「Different World's Inhabitants YUKI～スイヨウビ(その四)～」の編集履歴（バックアップ）一覧はこちら
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<p> </p>
<p> </p>
<p>突然だが、今現在の俺の５Ｗ１Ｈというものを発表したいと思う。</p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">・Who（誰が）・・・俺と古泉が</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">・What（何を）・・・話を</div>
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<p>・When（いつ）・・・え～と、午後４時くらいか？</p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">ここまでは正直言ってどうでもいい。問題はこれからだ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
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<p>・Where（どこで）・・・食堂の屋外テーブルで</p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
まずこれだ。ここには確か２日前も来たような気がする、いや絶対に来た。これは俺がアウトドア派だからではないぞ。そもそも、こういうのをアウトドアというのかどうかよく分からんが、そう何回も来るような所ではないはずだ。しかも、女の子と来るのならまだしも、無駄にイケメン面の男と２人きりだと怪しく思われるかもしれんしな。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
「ふふ、あなたの考えすぎですよ。自分で言うのも何ですが、僕は至ってノーマル、普通の健全な男子高校生ですよ。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
うるさい。人の思考の中に勝手に入ってくんな。それに、世間はもうお前をあっち系の属性の人間として認識しているぞ。今更変えようとしても無駄だ。割り箸についている爪楊枝並みに無駄だ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
「何言ってるんですか？あの爪楊枝はとても役に立つんですよ。細かな食べかすが歯の奥に挟まったときとかにですね・・・」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
ええい、うるさい！それに突っ込みどころもおかしい！せめて、『古泉＝ガチホモ』説を否定しろ。爪楊枝の必要性の有無までは付き合ってられん。それに、俺が１番言いたいのは、Whereじゃないんだよ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
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<p>・Why（どうして）・・・何故古泉がここにいるのか説明してもらうために</p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
そうだ。俺はこのことをお前に聞きたいんだよ。その為に、わざわざここまで足を運んできたんだ。全く、いらぬ心配をかけさせやがったくせに、帰ってきたら帰ってきたでえらくあっさりとしてやがる。俺はてっきり、ボロボロになって帰ってくるもんだと思っていたぜ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「あなたにそこまで心配してもらえるとは、僕の株も上がったものですね。」</div>
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<p>・How（どのように）・・・気持ち悪いくらいのにやけ面で</p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
を加えた方がいいような顔の古泉。その顔からは緊迫感のかけらも感じられない。どう見ても、さっきまで行方不明だった奴のする表情じゃねえな。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「いやぁすみませんね。笑顔は癖のような感じですから。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
<p>どこかで聞いたことのあるフレーズを吐いてから古泉は話し出した。</p>
</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
「もうご存知だとは思いますが、僕は森さんと一緒に閉鎖空間内に閉じ込められていたんです。何故かというと・・・」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
「神人がいなかったんだろ、その閉鎖空間の中に。そんなことはどうでもいい。俺はどうやってお前が帰ってきたのかが知りたいんだ。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「そうですか。ならお話しましょう。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
古泉の話の内容は、朝、長門から聞いたものとほとんど同じだった。つまり森さんと２人で囚人状態になっていたところに、突如大量の神人と『機関』の方々が駆けつけ、その神人のダウンと共に晴れて自由の身になったということだそうだ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
「いやぁこう見えても結構大変だったんですよ？食料や電気はあの世界にもございますので困りませんでしたが、何より森さんと一緒だったことが・・・・・・。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
その時、古泉のポケットの中の携帯がメール着信を伝えるメロディーを奏でた。「失礼します。」と、携帯を操作しだした古泉の顔から、不意に笑みが消えた。そして、慌てたような様子で辺りを見回し出した。どうした？結局、何が１番大変だったんだ？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「いや・・・あの・・・その話はまた別の機会にさせていただきますよ。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">また、着信を告げるメロディー。そして、顔が引きつる古泉。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
「・・・・・・訂正します。もう、お話しすることはないでしょうね・・・多分・・・。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
何なんだ一体？説明好きなお前にしちゃ珍しすぎるじゃねぇか。明日は雪でも降るかもしれん。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
まあ、これで話は終わりだな。お前も無事に帰ってきたことだし一件落着だ。さて、そろそろ部室に帰ろうぜ。団長様の雷が落ちる前にな。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「ええ・・・。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
そういって席を立った古泉だったが、その顔にはまだ笑みが戻っていない。そればかりか、逆に憂いを帯びた雰囲気だ。似合わんな。こんな顔をするくらいなら、いつものニヤニヤ顔の方が幾分かマシだ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「どうした、似合わん面をして？まだ話し足りんことでもあるのか？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「いや・・・その・・・何でもありません。やはり、少し疲れてるんでしょうね。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
「そいつはお気の毒だが、あいにく休む暇はねぇぞ。明日は色々せにゃならんだろうし、これから機関誌作りもあるそうだ。全く、お前らのせいで無駄なイベントが増えちまったじゃねぇか。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
「いいじゃないですか。少なくともこの時期は、涼宮さんが非日常的なことを望んだりはしないでしょうし。それに、文芸部としての仕事も少しはやっておいた方がいいでしょうしね。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
そういう、古泉の顔はいつもの０円スマイルに元通りだ。まぁ、あんな薄暗い空間に丸１日閉じ込められていたら、そりゃ気が滅入るわな。こいつも影知らず苦労しているんだろうし。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
それから俺と古泉は、明日の段取りなどを話しつつ、夜寝る前に歯を磨くぐらいの自然さで、部室への帰還を果たした。「遅い！！２人とも何やってたの！？」というハルヒの怒声が俺達を迎えたのは言うまでもないだろう。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
それからの俺達ＳＯＳ団の活動内容だが、くわしい描写は省かせていただく。別にいいだろう？ただ、編集長様の命令に従い、大量の紙束をホッチキスでパチン、パチンと留めていただけだ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
それと機関誌の内容についてだが、これも相変わらずで、鶴屋さんの冒険小説はとても面白く、谷口の日常エッセイはとてもつまらなかった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
<p>
また、ハルヒの書いた論文じみた短文は、去年のよりさらに発展した時空平面理論を表していたらしい。朝比奈さんは始終うなりっぱなしだったが、俺の頭では理解できそうもなかったし、しようともしなかった。なんせ、意味の分からん記号が所狭しと並んでいるだけだったからな。</p>
<p>
ちなみに長門の小説はハルヒの手によって、結局最後までじっくりと読ませてもらえなかった。最初の方をチラッと見た様子では、本当にベタな恋愛小説って感じだったが。</p>
</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">それよりも俺の頭の中は、明日のことでいっぱいだった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
<p>さて、何をしたものかね？</p>
<p> </p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「お任せください。僕にいい考えがあります。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
と、机の上に並べられた出来立てホヤホヤの機関誌があっという間になくなっていく様子を目の当たりにした後の帰り道、古泉がやけに自信ありげな表情で宣言した。もちろん、かの３人娘は俺達のはるか前を歩いているから聞かれる心配はナッシングだ。普段の宇宙人長門なら可能かもしれんが、いまは普通人だし。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
しかし、あの機関誌の人気ぶりは何だろうね？並べる前から、待ち構えている奴らもいたし。しまったな。金でも取れば、いい小遣いになったろうに。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
「いかんせん今日帰ってきたばかりですから、下準備の必要な大掛かりなものは出来ませんが・・・」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">と前置きしつつ、古泉はわざわざ耳打ちまでしてその『いい考え』とやらを発表した。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「・・・・・・まぁ、あいつが好きそうなことじゃねぇか。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「ふふ、一応涼宮さんの好みに関しては熟知しているつもりですからね。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「で、俺は何をすればいいんだ。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
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「特別に何かしなければならないということはありませんよ。場所も道具も『機関』の方で用意いたします。」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「そうか、それはありがたい・・・」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「キョンー！！古泉くーん！！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
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俺達の話の間に割り込んできたのは、朝比奈さんをぬいぐるみのように抱いたハルヒのばかでかい声だった。話に夢中で気が付かなかったが、もう<span style="color:#333333;">光陽園前</span>駅に到している。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
「じゃあ、明日は頼んだわよ！何せ、私達はバレンタイン、あそこまでしたんだから！ね、みくるちゃん？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「は、はい。えっと・・・お願いしますね。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
喜んでお願いされましょう。あなたの頼みを断るような輩など全宇宙を探してもいませんよ。ちなみに今年のバレンタイン、女性陣からどのようなサプライズがあったのかは、またいつか話す機会があるだろう。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「じゃあね！」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">と、沈みかけた夕陽にも負けない輝きの笑顔で、手を振るハルヒ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">それを見ると何故か、明日へのやる気が無性に湧いてきた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">本当に何でだろうね？</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
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この時の俺は、ある意味幸せだったのかもしれない。悩みと言ったら、明日、３人娘をいかに楽しませるかという気楽なものだけだった。まぁ、あまり気楽と言えるものでもないかもしれんが。</div>
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ここしばらくの懸念事項だった、別世界のハルヒの力も弱まっているようだし心配することもないだろうと楽観的に考えていた。バカだった。本当にバカだった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
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あのヒューマノイドインターフェースが、長門有希が、この時どんな状況に陥り、そしてどんな気持ちでいたのか。</div>
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<p>俺には、想像すら出来なかった。</p>
<p> </p>
<p> </p>
</div>
<p> ～<a title="Different World's Inhabitants YUKI～モクヨウビ(その一)～ (4s)" href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/4458.html">Different World's
Inhabitants YUKI～モクヨウビ(その一)～</a> へ続く～</p>
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<p> </p>
<p> </p>
<p>突然だが、今現在の俺の５Ｗ１Ｈというものを発表したいと思う。</p>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">・Who（誰が）・・・俺と古泉が</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">・What（何を）・・・話を</div>
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<p>・When（いつ）・・・え～と、午後４時くらいか？</p>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">ここまでは正直言ってどうでもいい。問題はこれからだ。</div>
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<p>・Where（どこで）・・・食堂の屋外テーブルで</p>
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まずこれだ。ここには確か２日前も来たような気がする、いや絶対に来た。これは俺がアウトドア派だからではないぞ。そもそも、こういうのをアウトドアというのかどうかよく分からんが、そう何回も来るような所ではないはずだ。しかも、女の子と来るのならまだしも、無駄にイケメン面の男と２人きりだと怪しく思われるかもしれんしな。</div>
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「ふふ、あなたの考えすぎですよ。自分で言うのも何ですが、僕は至ってノーマル、普通の健全な男子高校生ですよ。」</div>
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うるさい。人の思考の中に勝手に入ってくんな。それに、世間はもうお前をあっち系の属性の人間として認識しているぞ。今更変えようとしても無駄だ。割り箸についている爪楊枝並みに無駄だ。</div>
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「何言ってるんですか？あの爪楊枝はとても役に立つんですよ。細かな食べかすが歯の奥に挟まったときとかにですね・・・」</div>
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ええい、うるさい！それに突っ込みどころもおかしい！せめて、『古泉＝ガチホモ』説を否定しろ。爪楊枝の必要性の有無までは付き合ってられん。それに、俺が１番言いたいのは、Whereじゃないんだよ。</div>
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<p>・Why（どうして）・・・何故古泉がここにいるのか説明してもらうために</p>
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そうだ。俺はこのことをお前に聞きたいんだよ。その為に、わざわざここまで足を運んできたんだ。全く、いらぬ心配をかけさせやがったくせに、帰ってきたら帰ってきたでえらくあっさりとしてやがる。俺はてっきり、ボロボロになって帰ってくるもんだと思っていたぜ。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「あなたにそこまで心配してもらえるとは、僕の株も上がったものですね。」</div>
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<p>・How（どのように）・・・気持ち悪いくらいのにやけ面で</p>
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を加えた方がいいような顔の古泉。その顔からは緊迫感のかけらも感じられない。どう見ても、さっきまで行方不明だった奴のする表情じゃねえな。</div>
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<p>どこかで聞いたことのあるフレーズを吐いてから古泉は話し出した。</p>
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「もうご存知だとは思いますが、僕は森さんと一緒に閉鎖空間内に閉じ込められていたんです。何故かというと・・・」</div>
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「神人がいなかったんだろ、その閉鎖空間の中に。そんなことはどうでもいい。俺はどうやってお前が帰ってきたのかが知りたいんだ。」</div>
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古泉の話の内容は、朝、長門から聞いたものとほとんど同じだった。つまり森さんと２人で囚人状態になっていたところに、突如大量の神人と『機関』の方々が駆けつけ、その神人のダウンと共に晴れて自由の身になったということだそうだ。</div>
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「いやぁこう見えても結構大変だったんですよ？食料や電気はあの世界にもございますので困りませんでしたが、何より森さんと一緒だったことが・・・・・・。」</div>
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その時、古泉のポケットの中の携帯がメール着信を伝えるメロディーを奏でた。「失礼します。」と、携帯を操作しだした古泉の顔から、不意に笑みが消えた。そして、慌てたような様子で辺りを見回し出した。どうした？結局、何が１番大変だったんだ？</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「いや・・・あの・・・その話はまた別の機会にさせていただきますよ。」</div>
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「・・・・・・訂正します。もう、お話しすることはないでしょうね・・・多分・・・。」</div>
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何なんだ一体？説明好きなお前にしちゃ珍しすぎるじゃねぇか。明日は雪でも降るかもしれん。</div>
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まあ、これで話は終わりだな。お前も無事に帰ってきたことだし一件落着だ。さて、そろそろ部室に帰ろうぜ。団長様の雷が落ちる前にな。</div>
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そういって席を立った古泉だったが、その顔にはまだ笑みが戻っていない。そればかりか、逆に憂いを帯びた雰囲気だ。似合わんな。こんな顔をするくらいなら、いつものニヤニヤ顔の方が幾分かマシだ。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「どうした、似合わん面をして？まだ話し足りんことでもあるのか？」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「いや・・・その・・・何でもありません。やはり、少し疲れてるんでしょうね。」</div>
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「そいつはお気の毒だが、あいにく休む暇はねぇぞ。明日は色々せにゃならんだろうし、これから機関誌作りもあるそうだ。全く、お前らのせいで無駄なイベントが増えちまったじゃねぇか。」</div>
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「いいじゃないですか。少なくともこの時期は、涼宮さんが非日常的なことを望んだりはしないでしょうし。それに、文芸部としての仕事も少しはやっておいた方がいいでしょうしね。」</div>
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そういう、古泉の顔はいつもの０円スマイルに元通りだ。まぁ、あんな薄暗い空間に丸１日閉じ込められていたら、そりゃ気が滅入るわな。こいつも影知らず苦労しているんだろうし。</div>
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それから俺と古泉は、明日の段取りなどを話しつつ、夜寝る前に歯を磨くぐらいの自然さで、部室への帰還を果たした。「遅い！！２人とも何やってたの！？」というハルヒの怒声が俺達を迎えたのは言うまでもないだろう。</div>
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それからの俺達ＳＯＳ団の活動内容だが、くわしい描写は省かせていただく。別にいいだろう？ただ、編集長様の命令に従い、大量の紙束をホッチキスでパチン、パチンと留めていただけだ。</div>
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それと機関誌の内容についてだが、これも相変わらずで、鶴屋さんの冒険小説はとても面白く、谷口の日常エッセイはとてもつまらなかった。</div>
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また、ハルヒの書いた論文じみた短文は、去年のよりさらに発展した時空平面理論を表していたらしい。朝比奈さんは始終うなりっぱなしだったが、俺の頭では理解できそうもなかったし、しようともしなかった。なんせ、意味の分からん記号が所狭しと並んでいるだけだったからな。</p>
<p>
ちなみに長門の小説はハルヒの手によって、結局最後までじっくりと読ませてもらえなかった。最初の方をチラッと見た様子では、本当にベタな恋愛小説って感じだったが。</p>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">それよりも俺の頭の中は、明日のことでいっぱいだった。</div>
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<p>さて、何をしたものかね？</p>
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<p> </p>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「お任せください。僕にいい考えがあります。」</div>
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と、机の上に並べられた出来立てホヤホヤの機関誌があっという間になくなっていく様子を目の当たりにした後の帰り道、古泉がやけに自信ありげな表情で宣言した。もちろん、かの３人娘は俺達のはるか前を歩いているから聞かれる心配はナッシングだ。普段の宇宙人長門なら可能かもしれんが、いまは普通人だし。</div>
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しかし、あの機関誌の人気ぶりは何だろうね？並べる前から、待ち構えている奴らもいたし。しまったな。金でも取れば、いい小遣いになったろうに。</div>
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「いかんせん今日帰ってきたばかりですから、下準備の必要な大掛かりなものは出来ませんが・・・」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「・・・・・・まぁ、あいつが好きそうなことじゃねぇか。」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「ふふ、一応涼宮さんの好みに関しては熟知しているつもりですからね。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「で、俺は何をすればいいんだ。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
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「特別に何かしなければならないということはありませんよ。場所も道具も『機関』の方で用意いたします。」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「そうか、それはありがたい・・・」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「キョンー！！古泉くーん！！」</div>
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俺達の話の間に割り込んできたのは、朝比奈さんをぬいぐるみのように抱いたハルヒのばかでかい声だった。話に夢中で気が付かなかったが、もう<span style="color:#333333;">光陽園前</span>駅に到している。</div>
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「じゃあ、明日は頼んだわよ！何せ、私達はバレンタイン、あそこまでしたんだから！ね、みくるちゃん？」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「は、はい。えっと・・・お願いしますね。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
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喜んでお願いされましょう。あなたの頼みを断るような輩など全宇宙を探してもいませんよ。ちなみに今年のバレンタイン、女性陣からどのようなサプライズがあったのかは、またいつか話す機会があるだろう。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「じゃあね！」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">と、沈みかけた夕陽にも負けない輝きの笑顔で、手を振るハルヒ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">それを見ると何故か、明日へのやる気が無性に湧いてきた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">本当に何でだろうね？</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
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この時の俺は、ある意味幸せだったのかもしれない。悩みと言ったら、明日、３人娘をいかに楽しませるかという気楽なものだけだった。まぁ、あまり気楽と言えるものでもないかもしれんが。</div>
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ここしばらくの懸念事項だった、別世界のハルヒの力も弱まっているようだし心配することもないだろうと楽観的に考えていた。バカだった。本当にバカだった。</div>
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あのヒューマノイドインターフェースが、長門有希が、この時どんな状況に陥り、そしてどんな気持ちでいたのか。</div>
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<p>俺には、想像すら出来なかった。</p>
<p> </p>
<p> </p>
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<p> ～<a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/4458.html" title="Different World's Inhabitants YUKI～モクヨウビ(その一)～ (4s)">Different World's
Inhabitants YUKI～モクヨウビ(その一)～</a>へ続く～</p>
