「焼いた芋~if~-Mikuru.A×Kyon×Itsuki.K」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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(※作者許可済み別人(もう一つのifと同じ)作、プロローグからは続いていません)<br>
一度で良いから、木枯らしの吹く並木道、寒空の元を親族以外のカッコいい男の子達に囲まれてつれづれなるままに歩いてみたい、なんて思ったことは有りませんか?<br>
甘酸っぱさを残すような青春の一ページを望むのは、女の子だったら当然のことですよね。<br>
えーっと、わたしも……、うん、普通じゃないけど、やっぱり、女の子なんですよ、そういうところは。<br>
あ、うん、今、まさにそういう状況に居るんです。<br>
えっと、この状況だったら羨望のままに……、って、あれ、そういうことは無いんでしょうか?<br>
うーんうーん、何でですか?<br>
カッコいい男の子に……、うーん、でもでも……。あれ、キョンくん、何でそんな表情しているんですか?<br>
え、俺の真似なんかしなくていい?<br>
これ以上解説されると虚しくなるだけだからやめて欲しい?<br>
えー、全然意味分からないですよう。だってキョンくんだって……、あ、でも一般的な相対的評価によると、古泉くんの方が……、あ、はい、これ以上は言わないです。<br>
でも今の言い回し、何だか長門さんぽかったかも知れませんね。長門さんの真似かあ、そういうのも面白いかも知れませんね。<br>
あ、そうそう、この状況なんですけど、キョンくんと古泉くんとわたしの三人だけなんです。<br>
四文字で言っちゃうと『両手に花』ってことですよね。<br>
これって本来なら逆の状況に使う言葉だと思うんですけど、涼宮さんがこの組み合わせを見てそう言っていたので、多分、これで合っているんだって思うことにします。<br>
じゃあ、前置きがちょっと長くなっちゃいましたけど、これから今日の探索の話をしますね。<br>
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「何にも無いですねえ」<br>
「ええ、何も無いですね」<br>
「……」<br>
「あれ、キョンくん、どうしたんですか?」<br>
「どうせ『お前達なんでそんな真面目に不思議を探しているんだよ』とでも思っているんじゃないですか」<br>
「思ってねえよ」<br>
「ええ、キョンくんそんな風に思っているんですか? 酷いです……」<br>
「思っていませんってば」<br>
「そっかあ、それなら良かったです」<br>
「……」<br>
「おや、どうしてまた黙るんですか?」<br>
「うるさい古泉、ごちゃごちゃ言うな」<br>
「あ、喧嘩は駄目ですよう!」<br>
「いや、朝比奈さん、これは喧嘩じゃなくて……、あ、焼き芋カーですね」<br>
「おや、本当ですね」<br>
「ほええ、焼き芋カー?」<br>
キョンくんが指差した方向に、一台の車が止まっています。<br>
えっと、あれが焼き芋カーなんでしょうか?<br>
焼き芋……、あ、焼き芋は分かりますよ。<br>
でも、焼き芋カーなんて車を見るのは始めてなんです。<br>
「朝比奈さんは焼き芋カーを見るのは始めてなんですか?」<br>
「あ、はい……」<br>
「焼き芋といえば、焼き芋はダイエットに良いらしいですね」<br>
古泉くんがいきなりそんなことを言い出しました。<br>
それは初耳ですね。<br>
「本当かよ」<br>
「ええ、本当ですよ。繊維質が多いですからね。甘い割にカロリーも控えめで、ダイエットの時のおやつとしては良いそうですよ」<br>
「そうなんですかあ……」<br>
「まあ、朝比奈さんにダイエットの必要は無さそうですけどね」<br>
「え、あ、そ、そんな……」<br>
ううん、ダイエットですかあ。<br>
あんまりそういうことを考えたことは無いんですけど、食べても太らないって言うのは、やっぱり魅力的な気がしますよね。焼き芋って、美味しいですし。<br>
「どうします? 食べますか?」<br>
「え……、あ、はい、食べたいかも……です」<br>
「じゃあ、買ってきますね。一人一本で良いですよね? ああ、ここは僕が奢りますよ」<br>
古泉くんがそう言って、焼き芋を買いに焼き芋カーの所まで向いました。<br>
朝はキョンくんに奢って貰って、ここでは古泉くんに奢って貰って。 <br>
ちょっと申し訳ない気もするんですけど、なんだかわたし、幸せ者ですよね。<br>
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あ、古泉くんが、焼き芋を持って戻ってきました。<br>
でも、ちょっと浮かない顔かも知れません。何ででしょうね。<br>
「どうぞ」<br>
「あ、ありがとうございます」<br>
あれ……、でも、わたしとキョンくんが受け取ったら、古泉くんの分が無いみたいですよ?<br>
「二本しかないのか?」<br>
「ええ、ちょうどこれで終わりだそうです」<br>
ええ、そうなんですか!?<br>
「お前は良いのかよ?」<br>
「ええ、僕は無くてもかまいませんから」<br>
「あっ、そんなの駄目ですよ!」<br>
「朝比奈さん……」<br>
「美味しい物は、皆で一緒に食べるから美味しいんです。はい、どうぞ」<br>
私は手にしたお芋を割って、半分を古泉くんに渡しました。<br>
せっかく三人で居るんですから、やっぱり三人で食べたいですよね。<br>
「ありがとうございます」<br>
お礼を言われるようなことじゃないですよ。<br>
だってこれは、古泉くんの奢りじゃないですか。<br>
「……じゃあ、皆で食べましょうか」<br>
なんだかちょっと居心地の悪そうな表情をしたキョンくんが、場を仕切りなおします。<br>
何でこんな表情なんでしょうか……、ううん、よくわからないです。<br>
でも、美味しい物を食べたら元気になれますよね!<br>
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それから私たちは、三人でお芋を食べました。<br>
焼き芋、美味しいなあ。<br>
そうそう、半分を食べ終わった所で、キョンくんがまだ食べてない部分をわたしに差し出してくれたんですよね。<br>
えっと、わたし、そんなに食べたがっているように見えたんでしょうか……、あ、でも、貰ったお芋はちゃんと食べましたよ!<br>
やっぱり、食べたいですし……。あ、意地汚いとか言わないでくださいね。<br>
わたしだって、全部で一本分しか食べてないんですから。<br>
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でも、今日はちょっとキョンくんにも古泉くんにも余計な気を遣わせちゃったかも知れません。焼き芋は美味しかったから良いんですけど……、そうだ、今度二人に何か作っていってあげれば良いですよね!<br>
うん、そうしましょう。<br>
ううん、何が良いかなあ……。<br>
<br>
fin</p>
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