハルヒが作ったんだろ?」<br />
-そうだけど・・・。<br />
「んん!美味い!」<br />
-そ、そんなことないわよ・・・。<br />
「いや、本当に美味いぞ?」<br />
-っ!そんな事ないって言ってるでしょっ!<br />
<br />
何だか、見え見えのお世辞を言われてる気がして、アタシはだんだんイラついてきた。<br />
だって・・・どう考えても、みくるちゃんの作るお菓子には及ばない・・・<br />
アタシは夢中で食べているキョンに、思わず声を張り上げてしまう。<br />
<br />
-そんなに『美味い美味い』って言うんだったら、どんなふうに『美味い』んだか説明してみなさいよっ!<br />
<br />
ふと、キョンのケーキを食べる手が止まった。<br />
そして・・・顔を上げてアタシをじっと見つめてる・・・。<br />
<br />
「ハルヒの・・・一生懸命な味がして、美味いぞ。」<br />
<br />
-・・・バカ。キョンの・・・バカ。<br />
<br />
何だか嬉しくて照れ臭くて、アタシは夢中でケーキを食べて誤魔化した。<br />
そして、やっぱり少し固いな・・・と思う。<br />
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ごめんね、キョン。<br />
次は、とびっきりのヤツを作ってあげるからね!<br />
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おしまい<br />
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と、見せかけて・・・<br />
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「おい、ハルヒ。口の周りがクリームだらけだぞ?」<br />
-え?ああ、本当だ・・・<br />
「・・・とってやるよ」<br />
-え?ち、ちょっと!キョ・・・ン・・・<br />
んっ・・・<br />
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本当におしまいっ!</div>