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第五章 α‐9  火曜日。  いつもの坂を登りながら登校する。昨日は頭を悩ませることが色々あったな。長門も古泉も気になっている新一年生の少女。そして長門が言うには、身に覚えのない電話を長門にかけていたらしい。さらに俺は新一年生とともにSOS団の入団試験を受けなきゃいけないらしい。そんなこともあって忘れるところだった。何で1時限目から数学の小テストがあるんだ。人間が一番頭の活性してない時間に小テストをやらせる先生がいるのか。もっとも俺は授業中寝てばかりでいつ頭を活性させてるのか分からんが。  忘れずにいたのはきしくもハルヒのおかげであろう。何の気まぐれか知らないが、昨日ハルヒはテスト範囲を教えてくれたのだからな。寝る前に少し予習しておいてよかった。    1時限目が終わると、俺の元に谷口がやってきた。  「よう、キョン。どうだった?」  何でこいつは自信たっぷりな顔をしてるんだ。すると国木田も寄ってきて、  「昨日谷口がめずらしく教えてくれって来てさ。まさか二人で点数を賭けの対象にしてたんじゃないだろうね」  まさか。何でクラス最下位を走る二人が競わなくちゃいけないんだ。しかし俺は俺で、いつもよりすらすら解くことができたさ。今日も眠いのか、後ろで机に突っ伏しているハルヒのおかげか。まあまあだ、と告げると谷口は、  「へっ、そんな事いってられるのも今のうちだな」  気に食わない素振りを見せた。  「そういやキョンは僕に聞きに来なかったね。自力で勉強したのかい?それとも・・・」  何かに気づいたように国木田は口ごもり、後ろの席を見た。  「はっ。まさかハルヒに教わったってのか?こいつもどういう風の吹き回しだ」  おい谷口よ。ハルヒが目覚める前に逃げたほうがいいぞ。いわんこっちゃない。騒いでたせいかハルヒは起き、こちらを睨んだ。さあさあ早く行け谷口。しかし俺にもその眼光が向いてるのは気のせいじゃないよな。  それでも眠そうにしているハルヒに向かって、俺は、  「よう、今日も寝不足か?」  そう問いかけると、目をこすりハルヒは、  「あんたと違ってたくさんやることがあるのよ」  「なにか。SOS団の入団試験を考えてたのか」  「よく分かったわね。帰ってから家で仕上げてきたわよ。あんたの分の問題も考えてこなきゃいけなかったし」  少し笑顔を取り戻しながらハルヒは言った。俺に入団試験を受けさせるのがそんなにうれしいのか。   「そういえばそうだったな。そっちの範囲は教えてくれないのか?」  「何言ってるの?すでにSOS団員なんだから教えなくてもいいじゃない。SOS団の活動内容を思い出せば簡単に解ける問題にしたし」  そのSOS団の活動内容が未だに訳分からないから聞いてるんだがな。数学の小テストも終わったことだし、今度はそっちの予習でもしておこうか。・・・だめだ、さっぱり予想つかん。そうそう、こいつに言うことがあったな。  「なあ、ハルヒ」  「なによ」  今度は不機嫌そうな顔をしているハルヒにこう言った。  「さっきの小テスト、ばっちりだったぞ。お前のおかげで」  するとハルヒは、  「あたりまえじゃない!」  と、みるみるいつもの笑顔を取り戻していった。相変わらずだな。  その後の授業は、いつものように寝たり起きたりを繰り返しながらだった。もう一つの懸念が頭にあることを忘れていなかった。  昼休みになり、弁当を持って文芸部室へ向かった。  「おいおい今日もかよ」  悪い、谷口、国木田。どうも最近急ぎの用事が次々とやってくるからな。  扉を開けると、定位置に座る長門が見えた。昨日と同じでないのはニヤケ顔をした古泉がいたことだ。  「お待ちしておりましたよ。では私から説明してよいでしょうか?」  古泉は長門に目をむける。こくん、とわずかに頷いた。  「僕の方が言えることは少ないでしょうし」  「で、どうだったんだ。機関とやらは調べたのか」  「ええ、新入生の身辺調査を改めて行いました。結果をお教えしましょうか?」  もったいぶらなくていいぞ。  「昨日この部室に訪れた方々を重点的に調べさせていただきました。その結果シロでした。怪しいと思えるところはありません。」  「じゃあなんだ。人間一人増えたようにみえたのも俺たちの見間違いか?」  「それは・・・」  と古泉は、意見を望むように長門の方を見た。少し間をあけた後、  「昨日部室にて有機生命体が増加した原因は未だ分からない。現在も解析中」  少し申し訳なさそうな顔をして長門はそう言った。何もそんな顔しなくていいぞ。お前にも分からないことがあるんだろう。すると古泉は、  「長門さんが分からないとすると、やはりあの九曜という宇宙人が何か一手かっていそうですね」  しばらく考えた後、長門は、  「恐らく」  今度は悔しそうな顔だ。無理もない。自分の力を上回るかもしれないやつがいて、しかもそいつが同じ宇宙出身ならなおさらだ。  「了解しました。入団試験を受けに昨日の新入生たちが何人か来るでしょう。まして九曜がかかわっているのでしたらそのおかしな人は来るはずです。警戒する必要がありそうです」  ああそうだろうな。向こうから何か攻撃を仕掛けるかもしれないんだ。  それと確認しなくちゃいけないことがもう一つあったな。  「携帯もってきたぞ」  長門に渡すと、それを手にとり考えていた。考えてるというより、またお前の親玉と何かやりとりしているんだろうな。すると、  「・・・・・・情報統合思念体にアクセスし見解を求めた。あなたの携帯にはあの時私にかけた痕跡は見られなかった」  ほら言っただろ。長門は首をかしげ、本に手をかけた。  一通り話し終えると、俺は弁当を出した。古泉もまだだったんだな。  「ご一緒させていただきます」  たまにはこいつと食うのも悪くないかもしれない。今日もかわいい一年を見つけたよとか言うような谷口たちではなく。ハルヒが本気で入団試験を俺に受けさせようとしていることを思い出し、今日あった会話を古泉に話すと、  「涼宮さんがそうおっしゃるのなら問題ないでしょう。あなたを信頼しての業です。」  こいつはこういうやつだったな。時計を見るとこいつと談話している時間がない。弁当をかきこみ、古泉も柄になく乱雑な食べ方だった。なにやら視線を感じる。  「・・・・・・・・・」  本を閉じてこっちを見ている。長門だ。  「おや、長門さんお腹すいているのですか?何か差し上げましょうか?」  気を利かせたのか古泉が言うと、  「・・・・・・・・・」  無言でわずかに首を横に振った。  「どうやら僕では役不足でしたね」  と俺を見ながら不適なスマイルを顔に浮かべた。なんだってんだ。  「長門、なにか思いつかないか?ハルヒが考えそうな試験問題なんだが」  そう尋ねると、  「あなたに足りない感情を補うため、涼宮ハルヒはそれに関する問題を出題する可能性がある」  前にもこんなことがあったな。長門はこれから自分が発言する言葉に人間らしい意味を持たせているんだろう。本をまた手に置きこういった。    「あなたは鈍感」  長門、言うようになったな。  「おや、これは手厳しい」  うるさい古泉。お前もだ。  β―9  火曜日。  いつもの坂を登りながら登校する。喜緑さんが言うに、長門が倒れてから四日たつのか。四日前確かに俺は長門に電話をして無事を確認したのにな。そうこう考えてると、  「おーい、どうした。しけたツラして」  この時間よく会ういつもの二人がやってきた。  「少し寝不足なのかい?まさか遅くまで勉強してたんじゃないだろうね。1時限目の数学の時間は小テストがあるし」  国木田、何で今思い出させるんだ。もう少し早く言ってくれても良かったじゃないか。とはいえ今の俺に勉強する余裕などないがな。  「なんだって、マ・マ・マ、マジかよ」  変な驚き方をするな谷口。二人で最下位争いしようじゃないか。  1時限目終了のチャイムがなる。予想通りさっぱりだったな。近寄ってきた谷口は、  「どうだった?」  聞かんでも分かるだろ。俺もさっぱりさ。  「俺も、とは何だ、俺も、とは」  何だお前は出来が良かったのか?そうこうやりとりしていると、国木田もやってきた。  「谷口は谷口で、試験中ずっと頭を抱えてたじゃないか。あきらめたように途中で寝ちゃうしさ」  ほら見ろ。やっぱりお前はお前だ。国木田はそんな谷口を見ているヒマがあったのか。  「ぼくはまあまあかな。涼宮さんと比べるとまだまだだろうけどね」  と、俺の後ろを見た。テストの途中から机に突っ伏してるな。谷口とは違って余裕があるからなんだろうが。二人が去ると、俺はハルヒに話しかけた。  「よう、今日も寝不足か?」  そう問いかけると、目をこすりハルヒは、  「そりゃそうよ。有希は今日も学校に来てないらしいし。心配で眠れやしないわ」  どうやらハルヒは隣のクラスの担任に聞きにいったらしい。それから喜緑さんと連絡をとり、喜緑さんは引き続き看病しているとか。  「まあ心配だな。早く治ってほしいが」  「そうよね。学校が終わったらまた皆で見舞いに行きましょ」  もっとも見舞いに行っても何もできないかもしれない。あの九曜が攻撃しているんだからな。  4時限目まで俺は憂鬱だった。ハルヒも同じようだ。ずっと突っ伏したままだった。  昼休み、教室で弁当を即効で食い終え古泉のいる九組へと向かおうと廊下を歩いていると、後ろから俺の名前を呼ぶ声がした。  「やあキョンくん、探してたっさっ」  鶴屋さん、わざわざ探して下さっていたのか。あんなお願いをしてるから本当はこっちから出向かなければならないのに。それでも鶴屋さんは気さくに話を続けた。  「また見たがっているって聞いてびっくりしたっさっ。山に埋まっていたあの棒で良いのかいっ?」  昨日の俺の説明でうまく伝わっていたんだ。  「ええ、それがどうしても見たくって。でもとても貴重な骨董品ですよね。ええと・・・最近SOS団で考古学について研究してまして。それで・・・」  いかん、もっとうまく言い訳を考えておけばよかった。そんな俺を察して鶴屋さんはやさしく答えてくれた。  「それ以上はいいっさっ。もとはといえばキョンくんが見つけたんじゃないっかい。親御さんも快く了解してくれたっさっ。さっそく持って来たっさ」  そんなはずないだろう。いくら俺がそこにあると解ったとはいえ、鶴屋家所有の山で発見し、共にそれが鶴屋家のご先祖様が残した遺産物だと分かったのに。きっと頼み倒したか、怒られるのを承知で持ち出したに違いない。  「キョンくんはこれから用事があるのっかい?それならみくるに渡しておくっさっ。放課後用事があって部室に持っていけそうにないんだっ。」   「ありがとうございます」  やはりこの人は大物だな。すでに鶴屋家次代当主の資格を得ている気がする。  「それよりも・・・」  「なんですか、鶴屋さん」  「あれは未来人の忘れ物か、宇宙船の欠片か、どっちか解ったかなっ。どっちにしても面白そうだねっ。キョンくん、SOS団員皆に優しくするんだよっ」  そう言って鶴屋さんは去っていった。  「おや、あなたの方から訪れていた頂けるとは」  古泉は、昨日部室に会った本を読んでいた。  「場所を移動しましょうか」  「ああ」  俺と古泉は中庭へとやってきた。あいているテーブルに向かい座ると、 「この本はSF小説のようです。登場人物は次元を超えてワープすることができるようですね。それよりこんなものが挟まっていました」  と、古泉は俺に差し出した。長門、やはり俺たちにヒントを出してくれたんだな。それにはこう書いてあった。       E≠hf  何だこれは。まちがいなく数式と捉えていいだろうな。しかし雪山で出してくれた時のとは違って、空白の部分がない。あったとしても今度はどこに当てはめればいいのかも分からない。どういうことだ古泉。  「似たような式を見たことはあります。ただおっしゃるとおり、これをどうしたらよいものかと考えているのですよ」  確かに、古泉ばかり攻める訳にいかない。前回とは違い、そのままの式なんだ。ましてや不等号になんぞなってる。  その後古泉はその不等式とにらめっこ状態で、俺は他に何か手がかりを探そうと、本を読みあさった。SF小説なんだか恋愛小説なんだか解らない。いつぞやハルヒが出した幻想ホラーといったジャンルのように混ざっている気がする。そんな甲斐もなく、中庭には昼休み終了のチャイムが響き渡っていた。 →[[「涼宮ハルヒのビックリ」第五章α‐10 β‐10]]へ

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