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「愛してくれて、愛して暮れて～1話～」(2010/03/15 (月) 22:06:04) の最新版変更点

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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4"><a title="愛してくれて、愛して暮れて～プロローグ～ (6m)" href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/6152.html"><font size="3">愛してくれて、愛して暮れて～プロローグ～</font></a>から<br /><br /><br /><br />
最初こそ戸惑っていた満員電車にも慣れ、いつもの様に人混みと電車の振動に揺られながら俺は大学へ向かっていた。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">慣れた、と言っても何でまたこんな時間の講義を取ってしまったのかと思う程度にはこの人混みはつらいもので、毎朝続けると思うとこれなら北校の坂道のほうがまだマシだと思ってしまうのは隠せない心境である。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">聞き慣れたアナウンスを聞いて、自分が降りるべき駅で人混みを掻き分ける。前まで音楽を聞きながら通学していた俺なのだが、自分が降車する際イヤホンをつけた奴はなかなか退いてくれないことを経験し、それ以来音楽は聴かないようにしていた。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">早足に道を行く人々に飲まれるようにエスカレーターを上り、改札を抜けたところで俺は息を吐いた。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「……うへぇ」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">乗車から降車までの約20分、駅をでてようやく出来た脱力。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">どうやら、俺は自分で思っている以上に満員電車には慣れていないらしい。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「やぁ、キョン。おはよう」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「…おぉ、国木田か」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">声をかけてきたのは男にしては少し可愛らしい服を着た同級生、国木田だった。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">一体何の縁なのか、コイツも俺と同じ大学、同じ学部に通っていたりする。俺より遥かに良い成績を採っていた筈なのだが、高校選び同様に何かしら国木田なりのこだわりがあるのかもしれない。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「今日は何だか暑いよね。電車通いには辛い気候だよ」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">その意見には賛同するが、そう涼しそうな顔で言われてもイマイチ説得力がないぜ？</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「そうかなぁ？僕はこれでも暑がってるんだけど」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">……だとしたら、俺の眼が異常なのかね？</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「あー……、そうだね。確かに、ある意味キョンの目は節穴と言っても過言じゃないと思うな」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">おやおや。</font></div>
</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「……まさか国木田にそんな辛辣な言葉を貰うとはな。少しばかり意外だ」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「そう？僕は言わないだけで常日頃からそう思ってるんだけど」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">常日頃から思ってるのかよ。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">……。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">……常日頃から思ってるかよ！？</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">俺の問いに国木田は冗談さ、と笑って横断歩道の先の一角を指差した。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「ところでキョン。あっちに結構おいしいベーカリーがあるんだけど、ちょっと寄っていかないかい？」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">腕時計を見やれば、まだ講義には十分間に合う時間だった。時間が余るのも毎朝のことなのだが、俺は大概コンビニで暇をつぶしている。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">それに比べたら、こうして友人と個人ミシュランに勤しむのも悪くはない。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">俺は国木田に返事をすると、横断歩道を渡った。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4"> </font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4"> </font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4"> </font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「……ほう、これは中々」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">店内に備え付けられたテーブルに席を取って、向かい合うようにして俺はクロワッサン、国木田がサンドウィッチを食べていた。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「だろう？僕としてもそのクロワッサンは結構オススメなんだよね。ああモチロン、このサンドウィッチもだけど」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">シナモンのふんわりとした香りもさることながら、焼き加減が絶にして妙、表面に撒くようにしてかかっている白い砂糖が程よいアクセントになっている。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">普段はご飯派の俺ではあるが、このクロワッサンは確かに人に勧めたくなる味だ。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「…しかしよくこんな店を知ってるな、お前」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">俺がそう尋ねると、国木田は咀嚼中のサンドウィッチを飲み込んでから答えた。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「あぁ、それはね」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「僕が教えたからさ、キョン」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">―――が、それは第三者の声によって遮られ、しかしそれは結果として俺の疑問に対する回答だった。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">第三者と言っても赤の他人というわけでもなく、俺の良く知っている顔だった。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">ソイツは俺の隣に腰を下ろし、尚も説明を続ける。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「先日そこの駅前で国木田と会ってね。中学以来の同級生に挨拶の一つも無し、だなんて無体なことは僕にはとても出来ない。よってコーヒーでも飲みながらとココを紹介したのさ」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">まぁもっとも、とソイツは一息置いてから言った。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「何処かの誰かは僕ですら旧交を温めようとしたというのに、親友と呼べる存在にこの3年間電話の一本も寄越さなかったわけだが。それについてキミは僕に対して何か言うことがるんじゃないかな？」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「…えーと」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">相変わらずの饒舌。古泉を除けば、コイツより長ったらしくしゃべる奴―――まぁ、ハルヒは置いといて―――は一人しか心当たりがなくて、しかもソイツは目の前にいるわけなんだが。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「おやおや、キミはこの再開に関してそんな感動詞一つでケリをつけるつもりかい？まぁ、字面だけ見れば感動詞とは感動の詞（ことば）であるからそれ程悲しむことでもない気がするが―――やはり、寂寥の念は隠せないね」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「……わかったよ。ちゃんと言えばいいんだろう？」</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">チラリと国木田を見れば、何やらニヤニヤとしていた。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">……おいおい、その微笑みキャラは古泉一人でお腹一杯、アイムフルなんだぜ？</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">俺は目線を隣に戻してから、3年分の時間を返すように言った。</font></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="4">「……久しぶりだな、佐々木」</font></div>
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