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第5章-16 The trouble of all」(2011/02/20 (日) 19:07:56) の最新版変更点

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<p>「実はさ、幼なじみの彼が怒ったのは、理由があるんだ」</p> <p><br /> 「理由?」<br />  </p> <p>「正直に話してほしかったんだよ。ずっと一緒にいたのに、水くさいだろ?」</p> <p> </p> <p>「そ、それはそうだけど……、あんなに怒ることないじゃない……」</p> <p> </p> <p>「たしかに大人げないと思う。でもさ、もし幼なじみの彼が転校してしまうとして、そのことを黙っていたらどうする?」<br />  </p> <p>「そりゃもう、ボコボコにして引き止めます!あっ!?じょ、冗談ですよ!」<br />  </p> <p> いやいや、今、冗談じゃなかったろ。とんでもない殺気で寒気がしたぞ、おい。</p> <p> </p> <p> 「と、とにかく、正直に言って欲しかったんだよ。そして、引き止めたかった。なぜなら、ナツキちゃんに、どこにも行ってほしくないから。それにさナツキちゃん、本心では転校したくないんじゃないのかな?」<br />  </p> <p>「あたしは、お母さんがつらそうにしているのが嫌で……」<br />  </p> <p>「それはナツキちゃんがお母さんを思いやる優しさであって、君の気持ちじゃないだろ?俺には、本当の気持ちを教えて欲しいな」<br />  </p> <p> 問いかけると、ナツキは下を向きしばらく考えた後、<br />  </p> <p>「うん……、転校なんかしたくない。あいつと離れたくないよ……」<br />  </p> <p>ポロポロと大粒の涙を流し、泣き始めた。俺は、いてもたってもいられなくなり、思わず頭をなでていた。<br />  </p> <p> 「帰ったら、きちんと自分の気持ちをお母さんに言ってごらん。きっと、ナツキのことを第一に考えてくれるはずだから。俺としても、ナツキちゃんには、どこにも行ってほしくない」<br />  </p> <p>「うん……」<br />  </p> <p> 「もう一度、よく考えてみるといい。ナツキちゃんが、一生後悔しない選択をすること。だけど、一人で決めなくてもいい。君には相談できる、人が近くにいるだろ?」<br />  </p> <p>「それって……。でも……、あいつ怒ってたし……」<br />  </p> <p> 少し元気がない。まあ喧嘩中だし、不安にもなるか。たしか、経緯は忘れたけど、すぐに仲直りしたはずだ。少しフォローしておこう。<br />  </p> <p>「あいつは細かいことを気にしない性格だから大丈夫。すぐに仲直りできるよ」<br />  </p> <p>「まあ、確かにそうですね。でも不思議。さっきから、あいつのことをよく知っているような話し方してますね。まるで、自分自信のことみたい」<br />  </p> <p> げっ、まずい。ついつい余計に言いすぎてしまった。ごまかしておこう。<br />  </p> <p>「いや、前に会ったことがあるだろ?俺は顔を見れば、性格がなんとなくわかる特殊能力があるんだ」<br />  </p> <p>「へー、すごい」<br />  </p> <p>ナツキが感心したような尊敬のまなざしで俺を見た。素直なナツキってのはどうも変な感じだ。<br />  </p> <p>「ナツキちゃんに元気がないと、あいつも落ち込んでしまう。だから、さっさと仲直りして、笑ってくれ」<br />  </p> <p> ナツキは少し考えて「そうよね」とつぶやき納得した様子だった。さて、長居して正体がばれたらやばいので、帰ろうか。<br />  </p> <p>「そういえば、前の時から思ってたんですけど、あたし名前を言いましたか?」<br />  </p> <p> まずい、そういや自己紹介もしてないのに、名前を呼んでしまった。どうやってごまかそう……。<br />  </p> <p>「ううん、それはいいんです。その……、あなたの名前を教えてください」<br />  </p> <p> よかった……。って、俺の名前!?えっと、本名はまずい。えっと、えーと、名前、名前は……<br />  </p> <p>「キョ、キョン……」<br />  </p> <p>うわ、やっちまった。適当に思いついたあいつのあだ名を言ってしまった。こんなふざけた名前信じるもんか。終わった、俺、終わったよ……。</p> <p> </p> <p>「お名前は一生忘れません。あたしは、中学1年宇都宮ナツキです!また……、会えますよね?」<br />  </p> <p> 予想とは違い、ナツキは俺の言ったまぬけな名前を真顔で聞いていた。どうやら、信じてしまったようだ。<br />  </p> <p>「あ、ああ……」</p> <p> </p> <p>「約束……です。それでは、また!」</p> <p> </p> <p> 深々と頭を下げ、ナツキは雨が降る中、走っていった。なんだか、非常に疲れた。そんなに時間は経っていないはずだが。いろいろありすぎて、頭が追いつかず、ショートしようだ。朝比奈さんも見つからないし、最悪だよ。もし、見つからなかったら、ずっと、この過去の世界で生きて行かなきゃならないのか?お先真っ暗……</p> <p><br /> 「うっ、また、かよ……」</p> <p> </p> <p>突然、身体の力が抜けていく。ベンチから動くことすら、ままならず、目の前が闇に染まっていく。どう……、なってんだこりゃ……。</p> <p> </p> <p>次へ</p>
<p>「実はさ、幼なじみの彼が怒ったのは、理由があるんだ」</p> <p><br /> 「理由?」<br />  </p> <p>「正直に話してほしかったんだよ。ずっと一緒にいたのに、水くさいだろ?」</p> <p> </p> <p>「そ、それはそうだけど……、あんなに怒ることないじゃない……」</p> <p> </p> <p>「たしかに大人げないと思う。でもさ、もし幼なじみの彼が転校してしまうとして、そのことを黙っていたらどうする?」<br />  </p> <p>「そりゃもう、ボコボコにして引き止めます!あっ!?じょ、冗談ですよ!」<br />  </p> <p> いやいや、今、冗談じゃなかったろ。とんでもない殺気で寒気がしたぞ、おい。</p> <p> </p> <p> 「と、とにかく、正直に言って欲しかったんだよ。そして、引き止めたかった。なぜなら、ナツキちゃんに、どこにも行ってほしくないから。それにさナツキちゃん、本心では転校したくないんじゃないのかな?」<br />  </p> <p>「あたしは、お母さんがつらそうにしているのが嫌で……」<br />  </p> <p>「それはナツキちゃんがお母さんを思いやる優しさであって、君の気持ちじゃないだろ?俺には、本当の気持ちを教えて欲しいな」<br />  </p> <p> 問いかけると、ナツキは下を向きしばらく考えた後、<br />  </p> <p>「うん……、転校なんかしたくない。あいつと離れたくないよ……」<br />  </p> <p>ポロポロと大粒の涙を流し、泣き始めた。俺は、いてもたってもいられなくなり、思わず頭をなでていた。<br />  </p> <p> 「帰ったら、きちんと自分の気持ちをお母さんに言ってごらん。きっと、ナツキのことを第一に考えてくれるはずだから。俺としても、ナツキちゃんには、どこにも行ってほしくない」<br />  </p> <p>「うん……」<br />  </p> <p> 「もう一度、よく考えてみるといい。ナツキちゃんが、一生後悔しない選択をすること。だけど、一人で決めなくてもいい。君には相談できる、人が近くにいるだろ?」<br />  </p> <p>「それって……。でも……、あいつ怒ってたし……」<br />  </p> <p> 少し元気がない。まあ喧嘩中だし、不安にもなるか。たしか、経緯は忘れたけど、すぐに仲直りしたはずだ。少しフォローしておこう。<br />  </p> <p>「あいつは細かいことを気にしない性格だから大丈夫。すぐに仲直りできるよ」<br />  </p> <p>「まあ、確かにそうですね。でも不思議。さっきから、あいつのことをよく知っているような話し方してますね。まるで、自分自信のことみたい」<br />  </p> <p> げっ、まずい。ついつい余計に言いすぎてしまった。ごまかしておこう。<br />  </p> <p>「いや、前に会ったことがあるだろ?俺は顔を見れば、性格がなんとなくわかる特殊能力があるんだ」<br />  </p> <p>「へー、すごい」<br />  </p> <p>ナツキが感心したような尊敬のまなざしで俺を見た。素直なナツキってのはどうも変な感じだ。<br />  </p> <p>「ナツキちゃんに元気がないと、あいつも落ち込んでしまう。だから、さっさと仲直りして、笑ってくれ」<br />  </p> <p> ナツキは少し考えて「そうよね」とつぶやき納得した様子だった。さて、長居して正体がばれたらやばいので、帰ろうか。<br />  </p> <p>「そういえば、前の時から思ってたんですけど、あたし名前を言いましたか?」<br />  </p> <p> まずい、そういや自己紹介もしてないのに、名前を呼んでしまった。どうやってごまかそう……。<br />  </p> <p>「ううん、それはいいんです。その……、あなたの名前を教えてください」<br />  </p> <p> よかった……。って、俺の名前!?えっと、本名はまずい。えっと、えーと、名前、名前は……<br />  </p> <p>「キョ、キョン……」<br />  </p> <p>うわ、やっちまった。適当に思いついたあいつのあだ名を言ってしまった。こんなふざけた名前信じるもんか。終わった、俺、終わったよ……。</p> <p> </p> <p>「お名前は一生忘れません。あたしは、中学1年宇都宮ナツキです!また……、会えますよね?」<br />  </p> <p> 予想とは違い、ナツキは俺の言ったまぬけな名前を真顔で聞いていた。どうやら、信じてしまったようだ。<br />  </p> <p>「あ、ああ……」</p> <p> </p> <p>「約束……です。それでは、また!」</p> <p> </p> <p> 深々と頭を下げ、ナツキは雨が降る中、走っていった。なんだか、非常に疲れた。そんなに時間は経っていないはずだが。いろいろありすぎて、頭が追いつかず、ショートしようだ。朝比奈さんも見つからないし、最悪だよ。もし、見つからなかったら、ずっと、この過去の世界で生きて行かなきゃならないのか?お先真っ暗……</p> <p><br /> 「うっ、また、かよ……」</p> <p> </p> <p>突然、身体の力が抜けていく。ベンチから動くことすら、ままならず、目の前が闇に染まっていく。どう……、なってんだこりゃ……。</p> <p> </p> <p><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/6448.html">次へ</a></p>

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