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「あと、ちょっと」(2008/02/17 (日) 19:09:52) の最新版変更点
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<p>12月中旬のこの冬で一番寒い日<br>
あたしの高校生活もあとちょっとで終わろうとしている</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>あたしの家は何代も続くちょっとした名家<br>
現在当主のおやっさんはホールディングスとして会社を何十社も経営している<br>
名家の娘なんて戦国時代なら戦略結婚の道具にされるだけだけど<br>
うっとこのおやっさんは女でも経営学を学ばせようと考えてるらしく海外の留学を強く勧める<br>
本当は高校時代から留学させたかったらしいけど、あたしが高校は絶対に地元と強く言って断った<br>
でも、大学まではさすがに断れないし、あたし自身も経営に興味もあるし<br>
来年の春は異国で迎えるんだろうな…</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p><br>
「鶴屋はイギリスの大学で決まりか?」<br>
「はいっさ!向こうの教授から住むところを決めても問題ないって言われたよっ」<br>
「もう決まったも同然だな、うちの学校から海外の大学に進む生徒は初めてであまり力になれなくてすまんな」<br>
「気にしなくてもいいって!おやっさんの知り合いの教授だからこっちで進めて問題ないさっ」<br>
「そうか」<br>
「先生さぁ、年が明けてから手続きや向こうの住まいなんかであまり学校には来れなくなりそうなんだけど」<br>
「年明けは授業もないし、鶴屋なら問題ないから構わんよ」<br>
「いいにょろか?」<br>
「ああ、なるべく卒業式には出てくれよ」<br>
「はいっさ!そんじゃ失礼します」<br>
「お疲れさん」</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>「あいつがいなくなるとクラスもさみしくなるな」</p>
<p> </p>
<p><br>
この校舎での生活もそろそろ終わりかと感慨深く廊下を歩いていたら<br>
前から愛くるしいクラスメイトがとぼとぼと歩いてきたよ<br>
「おーい!みくる!」<br>
「あ、鶴屋さん」<br>
「今からSOS団かい?」<br>
「いえ、今日はみんな進路相談なんで休部です」<br>
「そっか、みんなも来年はあたし達と同じか」<br>
「そうですね」<br>
「SOS団ないなら一緒に帰ろうよっ!」<br>
「…はい」<br>
笑顔で返事を返してくれたんだけどなんか暗いな、悩み事でもあるのかな?</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p><br>
あたしは坂道を下っている途中でみくるに悩みでもあるの?って聞いたら<br>
みくるから衝撃的な言葉が飛び出した…<br>
「えっ!大学を受けないの?」<br>
3年になってからあんなに熱心に勉強していたのに大学を受けないなんてなんで?<br>
「はい…それだけじゃなくて卒業したらに戻らなくては行かないんです」<br>
「戻るって一体どこにだい?」<br>
「…遠いところです、戻ったら多分みんなにはもう会えないかと思います」<br>
聞いた瞬間に頭がブラックアウトしたよ…<br>
「そんな…キョン君やハルにゃんは知ってるの?」<br>
「みんなには年が明けてから話そうかと…今、話すと心配かけると思うので」<br>
卒業したら、もうみくるには会えないなんて…<br>
「鶴屋さんとお友達になれて本当に良かったです」<br>
みくるは目に涙をたくさん溜めて、もう泣きそうだよ<br>
あたしも急なことで考えがまとまらないけどこのまま別れてはいけないとだけは思った<br>
「みくる、今からあたしのうちにおいでよ!」<br>
「えっ!今からですか?」<br>
「あたしも来年はあまり学校には来れないしさっ、今日はいろいろしゃべろうよ!」<br>
「迷惑じゃないですか?」<br>
「うちは全然構わないさっ、何なら泊まっていきなよ」<br>
「泊まってもいいんですか?」<br>
「うん、着替えなら貸すしさっ!」<br>
みくるはちょろんと考えた後に<br>
「それじゃ、ぜひお邪魔します」<br>
みくるが笑顔になったよ♪<br>
「そうと決まれば、膳は急げだよ!」<br>
あたしはみくるの手を取り、軽やかなステップで坂道を下った</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p><br>
それからあたし達は晩ご飯を作ったり、一緒にお風呂に入ったりして、親友とのかけがえのない時間を過ごした<br>
「いや~今日はみくるとたくさん話せて楽しかったさっ!」<br>
「私も楽しかったです、すいません寝間着まで借りて」<br>
「いいって!いいって!下着とかも乾燥機に入れてあるから朝には乾くさっ」<br>
「本当にありがとうございます」<br>
「お礼なんていいさっ!本当は下着もあたしのを貸したかったけど、みくるのボディには収まんないからさっ」<br>
みくるはお顔を真っ赤かにして<br>
「もう、鶴屋さんたら」<br>
「そんじゃ、寝ようか」</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>あたしは電気を消すと、みくるの布団に潜り込んだ</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>「わっ!どうしたんですか鶴屋さん」<br>
「今日は一緒の布団で寝るよ」<br>
「なんだか恥ずかしいですね」<br>
「気にしない!気にしない!」<br>
「はい」<br>
「それにしても3年間色々のことがあったね」<br>
「本当ですね…すいませんSOS団の活動の方が忙しくて、鶴屋さんとあまり遊べなくて」<br>
「気にしないでおくれよ!私もみんなを見てて幸せの気分になれたしさっ」<br>
「本当ですか、良かった」<br>
「それにあたしも時々SOS団に混ぜてもらったしね!野球したり、映画にも出させてもらったりしてさっ!」<br>
「鶴屋さんの別荘で冬の合宿旅行もしましたね、私あの時のミステリーの答えがまだ解らないんですよね」<br>
「…後、みくるが一週間ぐらいあたしの家にホームステイしたこともあったね」<br>
「あの時は本当にお世話になりま…あっ!え~と!そんなことありましたっけ?つ、鶴屋さん何か勘違いしてません?」<br>
みくるはひどく動揺して誤魔化そうとしてるけど、あたしはやさしく話を続けた<br>
「みくる隠さなくてもいいって」<br>
「な、何のことですか?」<br>
「みくるが行かなくちゃいけないところって未来?それとも宇宙?」<br>
「ええっ!」<br>
「宇宙は有希っこぽいからはみくるは未来かな?あの時の映画の配役みたいにさっ」<br>
あたしは少し意地悪しちゃったかなと思っているとみくるは声を詰まらせながら発した<br>
「…き、禁則事項です」<br>
「ごめんね、なんか答えにくい話しちゃってさっ」<br>
「…本当にすいません」</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>二人の間に少しの沈黙が流れた…あたしは沈黙を破るように一番聞きたい質問を問いかけた</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>「最後に一つだけ教えて?キョン君には…みくるの気持ちを伝えなくてもいいの?」<br>
「……」<br>
「ハルにゃんを気にするのは分かるけど、思いを伝えるのはいいと思うよ」<br>
「……」<br>
「このまま別れたら悔いが残るよ?」<br>
あたしの質問が止むとみくるはゆっくりと口を開いた<br>
「…キョン君にはまた会えると信じています」<br>
みくるは目に涙を溜めながらも目に強さを感じた<br>
「これは規定事項ではないけど、確信しています」<br>
「…いいのかい?」<br>
「はい」<br>
その返事はこの3年間で聞いた言葉の中で一番決意の込められたものだった</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>また少しの沈黙が流れた…今度はみくるが沈黙を破ってあたしに質問を投げかけた</p>
<p> </p>
<p><br>
「鶴屋さんの方こそいいんですか?キョン君に思いを告げなくて」<br>
あたしはギクッとしたよ!あちゃ~この子は気づいていたのかい<br>
そんなあたしの顔を見ながら、みくるはやさしい声で<br>
「鶴屋さんもキョン君のことが好きなんでしょう」<br>
「さすがみくるだよ、敵わないさっ」<br>
「鶴屋さんこそに伝えた方がいいです、鶴屋さんは海外に留学しても会おうと思えば会えるんだし」<br>
あたしはキョン君の顔を思い浮かべた…その顔はやさしく微笑んでいたよ<br>
その顔を思い描くだけであたしは幸せさ…彼を困らせちゃいけないな<br>
「…いいや、あたしは見てる方が楽しいさ」<br>
今のあたしの目にはたくさんの涙が溜めているんだろうな…<br>
「それに…キョン君にはハルにゃんがお似合いだよ…だからあたしはいいよ」<br>
「…私も…キョン君には涼宮さんが」<br>
話し終わる前に前にみくるは泣き始めた<br>
あたしも目に溜めていた涙がぼろぼろこぼれだした<br>
二人で思いっきり涙を流した</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>ひとしきり泣いた後にあたし達は明け方まで3年間の思い出と彼のことをたくさん話した…</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p><br>
翌日、あたし達は眠い目をこすりながら坂道を上がっていた<br>
「めがっさ、眠いにょろ」<br>
「結局、朝まで話しちゃいましたね」<br>
坂道を上がっていたら、さっきまで話の中心になっていた彼に声を掛けられた<br>
「朝比奈さんに鶴屋さん、おはようございます」<br>
「おはよー!キョン君」<br>
「キョン君、おはようございます」<br>
二人ともいつも通りにあいさつはしたけど<br>
みくるは真っ赤な顔でもじもじして下を向いてるし<br>
あたしも昨日の今日だからめがっさ胸がドキドキしてるよ<br>
「鶴屋さんに会えて、タイミングが良かったです」<br>
「タイミングがいいって何が?」<br>
「鶴屋さんに渡したい物があるんですよ」<br>
「何かくれるのかい?」<br>
「はい」<br>
キョン君は綺麗にラッピングされた包みをあたしに渡してくれた<br>
「今までお世話になったお礼と少し早いクリスマスプレゼントですよ、 本当はクリスマスに渡したかったんですが、鶴屋さんが海外の大学に進学されるそうなので渡しそびれないようにと思いまして」<br>
「めがっさありがとねっ!開けてもいいかい」<br>
箱を開けるとブランド品のハンカチが出てきた<br>
「おや?このブランド高くなかったかい?」<br>
「キョン君、高かったんじゃないの?」<br>
「今までお世話になったお礼です」<br>
「キョン君、めがっさありがとうね!」<br>
「喜んで頂いて光栄です」」<br>
「でも、なんかもらってばっかで悪いね」<br>
「気にしないでくださいよ」<br>
何かお返ししたいけど何もないなと思っていたら<br>
あっ!いいことを思いついたさっ<br>
でも、すごく勇気がいるけど…この機会を逃すわけにはいかないよ!<br>
あたしは18年間で一番の勇気を振りしぼった<br>
「キョン君ちょいと耳を貸して」<br>
「えっ?はい」<br>
あたしは近づいたキョン君の頬にキスをした<br>
「うわ、なんですか!」<br>
「つ、つ、鶴屋さん~」<br>
「ちょっと多かったかな!まーおつりは取っておいてね!」<br>
あたしは真っ赤になった顔が見られないように駆け足で坂道を駆け上がった</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>少し上って後ろを振り向いたら<br>
キョン君は真っ赤な顔になって固まってる、みくるも同じように真っ赤な顔であたふたしてるよ<br>
そんな二人へあたしは<br>
「急がないと遅刻するにょろよ!」</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>こうゆう思い出の方が長く記憶に残るしね♪<br>
それに最後くらいはあたしも混ぜておくれよ!</p>
<p> </p>
<p><br>
~~~FIN~~~</p>
<p>12月中旬のこの冬で一番寒い日<br>
あたしの高校生活もあとちょっとで終わろうとしている</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>あたしの家は何代も続くちょっとした名家<br>
現在当主のおやっさんはホールディングスとして会社を何十社も経営している<br>
名家の娘なんて戦国時代なら戦略結婚の道具にされるだけだけど<br>
うっとこのおやっさんは女でも経営学を学ばせようと考えてるらしく海外の留学を強く勧める<br>
本当は高校時代から留学させたかったらしいけど、あたしが高校は絶対に地元と強く言って断った<br>
でも、大学まではさすがに断れないし、あたし自身も経営に興味もあるし<br>
来年の春は異国で迎えるんだろうな…</p>
<p> </p>
<p> </p>
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「鶴屋はイギリスの大学で決まりか?」<br>
「はいっさ!向こうの教授から住むところを決めても問題ないって言われたよっ」<br>
「もう決まったも同然だな、うちの学校から海外の大学に進む生徒は初めてであまり力になれなくてすまんな」<br>
「気にしなくてもいいって!おやっさんの知り合いの教授だからこっちで進めて問題ないさっ」<br>
「そうか」<br>
「先生さぁ、年が明けてから手続きや向こうの住まいなんかであまり学校には来れなくなりそうなんだけど」<br>
「年明けは授業もないし、鶴屋なら問題ないから構わんよ」<br>
「いいにょろか?」<br>
「ああ、なるべく卒業式には出てくれよ」<br>
「はいっさ!そんじゃ失礼します」<br>
「お疲れさん」</p>
<p> </p>
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<p>「あいつがいなくなるとクラスもさみしくなるな」</p>
<p> </p>
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この校舎での生活もそろそろ終わりかと感慨深く廊下を歩いていたら<br>
前から愛くるしいクラスメイトがとぼとぼと歩いてきたよ<br>
「おーい!みくる!」<br>
「あ、鶴屋さん」<br>
「今からSOS団かい?」<br>
「いえ、今日はみんな進路相談なんで休部です」<br>
「そっか、みんなも来年はあたし達と同じか」<br>
「そうですね」<br>
「SOS団ないなら一緒に帰ろうよっ!」<br>
「…はい」<br>
笑顔で返事を返してくれたんだけどなんか暗いな、悩み事でもあるのかな?</p>
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あたしは坂道を下っている途中でみくるに悩みでもあるの?って聞いたら<br>
みくるから衝撃的な言葉が飛び出した…<br>
「えっ!大学を受けないの?」<br>
3年になってからあんなに熱心に勉強していたのに大学を受けないなんてなんで?<br>
「はい…それだけじゃなくて卒業したらに戻らなくては行かないんです」<br>
「戻るって一体どこにだい?」<br>
「…遠いところです、戻ったら多分みんなにはもう会えないかと思います」<br>
聞いた瞬間に頭がブラックアウトしたよ…<br>
「そんな…キョン君やハルにゃんは知ってるの?」<br>
「みんなには年が明けてから話そうかと…今、話すと心配かけると思うので」<br>
卒業したら、もうみくるには会えないなんて…<br>
「鶴屋さんとお友達になれて本当に良かったです」<br>
みくるは目に涙をたくさん溜めて、もう泣きそうだよ<br>
あたしも急なことで考えがまとまらないけどこのまま別れてはいけないとだけは思った<br>
「みくる、今からあたしのうちにおいでよ!」<br>
「えっ!今からですか?」<br>
「あたしも来年はあまり学校には来れないしさっ、今日はいろいろしゃべろうよ!」<br>
「迷惑じゃないですか?」<br>
「うちは全然構わないさっ、何なら泊まっていきなよ」<br>
「泊まってもいいんですか?」<br>
「うん、着替えなら貸すしさっ!」<br>
みくるはちょろんと考えた後に<br>
「それじゃ、ぜひお邪魔します」<br>
みくるが笑顔になったよ♪<br>
「そうと決まれば、膳は急げだよ!」<br>
あたしはみくるの手を取り、軽やかなステップで坂道を下った</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p><br>
それからあたし達は晩ご飯を作ったり、一緒にお風呂に入ったりして、親友とのかけがえのない時間を過ごした<br>
「いや~今日はみくるとたくさん話せて楽しかったさっ!」<br>
「私も楽しかったです、すいません寝間着まで借りて」<br>
「いいって!いいって!下着とかも乾燥機に入れてあるから朝には乾くさっ」<br>
「本当にありがとうございます」<br>
「お礼なんていいさっ!本当は下着もあたしのを貸したかったけど、みくるのボディには収まんないからさっ」<br>
みくるはお顔を真っ赤かにして<br>
「もう、鶴屋さんたら」<br>
「そんじゃ、寝ようか」</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>あたしは電気を消すと、みくるの布団に潜り込んだ</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>「わっ!どうしたんですか鶴屋さん」<br>
「今日は一緒の布団で寝るよ」<br>
「なんだか恥ずかしいですね」<br>
「気にしない!気にしない!」<br>
「はい」<br>
「それにしても3年間色々のことがあったね」<br>
「本当ですね…すいませんSOS団の活動の方が忙しくて、鶴屋さんとあまり遊べなくて」<br>
「気にしないでおくれよ!私もみんなを見てて幸せの気分になれたしさっ」<br>
「本当ですか、良かった」<br>
「それにあたしも時々SOS団に混ぜてもらったしね!野球したり、映画にも出させてもらったりしてさっ!」<br>
「鶴屋さんの別荘で冬の合宿旅行もしましたね、私あの時のミステリーの答えがまだ解らないんですよね」<br>
「…後、みくるが一週間ぐらいあたしの家にホームステイしたこともあったね」<br>
「あの時は本当にお世話になりま…あっ!え~と!そんなことありましたっけ?つ、鶴屋さん何か勘違いしてません?」<br>
みくるはひどく動揺して誤魔化そうとしてるけど、あたしはやさしく話を続けた<br>
「みくる隠さなくてもいいって」<br>
「な、何のことですか?」<br>
「みくるが行かなくちゃいけないところって未来?それとも宇宙?」<br>
「ええっ!」<br>
「宇宙は有希っこぽいからはみくるは未来かな?あの時の映画の配役みたいにさっ」<br>
あたしは少し意地悪しちゃったかなと思っているとみくるは声を詰まらせながら発した<br>
「…き、禁則事項です」<br>
「ごめんね、なんか答えにくい話しちゃってさっ」<br>
「…本当にすいません」</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>二人の間に少しの沈黙が流れた…あたしは沈黙を破るように一番聞きたい質問を問いかけた</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>「最後に一つだけ教えて?キョン君には…みくるの気持ちを伝えなくてもいいの?」<br>
「……」<br>
「ハルにゃんを気にするのは分かるけど、思いを伝えるのはいいと思うよ」<br>
「……」<br>
「このまま別れたら悔いが残るよ?」<br>
あたしの質問が止むとみくるはゆっくりと口を開いた<br>
「…キョン君にはまた会えると信じています」<br>
みくるは目に涙を溜めながらも目に強さを感じた<br>
「これは規定事項ではないけど、確信しています」<br>
「…いいのかい?」<br>
「はい」<br>
その返事はこの3年間で聞いた言葉の中で一番決意の込められたものだった</p>
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<p>また少しの沈黙が流れた…今度はみくるが沈黙を破ってあたしに質問を投げかけた</p>
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「鶴屋さんの方こそいいんですか?キョン君に思いを告げなくて」<br>
あたしはギクッとしたよ!あちゃ~この子は気づいていたのかい<br>
そんなあたしの顔を見ながら、みくるはやさしい声で<br>
「鶴屋さんもキョン君のことが好きなんでしょう」<br>
「さすがみくるだよ、敵わないさっ」<br>
「鶴屋さんこそに伝えた方がいいです、鶴屋さんは海外に留学しても会おうと思えば会えるんだし」<br>
あたしはキョン君の顔を思い浮かべた…その顔はやさしく微笑んでいたよ<br>
その顔を思い描くだけであたしは幸せさ…彼を困らせちゃいけないな<br>
「…いいや、あたしは見てる方が楽しいさ」<br>
今のあたしの目にはたくさんの涙が溜めているんだろうな…<br>
「それに…キョン君にはハルにゃんがお似合いだよ…だからあたしはいいよ」<br>
「…私も…キョン君には涼宮さんが」<br>
話し終わる前に前にみくるは泣き始めた<br>
あたしも目に溜めていた涙がぼろぼろこぼれだした<br>
二人で思いっきり涙を流した</p>
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<p>ひとしきり泣いた後にあたし達は明け方まで3年間の思い出と彼のことをたくさん話した…</p>
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翌日、あたし達は眠い目をこすりながら坂道を上がっていた<br>
「めがっさ、眠いにょろ」<br>
「結局、朝まで話しちゃいましたね」<br>
坂道を上がっていたら、さっきまで話の中心になっていた彼に声を掛けられた<br>
「朝比奈さんに鶴屋さん、おはようございます」<br>
「おはよー!キョン君」<br>
「キョン君、おはようございます」<br>
二人ともいつも通りにあいさつはしたけど<br>
みくるは真っ赤な顔でもじもじして下を向いてるし<br>
あたしも昨日の今日だからめがっさ胸がドキドキしてるよ<br>
「鶴屋さんに会えて、タイミングが良かったです」<br>
「タイミングがいいって何が?」<br>
「鶴屋さんに渡したい物があるんですよ」<br>
「何かくれるのかい?」<br>
「はい」<br>
キョン君は綺麗にラッピングされた包みをあたしに渡してくれた<br>
「今までお世話になったお礼と少し早いクリスマスプレゼントですよ、本当はクリスマスに渡したかったんですが、鶴屋さんが海外の大学に進学されるそうなので渡しそびれないようにと思いまして」<br>
「めがっさありがとねっ!開けてもいいかい」<br>
箱を開けるとブランド品のハンカチが出てきた<br>
「おや?このブランド高くなかったかい?」<br>
「キョン君、高かったんじゃないの?」<br>
「今までお世話になったお礼です」<br>
「キョン君、めがっさありがとうね!」<br>
「喜んで頂いて光栄です」」<br>
「でも、なんかもらってばっかで悪いね」<br>
「気にしないでくださいよ」<br>
何かお返ししたいけど何もないなと思っていたら<br>
あっ!いいことを思いついたさっ<br>
でも、すごく勇気がいるけど…この機会を逃すわけにはいかないよ!<br>
あたしは18年間で一番の勇気を振りしぼった<br>
「キョン君ちょいと耳を貸して」<br>
「えっ?はい」<br>
あたしは近づいたキョン君の頬にキスをした<br>
「うわ、なんですか!」<br>
「つ、つ、鶴屋さん~」<br>
「ちょっと多かったかな!まーおつりは取っておいてね!」<br>
あたしは真っ赤になった顔が見られないように駆け足で坂道を駆け上がった</p>
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<p>少し上って後ろを振り向いたら<br>
キョン君は真っ赤な顔になって固まってる、みくるも同じように真っ赤な顔であたふたしてるよ<br>
そんな二人へあたしは<br>
「急がないと遅刻するにょろよ!」</p>
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<p>こうゆう思い出の方が長く記憶に残るしね♪<br>
それに最後くらいはあたしも混ぜておくれよ!</p>
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~~~FIN~~~</p>