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「酒と桜と……」(2007/01/12 (金) 14:13:53) の最新版変更点
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<p>
あたしたちは今、桜の木の下で川の字になっている。<br>
間にキョン、両隣にあたしと有希。<br>
えーっと、古泉くんとみくるちゃんはどこに行ったのかしら?<br>
全然覚えてないわ……、あー、頭痛いわねえ。何でかしら、ええっと……、<br>
「飲みすぎだ、馬鹿」<br>
「うっさいわねえ……。あんただって飲んでたじゃない」<br>
うう、自分の声が頭に響くわ。<br>
「自業自得」<br>
有希までそんなことを言うのね。<br>
まあ、自業自得と言えば自業自得だろうけど……、っていうかなんで有希まで寝ているのよ。あんたは酒に強かったんじゃなかったの?<br>
いや、あんまりよく覚えてないんだけど……。<br>
「彼と古泉一樹の要望により、アルコールに対する抵抗力を一時的に低下させている」<br>
何言っているのかしら、よくわからないわ……。<br>
「長門……、そういうことはハルヒに言わなくていいぞ」<br>
何それ、二人だけの秘密だとでも言うの?<br>
なんだか気に食わないわ……。あたしは重い身体を引きずりつつ、上半身だけを起した。<br>
……うわ、キョンったら間抜けな顔。<br>
まあキョンが間抜けなのはいつものことだけどさ。<br>
「何だよ」<br>
あたしの方を見たキョンが、顔を顰める。<br>
「別に、何も」<br>
そんなキョンの顔を見ると、なんだか毒気が抜けちゃう。<br>
酔いが覚めるってわけじゃないんだけど、別に何か言わなくても良いかなって思っちゃうのよ。<br>
何か言っても頭に響いて後悔する羽目になるだけだし……。<br>
うう、でも、本当に頭痛いわ。<br>
あーもう、お酒だけは駄目ねえ。<br>
「なあ、ハルヒ」<br>
「何よ」<br>
「お前、断酒を誓ったんじゃなかったか?」<br>
「忘れたわ、そんなこと」<br>
「……馬鹿だろ、お前」<br>
「うっさいわねえ。キョンだって似たような物じゃない」<br>
「いや、俺はお前に巻き込まれただっ……、って、おい」<br>
ええっと、あたし、何したんだろう?<br>
キョンが五月蝿いなあって思って、その唇を塞ぐために……、あ、あれ、ええっと……。あー、うーん、えっと、えっと……、うん、まあ、良いわ。<br>
酔った勢いってことにさせてちょうだい。<br>
でなきゃ、言葉を塞ぐために唇で唇を何て……。あー、言ってて恥ずかしいわ。<br>
「黙んなさい」<br>
「……」<br>
「ねえ」<br>
「何だよ」<br>
「みくるちゃんと古泉くんは?」<br>
「水を買いに言った。古泉は俺達より酒に強いし、朝比奈さんは最初から飲んでないからな」<br>
「そう……」<br>
<br>
あたしは身体を半分起したまま、ぼんやりと桜を眺めていた。<br>
あたし、何しているんだろうなあ……、酔った勢いで、かあ。<br>
有希も居るのに……。あ、いや、それは……、そう言えば、有希はどう思っているのかしら?<br>
って、有希、完全に寝ているし……、ううん、気付かれてないのかしら?<br>
それならそれで良いんだけど……。<br>
「なあ、ハルヒ。さっきの、」<br>
「忘れなさい」<br>
「……」<br>
「団長命令よ、忘れなさい」<br>
「……分かった」<br>
キョンったら、反論一つしないのね。<br>
まあ、良いけど……、でも、なんか癪ねえ。<br>
そりゃ、覚えられていても、困るけど……、そう、困るのよ。<br>
こんなこと……。<br>
<br>
あーあ、あたし、何しているんだろうなあ。<br>
あたしはキョンから視線を外し、もう一度桜を眺めた。<br>
宵闇の中で桜が舞い散る光景は、幻想的で、凄く綺麗だった。<br>
<br>
<br>
終わり</p>
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