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「だーれだ?」(2007/01/12 (金) 13:58:46) の最新版変更点
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<div class="main">
<div>それはある日突然訪れた。<br>
不意に暗転する視界。<br>
――なんだ?何が起きた?<br>
そして、耳元で響く声。<br>
「だーれだ?」<br>
おお!この声は、地上に下り立った天使(正しくは現代にやって来た未来の美少女だが)<br>
朝比奈さんのものではないか!<br>
なんて昔の俺なら思っただろうがな。今の俺は前ほど喜ばないのさ。<br>
なぜって?俺にはハルヒがいるから。<br>
「突然なんですか?朝比奈さん」<br>
「そうよ、みくるちゃん。何やってんのよ!」<br>
「と、特になんでもないですよぅ。ただなんとなく……」<br>
「ふうん。ま、一回までなら許すわ」<br>
心の広いことで。<br>
「一回までならいいの?」<br>
こら長門。まさかお前までやりたいとか言わないだろうな?<br>
「では、ぼ……」<br>
「黙れ、古泉」<br>
「冗談ですよ」<br>
いや、目がマジだった。<br></div>
<br>
<div>長門が本を閉じ、今日の活動は終了。<br>
そしてなぜだか集団下校のはこびとなった。<br>
そして、また暗くなる視界。<br>
「だ~れだ!」<br>
「ハルヒだろう?」<br>
「ブー、惜しい。あんたをすきな涼宮ハルヒよ!」<br>
「ああ、俺の大好きなハルヒか」<br>
何も言うな。恥ずかしすぎることは分かってるんだ。俺にも。<br>
だが、それ位好きなんだ。<br>
……やっぱ、恥ずかしい。だれか、俺がすっぽり入れるぐらいの穴を知らないか。<br>
「……バカップル」<br>
「何か言ったか、長門?」<br>
「別に」<br>
そうそう、歩きながら本読むのは……<br>
「ッ!」<br>
遅かったか。近ごろドジッ子化してるな、長門。今時電柱にぶつかるやつなんて、そうはいないぞ。<br>
「有希ったら、馬鹿ねえ。怪我してない?」<br>
「へいき」<br>
「そ。ならいいんだけど。ところで、古泉君は?」<br>
あれ、あいつはどこ行きやがった?<br>
と、猛烈に背筋が寒くなり、俺は反射的に叫んでいた。<br>
「だ……」<br>
「よるな、古泉!」<br>
そう、背後には古泉がいた。<br>
「なんで分かったんですか?」<br>
俺の危機察知信号が真っ赤に点灯したものでな。<br>
「古泉君。さすがに男同士は引くわ」<br>
同感。<br>
「嫌だなぁ。軽いジョークですよ?」<br>
ジョークだって言えば済むと思ってないか?<br>
「滅相もない」<br>
ある意味地獄な状況を回避し、俺たちはそれぞれの家路を辿った。<br>
もっとも、俺はハルヒを家まで送ってからわが家に帰るわけだが<br>
</div>
<br>
<div>
いや、今日は疲れた。こんな日に夜更かしは禁止だな。さっさと寝よう。<br>
俺は、ベットに潜り込んで、目を閉じた。<br>
視界が暗くなる拍子に聞こえて来たのは、今日散々聞いた台詞。<br>
それは俺のよく知ってる声。<br></div>
<br>
<div>「ダーレダ?」<br>
…………<br>
長門有希は自室のベランダに立っている。<br>
今日一日のことを思う。<br>
自分が出来なかったことを思う。<br>
それを悔しがることはエラーと認識する。<br>
それでも、悔しい、残念だ。<br>
だから、自分にわがままを許した。<br>
普段は情報統合思念体のために使う情報操作。<br>
それを自分のために使う。<br></div>
<br>
<div>
些細な想像。彼の後ろに立って、目隠ししてこういうのだ。<br>
「だーれだ?」<br></div>
<br>
<div>――この声が届きますように。<br>
fin.<br></div>
</div>
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