「Different World's Inhabitants YUKI～スイヨウビ(その一)～」の編集履歴（バックアップ）一覧はこちら

「Different World's Inhabitants YUKI～スイヨウビ(その一)～」(2020/03/13 (金) 01:26:25) の最新版変更点

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<p>四日目[スイヨウビ]</p>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「・・・ョンく・・・キョンくん・・・キョンくん！お～き～て！」</div>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「・・・・・・ぐふぁ・・・っつ、分かった！起きたから！もう、いい加減やめろ！」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">以上、これが俺の毎日の目覚めの瞬間だ。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">１日の最初の言葉が「ぐふぁ」とはね・・・・・・。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">我ながら虚しくなってくる。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">出来れば「おはよう」とか「いい朝ですね」とかいった、快い言葉で１日を始めたい。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">妹というものは大変だぞ？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">こいつは全国の一般的な小学６年生と比べて、少し精神年齢が低いようだし。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
まぁ、こんなこと言ったら全国の兄弟がいる子ども達から「そんなのましだぜ。うちの兄貴はよ・・・。」などといった、多数の苦情が寄せられることだろうから、あえて声を高らかに文句を挙げたりはしなかったが。</div>
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妹によって、たたき起こされた俺は、顔を洗ってはっきりと目覚めたころから、何やら違和感を感じていた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">魚の骨がのどの奥に刺さっていてなかなか抜けない、そんな少し刺激のあるものだ。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">何か、忘れていることでもあったか？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">何故だか早く思い出さないと大変なことになるような気がする。</div>
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その違和感が、古泉と森さんの事であると気が付いたのは、家を出て、自転車で駅まで向かう途中、信号待ちをしていた俺の前に止まった、もはやお馴染みの黒塗りタクシーが目に入った時だった。</div>
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いや、見た瞬間ではない。そのときは、「おや、またハルヒが何か仕出かしたのか？」とぼんやり考えただけである。中から、新川さんが出てきたのを見て、やっとのことで古泉と森さんの事を思い出した。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">思い出すのが遅すぎやしないかって？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">そうかもしれないな。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
ただ、言い訳になるかもしれないが、俺は古泉達が向こうの世界に行っても、すぐに帰ってくるもんだと思っていた。そしてその分、２人の事もたいして心配していなかった。あの２人が、困ってオロオロしている姿なぞ想像できないからな。だから、思い出すのが遅れたのだ。記憶というものは、心配度が強いものから保存されていくものだからな。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">俺の前まで歩いて来た新川さんは、軽く会釈をした後、</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
「ご無沙汰しておりました。登校中に申しわけ御座いません。少し、お話ししたいことがございます。ご一緒いただけますでしょうか？」</div>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">と、言って、俺に車に乗るよう促した。</div>
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<p>
自転車に乗っていた俺は、どうしたものかと考えたが、車の中から、もう１人見知らぬ男性が出てきて、自転車を駅まで運んでくれると言うので、素直にそれに従った。この男の人も、『機関』の人なのだろう。</p>
<p> </p>
</div>
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こうして、車を運転する新川さんと、いまいち状況が理解出来ていない俺の２人を乗せたタクシーは出発した。</div>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
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車が走り出した後も、新川さんは何かを話すわけでもなく、ただ黙々と運転していた。この車に乗せられた理由がいまだに分からない俺は、こう尋ねた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
「えっと・・・今更なんですが、俺に何のようです？俺１人でいいんですか？古泉や森さんにも関係のある話じゃないんですか。」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
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「申しわけ御座いません。きちんとした説明もしておりませんでしたな。今回はあなたに知って欲しいことがこざいまして、ここまで参上仕りました。」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">そして、次の新川さんとの会話で、俺は自分の考えが甘すぎだったことに気づく。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「一昨日、異時空に存在した閉鎖空間に森と古泉が向かったのはご存知ですね？」</div>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">もちろん、知っていますとも。何せ、俺が連れて行きましたからね。</div>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「今、あの２人はどこにいるんですか？」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">気軽な俺の質問を聞いた新川さんは、すこし間をおいてこう言った。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「２人はまだ異時空から帰ってきておりません。」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">俺の心の中で小爆発が起こったようだった。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
・・・何だって？まだ帰ってきていない？どういうことだ？あいつは確か、余裕のにやけ面で「明日には帰ります」とか言ってたはずだぞ。その言葉が真実なら、今頃はこっちの世界に帰ってきているはずだ。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「ええ、我々の予定でもそのつもりだったのですが・・・・・・。」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
と、暗いトーンで話し出した新川さんによると、あの２人は帰還したらまず、『機関』の本部に事後報告をしにくる予定だったのだが、まだ姿を現していないらしい。万が一のために持たしておいた発信機にも、反応がないようだ。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
「発信機の電波も時空を越えることはできますまい。あの２人は何らかの理由で、こちらの時空に帰還すること出来ないでいるのでしょう。もしかしますと、最悪の事態も考えられます。私は、２人の救出を『機関』から命令されましてな。あなたのお力をお借りしたい所存でございます。」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">おいおい、冗談じゃねぇぞ。最悪の事態だって？</div>
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俺は、古泉の言った、「異時空間での同一人物の存在は時間制限がある」ということを思い出した。まさか、その制限時間をオーバーしちまったんじゃねぇだろうな。そうしたらどうなるかは知らないが、あの２人の身に何やらよろしくないことが起こるのは、まず間違いないだろう。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
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俺が心臓の鼓動が高まっていくのを感じていると、やがて目の前に見慣れた建造物が現れた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">長門のマンションである。</div>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
「あのお嬢様は今、異時空同位体と入れ替わっていると古泉から聞いております。でしたら、私とも面識がございませんでしょう。異時空に向かうための道は、お嬢様の部屋にございますのでしょう？ですから、あなたをお連れしたのです。」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">・・・・・・そうですか。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">やれやれ、確か２日前にも同じような理由でここに連れてこられたっけな。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">いい加減、長門もうんざりしていると思うが。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
ま、なんだかんだ言ってもあの２人を助けるためだ。その為だったら、こんなことお安い御用だぜ。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
俺は慣れた手つきで、インターホンのパネルに長門の部屋番号を表示させ、呼び出しのボタンを押す。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">これで何回目だろう？ここ、最近、やけに頻度が高くなっている気がするが。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「・・・・・・長門です。」</div>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">そこからは、いつもの宇宙人とは違う返事が聞こえてきた。</div>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
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「俺だ。いつもすまんな。少しばかり、異時空のことでお前の部屋に用があってよ。入れてくれないか。」</div>
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今日も学校を休もうと布団に潜り込んでいた私は、インターホンのベルの音に起こされた。</div>
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こんな朝早くになんだろうと多少うんざりしつつ応答した、私の耳に飛び込んで来たのが彼のこの台詞だ。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">私は自分の部屋、そして今の自分の格好を確認する。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">布団が敷いてある部屋、パジャマ姿の自分。</div>
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昨日、朝比奈みくるが帰った後、激しい脱力感と疲労感に襲われた私は、その後、簡単な夕食と入浴を済まし、すぐに寝た。部屋の様子はそれから変わっていない。</div>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">まずい。こんな状態で人を部屋に招けない。恥ずかしい。</div>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「お～い、どうした長門？まだ体調が悪いのか？」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">ずっと黙りこくっていた私に痺れをきらしたのか、彼が呼びかけてきた。</div>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「・・・・・・入って・・・・・・ゆっくりと。」</div>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「ゆっくり？どういうことだ、なｇ」</div>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">インターホンを無理やり切ると、私は急いで、片付けと着替えを始めた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">えっと・・・制服はどこだっけ？</div>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">　<span style=
"color: #333333">ぴん、ぽーんー</span></div>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">またベルが鳴る。</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">何なの？急いでいるっていうのに。</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">「長門、玄関の鍵を開けてくれ。このままじゃエレベータにも乗れん。」</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">忘れていた。</span></div>
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">「よう、長門。体調はどうだ？今日は学校、行けそうか？」</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">といって、部屋へ入ってくる彼。今度は、高貴な感じの男性を連れてきた。</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">この人もまた、アシスタントなんだろう。となると、古泉一樹の・・・父だろうか？</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">私はというと、何とか人を家に入れられるくらいの格好はつけていた。まだ、髪には少し寝癖がついているが。全く、彼らにはデリカシーというものがないのだろうか。</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">「し、失礼いたします。」</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">深みがあるが、なぜか上ずった声で、男性はそう言った。</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">「ああ、この人は新川さんだ。この人も・・・アシスタントだったな。」</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">「そうでございます。新川と申します。以後、お見知りおきを。」</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">と言って、何故か名刺を差し出す男性。</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">私は一応受け取っておく。</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style="color: #333333"><font size=
"2">「ちょっと、新川さん？何やってんですか？急いで行きましょうよ。」</font></span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style="color: #333333"><font size=
"2">「ああ、申しわけ御座いません。このような少女の部屋に入るのは初めてでございまして・・・・・・。」</font></span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">何やら２人でひそひそ話し合った後、彼がこう切り出した。</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">「今から、俺達は２人で異世界に行く。だから、お前には伝言を頼んでおくぞ。俺のクラスの担任の岡部は知っているな？そいつに、そうだな・・・・・・俺は、赤ちゃんが生まれそうな妊婦さんの付き添いをしていたから、遅刻すると伝えといてくれ。」</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">「お待ちください。あなたも、一緒にこられるのですか？それに、その言い訳は少し・・・いや、それは今はよいですな。それより、あなたは閉鎖空間に入ることが出来ないんですぞ？向こうの世界に存在しておくことは不可能ではございませぬか？」</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">「大丈夫です。あの世界に『俺』という存在はいないはずです。それに、あの長門にも聞きたいことがありますし。」</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">「そうですか？しかし・・・・・・。」</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">何を話しているのだろう？</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">よく分からないが、今回は彼も一緒に、私の世界へと行くらしい。</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">「というわけだ。じゃあ、しっかり伝えといてくれよ。頼んだぞ。」</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">え？ちょっと待って。私は学校に行かないんだけど・・・・・・。</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">そう言いたかったがうまく言葉に出来ず、そんな私を尻目に彼等は襖を開き、</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">「では、新川さん。行きましょう。」</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"color: #333333">「かしこまりました。」</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
と２人でうなずき合った後、襖の更に奥にある、もう１つの襖の向こうへと消えていった。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">私の脳裏に既視感が芽生えた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">似ている。あの時と。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">私は、一昨年の１２月、私の目の前で消えていった彼の姿を思い出す。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">パタン。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">音を立てて、襖が閉じた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">私は、部屋に１人取り残された。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p>彼が、もう二度と帰ってこないような気がした。</p>
<p> </p>
<p>　　～<a title="Different World's Inhabitants YUKI～スイヨウビ(その二)～ (2s)" href=
"http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3812.html">Different World's
Inhabitants YUKI～スイヨウビ(その二)～</a> へ続く～</p>
</div>

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<p> </p>
<p>四日目[スイヨウビ]</p>
</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「・・・ョンく・・・キョンくん・・・キョンくん！お～き～て！」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「・・・・・・ぐふぁ・・・っつ、分かった！起きたから！もう、いい加減やめろ！」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">以上、これが俺の毎日の目覚めの瞬間だ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">１日の最初の言葉が「ぐふぁ」とはね・・・・・・。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">我ながら虚しくなってくる。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">出来れば「おはよう」とか「いい朝ですね」とかいった、快い言葉で１日を始めたい。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">妹というものは大変だぞ？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">こいつは全国の一般的な小学６年生と比べて、少し精神年齢が低いようだし。</div>
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まぁ、こんなこと言ったら全国の兄弟がいる子ども達から「そんなのましだぜ。うちの兄貴はよ・・・。」などといった、多数の苦情が寄せられることだろうから、あえて声を高らかに文句を挙げたりはしなかったが。</div>
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妹によって、たたき起こされた俺は、顔を洗ってはっきりと目覚めたころから、何やら違和感を感じていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">魚の骨がのどの奥に刺さっていてなかなか抜けない、そんな少し刺激のあるものだ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">何か、忘れていることでもあったか？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">何故だか早く思い出さないと大変なことになるような気がする。</div>
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その違和感が、古泉と森さんの事であると気が付いたのは、家を出て、自転車で駅まで向かう途中、信号待ちをしていた俺の前に止まった、もはやお馴染みの黒塗りタクシーが目に入った時だった。</div>
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いや、見た瞬間ではない。そのときは、「おや、またハルヒが何か仕出かしたのか？」とぼんやり考えただけである。中から、新川さんが出てきたのを見て、やっとのことで古泉と森さんの事を思い出した。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">思い出すのが遅すぎやしないかって？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">そうかもしれないな。</div>
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ただ、言い訳になるかもしれないが、俺は古泉達が向こうの世界に行っても、すぐに帰ってくるもんだと思っていた。そしてその分、２人の事もたいして心配していなかった。あの２人が、困ってオロオロしている姿なぞ想像できないからな。だから、思い出すのが遅れたのだ。記憶というものは、心配度が強いものから保存されていくものだからな。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">俺の前まで歩いて来た新川さんは、軽く会釈をした後、</div>
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「ご無沙汰しておりました。登校中に申しわけ御座いません。少し、お話ししたいことがございます。ご一緒いただけますでしょうか？」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">と、言って、俺に車に乗るよう促した。</div>
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自転車に乗っていた俺は、どうしたものかと考えたが、車の中から、もう１人見知らぬ男性が出てきて、自転車を駅まで運んでくれると言うので、素直にそれに従った。この男の人も、『機関』の人なのだろう。</p>
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こうして、車を運転する新川さんと、いまいち状況が理解出来ていない俺の２人を乗せたタクシーは出発した。</div>
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車が走り出した後も、新川さんは何かを話すわけでもなく、ただ黙々と運転していた。この車に乗せられた理由がいまだに分からない俺は、こう尋ねた。</div>
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「えっと・・・今更なんですが、俺に何のようです？俺１人でいいんですか？古泉や森さんにも関係のある話じゃないんですか。」</div>
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「申しわけ御座いません。きちんとした説明もしておりませんでしたな。今回はあなたに知って欲しいことがこざいまして、ここまで参上仕りました。」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">そして、次の新川さんとの会話で、俺は自分の考えが甘すぎだったことに気づく。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「一昨日、異時空に存在した閉鎖空間に森と古泉が向かったのはご存知ですね？」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">もちろん、知っていますとも。何せ、俺が連れて行きましたからね。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「今、あの２人はどこにいるんですか？」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">気軽な俺の質問を聞いた新川さんは、すこし間をおいてこう言った。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「２人はまだ異時空から帰ってきておりません。」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">俺の心の中で小爆発が起こったようだった。</div>
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・・・何だって？まだ帰ってきていない？どういうことだ？あいつは確か、余裕のにやけ面で「明日には帰ります」とか言ってたはずだぞ。その言葉が真実なら、今頃はこっちの世界に帰ってきているはずだ。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「ええ、我々の予定でもそのつもりだったのですが・・・・・・。」</div>
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と、暗いトーンで話し出した新川さんによると、あの２人は帰還したらまず、『機関』の本部に事後報告をしにくる予定だったのだが、まだ姿を現していないらしい。万が一のために持たしておいた発信機にも、反応がないようだ。</div>
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「発信機の電波も時空を越えることはできますまい。あの２人は何らかの理由で、こちらの時空に帰還すること出来ないでいるのでしょう。もしかしますと、最悪の事態も考えられます。私は、２人の救出を『機関』から命令されましてな。あなたのお力をお借りしたい所存でございます。」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">おいおい、冗談じゃねぇぞ。最悪の事態だって？</div>
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俺は、古泉の言った、「異時空間での同一人物の存在は時間制限がある」ということを思い出した。まさか、その制限時間をオーバーしちまったんじゃねぇだろうな。そうしたらどうなるかは知らないが、あの２人の身に何やらよろしくないことが起こるのは、まず間違いないだろう。</div>
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俺が心臓の鼓動が高まっていくのを感じていると、やがて目の前に見慣れた建造物が現れた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">長門のマンションである。</div>
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「あのお嬢様は今、異時空同位体と入れ替わっていると古泉から聞いております。でしたら、私とも面識がございませんでしょう。異時空に向かうための道は、お嬢様の部屋にございますのでしょう？ですから、あなたをお連れしたのです。」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">・・・・・・そうですか。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">やれやれ、確か２日前にも同じような理由でここに連れてこられたっけな。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">いい加減、長門もうんざりしていると思うが。</div>
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ま、なんだかんだ言ってもあの２人を助けるためだ。その為だったら、こんなことお安い御用だぜ。</div>
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俺は慣れた手つきで、インターホンのパネルに長門の部屋番号を表示させ、呼び出しのボタンを押す。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">これで何回目だろう？ここ、最近、やけに頻度が高くなっている気がするが。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「・・・・・・長門です。」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">そこからは、いつもの宇宙人とは違う返事が聞こえてきた。</div>
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「俺だ。いつもすまんな。少しばかり、異時空のことでお前の部屋に用があってよ。入れてくれないか。」</div>
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今日も学校を休もうと布団に潜り込んでいた私は、インターホンのベルの音に起こされた。</div>
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こんな朝早くになんだろうと多少うんざりしつつ応答した、私の耳に飛び込んで来たのが彼のこの台詞だ。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">私は自分の部屋、そして今の自分の格好を確認する。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">布団が敷いてある部屋、パジャマ姿の自分。</div>
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昨日、朝比奈みくるが帰った後、激しい脱力感と疲労感に襲われた私は、その後、簡単な夕食と入浴を済まし、すぐに寝た。部屋の様子はそれから変わっていない。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">まずい。こんな状態で人を部屋に招けない。恥ずかしい。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「お～い、どうした長門？まだ体調が悪いのか？」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">ずっと黙りこくっていた私に痺れをきらしたのか、彼が呼びかけてきた。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「・・・・・・入って・・・・・・ゆっくりと。」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「ゆっくり？どういうことだ、なｇ」</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">インターホンを無理やり切ると、私は急いで、片付けと着替えを始めた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">えっと・・・制服はどこだっけ？</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">　<span style="color:#333333;">ぴん、ぽーんー</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">またベルが鳴る。</span></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">何なの？急いでいるっていうのに。</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">「長門、玄関の鍵を開けてくれ。このままじゃエレベータにも乗れん。」</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">忘れていた。</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">「よう、長門。体調はどうだ？今日は学校、行けそうか？」</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">といって、部屋へ入ってくる彼。今度は、高貴な感じの男性を連れてきた。</span></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">この人もまた、アシスタントなんだろう。となると、古泉一樹の・・・父だろうか？</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">私はというと、何とか人を家に入れられるくらいの格好はつけていた。まだ、髪には少し寝癖がついているが。全く、彼らにはデリカシーというものがないのだろうか。</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">「し、失礼いたします。」</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">深みがあるが、なぜか上ずった声で、男性はそう言った。</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">「ああ、この人は新川さんだ。この人も・・・アシスタントだったな。」</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">「そうでございます。新川と申します。以後、お見知りおきを。」</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">と言って、何故か名刺を差し出す男性。</span></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">私は一応受け取っておく。</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;"><font size="2">「ちょっと、新川さん？何やってんですか？急いで行きましょうよ。」</font></span></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;"><font size="2">「ああ、申しわけ御座いません。このような少女の部屋に入るのは初めてでございまして・・・・・・。」</font></span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">何やら２人でひそひそ話し合った後、彼がこう切り出した。</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">「今から、俺達は２人で異世界に行く。だから、お前には伝言を頼んでおくぞ。俺のクラスの担任の岡部は知っているな？そいつに、そうだな・・・・・・俺は、赤ちゃんが生まれそうな妊婦さんの付き添いをしていたから、遅刻すると伝えといてくれ。」</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">「お待ちください。あなたも、一緒にこられるのですか？それに、その言い訳は少し・・・いや、それは今はよいですな。それより、あなたは閉鎖空間に入ることが出来ないんですぞ？向こうの世界に存在しておくことは不可能ではございませぬか？」</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">「大丈夫です。あの世界に『俺』という存在はいないはずです。それに、あの長門にも聞きたいことがありますし。」</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">「そうですか？しかし・・・・・・。」</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">何を話しているのだろう？</span></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">よく分からないが、今回は彼も一緒に、私の世界へと行くらしい。</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">「というわけだ。じゃあ、しっかり伝えといてくれよ。頼んだぞ。」</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">え？ちょっと待って。私は学校に行かないんだけど・・・・・・。</span></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">そう言いたかったがうまく言葉に出来ず、そんな私を尻目に彼等は襖を開き、</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">「では、新川さん。行きましょう。」</span></div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><span style="color:#333333;">「かしこまりました。」</span></div>
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と２人でうなずき合った後、襖の更に奥にある、もう１つの襖の向こうへと消えていった。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">私の脳裏に既視感が芽生えた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">似ている。あの時と。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">私は、一昨年の１２月、私の目の前で消えていった彼の姿を思い出す。</div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">パタン。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">音を立てて、襖が閉じた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">私は、部屋に１人取り残された。</div>
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<p>彼が、もう二度と帰ってこないような気がした。</p>
<p> </p>
<p>　　～<a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3812.html" title="Different World's Inhabitants YUKI～スイヨウビ(その二)～ (2s)">Different World's
Inhabitants YUKI～スイヨウビ(その二)～</a>へ続く～</p>
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