「第4章前編-1 Dark spring + Light summer = Day」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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<p>「遅い!早くしなさいよ」<br /><br />
これは、涼宮が俺に怒鳴っているセリフだ。おーい、そんな大声を出すなよ、俺達は尾行してるんだ。見つかってしまうぞ。<br /><br />
「わかってるわよ。あんたがだらしないから、あたしが苦労するんじゃない」<br /><br />
さて、今の状況について説明しよう。今日は日曜日で俺と涼宮は、とある男女を尾行している。別に涼宮が探偵ごっこをしているわけでも、ストーカーごっこを思いついたというわけではない。<br /><br />
俺だって、もちろんそうだ。んなこと、やりたくないし、付き合う義理はない。たまの休みくらい、家でだらだらしようと思っていたわけだ。だが、そうもいかなかった。涼宮が俺の腕をつかんで引っ張り、強制的に連れて行くせいで、ストーカーの世界に片足をつっこんでいるような状況なのだ。<br /><br />
俺が涼宮のせいで苦労をさせられているってにも関わらず、尾行の対象であるあいつらは、楽しそうな顔をして談笑をしている。この差はなんだ、なんか腹が立つな。<br /><br />
「次はどこに行きましょうか?」と男。<br /><br />
「実は行きたいところがあるんです」と女。<br /><br />
見るからに完璧なデートだった。<br /><br />
この2人を俺は知っている。男の方は、数日の付き合いだが、女の方は、数年の付き合い。その女との付き合いは長いのだが、俺が見たことのない顔で笑っていた。</p>
<p> </p>
<p> そう、キョンとナツキがデートをしているのだ</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> なぜ、こんな事になったのか?説明するには、数日前に遡ることになる。</p>
<p> </p>
<p>
ある日の放課後、俺とキョンはローカルな電気店にいた。キョンが言うにはSOS団のスポンサーという奇特な店主が経営している電気店らしく、キョンが店主と思われる中年の男性と話を終え、店主が段ボールに入った扇風機を俺とキョンに1台ずつ、合計2台手渡した。<br /><br />
本格的な夏に突入し、冷房がない部室は、放課後蒸し風呂状態となる。そこで、現状を打破するため、部費で扇風機を2台購入することになり、俺とキョンが取りにきたのだ。<br /><br />
なぜかって?決まっている、涼宮が「取ってこい!」と叫びながら、俺とキョンを部室の外に放り出したからだ。なんでこんなクソ暑い日に、重い荷物を持ち、地獄坂を登って再び学校に戻らなければいけんのだ。<br /><br />
「そうぼやくなよ。俺なんか、冬に、しかも雨が降っている日に、電気ストーブを取りにいったんだぜ」<br /><br />
キョンが盛大なため息をついた。俺と一緒で、キョンはいつも損な役割らしい。いや、俺がキョンの損な役割に巻き込まれているのか?泣きそうになるぜ。</p>
<p> </p>
<p> 苦労して学校近くの駅まで戻り、最後の難関である心臓破りの坂を登り始めた時のことだ。<br /><br />
「何やってんの?」<br /><br />
後ろから声がして振り向くと、ナツキがいた。まずいところを見られたな。<br /><br />
「ちょっと頼まれ事でな。じゃあな……」<br /><br />
俺がナツキを適当にあしらい、坂を登り始めようとしたところ、後ろからナツキに襟をつかまれた。<br /><br />
「ちょっと、待ちなさいよ。せっかくあたしが暑いところを涼しくさわやかにしておげようと親切で声をかけたのに、その態度はないんじゃない?」<br /><br />
あほか。お前と話をして涼しくなることなんてない。逆にあつっ苦しくなるだけだ。さっさと帰れ。俺に構うな。<br /><br />
「へぇー、そう、熱くなるついでに地獄の業火に焼かれなさい……」<br /><br />
ナツキが指の骨をならしている。前言撤回、背筋が冷たくなりました。命の危険を感じます!<br /><br />
「あれ?」<br /><br />
ここで、俺の隣にキョンがいることに気づいたようで、ナツキは改まり、嘘笑顔を作って<br /><br />
「どうも」<br /><br />
と挨拶をした。いまさら取り繕ってもお前の本性は見られたんだ、ごまかしようがない。というか、俺の隣にいたのに気づかないってのはどうかと思うぞ。</p>
<p> </p>
<p>次へ</p>
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<p>「遅い!早くしなさいよ」<br /><br />
これは、涼宮が俺に怒鳴っているセリフだ。おーい、そんな大声を出すなよ、俺達は尾行してるんだ。見つかってしまうぞ。<br /><br />
「わかってるわよ。あんたがだらしないから、あたしが苦労するんじゃない」<br /><br />
さて、今の状況について説明しよう。今日は日曜日で俺と涼宮は、とある男女を尾行している。別に涼宮が探偵ごっこをしているわけでも、ストーカーごっこを思いついたというわけではない。<br /><br />
俺だって、もちろんそうだ。んなこと、やりたくないし、付き合う義理はない。たまの休みくらい、家でだらだらしようと思っていたわけだ。だが、そうもいかなかった。涼宮が俺の腕をつかんで引っ張り、強制的に連れて行くせいで、ストーカーの世界に片足をつっこんでいるような状況なのだ。<br /><br />
俺が涼宮のせいで苦労をさせられているってにも関わらず、尾行の対象であるあいつらは、楽しそうな顔をして談笑をしている。この差はなんだ、なんか腹が立つな。<br /><br />
「次はどこに行きましょうか?」と男。<br /><br />
「実は行きたいところがあるんです」と女。<br /><br />
見るからに完璧なデートだった。<br /><br />
この2人を俺は知っている。男の方は、数日の付き合いだが、女の方は、数年の付き合い。その女との付き合いは長いのだが、俺が見たことのない顔で笑っていた。</p>
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<p> そう、キョンとナツキがデートをしているのだ</p>
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<p> なぜ、こんな事になったのか?説明するには、数日前に遡ることになる。</p>
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ある日の放課後、俺とキョンはローカルな電気店にいた。キョンが言うにはSOS団のスポンサーという奇特な店主が経営している電気店らしく、キョンが店主と思われる中年の男性と話を終え、店主が段ボールに入った扇風機を俺とキョンに1台ずつ、合計2台手渡した。<br /><br />
本格的な夏に突入し、冷房がない部室は、放課後蒸し風呂状態となる。そこで、現状を打破するため、部費で扇風機を2台購入することになり、俺とキョンが取りにきたのだ。<br /><br />
なぜかって?決まっている、涼宮が「取ってこい!」と叫びながら、俺とキョンを部室の外に放り出したからだ。なんでこんなクソ暑い日に、重い荷物を持ち、地獄坂を登って再び学校に戻らなければいけんのだ。<br /><br />
「そうぼやくなよ。俺なんか、冬に、しかも雨が降っている日に、電気ストーブを取りにいったんだぜ」<br /><br />
キョンが盛大なため息をついた。俺と一緒で、キョンはいつも損な役割らしい。いや、俺がキョンの損な役割に巻き込まれているのか?泣きそうになるぜ。</p>
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<p> 苦労して学校近くの駅まで戻り、最後の難関である心臓破りの坂を登り始めた時のことだ。<br /><br />
「何やってんの?」<br /><br />
後ろから声がして振り向くと、ナツキがいた。まずいところを見られたな。<br /><br />
「ちょっと頼まれ事でな。じゃあな……」<br /><br />
俺がナツキを適当にあしらい、坂を登り始めようとしたところ、後ろからナツキに襟をつかまれた。<br /><br />
「ちょっと、待ちなさいよ。せっかくあたしが暑いところを涼しくさわやかにしておげようと親切で声をかけたのに、その態度はないんじゃない?」<br /><br />
あほか。お前と話をして涼しくなることなんてない。逆にあつっ苦しくなるだけだ。さっさと帰れ。俺に構うな。<br /><br />
「へぇー、そう、熱くなるついでに地獄の業火に焼かれなさい……」<br /><br />
ナツキが指の骨をならしている。前言撤回、背筋が冷たくなりました。命の危険を感じます!<br /><br />
「あれ?」<br /><br />
ここで、俺の隣にキョンがいることに気づいたようで、ナツキは改まり、嘘笑顔を作って<br /><br />
「どうも」<br /><br />
と挨拶をした。いまさら取り繕ってもお前の本性は見られたんだ、ごまかしようがない。というか、俺の隣にいたのに気づかないってのはどうかと思うぞ。</p>
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