「お題「ドライヤー」」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「お題「ドライヤー」」(2008/12/04 (木) 08:44:14) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
<ul><li><a title="目次 (2h)" href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5160.html">目次</a></li>
</ul><hr /><br /><br />
たまーに考えることがある。<br />
今こうして目の前にいるみくるは、本当にこの時代のみくるなのかな?って。<br /><br />
愛くるしい顔のみくるはまるでハムスターのようにご飯を頬張っている。<br /><br />
「ふぇ?どうしたんですか?鶴屋さん」<br />
「ん、何でもないっさ!考えごと考えごと!」<br /><br />
朝比奈みくる、朝比奈みちる。<br />
いつの日か、みちる…みくるの双子の妹は私の家にやってきて、しばらく泊まっていった。<br /><br />
みくるのようでみくるじゃなくて、みくるじゃないようでみくるのようで。<br />
…自分で何を言ってるのかわからないや。<br /><br />
一緒にご飯を食べて、一緒にお風呂に入って、一緒に眠りについて。<br />
懐かしいなぁ、私の髪が凄く長いから、みちるはドライヤー使って一生懸命乾かしてくれたんだっけ。<br /><br />
『…なかなか乾かないですぅ』<br />
『私の髪が乾いたら今度はみちるの髪を乾かしてあげるっさ!』<br /><br />
慣れない手つきで人の髪をとかすその姿はみくるのようでみくるじゃなくて…これはもういいや。<br />
何というか、みちるはみくるだったんじゃないのかなぁ?って。<br />
でもあの時は、北高にみくるはもう1人いて…あれ?そうするとみくるが2人?<br /><br /><br />
…頭が痛い…<br /><br />
キョンくんが言った期限を待つか待たないかの間にみちるはいなくなってしまった。<br />
キョンくんは、みちるはもう帰ってしまったと言ってくれた。<br />
よくはわからないけど、もう会えないんじゃないかと思った。<br /><br />
…みくるもいつか勝手にいなくなっちゃうのかな?<br />
仮にみちるがこの時代以外から来たみくるだとして、今、目の前にいるみくるももしかしたら別の時代から来たみくるかもしれなくて。<br /><br />
そうしたら、きっとみちるみたいにどこかいっちゃうのかな?<br /><br />
そうしたらこの時代にみくるは残らないのかな?<br /><br />
そうしたら私は今まで誰と一緒にいたのかな?<br /><br />
そうしたら…私はみくるといたことを…<br /><br />
「鶴屋さん?ご飯食べないんですか?」<br />
「へ?」<br />
「さっきから変ですよ鶴屋さん…大丈夫ですか?」<br /><br />
いけないいけない、みくるを心配させてしまったみたいだ。<br />
「大丈夫っさ、みくるは優しい子だねぇ!」<br /><br />
もしもの話を繰り返したらキリがないのはわかってる。<br />
でも、みちるがいなくなった以上どうしても気になっている自分がいる。<br /><br />
聞いてみたい。<br /><br />
聞けるわけがない。<br /><br />
怖い?<br /><br />
怖いにきまっている。<br /><br />
聞いたところでみくるを不安にさせるだけだ。<br />
みくるは笑顔が似合う子だ。<br />
できればずっと笑っていてほしい。<br /><br />
でも、今度いなくなるときは、一言言ってほしいな。<br />
留守番電話でも、置き手紙でも。<br /><br />
きっと全力で世界中を探し回っちゃうよ。<br /><br />
…みくるは気が回る子だから大丈夫だよね?<br /><br />
私のこと忘れないよね?<br /><br />
…いなくなってしまうわけじゃないのにこんな事を考えてしまう自分が嫌だ。<br /><br />
「鶴屋さん?」<br />
「大丈夫っさ!ボーっとしてないしご飯も食べてるにょろよ?」<br />
「いえ…その…鶴屋さん、笑って無かったから…鶴屋さんはいつも笑顔でいたから、不安で…」<br /><br />
………。<br />
そっか、私がみくるのことを思うように、みくるも私のことを思ってくれてたんだ。<br /><br />
何故か一本取られた気分。<br />
心配してたはずが心配されてたなんて。<br /><br />
可笑しいくらいに笑いがこみ上げてくる。<br />
嗚呼、本当に自分が馬鹿馬鹿しい。<br /><br />
「…みくる」<br />
「え?何ですかぁ?」<br />
「今度家に泊まりにおいで!」<br />
「へ!?どうしたんですかいきなり!」<br />
「いいからいいから!決まりね!」<br /><br />
多分、別れはいつか勝手にやってきて、いつか勝手に私とみくるを引き離すだろう。<br /><br />
たとえそれがどんな形であれ、きっとみくると会えることは無くなるだろう。<br /><br />
でも、それだけだ。<br /><br />
私はみくるを思う、みくるは私を思ってくれている。<br />
これだけで十分だ。<br /><br />
万が一、忘れないように、色んなことをしよう。<br />
またドライヤーで髪を乾かしあおう、形に残るように写真を撮ろう。<br /><br />
心に残るように、たくさん笑いあおう。<br /><br />
いつかみくるが私を忘れたその時に、私の声が届けば良いな。<br />
いつか私がみくるを忘れたその時に、みくるの声が届けば良いな。<br /><br />
…ねぇ、みくる?<br /><br />
「ずっと友達でいようね!」<br />
「ふふっ、当たり前じゃないですか」<br /><br />
…ありがとう、みくる。<br />
みくると一緒にいたことを、私はずっと誇りに思うよ。
<ul><li><a title="目次 (2h)" href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5160.html">目次</a></li>
</ul><hr /><br /><br />
たまーに考えることがある。<br />
今こうして目の前にいるみくるは、本当にこの時代のみくるなのかな?って。<br /><br />
愛くるしい顔のみくるはまるでハムスターのようにご飯を頬張っている。<br /><br />
「ふぇ?どうしたんですか?鶴屋さん」<br />
「ん、何でもないっさ!考えごと考えごと!」<br /><br />
朝比奈みくる、朝比奈みちる。<br />
いつの日か、みちる…みくるの双子の妹は私の家にやってきて、しばらく泊まっていった。<br /><br />
みくるのようでみくるじゃなくて、みくるじゃないようでみくるのようで。<br />
…自分で何を言ってるのかわからないや。<br /><br />
一緒にご飯を食べて、一緒にお風呂に入って、一緒に眠りについて。<br />
懐かしいなぁ、私の髪が凄く長いから、みちるはドライヤー使って一生懸命乾かしてくれたんだっけ。<br /><br />
『…なかなか乾かないですぅ』<br />
『私の髪が乾いたら今度はみちるの髪を乾かしてあげるっさ!』<br /><br />
慣れない手つきで人の髪をとかすその姿はみくるのようでみくるじゃなくて…これはもういいや。<br />
何というか、みちるはみくるだったんじゃないのかなぁ?って。<br />
でもあの時は、北高にみくるはもう1人いて…あれ?そうするとみくるが2人?<br /><br /><br />
…頭が痛い…<br /><br />
キョンくんが言った期限を待つか待たないかの間にみちるはいなくなってしまった。<br />
キョンくんは、みちるはもう帰ってしまったと言ってくれた。<br />
よくはわからないけど、もう会えないんじゃないかと思った。<br /><br />
…みくるもいつか勝手にいなくなっちゃうのかな?<br />
仮にみちるがこの時代以外から来たみくるだとして、今、目の前にいるみくるももしかしたら別の時代から来たみくるかもしれなくて。<br /><br />
そうしたら、きっとみちるみたいにどこかいっちゃうのかな?<br /><br />
そうしたらこの時代にみくるは残らないのかな?<br /><br />
そうしたら私は今まで誰と一緒にいたのかな?<br /><br />
そうしたら…私はみくるといたことを…<br /><br />
「鶴屋さん?ご飯食べないんですか?」<br />
「へ?」<br />
「さっきから変ですよ鶴屋さん…大丈夫ですか?」<br /><br />
いけないいけない、みくるを心配させてしまったみたいだ。<br />
「大丈夫っさ、みくるは優しい子だねぇ!」<br /><br />
もしもの話を繰り返したらキリがないのはわかってる。<br />
でも、みちるがいなくなった以上どうしても気になっている自分がいる。<br /><br />
聞いてみたい。<br /><br />
聞けるわけがない。<br /><br />
怖い?<br /><br />
怖いにきまっている。<br /><br />
聞いたところでみくるを不安にさせるだけだ。<br />
みくるは笑顔が似合う子だ。<br />
できればずっと笑っていてほしい。<br /><br />
でも、今度いなくなるときは、一言言ってほしいな。<br />
留守番電話でも、置き手紙でも。<br /><br />
きっと全力で世界中を探し回っちゃうよ。<br /><br />
…みくるは気が回る子だから大丈夫だよね?<br /><br />
私のこと忘れないよね?<br /><br />
…いなくなってしまうわけじゃないのにこんな事を考えてしまう自分が嫌だ。<br /><br />
「鶴屋さん?」<br />
「大丈夫っさ!ボーっとしてないしご飯も食べてるにょろよ?」<br />
「いえ…その…鶴屋さん、笑って無かったから…鶴屋さんはいつも笑顔でいたから、不安で…」<br /><br />
………。<br />
そっか、私がみくるのことを思うように、みくるも私のことを思ってくれてたんだ。<br /><br />
何故か一本取られた気分。<br />
心配してたはずが心配されてたなんて。<br /><br />
可笑しいくらいに笑いがこみ上げてくる。<br />
嗚呼、本当に自分が馬鹿馬鹿しい。<br /><br />
「…みくる」<br />
「え?何ですかぁ?」<br />
「今度家に泊まりにおいで!」<br />
「へ!?どうしたんですかいきなり!」<br />
「いいからいいから!決まりね!」<br /><br />
多分、別れはいつか勝手にやってきて、いつか勝手に私とみくるを引き離すだろう。<br /><br />
たとえそれがどんな形であれ、きっとみくると会えることは無くなるだろう。<br /><br />
でも、それだけだ。<br /><br />
私はみくるを思う、みくるは私を思ってくれている。<br />
これだけで十分だ。<br /><br />
万が一、忘れないように、色んなことをしよう。<br />
またドライヤーで髪を乾かしあおう、形に残るように写真を撮ろう。<br /><br />
心に残るように、たくさん笑いあおう。<br /><br />
いつかみくるが私を忘れたその時に、私の声が届けば良いな。<br />
いつか私がみくるを忘れたその時に、みくるの声が届けば良いな。<br /><br />
…ねぇ、みくる?<br /><br />
「ずっと友達でいようね!」<br />
「ふふっ、当たり前じゃないですか」<br /><br />
…ありがとう、みくる。<br />
みくると一緒にいたことを、私はずっと誇りに思うよ。<br /><br />
おわり