「涼宮ハルヒのエアロスミスーッ!第二章」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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<p>そのCDは二枚組のベストアルバムで、一枚目には比較的初期の曲が収録されているらしい。<br />
現代のように録音技術が発達していない時期に発表された曲は、特有の古めかしい匂いを孕んでいる。<br />
乾いていると言ってもいいかもしれん。<br />
とにかく、俺は聞き慣れない曲調に戸惑いながらあの映画の曲とは似ても似つかない雰囲気の曲ばかりであることに良い意味で裏切られたと感じていた。<br />
一枚目だけで全部で16曲という収録曲の多さだったが、不思議と飽きたりはしない。<br />
それどころか早く二枚目を聴きたいとさえ思ってしまう。<br />
ハルヒの思うつぼになるのはシャクにさわるから口には出さなかったが。<br /><br />
「はい、じゃあ気に入った曲はっぴょう!」<br />
部室に入ってきた時の雰囲気はどこへやら、ハルヒが停止ボタンを押した右手をそのまま振り上げ弾むような声で宣言する。<br />
口火を切ったのは古泉だ。<br /><br />
「僕は11曲目ですね」<br />
「Dude(looks like a lady)ね」<br />
「最初のフレーズにやられました。レディーみたいな野郎、だなんて魅力的じゃないですか」<br />
「歌詞もちゃんと聴いてるのね。キョンも見習いなさいよ」<br /><br />
いや…歌詞を聴いてるのは立派だがどうも気持ち悪いような…<br />
こっちを見るんじゃない。<br /></p>
<dl><dd>
<p>「なに変な顔してんのよ。じゃあ次は有希」<br /><br />
「10曲目」<br />
「Draw the line!」<br />
「感情の揺らぎに任せてそれぞれがプレイしている。模倣できない名曲」<br />
「わかってるじゃない!」<br />
あの途中の早口でわめく部分か。確かに真似できそうもないな。<br />
ここ最近の長門は、感情の芽生えをエラーだと切り捨てずに受け入れようとしているようにも見える。<br />
いい傾向だと思うぜ。またあの時のような厄介ごとを起こさなければな。<br />
俺の視線に頷きを返してくる長門。<br /><br />
「みくるちゃんは?」<br />
「わわたしは7曲目がすきですっ」<br />
「ほほぅ…Sweet Emotion…」<br /><br />
何だその意地悪そうな笑みは。古泉までくくくと笑っている。<br /><br />
「え、え…?」<br /><br />
「みくるちゃん、この曲の邦題知ってる?」<br />
「ホーダイって何ですか?なな何で笑ってるんですか?」<br /><br />
俺にも分からん、説明しろ。<br />
「Sweet Emotionは直訳すれば甘い気持ちですが、日本で発売された当時は面白い邦題がついてまして…」<br />
男に耳打ちされても気持ち悪いだけだ。さっさと結論を言え。<br /><br />
「やりたい気持ち、ですよ」<br /><br />
…鳥肌が立つ。気持ち悪い…<br />
なるほどそれで朝比奈さんをね… <br /><br />
おいハルヒ、朝比奈さんへのセクハラはそれくらいにして、<br />
「せせセクハラなんですか?どういう意味なんですかぁ…?」<br /><br />
いやいや朝比奈さん何でもないんですよ…ハルヒ、次は俺の番だろ?<br />
「ふふっ、みくるちゃん、後で教えたげる。キョン、あんたのも聞かせてもらうわよ」<br /><br />
俺は…最後から二番目の曲だな。<br />
…何だ?何故か朝比奈さん以外の三人が固まっている。<br />
朝比奈さんはその様子を不思議そうに眺めて…<br /><br />
「エロキョン!」<br />
「確かに印象的なコーラスは耳に残りますが…くくっ」<br />
「………」<br /><br />
どういう事だ…?<br /><br />
思わず朝比奈さんと顔を見合わせているとハルヒが視界に割って入ってくる。<br /><br />
邪魔だ。<br /><br />
「みくるちゃんが怖がるでしょ?セクハラ親父みたいな目で見ないの!」<br />
セクハラしてるのはお前だろう。何をわけの分からん事を…<br />
「いいから二枚目いくわよ!」<br /><br />
…何なんだ全く。<br /><br />
※キョンが挙げた曲はLove In An Elevatorという、<br />
エアロスミスのボーカリスト、スティーブン・タイラーがエレベーターの中で<br />
セクロスした実体験を歌った曲です。</p>
</dd>
</dl>