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「長門有希の雨しずく」(2020/05/29 (金) 21:53:23) の最新版変更点
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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt" align="center">長門有希の雨雫</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">夢を見ていた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">夢、そんなものみないはずなのに、見ていた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">なぜだろうか？なんでそんなことがありえるのだろうか？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">まず、今のが夢というものなのだろうか、みたことがないので彼女は、</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">理解することはできるはずがなかった。加えて、内容も理解することができなかった。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">いや、理解したくもなかったのだ。あまりにも、突飛すぎていたし、</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">何よりも凄惨なものだった。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">が、しかしこの夢はすぐに消えてしまった。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">学校はいつものように、文芸部の部室、兼ＳＯＳ団の部室に入り、</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">パイプ椅子にすわって本を読む。それを繰り返していく毎日。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">その毎日にいつも彼からの話かけられることがあった。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">自分の正体を知りながらも、やさしく声をかけてくる彼。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「今日は何の本をよんでいるんだ？」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「………ＳＦ」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「そうか。」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「読む？」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「いや、その量は読める気がしない。」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「……そう」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">なぜだろう？もうすこしだけ話していたかった。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">彼と話していたかった。人の気持ちなんかもってないはずなのに……</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">自分は、少しずつ壊れている。そんな気がした。どうしてこんなに胸がいたいのだろう？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">彼は、私を壊すイレギュラーなのだろうか？敵性なのだろうか？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">考えを巡らしている間の途中、意識は消えた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">気がついたときには、もう空虚な空間の中にぽつんとすわっていた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">自分はなにをしていただろう？あの後は何をしたのだろう？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">まったくおぼえていなかった。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">やはり、私は壊れてきているのだろうか？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">翌日、いつものように、いつもの場所で本を読んでいた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">そして、いつものようにガラっと扉をあけ、いつものように、カバンを下ろし、</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">いつものように、やさしく話しかけてきた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「よう。今日も元気そうだな。」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「……元気。」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「そうか。元気でうれしい。」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「…どうして？」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「どうしてっていわれもな。」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「どうして、人が元気だったら、あなたはうれしい？」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「大好きな仲間が、元気じゃなかったらいやだろう？」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「……そう」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">大好き？それはなんだ？人の感情？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">私が持ち得ることができない。そういう類のものか。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「私は、感情の概念を持っていない。」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「そんなことはないぞ。長門おまえだって絶対あるはずだ。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">絶対なくしたくないものが。ほしいものが。」」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「…………」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">なくしたくないもの・・・・・</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">絶対に無くしたくないもの、ほしいもの・・・・それは・・・・？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">なんだろうか？私にもそんなものあるのだろうか？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">唐突にガラっと、大きい音がした。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">涼宮ハルヒだった。彼に話しかけている。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">それがなぜか嫌だった。見ていて嫌だった。・・・・・どうして？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">…………私が、絶対にほしいもの、なくしたくないものは彼なのか？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">そんなことはあるはずがない。そんな感情、プログラムされていない。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">時間がきた。帰る時間だ。涼宮ハルヒは用事があったらしくとっくに帰っていた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">残っていたのは、彼と私だけだった。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">きれいなオレンジ色の夕焼けをみながら帰り支度をしていた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「一緒に帰るか。」と彼。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">私は、こくりとうなずいた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">さっきの夕焼けの残影をのこした帰路につきながら、</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「欲しいもの……」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「……？。みつかったのか？」と彼</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「それは、…あなた。」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「……！」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">自分は何を言っているのだろう？こんなことありえない。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">でも、制御ができない。彼が欲しい。欲しい。…………欲しい。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">涼宮ハルヒには…………。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">その時、プツっと意識が途切れた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">フっと、意識を取り戻した。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">目の前にあるのは、彼の死体だけ。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">ふと少し前の記憶が怒涛のように流されてきた。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">なんだ？これはなんだ？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">なにをしている？「やめろ！やめて！“」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">私はなにをしていた！？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
私は、彼を殺したのか？なぜ？どうして？彼がほしかったのに。無くしたくなかったのに。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">彼と一緒にいたかったのに。なぜ殺した？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">涼宮ハルヒにわたしたくなかったからなのか？</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">それを教えてくれる彼はいない。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">それを教えてくれる彼を私は…………殺した。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">あの夢を思い出す。あの凄惨な夢を。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">私は、もう何も見えない。何かが目からながれている。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">なんだろう？いつも、そういうことを教えてくれていた彼は、もういない。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">いろんなことを、伝えてくれていた彼は、もういない。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">大好きな彼は、もういない。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">その時。美しい出で立ちをし、きれいな涙を流す彼女は自問自答する。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">そして、その答えは、彼が、彼女が言った言葉を答えたものと同じものだった。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「……………情報連結解除。」</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">「<span>Yes。」</span></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">彼女はやさしくそう言って、彼と消えていった。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">そう。最後の彼の言葉を思い出しながら。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">もうその場所には、二人の影はない。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">いまだ夕焼けの残影を残す帰路。二人の影を失った空は、ただいたずらに反転していく。</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> 完</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;" align="center">長門有希の雨雫</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">夢を見ていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">夢、そんなものみないはずなのに、見ていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">なぜだろうか？なんでそんなことがありえるのだろうか？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">まず、今のが夢というものなのだろうか、みたことがないので彼女は、</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">理解することはできるはずがなかった。加えて、内容も理解することができなかった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">いや、理解したくもなかったのだ。あまりにも、突飛すぎていたし、</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">何よりも凄惨なものだった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">が、しかしこの夢はすぐに消えてしまった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">学校はいつものように、文芸部の部室、兼ＳＯＳ団の部室に入り、</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">パイプ椅子にすわって本を読む。それを繰り返していく毎日。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">その毎日にいつも彼からの話かけられることがあった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">自分の正体を知りながらも、やさしく声をかけてくる彼。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「今日は何の本をよんでいるんだ？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「………ＳＦ」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「そうか。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「読む？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「いや、その量は読める気がしない。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「……そう」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">なぜだろう？もうすこしだけ話していたかった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">彼と話していたかった。人の気持ちなんかもってないはずなのに……</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">自分は、少しずつ壊れている。そんな気がした。どうしてこんなに胸がいたいのだろう？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">彼は、私を壊すイレギュラーなのだろうか？敵性なのだろうか？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">考えを巡らしている間の途中、意識は消えた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">気がついたときには、もう空虚な空間の中にぽつんとすわっていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">自分はなにをしていただろう？あの後は何をしたのだろう？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">まったくおぼえていなかった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">やはり、私は壊れてきているのだろうか？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">翌日、いつものように、いつもの場所で本を読んでいた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">そして、いつものようにガラっと扉をあけ、いつものように、カバンを下ろし、</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">いつものように、やさしく話しかけてきた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「よう。今日も元気そうだな。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「……元気。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「そうか。元気でうれしい。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「…どうして？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「どうしてっていわれもな。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「どうして、人が元気だったら、あなたはうれしい？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「大好きな仲間が、元気じゃなかったらいやだろう？」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「……そう」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">大好き？それはなんだ？人の感情？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">私が持ち得ることができない。そういう類のものか。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「私は、感情の概念を持っていない。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「そんなことはないぞ。長門おまえだって絶対あるはずだ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">絶対なくしたくないものが。ほしいものが。」」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「…………」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">なくしたくないもの・・・・・</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">絶対に無くしたくないもの、ほしいもの・・・・それは・・・・？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">なんだろうか？私にもそんなものあるのだろうか？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">唐突にガラっと、大きい音がした。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">涼宮ハルヒだった。彼に話しかけている。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">それがなぜか嫌だった。見ていて嫌だった。・・・・・どうして？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">…………私が、絶対にほしいもの、なくしたくないものは彼なのか？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">そんなことはあるはずがない。そんな感情、プログラムされていない。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">時間がきた。帰る時間だ。涼宮ハルヒは用事があったらしくとっくに帰っていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">残っていたのは、彼と私だけだった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">きれいなオレンジ色の夕焼けをみながら帰り支度をしていた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「一緒に帰るか。」と彼。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">私は、こくりとうなずいた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">さっきの夕焼けの残影をのこした帰路につきながら、</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「欲しいもの……」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「……？。みつかったのか？」と彼</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「それは、…あなた。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「……！」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">自分は何を言っているのだろう？こんなことありえない。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">でも、制御ができない。彼が欲しい。欲しい。…………欲しい。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">涼宮ハルヒには…………。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">その時、プツっと意識が途切れた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">フっと、意識を取り戻した。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">目の前にあるのは、彼の死体だけ。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">ふと少し前の記憶が怒涛のように流されてきた。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">なんだ？これはなんだ？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">なにをしている？「やめろ！やめて！“」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">私はなにをしていた！？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
私は、彼を殺したのか？なぜ？どうして？彼がほしかったのに。無くしたくなかったのに。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">彼と一緒にいたかったのに。なぜ殺した？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">涼宮ハルヒにわたしたくなかったからなのか？</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">それを教えてくれる彼はいない。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">それを教えてくれる彼を私は…………殺した。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">あの夢を思い出す。あの凄惨な夢を。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">私は、もう何も見えない。何かが目からながれている。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">なんだろう？いつも、そういうことを教えてくれていた彼は、もういない。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">いろんなことを、伝えてくれていた彼は、もういない。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">大好きな彼は、もういない。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">その時。美しい出で立ちをし、きれいな涙を流す彼女は自問自答する。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">そして、その答えは、彼が、彼女が言った言葉を答えたものと同じものだった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「……………情報連結解除。」</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">「<span>Yes。」</span></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">彼女はやさしくそう言って、彼と消えていった。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">そう。最後の彼の言葉を思い出しながら。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">もうその場所には、二人の影はない。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">いまだ夕焼けの残影を残す帰路。二人の影を失った空は、ただいたずらに反転していく。</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> </div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"> 完</div>
