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仕返し」(2022/01/07 (金) 16:45:59) の最新版変更点

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<div class="main"> <div>あれ?わたしのシュークリームが無いなぁ……。<br> 最後の一つは楽しみにとってたのになくなってる。<br> 「お母さん……食べた?」<br> 「あたしは知らないよ。キョンが食べたんじゃない?」<br> そうかもしれない。もしそうだったら……絶対に許さない!<br> わたしは二階に向かって、階段を二段飛ばしで昇っていった。<br> キョンくんの部屋を勢いよく開けて、飛び付いた。<br> 「おわっ!いきなりなんだ、危ねぇな!……つーかノックしろって言ったよな?」<br> 「そんなことよりキョンくん!わたしのシュークリーム知らない!?」<br> キョンくんは、条件反射のようにわたしの頭を撫でていた。いつもわたしが飛び付いた時はこうして頭を撫でてくれるんだ。<br> 「あれ、お前のだったのか?腹減ってたし、一個だけ残ってたから俺が食ったぞ」<br> そんなぁ……わたしの楽しみが……。これの為に、お腹をすかせる為に学校の体育も頑張って来たのに……。<br> 「う……うぅっ、キョンくんのバカっ!」<br> わたしは泣きながらキョンくんの部屋を出た。絶対に仕返ししてやるぅっ!本気で謝らせてやるっ!<br> ……だけど、何しようかな?キョンくんがショックを受けて、わたしに謝るようなことかぁ……。<br> </div> <br> <div>とりあえず、キョンくんのことを無視しよう。<br> わたしが本気で怒ってるってわからせてやるもん!<br></div> <br> <br> <div> 次の日の朝、わたしはキョンくんを起こしに行かずにテレビを見ながらご飯を食べていた。<br> 休日だけ放送されるアニメを見ていたら、キョンくんが起きてきた。<br> 「なんだよ……いつまでも起こしにこないなんて調子狂うな」<br> 無視だ、なんにも返事してやらないから。黙々と朝ご飯を食べ続けた。<br> 「なぁ、醤油取ってくれ」<br> わたしは無視してご飯を食べ続けた。……あ、この苺すっごく美味しい。<br> 「……おい、聞こえてるか?醤油を取ってくれ」<br> ……もう最後の苺かぁ、残念だなぁ。<br> わたしは苺を頬張ると、すぐにテレビの前に移動しようとした。<br> 「そっか……。苺食べるか?」<br> 「た、食べるっ!」<br> わたしは苺に飛び付いた。美味しい、美味しい。<br> ふと顔を上げると、キョンくんがニヤニヤとわたしを見ていた。……しまった。<br> 「ゆ、許したわけじゃないもん!」<br> あ~もう!苺に釣られちゃった!……だって美味しかったんだもん。<br> 次の作戦を考えなくちゃなぁ。<br> ……そうだ!いつもやってる休みの日の昼寝を邪魔してやるのは地味だけどイライラしてかなり効くはず!<br> </div> <br> <div> そう考えたわたしは、キョンくんが見える位置でいろいろと遊んでその時を待った。<br> 「ふわぁ……なんか眠くなってきたから一眠りするか」<br> 来た!<br> すぐさま二階に駆け昇り、シャミと一緒にキョンくんのベッドの布団に潜りこんだ。<br> 「……おい。寝るから退いとけ」<br> わたしはさっき失敗した無視を続けた。こうやって、少しずつキョンくんに仕返ししてやるんだもん!<br> 「……あぁ、そういうことか。甘えたいならそう言えばいいじゃないか」<br> 「え!?ち、ちが……」<br> キョンくんは布団に入り、わたしを抱き締めて寝息を立て始めた。<br> 違う、こんなはずじゃないのに……。でも、眠くなってきちゃった……。<br> もうどうでもいいや……おやすみなさい。<br> そのまま、わたしは眠りについた。<br></div> <br> <br> <div>次に目を覚ますと、キョンくんはいなかった。<br> ベッドにはわたしとシャミだけ。しょうがないからそのままシャミと遊ぶことにした。<br> あ~あ、せっかくのおやすみだから仕返しなんか考えないでキョンくんと遊べばよかったなぁ。<br> そう考えていると、ドアが開いてキョンくんが入ってきた。……今日が終わるまで、相手してもらおう。<br> 「キョンくん……もう、シュークリームは許してあげるから遊んで?」<br> 「……いや、それはダメだ」<br> え?それはひどいんじゃないかな……そんなこと言われると泣きそうになっちゃう。<br> 少しずつわたしに近付いてきて、キョンくんは優しくわたしの頭を撫でた。<br> 「昨日のは俺に落ち度があった。……だからこれで機嫌を直してから遊ぶぞ」<br> 紙の袋を渡された。中身を覗くと……高そうなシュークリームが幾つか入っていた。<br> 「これ……?」<br> 「近場で買える一番高いシュークリームだぞ。ほら、一緒に食べようぜ」<br> </div> <br> <div>あ~あ、やっぱりキョンくんは優しかった。<br> 仕返しを考えてたわたしが馬鹿らしく思えてくる。やっぱりもうちょっと大人にならなくちゃなぁ……。<br> キョンくんから渡されたシュークリームを一口囓る。口の中に甘さがいっぱいに広がっていく。<br> とっても幸せな気分になってきちゃった。キョンくんに何かお詫びしなくちゃなぁ……。<br> わたしが迷惑かけたことと、高い物を買わせちゃったお詫び。全然釣り合わないけど、今日だけキョンくんに対する態度を変えることにした。<br> 「美味しいね、お兄ちゃん!」<br> 今日だけ、お兄ちゃんって呼んであげよう。なんでかわからないけどお兄ちゃんって呼ばれたがってるから。<br> 「おぉ……お前がお兄ちゃんって呼んでくれるなんてな。感無量だ」<br> 「あ、でも今日だけだからね?……お兄ちゃん!」<br> ほんとはずっと呼んでもいいんだけどね。<br> 昨日シュークリームを食べちゃった仕返しは、これでいいや。<br> 「頼むからずっとお兄ちゃんって呼んでくれ。な?」<br> 「ダ~メ!」<br> また一口、キョンくんのように甘いシュークリームを食べた。<br> とっても美味しくて、幸せだなぁ。えへへへへ……ありがと、お兄ちゃん!<br> </div> <br> <br> <div>おわり<br></div> </div> <!-- ad -->
<div class="main"> <div>あれ?わたしのシュークリームが無いなぁ……。<br /> 最後の一つは楽しみにとってたのになくなってる。<br /> 「お母さん……食べた?」<br /> 「あたしは知らないよ。キョンが食べたんじゃない?」<br /> そうかもしれない。もしそうだったら……絶対に許さない!<br /> わたしは二階に向かって、階段を二段飛ばしで昇っていった。<br /> キョンくんの部屋を勢いよく開けて、飛び付いた。<br /> 「おわっ!いきなりなんだ、危ねぇな!……つーかノックしろって言ったよな?」<br /> 「そんなことよりキョンくん!わたしのシュークリーム知らない!?」<br /> キョンくんは、条件反射のようにわたしの頭を撫でていた。いつもわたしが飛び付いた時はこうして頭を撫でてくれるんだ。<br /> 「あれ、お前のだったのか?腹減ってたし、一個だけ残ってたから俺が食ったぞ」<br /> そんなぁ……わたしの楽しみが……。これの為に、お腹をすかせる為に学校の体育も頑張って来たのに……。<br /> 「う……うぅっ、キョンくんのバカっ!」<br /> わたしは泣きながらキョンくんの部屋を出た。絶対に仕返ししてやるぅっ!本気で謝らせてやるっ!<br /> ……だけど、何しようかな?キョンくんがショックを受けて、わたしに謝るようなことかぁ……。</div>   <div>とりあえず、キョンくんのことを無視しよう。<br /> わたしが本気で怒ってるってわからせてやるもん!</div>   <div>次の日の朝、わたしはキョンくんを起こしに行かずにテレビを見ながらご飯を食べていた。<br /> 休日だけ放送されるアニメを見ていたら、キョンくんが起きてきた。<br /> 「なんだよ……いつまでも起こしにこないなんて調子狂うな」<br /> 無視だ、なんにも返事してやらないから。黙々と朝ご飯を食べ続けた。<br /> 「なぁ、醤油取ってくれ」<br /> わたしは無視してご飯を食べ続けた。……あ、この苺すっごく美味しい。<br /> 「……おい、聞こえてるか?醤油を取ってくれ」<br /> ……もう最後の苺かぁ、残念だなぁ。<br /> わたしは苺を頬張ると、すぐにテレビの前に移動しようとした。<br /> 「そっか……。苺食べるか?」<br /> 「た、食べるっ!」<br /> わたしは苺に飛び付いた。美味しい、美味しい。<br /> ふと顔を上げると、キョンくんがニヤニヤとわたしを見ていた。……しまった。<br /> 「ゆ、許したわけじゃないもん!」<br /> あ~もう!苺に釣られちゃった!……だって美味しかったんだもん。<br /> 次の作戦を考えなくちゃなぁ。<br /> ……そうだ!いつもやってる休みの日の昼寝を邪魔してやるのは地味だけどイライラしてかなり効くはず!</div>   <div>そう考えたわたしは、キョンくんが見える位置でいろいろと遊んでその時を待った。<br /> 「ふわぁ……なんか眠くなってきたから一眠りするか」<br /> 来た!<br /> すぐさま二階に駆け昇り、シャミと一緒にキョンくんのベッドの布団に潜りこんだ。<br /> 「……おい。寝るから退いとけ」<br /> わたしはさっき失敗した無視を続けた。こうやって、少しずつキョンくんに仕返ししてやるんだもん!<br /> 「……あぁ、そういうことか。甘えたいならそう言えばいいじゃないか」<br /> 「え!?ち、ちが……」<br /> キョンくんは布団に入り、わたしを抱き締めて寝息を立て始めた。<br /> 違う、こんなはずじゃないのに……。でも、眠くなってきちゃった……。<br /> もうどうでもいいや……おやすみなさい。<br /> そのまま、わたしは眠りについた。</div>   <div>次に目を覚ますと、キョンくんはいなかった。<br /> ベッドにはわたしとシャミだけ。しょうがないからそのままシャミと遊ぶことにした。<br /> あ~あ、せっかくのおやすみだから仕返しなんか考えないでキョンくんと遊べばよかったなぁ。<br /> そう考えていると、ドアが開いてキョンくんが入ってきた。……今日が終わるまで、相手してもらおう。<br /> 「キョンくん……もう、シュークリームは許してあげるから遊んで?」<br /> 「……いや、それはダメだ」<br /> え?それはひどいんじゃないかな……そんなこと言われると泣きそうになっちゃう。<br /> 少しずつわたしに近付いてきて、キョンくんは優しくわたしの頭を撫でた。<br /> 「昨日のは俺に落ち度があった。……だからこれで機嫌を直してから遊ぶぞ」<br /> 紙の袋を渡された。中身を覗くと……高そうなシュークリームが幾つか入っていた。<br /> 「これ……?」<br /> 「近場で買える一番高いシュークリームだぞ。ほら、一緒に食べようぜ」</div>   <div>あ~あ、やっぱりキョンくんは優しかった。<br /> 仕返しを考えてたわたしが馬鹿らしく思えてくる。やっぱりもうちょっと大人にならなくちゃなぁ……。<br /> キョンくんから渡されたシュークリームを一口囓る。口の中に甘さがいっぱいに広がっていく。<br /> とっても幸せな気分になってきちゃった。キョンくんに何かお詫びしなくちゃなぁ……。<br /> わたしが迷惑かけたことと、高い物を買わせちゃったお詫び。全然釣り合わないけど、今日だけキョンくんに対する態度を変えることにした。<br /> 「美味しいね、お兄ちゃん!」<br /> 今日だけ、お兄ちゃんって呼んであげよう。なんでかわからないけどお兄ちゃんって呼ばれたがってるから。<br /> 「おぉ……お前がお兄ちゃんって呼んでくれるなんてな。感無量だ」<br /> 「あ、でも今日だけだからね?……お兄ちゃん!」<br /> ほんとはずっと呼んでもいいんだけどね。<br /> 昨日シュークリームを食べちゃった仕返しは、これでいいや。<br /> 「頼むからずっとお兄ちゃんって呼んでくれ。な?」<br /> 「ダ~メ!」<br /> また一口、キョンくんのように甘いシュークリームを食べた。<br /> とっても美味しくて、幸せだなぁ。えへへへへ……ありがと、お兄ちゃん!</div>   <div>おわり</div> </div>

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