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「感情」(2007/01/12 (金) 13:49:11) の最新版変更点
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修学旅行も、はや一ヶ月前の出来事となり、俺たちはまたもとの高校生活を送っている。<br>
一つだけ前と違うのは、俺にハルヒの彼氏という肩書きが追加されたくらいだ。<br>
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一部の東中出身の奴らで俺とハルヒが何日もつかとかいう下らない賭けがはやっているようだが、<br>
おあいにくさま、とだけ言っておこう。<br></div>
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<div>まぁ、そんなことはどうでもいいんだ。<br></div>
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今俺の目の前には信じられない光景が広がっている。<br>
今の状況を俺の頭が正しく認識するのに二分。<br>
発する言葉を探すのに三分。<br>
この状況では何も言えないと俺の頭が判断するのにさらに五分かかった。<br>
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<div>長門が微笑んでいた。<br></div>
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<div>ことはおよそ二十分前にさかのぼる。<br></div>
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ハルヒが今日は掃除当番なので俺は前々から考えていたことを実行に移すことにした。<br>
部室の扉をノックして、返事がないことを確認して扉を開けると、<br>
予想通りそこには長門がいた。<br>
「よう」<br>
と声をかけ俺はいったんパイプ椅子につく。<br>
鞄の中からきれいに包装された本を取り出す。<br></div>
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一年以上も長門に世話になっているのに、あんまりちゃんとしたお礼をしてないな、などと考えたのは<br>
修学旅行も終わってからしばらく経った頃。<br>
どうせなら図書館かなにかに誘って一日過ごしてやろうかとも考えたが、ハルヒに見つかると<br>
ものすごーくまずいことになりそうなのでそれは却下。<br>
代わりに本でもおくってやろうと考えたわけだ。<br>
問題はどんな本をおくるかで、下手に選んでもうそれ読んだ、なんてことになるとものすごく寒いので、<br>
事前に文芸部室の本棚を調べた。もっとも図書館で読んでる可能性もあるが、その時はその時だ。<br>
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というわけで本を持って長門の前に行き、一息ついて、差し出した。<br>
「なに」<br>
「いや、何ていうか、その……あれだ。プレゼント」<br>
「プレゼント?」<br>
「そうだ。まぁ、お前には今までずっといろいろ助けてもらってんなぁ、と思ったからさ」<br>
「そう」<br>
そうつぶやいて、俺の差し出した本を受け取ると顔を上げて<br>
「ありがとう」<br>
そして、微笑んだ。<br></div>
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<div>こうして、先ほどの場面に戻るわけだ。<br></div>
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<div>俺は長門の微笑んだ顔を見たことはある。<br>
しかしそれは改変された長門であって、この長門じゃあない。<br>
さらに言えば、近頃感情を表に出すようになったとはいえ、いきなりこれか。<br>
軽くビビリが入ってる俺の様子に気づいた長門は寂しそうな顔をした。<br>
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<div>その表情を見て俺は何をしてしまったかに気づく。<br>
やはり俺は心のどこかで長門は普通の人とは違うと考えていたわけだ。<br>
確かに能力的には常人の比ではないが、内面的なところまでそうだ、と結論づけていた俺がいたのだ。<br>
長門の表情の変化を読み取れると言っておきながらこれか。<br>
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ものすごい自己嫌悪に陥った俺は素直に長門に謝った。<br>
「すまん」<br>
「いい。あなたが驚いている理由は推測できる」<br>
でも、と長門は続けた。<br>
修学旅行で俺がハルヒに告白して以来、ハルヒのとんでも能力は落ち着いてきていること。<br>
それに伴い情報統合思念体は涼宮ハルヒの観察の重要度を一つ下げ、<br>
それぞれのヒューマノイドインターフェイスに別の課題を与えたこと。<br>
長門の場合俺たちが感情と呼ぶものの調査であること。<br>
以前に長門がエラーと認識したそれの仕組み解明し、今後の人類の観察に活用するためらしいこと。<br>
長門は『感情』を表に出すようになるであろうこと。<br></div>
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それを聞いた俺は前々から考えていたことを口にする。<br>
「そうだな、お前は笑ってる方がいいぞ。確実に」<br></div>
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それを聞いて長門は今度はニコリと擬音のつきそうな笑顔を見せた。<br>
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<div>fin.<br></div>
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