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涼宮ハルヒの仮入部~テニス部編~」(2020/03/12 (木) 14:56:47) の最新版変更点

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<p>俺がこの学校に入学して早2週間。<br /> 今となっちゃあ、あんなに勉強しなくても入れたんじゃないか?と思うものだが、まあ勉強して損したとは思えないからよしとしよう。<br /> ところで俺は今、テニスをやっている。<br /> というのも、部活中だからだ。<br /> ちなみに、このテニス部は男子と女子両方あって、それぞれのコートは用意されている。<br /> 名目上はただたんにテニス部であるが、まあ男子テニス部と女子テニス部に分かれていると言っても問題はないだろう。<br /> ただ、顧問の先生が一緒なだけだ。<br /> <br /> 「はい、じゃあ10分ぐらい休憩」<br /> 男子部長が男子部員に言う。<br /> 女子のほうはまだやっているようだ。<br /> ちなみに、その中の一人が・・・すっごい実力を発揮している。<br /> <br /> 涼宮ハルヒ<br /> <br /> 入学式のときのぶったまげた言葉は、多分冗談だろう。<br /> ただたんに目立ちたがり屋なだけだ。<br /> そのためかどうかは知らんが、いろんな部活に仮入部していってるらしい。<br /> 目立ちたがり屋という性格は、嫌われると思うんだがな。<br /> ところで、ここからじゃよく分からないが、5組の教室からこっちを双眼鏡ごしに見ている男がいるが・・・誰だあれ?<br /> <br /> まあ、そんなことはどうでもいい。<br /> どうせ、俺ではなく、女子のほうだろう。<br /> 俺は、いったん近くの椅子に座り、鞄から英語の単語帳を出して勉強しはじめた。<br /> いつからだろうな?こんな、マジメな人間になってしまったのは。<br /> そのおかげで、それなりにいい点がとれるのはいいが、<br /> 覚えておきたかった記憶がなくなっているような気がする。<br /> たとえば、小さいころに母さんと行った女風呂の光景とかな。<br /> そういえば、こないだの体育の授業の着替えで、俺や他男子多数が残っているにも関わらず、あそこでものすごい実力を発揮している涼宮ハルヒが、体操服に着替えだしたとき、<br /> 俺は思わず見入ってしまった。<br /> そのまま、その映像を脳内保存するつもりだったんだがな、<br /> 佐伯さんによって廊下に放り出されたときに、記憶が曖昧になってしまった。<br /> 何色だったかな?<br /> 黒だったような、赤だったような・・・<br /> <br /> いかんいかん、そんなことよりも勉強に集中しなければ。<br /> えっと、『success』は『せいこうする』か。<br /> いかん、またそっち方向に考えてしまった。<br /> <br /> 「おい、植松」<br /> 先輩が話しかけてきながら、俺の隣に座った。<br /> この先輩は、中学のときの部活の先輩でもある。<br /> まあ、中学で、テニス部だったから何人かは知ってる人がいるとは思ったが。<br /> 何でこの変態先輩とまた一緒なんだろうな。<br /> <br /> 「あの子すごくね?男子でも対等で勝負できんだろ」<br /> 先輩が言う、あの子とは、涼宮ハルヒのことだった。<br /> まあ、確かにすごいな。<br /> 「お前、あの子のこと知ってる?」<br /> 「ええ、俺と同じクラスですよ」<br /> 「マジで!なんていう名前?」<br /> 名前なんて聞いてどうすんだよ・・・とは思いながらも、まあ気持ちは分からなくもないので、<br /> 「涼宮ハルヒ・・・だったかな?」と答えておく。<br /> 「おいお前、フルネームで覚えてんのかよ!惚れたか?」<br /> 「ただたんに、自己紹介のインパクトが強すぎただけですよ」<br /> 「なんて言ったんだ?イニシャルのとおり、SでHですとかか?」<br /> 「そんなわけないじゃないですか」<br /> せっかく、そっちの方向はさっきから考えないようにしてたのに、そっちの方向に話をもっていこうとしないでください。<br /> 一瞬、想像しちゃったじゃないですか。<br /> まあ、とにかく俺は、彼女の自己紹介の言葉を思い出し、簡単に言った。<br /> 「普通の人間よりも、宇宙人とかが好き。もしいたらあたしのところに来てくださいって」<br /> 「ほー。SFマニアか」<br /> 「そうかもしれませんね」<br /> 軽く話を流しておく。<br /> 今は勉強中です。邪魔しないでください。<br /> えっと、『edge』の読み方は『エッジ』<br /> ・・・チじゃなくてジだぞ。<br /> <br /> 「俺、ハルヒちゃんと試合してこようかな?」<br /> 「部長に怒られますよ」<br /> 「なんならお前も道連れだ」<br /> 「えっ!ちょ、どういう意味ですか?」<br /> と言ってるときにはもう、先輩に腕を引っ張られていた。<br /> あっ!単語帳が!地面に落ちて汚れた!<br /> <br /> 「どうもどうも、女子部員のみなさん!今日はいい天気ですね!」<br /> どういう話の始まり方だよ!<br /> 「実は、この男が、ぜひそちらのお嬢さんと試合をしてみたいというものでして!」<br /> 俺じゃねーよ、そう思ったのは。<br /> 「でも、一人じゃ不安なので、ダブルスという形でと思いまして」<br /> 先輩と息があうのかは分かりませんがね。<br /> <br /> で、その後はしなくてもいいのに、話は順調に進んでいき、<br /> 結局、俺と先輩、涼宮ハルヒと誰か女子の先輩でやることになった。<br /> 普通に考えたら、こっちのほうが有利だろ。<br /> 基本的に、女子より男子のほうが体力があるはずだからな。<br /> <br /> 話し合いの結果、まずは女子チームが先にサーブ権をもつことになった。<br /> 先にサーブするのは、涼宮ハルヒ。レシーブは先輩だ。<br /> 涼宮ハルヒはボールをあげ・・・打った。<br /> 打たれた球はいったん俺より右側のコートにぶつかり、跳ね返った球を先輩が打ちかえす・・・はずだったんが、<br /> 先輩が打った球は空高く飛んでいき、そのまま相手コートの外側に着地してアウトになった。<br /> はっきり言おう。近くで見てよく分かった。<br /> この女ただものじゃねー。<br /> <br /> 次のレシーブは俺だ。打てるかどうか分からんが、微妙に俺に向けられた先輩の目が怖い。<br /> なんか、アイコンタクトしてるようにも感じるが、何が言いたいのか分かりません。<br /> ところで、涼宮ハルヒがこちらを見る目もどことなく怖い。<br /> そして、先ほどのように涼宮ハルヒはボールを打った。<br /> <br /> 集中してボールを見る。<br /> よし、打てる。<br /> そんなこと考えてる暇もないぐらい、早いスピードで飛んできたのだが、なんとか相手コートに打ちかえすことはできた。<br /> 俺が打ったのが俺から見た左側で、女子の先輩のほうだったためか、その球がこっちのコートに返ってくることはなかった。<br /> 涼宮ハルヒはその先輩を睨みつけているよう。<br /> おいおい、先輩を睨むな。<br /> <br /> で、試合は続いていって第1ゲームは女子チームの勝ち。<br /> やっぱり、あのサーブはきつい。打ち返すのでせいいっぱいだ。<br /> <br /> さて、続いて第2ゲーム。サーブは先輩、レシーブは涼宮ハルヒ。<br /> 先輩が球を上にあげ、打った。<br /> そして、その球を涼宮ハルヒは俺のほうに打ち返した。<br /> そして、俺はその球を返す。というより、球から身を守ったといったほうがあってるかもしれん。<br /> 真正面にボールが飛んできて、思わずラケットを顔の前に持ってきたからな。<br /> まあ、そのおかげで相手コートのサービスコートに球が入って、そのまま高くとんでいき、なんとか得点を得ることができたんだが。<br /> <br /> けれども、第2ゲームも女子チームの勝ち。<br /> どう考えたって、涼宮ハルヒのがんばりのおかげだ。<br /> 女子の先輩のほうは、女子の中では強いほうの部類に入るんだろうが、やはり、男子にはかなわないといったところか。<br /> なんとか、サーブを打ち返せるといったところだ。<br /> かくいうこっちも、涼宮ハルヒのサーブをなんとか打ち返せるレベルでしかないんだが。<br /> にしても、あの女、本当に人間か?<br /> 宇宙人とか探してるみたいだが、自分がその部類じゃないのか?<br /> いや、別に俺は宇宙人を信じてるわけではないんだが。<br /> <br /> 続いて第3ゲーム。サーブは女子の先輩だ。<br /> ここまで来たら、俺も慣れてきたもので、ようはあの女子の先輩のほうに打てば、球がなかなか返ってこない。返ってきたとしても、強い球じゃない。<br /> 涼宮ハルヒに睨まれるが、そう睨まないでくれ。<br /> そんなにずるいやり方じゃないだろ。<br /> ということで、なんとか第3ゲームは男子チーム、つまり俺らの勝ちとなったわけだ。<br /> <br /> ここで、気づいたのだが、どうやら女子部員も男子部員も俺らの試合の観戦に夢中になっているよう。<br /> まあ、それなりに面白い試合だとは思うので、分からなくはないが・・・<br /> お前らも、練習しろよ。<br /> <br /> さて、第4ゲームだ。<br /> いよいよ俺にサーブ権がまわってきた。<br /> 悪いが、サーブには自信があるんだ。<br /> 今回も勝たせてもらうぞ。<br /> <br /> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<br /> <br /> 先ほどからデュースが続いている。<br /> やはり、この涼宮ハルヒはなかなか手ごわいようだ。<br /> さて、実は言うと次に相手チームに得点が入ったら相手チームの勝ちだ。<br /> <br /> 俺は、ボールを高くあげ、打った。<br /> 涼宮ハルヒが打ち返した。<br /> 俺は、女子の先輩のほうに打ち返す・・・すると、<br /> 「ちょっと、そこ邪魔」<br /> と言って、涼宮ハルヒが、女子の先輩を押しのけて、打ち返してきた。<br /> 確かに、そのほうが勝てるかもしれないが、無茶苦茶失礼だぞ。<br /> だけど、そんなこと気にしてる暇はないので、そのまま打ち返す。<br /> <br /> 「植松がんばれよー!」<br /> 誰かの応援してる声が聞こえる・・・<br /> って、先輩!何やってんですか!<br /> あなたも参加してくださいよ。<br /> これじゃあ、まるでシングルスじゃないですか。<br /> <br /> 仕方ないから、そのまま続ける。<br /> やっぱり、涼宮ハルヒの打つ球は強い。<br /> だが、そろそろこの球にも慣れてきた。<br /> そろそろ、この球をうまくコントロールできそうだ。<br /> 俺は相手コートのエッジを狙う。<br /> せいこうしてくれ!<br /> <br /> トン<br /> <br /> よし!成功した!<br /> いや、確かに成功したんだが、そこについたら打ち返せないだろうと考えた俺がバカだったのか、<br /> 普通にボールは返され、油断していた俺はラケットにボールをあてたのはいいものの、そのままラケットごと後ろにぶっとばされた。<br /> なんちゅう威力だよ。<br /> <br /> そして、部長がそろそろ帰ってこいと言ったため、そこで試合は終わった。<br /> 1-3で、女子チームの勝ちだ。<br /> 女子に負けたというのにあまりショックをうけないのはなんでだろう?<br /> <br /> その後、「あたしやめます」<br /> そう言いながら、涼宮ハルヒはトタトタとテニスコートを出て行った。<br /> 慌てて、女子の部長達が説得しに行く。<br /> まあ、それだけなら俺も関係ないから別にどうでもよかったんだが・・・<br />  </p> <dl> <dd>「テメーのせいで、ハルヒちゃんやめちゃったじゃねーか!」<br /> と、先輩が怒鳴りだした<br /> 何で俺のせいなんだよ!<br /> 「お前が弱すぎて、気持ちいい終わり方ができなかったから怒って帰っちゃったんだろ!」<br /> だから、あっち方面っぽい言い方言わないでください。<br /> だいたい、先輩も先輩じゃないですか。<br /> 「俺は悪くない。お前がもっとテクニシャンな技を見せなかったから」<br /> なんだそりゃ!<br /> 「ああいう子はな、普通な人間じゃ物足りないんだよ。もっと上のレベルをだな」<br /> はいはい、どうせ俺は普通ですよ。<br /> <br /> 「おいお前ら、さっさと戻って来い。ったく、女に負けるとはどういうことだ」<br /> 部長まで怒らないでください。<br /> 悪いのは全部、この先輩です。<br /> 負けたのは、涼宮ハルヒが強すぎるからです。<br /> ったく、この先輩、いつかノー得点で負かしてやる。<br /> <br /> ああ!!<br /> 英語の単語帳、誰かに踏まれてる!!</dd> </dl>
俺がこの学校に入学して早2週間。<br /> 今となっちゃあ、あんなに勉強しなくても入れたんじゃないか?と思うものだが、まあ勉強して損したとは思えないからよしとしよう。<br /> ところで俺は今、テニスをやっている。<br /> というのも、部活中だからだ。<br /> ちなみに、このテニス部は男子と女子両方あって、それぞれのコートは用意されている。<br /> 名目上はただたんにテニス部であるが、まあ男子テニス部と女子テニス部に分かれていると言っても問題はないだろう。<br /> ただ、顧問の先生が一緒なだけだ。<br /> <br /> 「はい、じゃあ10分ぐらい休憩」<br /> 男子部長が男子部員に言う。<br /> 女子のほうはまだやっているようだ。<br /> ちなみに、その中の一人が・・・すっごい実力を発揮している。<br /> <br /> 涼宮ハルヒ<br /> <br /> 入学式のときのぶったまげた言葉は、多分冗談だろう。<br /> ただたんに目立ちたがり屋なだけだ。<br /> そのためかどうかは知らんが、いろんな部活に仮入部していってるらしい。<br /> 目立ちたがり屋という性格は、嫌われると思うんだがな。<br /> ところで、ここからじゃよく分からないが、5組の教室からこっちを双眼鏡ごしに見ている男がいるが・・・誰だあれ?<br /> <br /> まあ、そんなことはどうでもいい。<br /> どうせ、俺ではなく、女子のほうだろう。<br /> 俺は、いったん近くの椅子に座り、鞄から英語の単語帳を出して勉強しはじめた。<br /> いつからだろうな?こんな、マジメな人間になってしまったのは。<br /> そのおかげで、それなりにいい点がとれるのはいいが、<br /> 覚えておきたかった記憶がなくなっているような気がする。<br /> たとえば、小さいころに母さんと行った女風呂の光景とかな。<br /> そういえば、こないだの体育の授業の着替えで、俺や他男子多数が残っているにも関わらず、あそこでものすごい実力を発揮している涼宮ハルヒが、体操服に着替えだしたとき、<br /> 俺は思わず見入ってしまった。<br /> そのまま、その映像を脳内保存するつもりだったんだがな、<br /> 佐伯さんによって廊下に放り出されたときに、記憶が曖昧になってしまった。<br /> 何色だったかな?<br /> 黒だったような、赤だったような・・・<br /> <br /> いかんいかん、そんなことよりも勉強に集中しなければ。<br /> えっと、『success』は『せいこうする』か。<br /> いかん、またそっち方向に考えてしまった。<br /> <br /> 「おい、植松」<br /> 先輩が話しかけてきながら、俺の隣に座った。<br /> この先輩は、中学のときの部活の先輩でもある。<br /> まあ、中学で、テニス部だったから何人かは知ってる人がいるとは思ったが。<br /> 何でこの変態先輩とまた一緒なんだろうな。<br /> <br /> 「あの子すごくね?男子でも対等で勝負できんだろ」<br /> 先輩が言う、あの子とは、涼宮ハルヒのことだった。<br /> まあ、確かにすごいな。<br /> 「お前、あの子のこと知ってる?」<br /> 「ええ、俺と同じクラスですよ」<br /> 「マジで!なんていう名前?」<br /> 名前なんて聞いてどうすんだよ・・・とは思いながらも、まあ気持ちは分からなくもないので、<br /> 「涼宮ハルヒ・・・だったかな?」と答えておく。<br /> 「おいお前、フルネームで覚えてんのかよ!惚れたか?」<br /> 「ただたんに、自己紹介のインパクトが強すぎただけですよ」<br /> 「なんて言ったんだ?イニシャルのとおり、SでHですとかか?」<br /> 「そんなわけないじゃないですか」<br /> せっかく、そっちの方向はさっきから考えないようにしてたのに、そっちの方向に話をもっていこうとしないでください。<br /> 一瞬、想像しちゃったじゃないですか。<br /> まあ、とにかく俺は、彼女の自己紹介の言葉を思い出し、簡単に言った。<br /> 「普通の人間よりも、宇宙人とかが好き。もしいたらあたしのところに来てくださいって」<br /> 「ほー。SFマニアか」<br /> 「そうかもしれませんね」<br /> 軽く話を流しておく。<br /> 今は勉強中です。邪魔しないでください。<br /> えっと、『edge』の読み方は『エッジ』<br /> ・・・チじゃなくてジだぞ。<br /> <br /> 「俺、ハルヒちゃんと試合してこようかな?」<br /> 「部長に怒られますよ」<br /> 「なんならお前も道連れだ」<br /> 「えっ!ちょ、どういう意味ですか?」<br /> と言ってるときにはもう、先輩に腕を引っ張られていた。<br /> あっ!単語帳が!地面に落ちて汚れた!<br /> <br /> 「どうもどうも、女子部員のみなさん!今日はいい天気ですね!」<br /> どういう話の始まり方だよ!<br /> 「実は、この男が、ぜひそちらのお嬢さんと試合をしてみたいというものでして!」<br /> 俺じゃねーよ、そう思ったのは。<br /> 「でも、一人じゃ不安なので、ダブルスという形でと思いまして」<br /> 先輩と息があうのかは分かりませんがね。<br /> <br /> で、その後はしなくてもいいのに、話は順調に進んでいき、<br /> 結局、俺と先輩、涼宮ハルヒと誰か女子の先輩でやることになった。<br /> 普通に考えたら、こっちのほうが有利だろ。<br /> 基本的に、女子より男子のほうが体力があるはずだからな。<br /> <br /> 話し合いの結果、まずは女子チームが先にサーブ権をもつことになった。<br /> 先にサーブするのは、涼宮ハルヒ。レシーブは先輩だ。<br /> 涼宮ハルヒはボールをあげ・・・打った。<br /> 打たれた球はいったん俺より右側のコートにぶつかり、跳ね返った球を先輩が打ちかえす・・・はずだったんが、<br /> 先輩が打った球は空高く飛んでいき、そのまま相手コートの外側に着地してアウトになった。<br /> はっきり言おう。近くで見てよく分かった。<br /> この女ただものじゃねー。<br /> <br /> 次のレシーブは俺だ。打てるかどうか分からんが、微妙に俺に向けられた先輩の目が怖い。<br /> なんか、アイコンタクトしてるようにも感じるが、何が言いたいのか分かりません。<br /> ところで、涼宮ハルヒがこちらを見る目もどことなく怖い。<br /> そして、先ほどのように涼宮ハルヒはボールを打った。<br /> <br /> 集中してボールを見る。<br /> よし、打てる。<br /> そんなこと考えてる暇もないぐらい、早いスピードで飛んできたのだが、なんとか相手コートに打ちかえすことはできた。<br /> 俺が打ったのが俺から見た左側で、女子の先輩のほうだったためか、その球がこっちのコートに返ってくることはなかった。<br /> 涼宮ハルヒはその先輩を睨みつけているよう。<br /> おいおい、先輩を睨むな。<br /> <br /> で、試合は続いていって第1ゲームは女子チームの勝ち。<br /> やっぱり、あのサーブはきつい。打ち返すのでせいいっぱいだ。<br /> <br /> さて、続いて第2ゲーム。サーブは先輩、レシーブは涼宮ハルヒ。<br /> 先輩が球を上にあげ、打った。<br /> そして、その球を涼宮ハルヒは俺のほうに打ち返した。<br /> そして、俺はその球を返す。というより、球から身を守ったといったほうがあってるかもしれん。<br /> 真正面にボールが飛んできて、思わずラケットを顔の前に持ってきたからな。<br /> まあ、そのおかげで相手コートのサービスコートに球が入って、そのまま高くとんでいき、なんとか得点を得ることができたんだが。<br /> <br /> けれども、第2ゲームも女子チームの勝ち。<br /> どう考えたって、涼宮ハルヒのがんばりのおかげだ。<br /> 女子の先輩のほうは、女子の中では強いほうの部類に入るんだろうが、やはり、男子にはかなわないといったところか。<br /> なんとか、サーブを打ち返せるといったところだ。<br /> かくいうこっちも、涼宮ハルヒのサーブをなんとか打ち返せるレベルでしかないんだが。<br /> にしても、あの女、本当に人間か?<br /> 宇宙人とか探してるみたいだが、自分がその部類じゃないのか?<br /> いや、別に俺は宇宙人を信じてるわけではないんだが。<br /> <br /> 続いて第3ゲーム。サーブは女子の先輩だ。<br /> ここまで来たら、俺も慣れてきたもので、ようはあの女子の先輩のほうに打てば、球がなかなか返ってこない。返ってきたとしても、強い球じゃない。<br /> 涼宮ハルヒに睨まれるが、そう睨まないでくれ。<br /> そんなにずるいやり方じゃないだろ。<br /> ということで、なんとか第3ゲームは男子チーム、つまり俺らの勝ちとなったわけだ。<br /> <br /> ここで、気づいたのだが、どうやら女子部員も男子部員も俺らの試合の観戦に夢中になっているよう。<br /> まあ、それなりに面白い試合だとは思うので、分からなくはないが・・・<br /> お前らも、練習しろよ。<br /> <br /> さて、第4ゲームだ。<br /> いよいよ俺にサーブ権がまわってきた。<br /> 悪いが、サーブには自信があるんだ。<br /> 今回も勝たせてもらうぞ。<br /> <br /> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<br /> <br /> 先ほどからデュースが続いている。<br /> やはり、この涼宮ハルヒはなかなか手ごわいようだ。<br /> さて、実は言うと次に相手チームに得点が入ったら相手チームの勝ちだ。<br /> <br /> 俺は、ボールを高くあげ、打った。<br /> 涼宮ハルヒが打ち返した。<br /> 俺は、女子の先輩のほうに打ち返す・・・すると、<br /> 「ちょっと、そこ邪魔」<br /> と言って、涼宮ハルヒが、女子の先輩を押しのけて、打ち返してきた。<br /> 確かに、そのほうが勝てるかもしれないが、無茶苦茶失礼だぞ。<br /> だけど、そんなこと気にしてる暇はないので、そのまま打ち返す。<br /> <br /> 「植松がんばれよー!」<br /> 誰かの応援してる声が聞こえる・・・<br /> って、先輩!何やってんですか!<br /> あなたも参加してくださいよ。<br /> これじゃあ、まるでシングルスじゃないですか。<br /> <br /> 仕方ないから、そのまま続ける。<br /> やっぱり、涼宮ハルヒの打つ球は強い。<br /> だが、そろそろこの球にも慣れてきた。<br /> そろそろ、この球をうまくコントロールできそうだ。<br /> 俺は相手コートのエッジを狙う。<br /> せいこうしてくれ!<br /> <br /> トン<br /> <br /> よし!成功した!<br /> いや、確かに成功したんだが、そこについたら打ち返せないだろうと考えた俺がバカだったのか、<br /> 普通にボールは返され、油断していた俺はラケットにボールをあてたのはいいものの、そのままラケットごと後ろにぶっとばされた。<br /> なんちゅう威力だよ。<br /> <br /> そして、部長がそろそろ帰ってこいと言ったため、そこで試合は終わった。<br /> 1-3で、女子チームの勝ちだ。<br /> 女子に負けたというのにあまりショックをうけないのはなんでだろう?<br /> <br /> その後、「あたしやめます」<br /> そう言いながら、涼宮ハルヒはトタトタとテニスコートを出て行った。<br /> 慌てて、女子の部長達が説得しに行く。<br /> まあ、それだけなら俺も関係ないから別にどうでもよかったんだが・・・<br /> <br /> <dl> <dd>「テメーのせいで、ハルヒちゃんやめちゃったじゃねーか!」<br /> と、先輩が怒鳴りだした<br /> 何で俺のせいなんだよ!<br /> 「お前が弱すぎて、気持ちいい終わり方ができなかったから怒って帰っちゃったんだろ!」<br /> だから、あっち方面っぽい言い方言わないでください。<br /> だいたい、先輩も先輩じゃないですか。<br /> 「俺は悪くない。お前がもっとテクニシャンな技を見せなかったから」<br /> なんだそりゃ!<br /> 「ああいう子はな、普通な人間じゃ物足りないんだよ。もっと上のレベルをだな」<br /> はいはい、どうせ俺は普通ですよ。<br /> <br /> 「おいお前ら、さっさと戻って来い。ったく、女に負けるとはどういうことだ」<br /> 部長まで怒らないでください。<br /> 悪いのは全部、この先輩です。<br /> 負けたのは、涼宮ハルヒが強すぎるからです。<br /> ったく、この先輩、いつかノー得点で負かしてやる。<br /> <br /> ああ!!<br /> 英語の単語帳、誰かに踏まれてる!!<br /></dd> </dl>

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