「Different World's Inhabitants YUKI～ニチヨウビ(その一)～」の編集履歴（バックアップ）一覧はこちら

「Different World's Inhabitants YUKI～ニチヨウビ(その一)～」(2020/03/13 (金) 01:27:40) の最新版変更点

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<p><font color="#000000"><span lang="EN-US" style=
"font-size: 10.5pt; font-family: Century; mso-ansi-language: EN-US; mso-font-kerning: 1.0pt; mso-bidi-font-size: 12.0pt; mso-fareast-font-family: 'ＭＳ 明朝'; mso-bidi-font-family: 'Times New Roman'; mso-fareast-language: JA; mso-bidi-language: AR-SA">
<font size="2"><font size="3">～プロローグ～</font></font></span></font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">「今、この世界に存在しない『彼』。もう一度、会いたい？」</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">目の前に立っている少女は私に向かって、そう言った。</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><font size=
"3">しかし、私は正直何が何だかまったく分からなかった。</font></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><font size=
"3">本音を言うと、会いたい。会いたくて、会いたくて、仕方がない。</font></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><font size=
"3">この一年間と少しの間、私の目の前で消えていった『彼』のことをずっと思い続けていた。</font></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">しかし、そんなことが本当にできるのだろうか。</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">いや、まずこの状況は何なのだろうか。</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">私の名前は長門有希。</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><font size=
"3">そして、私の前に立っていたのも、長門有希だった・・・。</font></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><font size="3"> </font></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><font size="3"> </font></div>
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<p><font size="3">一日目[ニチヨウビ]</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt; text-indent: 10.5pt">
<p><font size="3">季節は春。いや、もう春といっていいのだろうか。</font><font size=
"3">ちょうど、ぬるま湯につかっているようで、暖かいのか、冷たいのかよくわからない、しかし、これからは暖かくなる一方だと考えると思わずにやけてしまいそうになる、そんな３月の初めが、俺はある意味一番好きな時期なのかもしれない。</font></p>
<p align="left"><font size=
"3">誰だって、これから楽しいことがあるのはうれしいだろう。遠足を一週間後に控えた小学生と同じ心境だ。</font></p>
<p align="left"> </p>
<p align="left"><font size=
"3">それなのに、今の俺はそんな時期をいまいち楽しめないでいる。なぜだか、口を開けると溜息ばかりでる。なんでだろうね？</font></p>
<p align="left"> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">「そろそろ暖かくなるころだから、不思議がその辺でのんびりしているかもしれないわ！今こそチャンスね！」</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><font size=
"3">今、俺の前で、まるで不思議というものを熊か何かに勘違いしているような話をしているのが誰だか、言わなくても分かると思う。</font></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">いや、頼む、分かってくれ・・・。</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">「ちょっと、キョン！聞いてるの！？今日は、午前中だけなんだから、いつもより気合入れていきなさいよ！」</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">ＳＯＳ団団長ながら、今現在は編集長でもある涼宮ハルヒは怒ってんのか、笑ってんのか</font><font size=
"3">よくわからない顔で俺にそういった。</font></p>
<p> </p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">編集長？</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><font size=
"3">そうだ。また、このときがやってきたのだ。機関誌作りという、どうでもいいときがね。</font></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size=
"3">元はといえば、古泉たちが勝手にでっちあげたイベントなんだから、何も二年連続で作らなくてもいいと思うが。</font></p>
<p> </p>
<p><font size="3">まあ、あの退屈大嫌い女、ハルヒのことだ。</font></p>
<p><font size="3">機関誌作りという、絶好の暇つぶしを見逃すなんて事はないと思っていたがな。</font></p>
<p> </p>
<p> </p>
<p><font size="3">こうして、俺は去年のように文章という悪魔と戦っているわけだ。</font></p>
<p> </p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">また、今日は日曜日。本来なら、体と心を十分に休める日だと、キリスト様がお決めになったありがたい日だ。</font></p>
<p> </p>
<p><font size=
"3">俺は、キリスト様の教えに従って連日の文章との戦いの疲れを癒すべく、前日に妹にボディプレス禁止令を申告し、シャミセンと共に、布団の中に立てこもるつもりだったのだが、ＳＯＳ団が誇る非常識女は、強盗が立てこもった銀行に強行突入するＳＷＡＴばりの勢いで俺を布団から追いやった。</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">「キョン！まさか寝てたの？あんた、まだ原稿できてないんだからそんなのんびりしている暇はないはずよ！」</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">電話に出てコンマ一秒ほどで怒声が響いてくる。</font></p>
<p><font size=
"3">ああ、朝からこいつの声を聞いたときは、俺の休日が休日ではなくなるのはこれまでの経験ですでに実証済みだ。</font></p>
<p><font size="3">さらば、俺の休日、さらば、キリストの教えよ・・・。</font></p>
<p> </p>
<p><font size="3">で、こんな朝早くから何のようだ？まだ午前７時だぞ。お前は俺にモーニングコールをするのが趣味なのか。</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size=
"3">「そ、そんなわけないでしょ！！バカ！！それよりあんた、今日どうせ家でいても原稿を書くつもりないでしょ？」</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size=
"3">ふん、悪いがそのつもりだったさ。日曜日という大切な日をわざわざ原稿のために使うほど、俺はバカじゃないさ。</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size=
"3">「何いってんの！家でゴロゴロしているほうが、よっぽどバカだわ！というわけで、今日はあんたの原稿作りをみんなで監視してあげる。でも、それだけじゃつまんないから、それはとりあえず午後にするとして、午前はＳＯＳ団恒例の不思議探索をするわ。８時にいつもの駅前に集合！遅れるんじゃないわよ！」</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">８時だと！？何でそんなにはやいんだ？今日は何かあったか？</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size=
"3">「あんたがいけないんでしょ！！あんたが原稿をはやく書かないから、大切な午後の時間を使うはめになったのよ！午後が使えないんだったら、朝早くからやるしかないでしょ！いい、遅れたら罰金だからね！」</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">そういって、本当にガチャという音が聞こえそうなくらいの勢いで電話が切れた。</font></p>
<p><font size="3">やれやれ、どうせ遅刻しなくても、罰金は払わなくちゃいけないんだがな。</font></p>
<p> </p>
<p><font size=
"3">それにしても、８時か、間に合うか？まったく、わざわざこんな日にまでわけの分からない探索などしなくいいと思うがね。</font></p>
<p> </p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size=
"3">とまあ色々と愚痴をこぼしつつ、身支度を整え、自転車をぶっとばして着いた駅前には、いつもどおり、団長様の不機嫌な顔と、むかつくぐらいのにやけ顔と、目眩を起こしそうなくらい可愛いお顔と、変わることのない無表情顔が・・・ってあれ？長門がいない。めずらしいな。俺は今回、罰金を払わなくていいのか？</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size=
"3">「そうねえ・・・有希からはまだなんの連絡も入ってないの。無断欠席はしないような子だから少し心配で・・・。まあ、まだ８時になってないし、喫茶店で待ってたら、そのうちくるでしょ。それまでの料金はあんた持ちね。」</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">はいはい、どうせそうなると思ってましたよ。</font></p>
<p><font size="3">それよりも、長門はどうしたのだろう。何か厄介事にまきこまれてなかったらいいが。</font></p>
<p> </p>
<p><font size=
"3">こうして、喫茶店に入った俺は、心配を紛らわすかのようにアイスコーヒーをがぶ飲みしてしゃべりまくるハルヒをみて、自分の財布の中身と、今日一日の出来事を考えながら溜息をもらしている。</font></p>
<p> </p>
<p><font size=
"3">この春を迎えるべき快き季節を満喫できていないのは、このようなたーくさんの出来事が俺を縛っているからだ。分かるかね？ワトソン君。</font></p>
<p> </p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">いよいよ、自分でも何を考えているのか分からなくなってきたとき、</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">「もう８時ね。有希に何かあったのかも・・・。ちょっと電話してみるわね。」</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">と、ハルヒが携帯をとりだしていじり始めた。</font></p>
<p><font size="3">ちょうどいい。実は、俺はさっきからトイレに行きたくて仕方がなったのだ。</font><font size=
"3">まったく、こんなに急に集めやがって。</font><font size="3">トイレに行く暇もなかったぜ・・・。</font></p>
<p> </p>
<p><font size=
"3">こうして、俺は席を立ち、喫茶店の奥にあるトイレへと向かった。急いでドアを開けようとしたが、思い止まってドアをノックした。どこかの誰かさんと違って、俺はノックもせずにトイレに入るほど非常識じゃねえよ。</font></p>
<p> </p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size=
"3">１０秒ほどたっただろうか。これだけ待っても返事がないのなら大丈夫だろ。そろそろ入るか、と思ったときだった。</font></p>
<p> </p>
<p><font size="3">まるで、俺のドアを開けようとする意思に反応するかのようにドアが開いた。</font></p>
<p><font size=
"3">なんだ、まさか俺まで超能力を使えるようになったのか、と一瞬バカなことを考えたが、すぐにその原因は判明した。</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">「長門・・・・・・？」</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">そう。ドアの中から現れたのは、長門だった。</font></p>
<p><font size=
"3">驚いた。まさか、こんな所から現れるとは。なんだ、もうとっくに来てたのか。あ～あ、結局今日も俺のおごりか・・・。</font></p>
<p> </p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">以上、これまでが俺の記憶だ。この後、数分のことはよく覚えていない。</font></p>
<p><font size=
"3">なんせ、この後、長門がトイレから出てきた驚きなどとはまったく比べ物にならない、まさに驚愕の出来事が俺の目の前で起こったからだ。</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">「・・・やっと、会えた・・・・。」</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">そういった長門の顔をみて、俺は急性近視病にでもかかったのかと思った。</font></p>
<p><font size="3">少し弱々しかったが、誰が見てもこの表情は、ひとつにしか見えなかった。</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">笑顔。</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"><font size=
"3">そう、俺の前で長門は、電池の切れかけた懐中電灯くらいの明るさの笑顔をみせていた。</font></div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt">
<p><font size="3">何が起こってるんだ・・・。俺は、激しい目眩に襲われた・・・。</font></p>
<p> </p>
<p><font size="3">　　　　　　　～<a title=
"Different World's Inhabitants YUKI～ニチヨウビ(その二)～ (2s)" href=
"http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3576.html"><font color=
"#333333">Different World's Inhabitants
YUKI～ニチヨウビ(その二)～</font></a>に続く～</font></p>
</div>
<div style="margin: 0mm 0mm 0pt"> </div>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
<p><font color="#000000"><span lang="en-us" style="font-size:10.5pt;font-family:Century;" xml:lang="en-us"><font size="2"><font size="3">～プロローグ～</font></font></span></font></p>
<p> </p>
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<p><font size="3">「今、この世界に存在しない『彼』。もう一度、会いたい？」</font></p>
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<p><font size="3">目の前に立っている少女は私に向かって、そう言った。</font></p>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="3">しかし、私は正直何が何だかまったく分からなかった。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="3">本音を言うと、会いたい。会いたくて、会いたくて、仕方がない。</font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="3">この一年間と少しの間、私の目の前で消えていった『彼』のことをずっと思い続けていた。</font></div>
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<p><font size="3">しかし、そんなことが本当にできるのだろうか。</font></p>
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<p><font size="3">いや、まずこの状況は何なのだろうか。</font></p>
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<p><font size="3">私の名前は長門有希。</font></p>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="3">そして、私の前に立っていたのも、長門有希だった・・・。</font></div>
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<p><font size="3">一日目[ニチヨウビ]</font></p>
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<p><font size="3">季節は春。いや、もう春といっていいのだろうか。</font><font size="3">ちょうど、ぬるま湯につかっているようで、暖かいのか、冷たいのかよくわからない、しかし、これからは暖かくなる一方だと考えると思わずにやけてしまいそうになる、そんな３月の初めが、俺はある意味一番好きな時期なのかもしれない。</font></p>
<p align="left"><font size="3">誰だって、これから楽しいことがあるのはうれしいだろう。遠足を一週間後に控えた小学生と同じ心境だ。</font></p>
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<p align="left"><font size="3">それなのに、今の俺はそんな時期をいまいち楽しめないでいる。なぜだか、口を開けると溜息ばかりでる。なんでだろうね？</font></p>
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<p><font size="3">「そろそろ暖かくなるころだから、不思議がその辺でのんびりしているかもしれないわ！今こそチャンスね！」</font></p>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="3">今、俺の前で、まるで不思議というものを熊か何かに勘違いしているような話をしているのが誰だか、言わなくても分かると思う。</font></div>
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<p><font size="3">いや、頼む、分かってくれ・・・。</font></p>
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<p><font size="3">「ちょっと、キョン！聞いてるの！？今日は、午前中だけなんだから、いつもより気合入れていきなさいよ！」</font></p>
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<p><font size="3">ＳＯＳ団団長ながら、今現在は編集長でもある涼宮ハルヒは怒ってんのか、笑ってんのか</font><font size="3">よくわからない顔で俺にそういった。</font></p>
<p> </p>
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<p><font size="3">編集長？</font></p>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="3">そうだ。また、このときがやってきたのだ。機関誌作りという、どうでもいいときがね。</font></div>
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<p><font size="3">元はといえば、古泉たちが勝手にでっちあげたイベントなんだから、何も二年連続で作らなくてもいいと思うが。</font></p>
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<p><font size="3">まあ、あの退屈大嫌い女、ハルヒのことだ。</font></p>
<p><font size="3">機関誌作りという、絶好の暇つぶしを見逃すなんて事はないと思っていたがな。</font></p>
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<p><font size="3">こうして、俺は去年のように文章という悪魔と戦っているわけだ。</font></p>
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<p><font size="3">また、今日は日曜日。本来なら、体と心を十分に休める日だと、キリスト様がお決めになったありがたい日だ。</font></p>
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<p><font size="3">俺は、キリスト様の教えに従って連日の文章との戦いの疲れを癒すべく、前日に妹にボディプレス禁止令を申告し、シャミセンと共に、布団の中に立てこもるつもりだったのだが、ＳＯＳ団が誇る非常識女は、強盗が立てこもった銀行に強行突入するＳＷＡＴばりの勢いで俺を布団から追いやった。</font></p>
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<p><font size="3">「キョン！まさか寝てたの？あんた、まだ原稿できてないんだからそんなのんびりしている暇はないはずよ！」</font></p>
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<p><font size="3">電話に出てコンマ一秒ほどで怒声が響いてくる。</font></p>
<p><font size="3">ああ、朝からこいつの声を聞いたときは、俺の休日が休日ではなくなるのはこれまでの経験ですでに実証済みだ。</font></p>
<p><font size="3">さらば、俺の休日、さらば、キリストの教えよ・・・。</font></p>
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<p><font size="3">で、こんな朝早くから何のようだ？まだ午前７時だぞ。お前は俺にモーニングコールをするのが趣味なのか。</font></p>
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<p><font size="3">「そ、そんなわけないでしょ！！バカ！！それよりあんた、今日どうせ家でいても原稿を書くつもりないでしょ？」</font></p>
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<p><font size="3">ふん、悪いがそのつもりだったさ。日曜日という大切な日をわざわざ原稿のために使うほど、俺はバカじゃないさ。</font></p>
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<p><font size="3">「何いってんの！家でゴロゴロしているほうが、よっぽどバカだわ！というわけで、今日はあんたの原稿作りをみんなで監視してあげる。でも、それだけじゃつまんないから、それはとりあえず午後にするとして、午前はＳＯＳ団恒例の不思議探索をするわ。８時にいつもの駅前に集合！遅れるんじゃないわよ！」</font></p>
<p> </p>
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<p><font size="3">８時だと！？何でそんなにはやいんだ？今日は何かあったか？</font></p>
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<p><font size="3">「あんたがいけないんでしょ！！あんたが原稿をはやく書かないから、大切な午後の時間を使うはめになったのよ！午後が使えないんだったら、朝早くからやるしかないでしょ！いい、遅れたら罰金だからね！」</font></p>
<p> </p>
</div>
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<p><font size="3">そういって、本当にガチャという音が聞こえそうなくらいの勢いで電話が切れた。</font></p>
<p><font size="3">やれやれ、どうせ遅刻しなくても、罰金は払わなくちゃいけないんだがな。</font></p>
<p> </p>
<p><font size="3">それにしても、８時か、間に合うか？まったく、わざわざこんな日にまでわけの分からない探索などしなくいいと思うがね。</font></p>
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<p><font size="3">とまあ色々と愚痴をこぼしつつ、身支度を整え、自転車をぶっとばして着いた駅前には、いつもどおり、団長様の不機嫌な顔と、むかつくぐらいのにやけ顔と、目眩を起こしそうなくらい可愛いお顔と、変わることのない無表情顔が・・・ってあれ？長門がいない。めずらしいな。俺は今回、罰金を払わなくていいのか？</font></p>
<p> </p>
</div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
<p><font size="3">「そうねえ・・・有希からはまだなんの連絡も入ってないの。無断欠席はしないような子だから少し心配で・・・。まあ、まだ８時になってないし、喫茶店で待ってたら、そのうちくるでしょ。それまでの料金はあんた持ちね。」</font></p>
<p> </p>
</div>
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<p><font size="3">はいはい、どうせそうなると思ってましたよ。</font></p>
<p><font size="3">それよりも、長門はどうしたのだろう。何か厄介事にまきこまれてなかったらいいが。</font></p>
<p> </p>
<p><font size="3">こうして、喫茶店に入った俺は、心配を紛らわすかのようにアイスコーヒーをがぶ飲みしてしゃべりまくるハルヒをみて、自分の財布の中身と、今日一日の出来事を考えながら溜息をもらしている。</font></p>
<p> </p>
<p><font size="3">この春を迎えるべき快き季節を満喫できていないのは、このようなたーくさんの出来事が俺を縛っているからだ。分かるかね？ワトソン君。</font></p>
<p> </p>
<p> </p>
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<p><font size="3">いよいよ、自分でも何を考えているのか分からなくなってきたとき、</font></p>
<p> </p>
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<p><font size="3">「もう８時ね。有希に何かあったのかも・・・。ちょっと電話してみるわね。」</font></p>
<p> </p>
</div>
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<p><font size="3">と、ハルヒが携帯をとりだしていじり始めた。</font></p>
<p><font size="3">ちょうどいい。実は、俺はさっきからトイレに行きたくて仕方がなったのだ。</font><font size="3">まったく、こんなに急に集めやがって。</font><font size="3">トイレに行く暇もなかったぜ・・・。</font></p>
<p> </p>
<p><font size="3">こうして、俺は席を立ち、喫茶店の奥にあるトイレへと向かった。急いでドアを開けようとしたが、思い止まってドアをノックした。どこかの誰かさんと違って、俺はノックもせずにトイレに入るほど非常識じゃねえよ。</font></p>
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<p><font size="3">１０秒ほどたっただろうか。これだけ待っても返事がないのなら大丈夫だろ。そろそろ入るか、と思ったときだった。</font></p>
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<p><font size="3">まるで、俺のドアを開けようとする意思に反応するかのようにドアが開いた。</font></p>
<p><font size="3">なんだ、まさか俺まで超能力を使えるようになったのか、と一瞬バカなことを考えたが、すぐにその原因は判明した。</font></p>
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<p><font size="3">「長門・・・・・・？」</font></p>
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<p><font size="3">そう。ドアの中から現れたのは、長門だった。</font></p>
<p><font size="3">驚いた。まさか、こんな所から現れるとは。なんだ、もうとっくに来てたのか。あ～あ、結局今日も俺のおごりか・・・。</font></p>
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<p><font size="3">以上、これまでが俺の記憶だ。この後、数分のことはよく覚えていない。</font></p>
<p><font size="3">なんせ、この後、長門がトイレから出てきた驚きなどとはまったく比べ物にならない、まさに驚愕の出来事が俺の目の前で起こったからだ。</font></p>
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<p><font size="3">「・・・やっと、会えた・・・・。」</font></p>
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<p><font size="3">そういった長門の顔をみて、俺は急性近視病にでもかかったのかと思った。</font></p>
<p><font size="3">少し弱々しかったが、誰が見てもこの表情は、ひとつにしか見えなかった。</font></p>
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<p><font size="3">笑顔。</font></p>
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<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font size="3">そう、俺の前で長門は、電池の切れかけた懐中電灯くらいの明るさの笑顔をみせていた。</font></div>
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<p><font size="3">何が起こってるんだ・・・。俺は、激しい目眩に襲われた・・・。</font></p>
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<p><font size="3">　　　　　　　～<a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3576.html" title="Different World's Inhabitants YUKI～ニチヨウビ(その二)～ (2s)"><font color="#333333">Different World's Inhabitants
YUKI～ニチヨウビ(その二)～</font></a>に続く～</font></p>
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