「魔人探偵脳噛ハルヒ」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「魔人探偵脳噛ハルヒ」(2007/12/10 (月) 00:41:39) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
<p> <br>
やっぱり、あの自己紹介が原因だったのかしら。<br>
<br>
「ただの人間には興味ありません!<br>
この中に宇宙人、未来人、超能力者、魔人が居たら私のところに来なさい!以上!」<br>
<br>
もちろん、そういうヤツらに会いたいって気持ちはあったわよ?でもそれは願望に過ぎない。<br>
そういうヤツらなんかいないってことぐらい、私だって分かってるわよ。<br>
だけどそしたら……目の前にいるコイツは、何?<br>
<br>
「我輩は魔人、脳噛ネウロ。脳髄の空腹を満たしにここにやってきた。」<br>
<br>
<br>
<br>
事の起こりは数分前。<br>
わたしはHR目が終わった後、部室へと走っていた。<br>
たまには最初についてみんなを待つのもいいじゃない?<br>
だけど突然、窓から手が伸びてきて引っ張られて、屋上に連れてこられた。<br>
<br>
「な、なに!?」<br>
<br>
目の前に居たのは長身でスーツを着てる若い男。ちょっと変わった髪形をしている。<br>
突然のことで頭がパニックだった。<br>
でもってその謎の男は、私を更にパニックに陥れる<br>
<br>
「我輩は魔人、脳噛ネウロ。脳髄の空腹を満たしにここにやってきた。」<br>
<br>
魔人?コイツ一体……何を言っているの?<br>
<br>
「ま、まじん?アンタどっか、おかしいんじゃないの?」<br>
<br>
私は言い返してやった。<br>
するとソイツ……ネウロという男は、右手を私の前にかかげた。<br>
そして……<br>
<br>
「ひいっ!」<br>
<br>
その手は一瞬にして刃に変わった。<br>
私の顔のほんの数ミリ先に刃物がある。ちょっとでも動けば刺さってしまいそうだ。<br>
<br>
「我輩は魔人。ここに来たのは、謎を食うためだ。」<br>
「て、手を戻しなさいよ……」<br>
「我輩は謎を食としている。悪意により作られたトリックを解くことで、謎というエネル ギーが放出されるのだ。」<br>
<br>
聞いてないわ。ていうか、聞こえてるけど無視してるって感じね。<br>
どんだけサディストなのよ、こいつ。<br>
<br>
「それで、なんでその魔人様がこんな平凡な高校に来たのよ。」<br>
「貴様が、それを望んだのだろう?」<br>
「え?」<br>
<br>
確かにあたしは魔人に会いたいと思ってた。自己紹介でもそう言った。<br>
だけどそれとコイツがここに来たことと、なんの関係があるの?<br>
<br>
「ふむ、自覚は無いようだな。貴様もなかなか稀有な能力を持っていて興味深いが……<br>
今回ここに来た理由は、ここに謎が生まれる気配を感じたからだ。」<br>
「気配って何よ。」<br>
「もうすぐ、貴様の近くで事件が起こるぞ。いや、既に起きているか……」<br>
「なっ!」<br>
<br>
そう言うとネウロは私を引っ張って進み出した。<br>
<br>
「ちょっ!離しなさいよ!」<br>
「貴様は我輩の奴隷だ。黙ってついてこい。」<br>
<br>
引っ張られること数分、ようやく解放された場所は……部室の前。<br>
<br>
「涼宮さん、遅かったですね。おや?その方は……」<br>
「なんだハルヒ。また誰か連れてきたのか?」<br>
「……だれ?」<br>
<br>
ドアの前には、キョンと有希と古泉君が立って居た。そしてみんな後ろのコイツのことを聞いてくる。当然よね。<br>
まあみんなは、本当のこと話しても大丈夫よね?<br>
<br>
「実はね、コイツまj……モガッ!」<br>
「僕はネットでSOS団のことを知りまして!身近に不思議な出来事があるものですから、是非団長様に相談したいなと思っていたのです!」<br>
<br>
な……なにコイツ!私への態度とはまるで別じゃない!猫かぶりってレベルじゃないわ!!<br>
<br>
「へ……へえ。物好きな人も居たもんだな……」<br>
「なるほど、把握しました。流石涼宮さんですね、一般の方も引きつけるとは。」<br>
「……そう。」<br>
<br>
三人も一応は分かったみたい。でも、古泉君とかはまだ全然警戒してるみたいだけど。<br>
それよりも気になるのは……<br>
<br>
「みんななんでドアの前に立ってるのよ。入ればいいじゃない。」<br>
「それがですね、鍵がかかっていまして……」<br>
「職員室から鍵を取ってくればいいじゃないの。」<br>
「もう行ったよ。だが、鍵は既に無かった。つまり中に誰か居るってことだ。<br>
だから朝比奈さんが着替えてるのかと思って待っていたんだが……」<br>
「……返事が無い。15分たっても音沙汰が無い。」<br>
<br>
なるほど、確かにそれはおかしいわね。鍵が無い以上入れないし……と悩んでいたら<br>
<br>
「ドアに手をかざせ。」<br>
<br>
いきなりネウロが耳打ちしてきた。なんなのよもう。<br>
<br>
「こう?」<br>
<br>
あたしは素直にドアに向けて手をかざした。そしたら……<br>
<br>
――ドカァン!!<br>
<br>
一瞬でドアが吹き飛んだ。な、なにこれ……<br>
<br>
「流石団長ですね!人間離れしたパワーをお持ちだ!」<br>
<br>
コイツまた変な力を使ったわね!人間離れしてるのはアンタでしょうが!!<br>
見なさい、他の三人も唖然としてるわよ。中に居るみくるちゃんも……って……<br>
<br>
「みくるちゃん!?」<br>
<br>
みくるちゃんはやっぱり中に居た。だけどいつもと違うのは、頭から血を流して倒れていることだ。<br>
<br>
「あ、朝比奈さん!!」<br>
<br>
古泉君が駆け寄った。みくるちゃんの脈を取っている。<br>
<br>
「まだ息はあります!救急車を!」<br>
「あ、ああ!!」<br>
<br>
急いで携帯を取り出して電話をするキョン。あたしは、ただ呆然と立ち尽くすだけだった。<br>
ま、まさかコレがネウロが言っていた『事件』なの……!?<br>
ネウロの方を振り向くと、ネウロは……よだれを垂らしていた。そして誰に言うワケでもなく、一人呟いた。<br>
<br>
「この謎はもう……我輩の舌の上だ。」</p>
<p><br>
「見てください!」<br>
<br>
古泉くんが指差したのは、みくるちゃんのメイド服のポケット。その中から出てきたのは……部室の鍵!<br>
<br>
「まさか、それじゃあ……」<br>
「ええ、この部屋は密室だったということになりますね。」<br>
「だとしたら、誰かが殴ったという線は薄くなるな。きっと着替えてたら転んで頭を打ったんだろう。<br>
朝比奈さんの普段のドジっぷりを考えると充分考えられる。」<br>
「ですね。きっとそのまま気絶してしまったんでしょう。」<br>
<br>
キョンと古泉くんの二人で推測している。まああたしも二人の言う通りだと思うわ。<br>
でもみくるちゃん、流石にドジやりすぎよ……<br>
<br>
「いえ、それは違うでしょう。」<br>
<br>
ネウロ!?<br>
<br>
「と、団長はおっしゃっております。」<br>
「ちょ、ネウロ!何言ってるのよ!あたしは……」<br>
<br>
反論をしようとしたけど、ネウロのでかい手で口を封じられる。<br>
そして耳元でささやいてきた。<br>
<br>
「もが!」<br>
「貴様は黙って我輩に身を委ねればいい。そして叫べ。『犯人はお前だ。』とな。」<br>
<br>
身を委ねるって一体……。……え!?何コレ、勝手に右手が上がって……<br>
<br>
「団長は既に犯人の正体を見ぬいておられます。さあ団長、指差してください。」<br>
<br>
そして高く上がった指が振り下ろされる。ある人物の元に向かって。<br>
<br>
「は、犯人は……お前だっ!」<br>
<br>
<br>
<br>
「す、涼宮さん?」<br>
<br>
振り下ろされた指の先に居たのは……古泉くんだった。ウ、ウソでしょ?<br>
<br>
「まさか涼宮さん、僕が朝比奈さんを殴ったとでも?」<br>
「そこから先は僕が説明しましょう。」<br>
<br>
ネウロが呆然とするあたしの前に立った。<br>
<br>
「まず始めに、この部屋の密室がどのように作られたか。それは簡単です。外から鍵をかけたのですよ。」<br>
「か、鍵を?だが、鍵は確かに朝比奈さんのポケットから……」<br>
「果たして本当にそれは、朝比奈さんのポケットにあったのでしょうか?」<br>
<br>
ネウロは古泉くんを見てニヤッと笑った。あれは間違いなく、サディストの目だ……<br>
でも古泉くんも負けてはいない。いつものすました笑顔を崩さずに反論する。<br>
<br>
「おかしな話ですね。実際にあそこにあったでは無いですか。」<br>
「それが、あなたによってでっち上げられた事実なのですよ。思い出してください。あの時、彼女に真っ先に駆け寄ったのはどなたでしたか?」<br>
<br>
駆け寄ったのは……そうだ、古泉くん!<br>
<br>
「そして鍵を見つけたのもどなたでしたか?」<br>
<br>
それも……古泉くん。まさか……<br>
<br>
「全てはあなたの自作自演だったのですよ。真っ先に駆け寄り、朝比奈さんのポケットに鍵を忍ばせる……<br>
あとは、あくまで始めからそこにあったかのように発見すればいい。それだけで架空の『密室』の完成です。<br>
それが可能だったのは、あなた一人だけ。あなたは朝比奈さん自身の事故を主張されていましたが、警察で調べればすぐに殴られたと分かります。<br>
その場合、犯行が可能なのはあなただけということになります!まだ続けますか?」<br>
<br>
古泉くんは反論しない。てことはやっぱり……事実なの?<br>
気付いたらあたしは叫んでいた。<br>
<br>
「どうしてよ古泉くん!なんでみくるちゃんを殴ったの!?」<br>
<br>
それでも古泉くんは笑顔を崩すことは無かった。だけど……<br>
<br>
『アダムとイヴですよ。』<br>
<br>
何故か声にエコーがかかり始めた。そして、古泉くんの身体が赤く光り始める!<br>
<br>
『まあこの場合、アダムは僕でイヴはキョン君なのですけどね。』<br>
<br>
赤い光になった古泉くんの身体がどんどん変形して、小さな球体になった!<br>
<br>
●<ふふふふ……ふんもっふ!<br>
<br>
な、なにこれ……<br>
あたしは豹変した古泉くんの姿を見て、ただ呆然とするしかなかった。<br>
<br>
●<全てはあの女がいけないのですよ!僕の愛しのキョンたんに色目を使うから!<br>
「な、……何を言ってるんだ古泉!正気に戻れ!あと人間の姿に戻れ!」<br>
●<僕が1番キョンたんを愛しているのです!だけどあなたはいつも女のことばかり……<br>
ならば邪魔な女共を消せば!キョンたんのアナルは僕のものです!!さあキョンたん、僕のテトドンを……<br>
「まったく、くだらないですね。」<br>
<br>
ネウロ!?<br>
ネウロはいつの間にか球体化した古泉くんの前に立っていた。<br>
<br>
●<なんですかあなたは!……ウホッ、あなたもなかなかのナイスガイですね。<br>
いいでしょう、あなたも僕のテトドンの威力を味……<br>
「生憎だが我輩、その手の趣味は無い。そもそも我輩に性欲など皆無だ。あるのは無限の食欲のみ。<br>
貴様自身に興味は無いが、貴様が作り出した謎には多いに興味がある。<br>
……まずは大人しくさせようか。魔界777ツ道具……」<br>
<br>
<br>
イビル アナリスト<br>
魔 王 の 尻 穴……!!<br>
<br>
●<う、うわああ!!!魔界道具だけは!魔界道具だけはアッー!!<br>
「おやおや、よかったではないか。なかなか快感だろう?<br>
では……」<br>
<br>
一瞬だけ見えた。ネウロの頭が、人間の顔から魔人の顔に変化するのを。<br>
<br>
「い た だ き ま す ……!」<br>
<br>
次の瞬間、古泉くんは普段の姿に戻っていた。でも……何故か全裸になっていたけど。<br>
<br>
<br>
<br>
~~~~~</p>
<p>結局その後警察が来て、古泉くんは逮捕された。……全裸のままで。<br>
みくるちゃんは一命をとりとめたらしい。良かった……<br>
そしてキョンと有希は今事情聴取を受けている。と言っても、あの出来事を話しても信じてもらえなさそうだけど……<br>
そしてあたしは……<br>
<br>
「ふむ、所詮は高校生ごときの作る謎か。せいぜい間食程度しか腹は膨れんな。」<br>
「あ、あのさネウロ……」<br>
「なんだ、ゾウリムシ。」<br>
「……なによその呼び方は。でも……ありがとね。事件を解決してくれて。」<br>
「構わん。これが我輩の食事なのだからな。人間がどう思おうと知ったことでは無い。」<br>
「それで、あんたこれからどうするのよ。」<br>
「ふむ、この近くで再び謎が生まれたようだ。我輩はそこに行く。我が脳髄の空腹を満たすには、この程度の謎では足りぬからな。」<br>
「じゃあ、ここでお別れね。」<br>
「そうだな。貴様を探偵役としてこき使っても良かったのだが、どうやら貴様は、我輩と同じ『使う側』の人間のようだな。」<br>
「あら、わかってるじゃない!」<br>
「そのような者を使うのもそれはそれで面白いが、やはり純粋な『使われる者』を利用した方がスムーズに事が進む。貴様の能力にも興味をそそられたが……」<br>
「能力?って何よ。」<br>
「フハハハ……」<br>
<br>
ネウロはあたしの問いには答えず、窓をこじあけた。<br>
<br>
「貴様が自覚するにはまだ早い。せいぜい無自覚のまま楽しむことだな。いずれ知るその時まで。」<br>
<br>
そしてネウロは姿を消した。何よ、能力って……<br>
だけどあたしはなんとなく、またコイツと会うような気がしていた。<br>
その時はもう1回ぐらい、探偵役をしてやってもいいかな。そう思った……<br>
<br>
終わり</p>