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「おいしいご飯3」(2010/04/24 (土) 10:08:01) の最新版変更点
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<p>放課後。</p>
<p>掃除当番のハルヒより一足先に、部室に到着。</p>
<p>コンコン。</p>
<p>「………」</p>
<p>返事は無い。</p>
<p>ってことは…。</p>
<p>ガチャ。</p>
<p>「よう。長門」</p>
<p>「…」</p>
<p>「お前だけか」</p>
<p>「…」</p>
<p>無表情のまま俺の顔を見る。</p>
<p>相変わらず感情表現が独特だな。</p>
<p>机の上に鞄とクッキーの袋を置いて、椅子を引っ張り出し「よっこらせ」と座る。</p>
<p>「今日、朝倉に誘われたよ。…いいのか?」</p>
<p>「…いい」</p>
<p>コクッとうなずくと、本に目を落とした。</p>
<p>相変わらず分厚い本読んでるな。そっちの方が長門らしい。</p>
<p>することもなく足をぶらつかせながら長門を眺めていると、ドアがノックで震えた。</p>
<p>「はい」</p>
<p>俺が返事すると小泉と朝比奈さんが入ってくる。</p>
<p>「どうも」</p>
<p>「こんにちわぁ」</p>
<p>オイ、なんで2人が一緒なんだ?</p>
<p>「たまたま階段で一緒になりまして」</p>
<p>…お前がタイミング計ってるんじゃねえだろうな。</p>
<p>「とんでもない」</p>
<p>笑いながら手を振る。</p>
<p>「偶然ですよ」</p>
<p>そう言いながら鞄を机に置き、部室の外へ出て行く。</p>
<p>俺もそれに続き、部室を出てドアを閉めた。</p>
<p>朝比奈さんお着替えタイムだ。いつのまにか、SOS団で習慣化されている。</p>
<p>「最近の涼宮さんは落ち着いていますね」</p>
<p>「そうか?」</p>
<p>「ええ。それはもう」</p>
<p>「俺には実感が無いがな」</p>
<p>「我々『機関』は痛いほど実感していますよ」</p>
<p>「…まあ、入学当初のツンツンしたオーラは消えたような気がしないでもない」</p>
<p>「でしょう?中学生時代とは比べものにならないほど、安定した学生ライフです」</p>
<p>「その一方で俺たちの学生ライフは安定しないがな」</p>
<p>「それも仕方がないことです」</p>
<p>「ハア……」</p>
<p>窓の外を眺めながらそんな話をしていると、『どうぞ~』と朝比奈さんの舌足らずな声が聞こえた。</p>
<p>ガチャ。</p>
<p>ドアを開けると、朝比奈さんが後ろに手を組み微笑んだ。</p>
<p>あ、天使がいる。</p>
<p>「えへへ」</p>
<p>もうメイド姿に恥じらいはないらしい。天使の微笑みを俺たちめがけて投げかけると、お茶の用意を始めた。</p>
<p>毎日見ているが、飽きないものだ。</p>
<p>俺が朝比奈さんのメイド姿を眺めていると、小泉がドミノゲームを取り出す。</p>
<p>「どうですか?」</p>
<p>「いいだろう」</p>
<p>やることなんてゲームくらいしかねえからな。</p>
<p>向き合って座り、サイコロをぶっ潰したような長方形を並べていく。</p>
<p>数分で勝負がついた。</p>
<p>「弱いな」</p>
<p>「いやあ。参りました」</p>
<p>こっちが参るよ。全然手応えがない。</p>
<p>「お茶どうぞぉ」</p>
<p>第二戦を興じていると、朝比奈さんがお茶を持ってきた。</p>
<p>「ありがとうございます」</p>
<p>丁寧に受け取り、一口。</p>
<p>……あれ?</p>
<p>「…」</p>
<p>おかしい。もう一口。</p>
<p>「…んん~」</p>
<p>…そんな…はずは…。</p>
<p>何故だ?</p>
<p>「……」</p>
<p>俺が深刻な顔でお茶を口へ運ぶ姿を不安に思ったか、朝比奈さんが不安そうにのぞき込む。</p>
<p>「ど、どうしたの?キョンくん」</p>
<p>「え?ああ、おいしいですよ」</p>
<p>「よかったぁ。すごく怖い顔してたから…」</p>
<p>「アハハ、すいません」</p>
<p>笑いながら、湯飲みを置く。</p>
<p>小泉と長門にお茶を配ってまわる朝比奈さんを見ながら、俺は冷や汗を流した。</p>
<p>朝比奈さんのお茶はおいしくなかった。</p>
<p>というより、不味かった。</p>
<p>否、あり得ないほどの不味さだった。</p>
<p>朝比奈さんのいれたお茶だからこそ「おいしい」と言ったが、そうでなけりゃ「こんなもん飲めるか」と吐き出してもおかしくない。それほど酷い味だった。</p>
<p>ん~……俺はうなりながら喉を鳴らし、お茶を眺めた。</p>
<p>後味で…口が…ヴ……ウエッ。</p>
<p>ガタッ!</p>
<p>たまらず立ち上がる。</p>
<p>「ふえっ!?」</p>
<p>「?」</p>
<p>「…」</p>
<p>3人が一斉に俺を見る。だが、そんなことお構い無いしだ。</p>
<p>俺は部室を飛び出し、トイレに走った。</p>
<p> </p>
<p>続く。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>