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「涼宮の分裂」(2008/06/23 (月) 20:27:44) の最新版変更点
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<p>「痛い!」<br />
また転んでしまった。周りからの視線が更に痛い。<br />
一体、この学校、どこまで坂を登れば着くのかしら。<br />
私はえへへとか照れ笑いをしながら、起き上がるとまた歩き始めた。<br />
もう、これで五度目よ。<br />
膝小僧をさすりながら、ようやっと北高についた私は、入学式を終え。<br />
そして、自己紹介が始まった。<br />
適当に自己紹介を終えた、私は後ろの人が立ち上がるのをぼんやりと意識<br />
しながら。<br />
「あー、うざい奴しかいねーな」<br />
はっ? 私は後ろを振り返った。<br />
番長がそこにいた! ものすごく太い眉と逞しい体。<br />
文字通り、強い男、というのを絵に描いたような男がそこに立っていた。<br />
「普通の喧嘩相手には興味ねーな。この中に宇宙人、フリーザとか? 異世界人、<br />
未来人、トランクスとか? 超能力者がいたら俺のところに来い! 相手になって<br />
やるぜ」<br />
私は呆然として相手を見た。<br />
それが、宇宙最強戦士、涼宮ハレルヤとの出会いだった。<br />
2</p>
<p>涼宮ハレルヤの特徴は、その全く学校の制服を無視した学ランみたいな軍服(確か<br />
オーブ首長国連邦の軍服で秋葉で買ったとかいってた)の胸の勲章の階級が毎日<br />
あがっていくという事だった。<br />
土曜日には幕僚長クラスになり、月曜になると佐官程度に落ちる。<br />
「あの、その胸の階級章は宇宙人対策なの?」<br />
一週間ほどたって頃、思わずニッコリ笑ってそう訊いてしまった私を後の<br />
私は責める事になる。<br />
「ほう、気づいていたか。女」<br />
ハレルヤはまんざらでもなさそうに笑うと、歯をむきだして。<br />
「名はなんという?」<br />
「キョン子」<br />
もちろん、本名じゃなかったけど、私はあだ名を答えていた。<br />
その後も、毎日のようにHR前とHR後、なんとなく、私はハレルヤと話すように<br />
なっていた。<br />
「しかし、毎日退屈だぜ。宇宙人も未来人も超能力者もこねーしよ」<br />
そんなある日、この言葉に対して、私が妙な反応をしてしまった、その事を<br />
私は後々まで後悔する事になる。<br />
「待っていちゃ駄目ないかしら? やっぱり自分から積極的にせめていくとか<br />
そういう姿勢」<br />
いきなり、ハレルヤが私のセーラーを引っ張った。<br />
「痛いわ、何をするの!」<br />
「そうだよ。待ってちゃ駄目なんだ! こちらからせめていかないとな! 作るぜ。<br />
新しい、俺のための部活をよ!」<br />
放課後、私は、部室棟に連れて行かれ、そして、文芸部と書かれた部屋に連れ込まれ<br />
た。<br />
「あの私たちまだあってから一週間だし、そういう関係は早いんじゃないかと」<br />
私が俯き加減でそう言うと。<br />
「何いってんだ? 馬鹿か? 意外とその手の漫画とか熱心に読むタイプか?<br />
部活の話のために引っ張ってきたんだよ」<br />
あっそう。<br />
「ここが、俺の部活の部室に決まった」<br />
「え? でも文芸部って」<br />
私が中を見回すと、窓際に、凄い、切れるようなタイプの背が180センチくらい<br />
ありそうなイケメン男子が、その容姿にふさわしい眼鏡を掛けて、本を読んで<br />
座っていた。<br />
「そこのそいつが、使って良いってさ。俺の部活のために」<br />
その男子が顔を上げると、<br />
「長門勇気」<br />
そういって、すぐまた読書に戻った。どうやら自己紹介だったみたい。<br />
「キョン子。これからお前は俺と一緒に部活をやる訳だが」<br />
「え? 確定なの? 決定な訳ですか?」<br />
「三人ではメンバー不足だろう」<br />
「あの、長門君、勝手にメンバーに入れられるんだけど」<br />
長門君はエリートサラリーマンのような氷の美貌でこちらの言葉を無視して読書<br />
にふけっている。<br />
「そこで、もう一人確保した」<br />
ドアが開いた。するといかにも気が弱そうな。男のくせにかわいいと呼称しても<br />
よいような子がそこに現れた。<br />
「あの、手紙で呼び出されたので、ここにきたんですけど、ここでよかったんですか?」<br />
「ああ、そうだ。呼び出したのは俺だ。俺が涼宮ハレルヤだ」<br />
その美少女のような容姿を持つ少年はおどおどと中に入ってくる。<br />
「今日から、お前は俺の部の部員となる」<br />
「えっと、あの、書道部に入ってるんですけど」<br />
「やめるんだな。男だったら、喧嘩部上等だろ」<br />
ハレルヤが悪魔のような笑みを浮かべる。<br />
すると、その少年が長門君を見て一瞬、目を見開いて、<br />
「あのやめるのはいいですけど。文芸部って何をするところなのか」<br />
「我が部は文芸部じゃねーよ」<br />
「え?」<br />
SOS団。それがハレルヤが作った部活の名前だった。<br />
「世界と戦う為の大いなる涼宮ハレルヤの団」<br />
の略だって。<br />
「まだ、一人ほど足りないなあ。ちょっと待ってろ」<br />
ハレルヤはそういうと出て行き、30分くらいして戻ってきた。<br />
そこには、とてもかわいい、ショットカットの妖し気な雰囲気を持った少女が<br />
立っていた。<br />
「こんにちは、古泉一姫(いつき)です」<br />
その少女はそう丁寧に挨拶すると頭を下げた。<br />
「こいつは、学生乱闘区、SUGIMAMI高校から転校して来た猛者だ」<br />
ハレルヤが紹介する。<br />
「あの入るのはいいんですけど。何をする部活なんですか?」<br />
一姫が訊いた。<br />
「よし、教えてやる。我が部の活動目的は!<br />
宇宙人や未来人や超能力者を集めて、喧嘩、戦い(バトル)を繰り広げる事だ!!」<br />
??<br />
「文字通り、宇宙の運命をかけたDBばりのバトルをな」<br />
ハレルヤが両の拳を叩き付けてそう言う。<br />
その日ハレルヤはそれで帰ったけど、長門君が、帰り際に私を誘った。<br />
「えっと、マンションに誘ってくれるのは何故?」<br />
「親睦」<br />
長門君は、一室2億円はしそうなマンションの前でそう言って私を家に入れた。<br />
「ご家族の方は?」<br />
「犬の散歩」<br />
明らかな嘘だった。どう見ても、長門君一人が生活しているのは明らかだった。<br />
「嘘でしょう」<br />
長門君は無表情で私を見た。<br />
気づくと、私は布団に眠っていた。<br />
「涼宮ハレルヤは普通の人間じゃない」<br />
隣を見ると、うつぶせになって、長門君がタバコを吸っていた。<br />
え? えーーー。彼は裸だった。私は真っ赤になると、布団をめくった。<br />
予想通り、私も裸だった。そして、シーツに血がついている。<br />
「ハレルヤには、宇宙の運命を決定する力がある」<br />
けだるそうに長門君が煙りをはく。<br />
そして、彼は自分が、中央集積回路体の人間型端末だと明かすのだった。<br />
その日は、ゆらぐような気分のままマンションを出ると、家に帰ってすぐに眠り。<br />
翌日、私は北高の自分の席に座っていた。<br />
「ちょっとあんた誰よ」<br />
後ろから女の声が掛けられたので、振り返った私はびっくりした。<br />
そこには黄色いカチューシャをしたとてもかわいい女の子が腕を組んで私をにらんで<br />
座っていたからだ。<br />
「え? 誰?」<br />
私はそう聞き返していた。<br />
「私は涼宮ハルヒよ! そして、そこはキョンの席なの。あなた一体、そこで<br />
何をしているの?」<br />
その美少女はそう言うと、私に顔を近づけてきた……。<br />
11(11は無かったことになる)。<br />
直し</p>
<p>その後、長門君に宇宙人である事を告白されたり、一姫に超能力者である事を<br />
告白されたり、ハレルヤが退屈だというので、野球大会に向かったバスが事故で<br />
谷底に転落し、本物の大天使軍団と天国で生き返りをかけた野球の試合をしたり、<br />
色々あって、一年が過ぎていった。<br />
そんなある日。</p>
<p>私は北高に登校し自分の席に座っていた。<br />
「ちょっとあんた誰よ」<br />
後ろから女の声が掛けられたので、振り返った私はびっくりした。<br />
そこには黄色いカチューシャをしたとてもかわいい女の子が腕を組んで私をにらんで<br />
座っていたからだ。<br />
「え? 誰?」<br />
私はそう聞き返していた。<br />
「私は涼宮ハルヒよ! そして、そこはキョンの席なの。あなた一体、そこで<br />
何をしているの?」<br />
その美少女はそう言うと、私に顔を近づけてきた……。</p>
<p>その日、俺は北高ハイキングコースを歩き、自分の席についた。<br />
クラス中の奇異な目が俺を見ていたが、またハルヒがなにかやらかしたんだろう。<br />
いい加減とばっちりにもなれた。しかし、内申に響かねばいいがな。<br />
暫くすると、クラスに見慣れない女子が入って来た。とてもかわいいが、どこか<br />
妖しい魅力を備えた女だ。<br />
「あなたは誰ですか?」<br />
その女子は俺に訊いてきた。人に名前を名乗るには、まず自分から名乗るのが<br />
礼儀じゃないかな。<br />
「私は古泉一姫です」<br />
「なんだって? こいずみいつき? いつの間に女になったんだ? お前」<br />
俺は、にたにた笑っていった。また機関とやらの下らないお遊びだろうか。<br />
ああそういえば、昨日、ハルヒが、<br />
「ああ、キョンが女の子だったらいいのに! そうしたらいじり倒したいわ」<br />
とか言っていたな。俺はあくびをかみ殺して相手を見た。<br />
と、部屋の中に、背の高い、切れるビジネスマン風の、どことなく見覚えがある<br />
眼鏡美少年が入って来た。<br />
「私は長門勇気」<br />
「なんだって?」<br />
俺は眉を顰めた。そう言えば、こいつは長門にどことなく似ている。<br />
まるで兄弟のような、長門に兄がいたらこんな感じだろう。<br />
「どうやら、涼宮さんが、また何かやったようですね」<br />
いつきと名乗ったその美少女は肩をすくめてそう言った。<br />
俺は、勇気と一姫から大体の事情は聞いた。<br />
要するに、こちらの世界でのハルヒはハレルヤと言い。<br />
ある意味ハルヒよりも凄まじいとんでも野郎らしい。<br />
なにせ天国にまで行って野球をしてきたくらいだからな。<br />
それでこっちの世界での俺はキョン子といい女なようだ。</p>
<p>どうやら、昨日のハルヒの発言がダイレクトに反映されちまったらしいな。<br />
俺は天を仰ぐと溜息をついた。</p>
<p>「今、統合思念体から、別の世界のそれに連絡を取って貰っている。<br />
可能なら我々がそちらの世界にいく」<br />
ちょっとまってくれよ。男女の違いがるとはいえ、ハルヒが二人になるのか?<br />
それは勘弁して貰いたい。<br />
「それ以外、改善の方法がない、またハルヒとかいうそちらの世界の神が同じ事を<br />
願えば同じ結果になる。二人で話し合って貰うほかはない」<br />
「どちらにしろ、こうなる運命だったのかもしれませんね。何時までも、ハレルヤさんや<br />
ハルヒとかいう人に真実を隠して置くこともできないでしょうし」<br />
俺は頭を抱えてしまう。<br />
これから一体、どうなるんだろう……。</p>