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巻き込まれキューピッドⅢ」(2012/03/07 (水) 17:50:46) の最新版変更点

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<p>「コーラと麦茶あるけどどっちがいい?」</p> <p> </p> <p>彼女の自宅は超高層マンションの最上階の一つ下、42階にあった。</p> <p>白を基調としたその建物は芸能人や政治家、プロアスリートたちが住む有名な物件だった。</p> <p>テレビでみたことはあったが、実際に部屋に入ってみて驚いた。</p> <p>とても広いのはもちろんのこと、細かなディティールとても凝っていてまるで外国に来たような気分だった。</p> <p>彼女の部屋は白と青に近いネイビーで揃えられていた。何故か美容室の香りがした。</p> <p> </p> <p>「あ、じゃあコーラでお願いします」</p> <p> </p> <p>彼女の名前は涼宮ハルヒといい、総合警備会社、”suzumiya oriber sistem"の代表取締役兼社長だった。</p> <p> アメリカ、イギリスにも拠点をおき去年からはドイツ、フランス、中国にも事業を広げたと新聞に載ってた。大きな会社だ。著名人の自宅警備、ホームセキュリティの設置、管理やボディーガード、イベント会場の警備などの仕事をするらしい。まさか、女性でしかもこんな若いひとがトップだとは驚いた。彼女はガラスに金属の縁取りを施した高価そうなテーブルに座り、向かい合っている。</p> <p> </p> <p>部屋を眺めていると彼女がそれに気づいて言う。</p> <p> 「別にこんな広い部屋じゃなくたっていいんだけどね。社長って肩書きを持つうえはイメージが大事とかなんとか言われてさ・・・。このマンションの住人なんて本当にどうしようもない奴ばかりだよ。いいマンションに住んでることにステータスを感じててさ。最上階にしなかったのは小さな反抗なの。中にはいいひともいるけどさ」</p> <p> </p> <p>「で、あんたはその幼なじみのことが好きなわけだ。いまだに、いじいじと」</p> <p>彼女は麦茶を飲みほして、いたずらっこのような笑みを見せた。</p> <p> </p> <p>「そうですけど、なんか悪いっすか」</p> <p>「いや別に悪くはないけどさ。で、そのなつみとかいう子には彼氏がいると。まんまと出し抜かれたわね」</p> <p> </p> <p>そんなこと言われても・・・って思ったときにふと不自然なものを見つけた。</p> <p>彼女の後ろにあるアンティーク調のダークブラウンのたんす。その上にカエルの着ぐるみが置いてあった。</p> <p>この部屋ではいささか目立ちすぎた。チェス盤とクリスマスキャンドルの間のそれは。</p> <p> </p> <p>「あれはね。高校時代のバイトで使ってたの。部活をやっててさ、その仲間と一緒にね。ほら、これ写真」</p> <p> </p> <p>彼女が差し出した写真には5人の人間が写っていた。</p> <p>赤い髪の可愛らしい女の子と青い髪のもの静かそうな女の子。</p> <p>それと完璧な微笑みを浮かべる背の高い端正な男性。</p> <p> </p> <p>涼宮ハルヒもいた。真ん中でとびっきりの笑顔でピースしている。</p> <p>いかにもやんちゃな雰囲気だった。その横であきれた様子の男性が涼宮ハルヒを横目で見ている。</p> <p>とても楽しそうだった。彼女もその他の部員たちも。</p> <p> </p> <p> </p> <p> だが僕はなにかひっかかるものを感じた。写真の中にいる涼宮ハルヒと、目の前で遠くを見るように考え事をしている涼宮ハルヒは間違いなく同一人物だろう。それは確かだ。</p> <p>しかし、なにかが決定的に違っていた。現在の彼女は何かが足りないような、まるで花が挿してない花瓶みたいな。</p> <p> </p> <p>「よし、あたしがなんとかしてあげる」</p> <p>「なんとかって・・・」</p> <p>「そのかわり、あたしの手伝いもしてね。あんたの手伝いの前に」</p> <p> </p> <p>彼女は立ち上がり、箪笥の中から新聞の切り抜きを取り出した。</p> <p>「これを読んで」</p> <p> </p> <p> <em>2011年9月10日午前9時半頃、東京都××区、××にある川沿いに新聞紙にくるまれた変死体が発見された。通報をしたのは近くに住む道野辺しげる(仮名)さん。ジョギングをしてたところ異臭に気付き、発見したという。××区警によると、死体は激しく損害されており指の第二関節から先が切断されており、顔も身元確認が不可能なほどに腐乱しているという。歯もすべて抜かれており、身元の判明がかなり難しいということだ。性別は男性、身長は186㎝ほどでアフリカ系の黒人だという。警察は身元の確認を急ぐとともに、殺人、死体遺棄、死体損害の容疑で捜査する。</em></p> <p> </p> <p>去年の秋の事件だった。ニュースで見た覚えがある。</p> <p> </p> <p> 「これの犯人まだ捕まってないのよね。被害者は判明したけれどね。アメリカで2番目にでかいギャングのボス。トーポム・ベス・バーンズ。名前ぐらい聞いたことあるんじゃない??4年前に殺されたパンクバンドのベーシスト知ってる??それもやつらの仕業」</p> <p>「知らないです。そんな怖いひとたち」</p> <p>「密輸、密造、暗殺、麻薬取引それに恐喝および強要。売春と賭博は名誉ある男が行うビジネスじゃないとか言ってやらなかったらしいけどね。」</p> <p>「で、僕はなにをすればいいんですか?嫌な予感しかしないんですけど」</p> <p>「あたしと一緒に犯人を捕まえるの。」</p> <p> </p> <p>そう言って彼女は悪いことを企むような目で僕を見た。</p> <p> </p> <p>「でも警察で捜査しても無理なわけだし、素人がなんとかしようとしても無理な気が」</p> <p>「あたしはね。これでも情報網はたくさんもってるの。ていうか第一に犯人知ってるし」</p> <p>「え?!どういうことすか?」</p> <p>「どういうこともなにも、そういうことよ。犯人のことはこの世界で一番あたしがよく知ってる。」</p> <p>「じゃあもう僕らはやることないじゃないですか。警察に通報して終わり、はいおしまいです」</p> <p>彼女はため息をついて手のひらを掲げた。わかってないなぁと言いたいらしい。</p> <p>「そんな簡単な話じゃないの。どうして犯人が分かると思う??」</p> <p>「それは、その情報網とかいうやつじゃないんですか??」</p> <p>「違う。あたしは殺人の現場にいたの。すぐ近くに」</p> <p> </p> <p>そう言って彼女は苦しそうな顔で目を閉じた。</p> <p> </p> <p> </p> <p> </p> <p> </p>
<p> &amp;ref(http://seiga.nicovideo.jp/image/source?id=359653)</p> <p> </p>

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