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第5章-8 The trouble of all」(2011/02/03 (木) 07:40:48) の最新版変更点

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<p>「お待たせしました」</p> <p><br />  目の前の台には、いつの間にかカップが1つ置かれている。中には、薄く色のついた液体、レモンの香りがする。<br />  </p> <p>「レモンバームがあったので、煎れさせてもらいました」<br />  </p> <p>「レモンバーム?」<br />  </p> <p>「ハーブティーです。ご両親が用意していたんですね。リラックス効果があるんですよぉ」<br />  </p> <p> 口に含むと、<br />  </p> <p>「おいしい……」<br />  </p> <p> 思わずつぶやいていた。臭いからして、酸っぱいものと思っていたが、緑茶のような味。でも緑茶とは違って、味が柔らかく身体が温まって、文句なくうまい。俺が今まで飲んだ中でナンバー1のうまさだ。<br />  </p> <p>「こう思うんです」<br />  </p> <p>「えっ?」<br />  </p> <p> 「涼宮さんは、すごい力を持ってます。その力に気づいていないせいで、いろいろと事件が起きるんですけど……、今まで起きた出来事で、意味があるんじゃないかって」<br />  </p> <p>  自信を持って言っているので、何かしら根拠があるのだろう。だったら、今の状況も何かしら意味があるというのだろうか?そんなこと、俺にはわからない。だって、頼みの綱の長門だっていないんだ。<br />  </p> <p>「あたし、信じてるんです」</p> <p><br /> 「信じてる?」<br />  </p> <p>「涼宮さんのことを。もちろん、元の世界に戻してくれるって言ってくれた、あなたの事もですよ。だって、あたし達は……」<br />  </p> <p> 朝比奈さんは、眩しい笑顔を振りまいて、こう言うのだった。<br />  </p> <p>「SOS団の仲間でしょ?」<br />  </p> <p> 朝比奈さんの笑顔から、後光が見えた気がした。元旦に初詣に行ったり、クリスマスにキリストの誕生日を祝ったり、大晦日に除夜の鐘を律儀に聞いている、典型的な信仰心が一切ない俺だが、「朝比奈教」なる宗教があったら、速攻で入信する自信があるね。生まれる前から、朝比奈さんの誕生日を祝い、メイド服を着て子ども達にプレゼントを配っているだろう。</p> <p> </p> <p> なんとなく、胸が熱くなって手を当ててみた。俺が信じるべきもの。それは、朝比奈さんと一緒だ。違う世界に来てしまったのなら、戻ればいいだけ。涼宮やナツキがいるみんなの世界。勝手に呼び寄せて、勝手に吹き飛ばすなんで反則だ。別れる時、挨拶をするってのは常識だろっ!</p> <p><br /> 「俺って馬鹿ですね。こんな単純なこと、言われて気づくなんて」<br />  </p> <p><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/6432.html">次へ</a></p>
<p>「お待たせしました」</p> <p><br />  目の前の台には、いつの間にかカップが1つ置かれている。中には、薄く色のついた液体、レモンの香りがする。<br />  </p> <p>「レモンバームがあったので、煎れさせてもらいました」<br />  </p> <p>「レモンバーム?」<br />  </p> <p>「ハーブティーです。ご両親が用意していたんですね。リラックス効果があるんですよぉ」<br />  </p> <p> 口に含むと、<br />  </p> <p>「おいしい……」<br />  </p> <p> 思わずつぶやいていた。臭いからして、酸っぱいものと思っていたが、緑茶のような味。でも緑茶とは違って、味が柔らかく身体が温まって、文句なくうまい。俺が今まで飲んだ中でナンバー1のうまさだ。<br />  </p> <p>「こう思うんです」<br />  </p> <p>「えっ?」<br />  </p> <p> 「涼宮さんは、すごい力を持ってます。その力に気づいていないせいで、いろいろと事件が起きるんですけど……、今まで起きた出来事って、意味があるんじゃないかって」<br />  </p> <p>  自信を持って言っているので、何かしら根拠があるのだろう。だったら、今の状況も何かしら意味があるというのだろうか?そんなこと、俺にはわからない。だって、頼みの綱の長門だっていないんだ。<br />  </p> <p>「あたし、信じてるんです」</p> <p><br /> 「信じてる?」<br />  </p> <p>「涼宮さんのことを。もちろん、元の世界に戻してくれるって言ってくれた、あなたの事もですよ。だって、あたし達は……」<br />  </p> <p> 朝比奈さんは、眩しい笑顔を振りまいて、こう言うのだった。<br />  </p> <p>「SOS団の仲間でしょ?」<br />  </p> <p> 朝比奈さんの笑顔から、後光が見えた気がした。元旦に初詣に行ったり、クリスマスにキリストの誕生日を祝ったり、大晦日に除夜の鐘を律儀に聞いている、典型的な信仰心が一切ない俺だが、「朝比奈教」なる宗教があったら、速攻で入信する自信があるね。生まれる前から、朝比奈さんの誕生日を祝い、メイド服を着て子ども達にプレゼントを配っているだろう。</p> <p> </p> <p> なんとなく、胸が熱くなって手を当ててみた。俺が信じるべきもの。それは、朝比奈さんと一緒だ。違う世界に来てしまったのなら、戻ればいいだけ。涼宮やナツキがいるみんなの世界。勝手に呼び寄せて、勝手に吹き飛ばすなんで反則だ。別れる時、挨拶をするってのは常識だろっ!</p> <p><br /> 「俺って馬鹿ですね。こんな単純なこと、言われて気づくなんて」<br />  </p> <p><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/6432.html">次へ</a></p>

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