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灰・死・古泉一樹・涼宮ハルヒ」(2008/01/21 (月) 13:47:24) の最新版変更点

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<p> <a title="世界の終り・神様・私・未来 (3s)" href= "http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/4152.html"><font color= "#333333">世界の終り・神様・私・未来</font></a>の続編</p> <p> </p> <p>  窓の外の光景はもはや灰色にしか見えない。実際に目にするのは初めてだった。そこには光の色は無く、緩やかな明暗によってのみ構成される灰色の世界が広がっている。これは現実なのだろうか。それとも、私は古泉一樹が見舞われたのと同じように、幻を見ているのだろうか。私は目の前の光景の情報を解析しようと試みる。不可能。エラーの反応さえも帰ってこない。あらゆる機能は私から欠損してしまっている。<br>  朝比奈みくるは、私が全てを話し終えて以降以降黙りこくっている。いつのまにか、私<br> のためにお茶を淹れてくれていたようだ。それはもうすっかり冷めてしまっている。私は<br> 随分長い間窓の外を眺めていたらしい。<br>  不意に、カーディガンのポケットの中で携帯電話が震動する。再び古泉一樹からのメールだろうか。冷えてしまった手で携帯電話を取り出し、画面を確認する。一件の新着メール。送信者は古泉一樹ではない。彼を保護していたはずの、「機関」のアドレスからだった。本文を開くと、其処には意味不明な、奇怪な記号が羅列されている。閲覧になんらかの解除コードを要する類いのものだ。恐らく、機関が内部の情報伝達の為に送信したメールが、何らかの手違いで送られてきてしまったのだろう。<br>  彼らは脱走した古泉一樹を探しているのだろうか。<br>  古泉一樹が施設を脱走し、私の下にメールを送ってきてから、もう十二時間以上の時間が経過している。「涼宮ハルヒ」が病院を抜け出した正確な時間は分からないが、双方が休むことなく接近しあえば、そろそろお互いが遭遇してもおかしくはない。<br>  最後の時は近づいて来ている。<br>  どこか遠方から、リノリウムの上を駆ける足音が聞こえてくる。それが谷口の足音であることが、私には直感的に理解できる。私は彼に会いたくないと願う。彼に全てを教える事も、最後の最後まで彼に真実を隠し続ける事も、私はどちらも願わない。<br>  私には何も出来ない。<br>  私は窓を開けた。</p> <p> </p> <p> この世界で死ぬことが出来るのは「涼宮ハルヒ」だけだと言う事は分かっている。「涼<br> 宮ハルヒ」がそう望んだからだ。分かっていながら、私は冷たい空気の中に身を乗り出し、目の前の灰色に向かって飛んだ。</p> <p> </p> <p> 全てが終わる時まで、せめて眠っていられたら良いと思った。</p> <p> </p>
<p> <a title="世界の終り・神様・私・未来 (3s)" href= "http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/4152.html"><font color= "#333333">世界の終り・神様・私・未来</font></a>の続編</p> <p> </p> <p>  窓の外の光景はもはや灰色にしか見えない。実際に目にするのは初めてだった。そこには光の色は無く、緩やかな明暗によってのみ構成される灰色の世界が広がっている。これは現実なのだろうか。それとも、私は古泉一樹が見舞われたのと同じように、幻を見ているのだろうか。私は目の前の光景の情報を解析しようと試みる。不可能。エラーの反応さえも帰ってこない。あらゆる機能は私から欠損してしまっている。<br>  朝比奈みくるは、私が全てを話し終えて以降以降黙りこくっている。いつのまにか、私のためにお茶を淹れてくれていたようだ。それはもうすっかり冷めてしまっている。私は随分長い間窓の外を眺めていたらしい。<br>  不意に、カーディガンのポケットの中で携帯電話が震動する。再び古泉一樹からのメールだろうか。冷えてしまった手で携帯電話を取り出し、画面を確認する。一件の新着メール。送信者は古泉一樹ではない。彼を保護していたはずの、「機関」のアドレスからだった。本文を開くと、其処には意味不明な、奇怪な記号が羅列されている。閲覧になんらかの解除コードを要する類いのものだ。恐らく、機関が内部の情報伝達の為に送信したメールが、何らかの手違いで送られてきてしまったのだろう。<br>  彼らは脱走した古泉一樹を探しているのだろうか。<br>  古泉一樹が施設を脱走し、私の下にメールを送ってきてから、もう十二時間以上の時間が経過している。「涼宮ハルヒ」が病院を抜け出した正確な時間は分からないが、双方が休むことなく接近しあえば、そろそろお互いが遭遇してもおかしくはない。<br>  最後の時は近づいて来ている。<br>  どこか遠方から、リノリウムの上を駆ける足音が聞こえてくる。それが谷口の足音であることが、私には直感的に理解できる。私は彼に会いたくないと願う。彼に全てを教える事も、最後の最後まで彼に真実を隠し続ける事も、私はどちらも願わない。<br>  私には何も出来ない。<br>  私は窓を開けた。</p> <p> </p> <p>  この世界で死ぬことが出来るのは「涼宮ハルヒ」だけだと言う事は分かっている。「涼宮ハルヒ」がそう望んだからだ。分かっていながら、私は冷たい空気の中に身を乗り出し、目の前の灰色に向かって飛んだ。</p> <p> </p> <p> 全てが終わる時まで、せめて眠っていられたら良いと思った。</p> <p> </p>

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