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ユキ・メイカー」(2007/10/21 (日) 22:32:25) の最新版変更点

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<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">デジャヴ?なんだこれは?<br> ここは……北高の廊下か?なんで俺はここにいるんだっけ?<br> だが、俺は自問自答するまでもなくその答えを知っていた。<br> 俺は突如消失したハルヒについて、長門に意見を求めようと教室を飛び出したのだ。<br> <br> 最後の砦であり最終絶対防衛ライン。<br> 部室棟、通称休館にある文芸部部室。俺はそこに向かっていた。<br> いや、向かっているようだった。<br> 暗く陰った部屋には俺たちが知っているのとは違う長門がいるはずだ。<br> <br> 本に埋もれ引きこもる少女は俺のことを知っている。<br> しかし、それはこの世界の俺であり、この俺ではないはずだ。<br> 誰だ?こんな悪趣味な再現をするやつは?<br> それならそれで、さっさと終わらせたほうが賢いだろうな。<br> 俺は以前の自分がそうしたように文芸部室へ向かった。<br> <br> 「きょうはなんのようなの」<br> 返ってきた声は、予想通り、お決まりの台詞だとは言えないものだった。<br> 扉ごしのその声の異質さが新たな不安を呼ぶ。<br> <br> 冗談じゃない!あのときのお前は俺のことを迎えてくれて……。<br> なんでもいから、まずはこの鍵を開けてくれ。<br> 閉じこもっていたら何も分からないだろ。<br> 俺が元の世界に戻るためにはお前の力が必要なんだよ。<br> 長門、俺はお前の手を強く握って、必ず連れ出してやるぞ。<br> <br> だからといって他に何をすればいいか分からなかった俺は、次の日の放課後もまた、文芸部室へ言ってみることにした。<br> 埃だらけの部屋。本を閉じて咳きこんだ少女は、まだ心を閉ざしていうようだった。<br> 「あなたにようはないの」<br> それはないぜ。これじゃあ昨日と変わらないじゃねえか。<br> 何かあったときはいつも誘ってるのに、お前に頼れないなんて俺はどうすりゃいいんだよ……。挫けそうだ。<br> <br> 俺一人の力で何とかするしかないのか?冗談じゃない!<br> 俺にはお前が必要なんだ。この想いを聞いてくれ。<br> あの日の病室で、長門は自分の中のイレギュラー分子が諸悪の根元だと言っていた。<br> それならこの長門も、俺のせいで心を閉ざしているんだろう。<br> それなら俺がやることは一つだ。<br> お前が望むなら、俺はお前の名前を強く叫んで必ず振り向かせるぜ。<br> <br> 堅く閉じたその心が解けないはずはないんだ。<br> <br> そのとき部屋の中から声が聞こえた。<br> ドアの向こうでつぶやく声は、涙まじりのかすれた声だ。<br> 「もうわたしにはかまわないでよ」<br> 知識まみれの日陰の少女は<br> ドアの向こうのつぶやく声よ。なぜそこまで頑なに外の世界を拒絶しようとする?<br> そんな答えはもう聞き飽きた。だから俺はもう一度だけ名前を呼んだ。<br> 知識まみれの日陰の少女の名前を。<br> <br> 冗談じゃない!もうお前の心の鍵は開いたから早くこの部屋から出てこいよ。<br> いつまでも泣いていたって、ここには何もないんだ。<br> <br> 俺の知っているお前はそんなに弱くない。<br> さあ行こう!そのドアを押してくれ。<br> お前のことを強く掴んで、必ず持ってくぜ。<br> <br> 低くなってきた太陽で紅く染まった空。俺たちはエンターキーを押し込んだ。<br> 暗くなる世界も、消える感覚も、あのときと全く同じだった。<br> しかし、暗闇の中ふと気がつくと、さっきまで握っていたはずの長門の手の感触が消えていた。<br> 二人乗りで時間移動ができるという考えが間違っていたのだろうか?<br> 「長門……」<br> やりきれない気持ちになっていたそのときだった。<br> <br> 「もっとおそく飛んで」<br> <br> 漆黒の闇の中からそこにいるはずのない長門の声が聞こえたような気がした。<br> <br> <br> 次の日、俺はいつもどおり自分の部屋のベッドの上で目覚めた。<br> 夢だったのだろうか?俺はいくら考えても見つかるはずのない疑問の答えを探していた。<br> <br> 今日は市内探索だ。<br> 俺は何者かの思惑ともとれるほど都合よく長門とのペアになった。<br> たまには図書館ではない場所へ行くのもいいか。そう思った俺は、後ろをトコトコ付いてくる長門に尋ねてみた。<br> 「さぁ、どこへ行こうか」</div> <div style="margin: 0mm 0mm 0pt">返事がない。不思議に思った俺は足を止めて振り返る。<br> 振り向いた俺を見上げる長門は、心なしか微笑んでいるようだった。</div>

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