「第5章-12 The trouble of all」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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ちょっと、無駄な話をさせてくれ。実を言うとだ、ナツキの笑顔ってのは正直苦手だったりする。なぜかと言うと、ナツキが笑っている時は、決まってしょうもないことを思いついた証拠であり、俺にろくなことがないって法則があるからだ。</p>
<p><br />
確か中2のころだったか。思いつきで料理をやりたいなんて言い出したはいいが、なぜか俺の家でやることにして家を天ぷらにしようとしたあげく、飽きただのなんだの言って、俺に料理をやらせやがった。結果、俺の方が料理うまくなるってどういうことよ。<br />
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他にもあるぞ。俺はその他大勢として、目立たず、つつがない学校生活を送るつもりだったんだ。それなのに、体育祭にしろ、文化祭にしろナツキが企画を立案して、その中心に俺を投入しやがる。体育祭では、地獄の特訓をさせられたあげく、全種目出させられた。文化祭では、おそろしくクオリティの低い演劇をさせられ、それだけならまだしも、主役の姫様役ってなんで俺がやんなきゃいけないんだよ!<br />
</p>
<p> でも、<br />
</p>
<p>「ふふ、お兄ちゃんって、変な人だね」<br />
</p>
<p>まあいいさ。なぜか知らないが、ナツキが笑っている間は、あまり嫌な気分にはならないからな。だから、こうやって後々愚痴るくらい許してほしい。</p>
<p><br />
おっと、そういえばナツキがいなくなったってことで、大騒ぎをして探した覚えがあるな。たしかすぐに見つかったはずだが、日も落ちて暗くなっているし、おばさんが心配しているはずだ。家まで送り届けることにするか。<br />
</p>
<p>「ナツキちゃん、家に帰ろう。みんな心配して……」<br />
</p>
<p>「ナツキちゃん!」<br />
</p>
<p>突然、怒鳴りつけるような声が聞こえたので振り返ると、小さな男の子が猛スピードで向かってくる。なーんか、どっかで見たことがあるような……。<br />
</p>
<p>「おいおい、マジかよ……」<br />
</p>
<p>そりゃ、見たことあって当然だ。あのアホ面した男の子は……、俺だ!<br />
</p>
<p> 小さい俺は、立ち止まることなく<br />
</p>
<p>「ナツキちゃんから、離れろ!」<br />
</p>
<p>猪並の突進力をもって突撃してきた。</p>
<p> </p>
<p>「だあっ!」</p>
<p> </p>
<p> 一瞬呆然としたことと、あまりのスピードのため避けることもできず、直撃して盛大に吹き飛ばされた。昔の俺ってこんな無鉄砲だったっけな?</p>
<p> </p>
<p>「あたた……。待て待て、俺はナツキちゃんと話をしていただけだ。何もしていないぞ」</p>
<p><br />
「うそつけー!この悪党!」</p>
<p><br />
あー、恥ずかしい。一生懸命なのはわかるが、人の話くらい聞こうぜ。こんなんだから、先生のありがたい話が、脳みそ通過せずに通り抜けていくんだよ。将来のために、粛正すべきか?</p>
<p><br />
「やめて!お兄ちゃんは、悪い人じゃないよ!」<br />
</p>
<p> ナツキが怒鳴ると、途端に小さい俺はひるんで離れた。<br />
</p>
<p>「でもでも!どう見ても悪人顔じゃないか……」</p>
<p><br />
その言葉、そっくりそのまま返してやる。お前も将来この顔になるんだからね!</p>
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<p>次へ</p>
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ちょっと、無駄な話をさせてくれ。実を言うとだ、ナツキの笑顔ってのは正直苦手だったりする。なぜかと言うと、ナツキが笑っている時は、決まってしょうもないことを思いついた証拠であり、俺にろくなことがないって法則があるからだ。</p>
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確か中2のころだったか。思いつきで料理をやりたいなんて言い出したはいいが、なぜか俺の家でやることにして家を天ぷらにしようとしたあげく、飽きただのなんだの言って、俺に料理をやらせやがった。結果、俺の方が料理うまくなるってどういうことよ。<br />
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他にもあるぞ。俺はその他大勢として、目立たず、つつがない学校生活を送るつもりだったんだ。それなのに、体育祭にしろ、文化祭にしろナツキが企画を立案して、その中心に俺を投入しやがる。体育祭では、地獄の特訓をさせられたあげく、全種目出させられた。文化祭では、おそろしくクオリティの低い演劇をさせられ、それだけならまだしも、主役の姫様役ってなんで俺がやんなきゃいけないんだよ!<br />
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<p> でも、<br />
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<p>「ふふ、お兄ちゃんって、変な人だね」<br />
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<p>まあいいさ。なぜか知らないが、ナツキが笑っている間は、あまり嫌な気分にはならないからな。だから、こうやって後々愚痴るくらい許してほしい。</p>
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おっと、そういえばナツキがいなくなったってことで、大騒ぎをして探した覚えがあるな。たしかすぐに見つかったはずだが、日も落ちて暗くなっているし、おばさんが心配しているはずだ。家まで送り届けることにするか。<br />
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<p>「ナツキちゃん、家に帰ろう。みんな心配して……」<br />
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<p>「ナツキちゃん!」<br />
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<p>突然、怒鳴りつけるような声が聞こえたので振り返ると、小さな男の子が猛スピードで向かってくる。なーんか、どっかで見たことがあるような……。<br />
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<p>「おいおい、マジかよ……」<br />
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<p>そりゃ、見たことあって当然だ。あのアホ面した男の子は……、俺だ!<br />
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<p> 小さい俺は、立ち止まることなく<br />
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<p>「ナツキちゃんから、離れろ!」<br />
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<p>猪並の突進力をもって突撃してきた。</p>
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<p>「だあっ!」</p>
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<p> 一瞬呆然としたことと、あまりのスピードのため避けることもできず、直撃して盛大に吹き飛ばされた。昔の俺ってこんな無鉄砲だったっけな?</p>
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<p>「あたた……。待て待て、俺はナツキちゃんと話をしていただけだ。何もしていないぞ」</p>
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「うそつけー!この悪党!」</p>
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あー、恥ずかしい。一生懸命なのはわかるが、人の話くらい聞こうぜ。こんなんだから、先生のありがたい話が、脳みそ通過せずに通り抜けていくんだよ。将来のために、粛正すべきか?</p>
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「やめて!お兄ちゃんは、悪い人じゃないよ!」<br />
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<p> ナツキが怒鳴ると、途端に小さい俺はひるんで離れた。<br />
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<p>「でもでも!どう見ても悪人顔じゃないか……」</p>
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その言葉、そっくりそのまま返してやる。お前も将来この顔になるんだからね!</p>
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