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<p class="MsoNormal" style="margin: 0mm 0mm 0pt"><span style=
"font-size: 10pt; font-family: "MS Pゴシック"; mso-ansi-language: JA; mso-font-kerning: 0pt">
<font color="#000000"><font size=
"3"> 週明けの月曜日の放課後。本日は涼宮さんが特別何かを思い付くでもなく、いつも通りの時間を思い思いに過ごしていました。<br>
涼宮さんはネットサーフィンで新たな不思議の探索、朝比奈さんは新しく購入しましたお茶の美味しい淹れ方の研究、そして僕と彼はボードゲーム。<br>
そんな感じで、時間は流れていきます。<br>
<br>
――パタン――<br>
長門さんが本を閉じた音が部室に響きます。本日の団活は終了致しました。<br>
皆さんはそれぞれ帰宅準備を始め、そして皆一斉に部室を出ようとします。<br>
そして僕は、皆と別の方向に歩き出しました。<br>
「古泉、一緒に帰らないのか?」<br>
彼が珍しく僕に優しい言葉をかけてくれました。僕は先生からの呼び出しを受けましたので、と断り、皆に別れの挨拶を済ませてある場所に向かっていました。<br>
<br>
職員室の前、僕は今ここに居ます。もうお気づきかもしれませんが、勿論先生からの呼び出しと言うのは嘘です。部屋が隣同士と言うのは、方便としてはありがたい存在です。<br>
<br>
――コンコン<br>
<br>
「入りたまえ」<br>
彼の、演技真っ最中の声が響き渡りました。<br>
<br>
「何だ、古泉か。あんな喋り方をして損をしたぜ。てっきり他の生徒と思って、今まで吸っていたタバコも捨てちまった。弁償してくれ」<br>
「生徒会長。学内でタバコを吸うなとは仰いませんが、せめて制服を脱いでから吸ってもらえませんか?我々ももみ消すのが大変ですので」<br>
「ふん、わかったよ」<br>
彼――生徒会長はしぶしぶ制服のブレザーを脱ぎだしました。<br>
「これでいいか?」<br>
「ええ、ご尽力有難う御座います。これで我々の仕事もより楽になります。色々と」<br>
「何だ。やけにご機嫌じゃないか」<br>
「それはもう。こちらの思惑通りに事が運びましたから」<br>
そう言って僕は彼の方を見ました。<br>
「有難う御座います。あなたのおかげで、世界の運命はより良い方向へと導かれたみたいです」<br>
僕は彼――生徒会の体育部長――に、謝礼を述べました。<br>
「あんな感じでよかったのか?正直、俺は小難しい演技はしなかったぜ。お前が誂えた手紙を彼に渡し、そして土曜日に言われたとおりの行動をしたまでだ。正直、彼の乱入が来るとは思ってみなかったがな」<br>
体育部長の言葉に、僕は喉を鳴らしました。<br>
「僕にとっては想定内でした。彼があの場に来る事は」<br>
「だが、来なかったらどうするつもりだったんだ?」<br>
「それはそれで構いません。その場合、彼が近いうちに行動を起こす事もこちらの予想の範疇に収まっています」<br>
「ちっ、相変わらずいけすかねえ野郎だ。少しくらいは台本を見せてくれても構わないじゃないか」<br>
「古泉や、古泉の組織の連中はあんな感じだ。諦めたほうがいいぜ」<br>
「そうなんです。機関の協力者とはいえ、1から10まで喋るわけにはいきませんのでね。そう言った意味もこめて、謝礼を支払っているのです」<br>
僕はこの言葉の後、体育部長に札束が入った封筒を手渡しました。<br>
「ふん、まあいい、もらえるものを貰ったからこれ以上は何も言わない事にするよ。だが、お前も大変な仕事をしているんだな。態々アミューズメントアークのパレードの時間を意図的に設定したり、デートスポットに御誂えな点心専門店をオープンさせたり、あまつさえ未だ日本身上陸の洋画を上映させるなど、はっきり言って異常とも言える行動だ」<br>
「仕方ありませんね。これも彼女に選ばれた故のことですので」<br>
僕が微笑を浮かべると、体育部長は不機嫌な顔をしながらも口を結びました。その代わり、<br>
「古泉。一つ質問がある」<br>
生徒会長が喋りだしました。<br>
「今回お前は、涼宮と彼の距離を接近させる事で閉鎖空間とやらの発生数を少なくしようとしていたが、あの手紙のせいで、逆に閉鎖空間が増える可能性があったんじゃないか?」<br>
「なかなか鋭い質問です。そのとおりです。あの期間中は、いつもと様子が違いましたが、閉鎖空間が立て続けに発生いたしました。彼からの手紙と勘違いした涼宮さんが、期待と不安で苛まれた期間でもありますから」<br>
「閉鎖空間での仕事は俺には良く分からんが、決して楽な仕事ではないのだろう?どうしてそんな危なっかしい行動を取ったんだ?」<br>
「我々は、賭けに出たんです」<br>
「賭けだと?」<br>
「ええ。もしこの賭けに失敗したら、僕達の命どころか世界の運命すら怪しくなります。ですが、既に涼宮さんの心の中では未曾有の不満が溜まっておりました。それはまだ閉鎖空間を生み出すほどのものではないですが、でもいつか積もり積もったものが爆発すれば、この世界は確実に崩壊していました。それほど危険な爆弾を抱えていたのです」<br>
「……」<br>
「そして、その不満を取り除ける人物は唯一人――彼だったのです」<br>
「つまり、世界の運命は『滅ぶかもしれない』と『確実に滅びる』の2拓に絞られたってわけか。それで、少しでも生き延びられる方を選んだということか」<br>
「そのとおりです。僕もこの世界が好きなので、できれば延命したいと思い増したので。そしてその意見は、機関の皆が皆同じでした」<br>
「なるほどな、ほとほと苦労人だよ。お前は」<br>
生徒会長が呆れ顔で僕に賞賛の言葉を述べてくれました。<br>
<br>
「それでは、失礼致しました」<br>
「ちょっと待て、古泉」<br>
生徒会長が沈黙したのを見計らって、この場を去ろうとした僕を呼び止めたのは体育部長でした。<br>
「お前はまた十字架を負ってしまったな。お前はまたあいつら2人の監視をしつづけなければいけないんだ。それならいっそのこと、世界をリセットしてみても良かったんじゃないのか?」<br>
<br>
「くくくくく、それもそうですね。二人が喧嘩するような事があれば、考えてみますよ」<br>
体育部長の言葉に、僕は苦笑せざるを得ませんでした。<br></font><br>
<br>
</font></span></p>
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"3"> 週明けの月曜日の放課後。本日は涼宮さんが特別何かを思い付くでもなく、いつも通りの時間を思い思いに過ごしていました。<br>
涼宮さんはネットサーフィンで新たな不思議の探索、朝比奈さんは新しく購入しましたお茶の美味しい淹れ方の研究、そして僕と彼はボードゲーム。<br>
そんな感じで、時間は流れていきます。<br>
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――パタン――<br>
長門さんが本を閉じた音が部室に響きます。本日の団活は終了致しました。<br>
皆さんはそれぞれ帰宅準備を始め、そして皆一斉に部室を出ようとします。<br>
そして僕は、皆と別の方向に歩き出しました。<br>
「古泉、一緒に帰らないのか?」<br>
彼が珍しく僕に優しい言葉をかけてくれました。僕は先生からの呼び出しを受けましたので、と断り、皆に別れの挨拶を済ませてある場所に向かっていました。<br>
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職員室の前、僕は今ここに居ます。もうお気づきかもしれませんが、勿論先生からの呼び出しと言うのは嘘です。部屋が隣同士と言うのは、方便としてはありがたい存在です。<br>
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「入りたまえ」<br>
彼の、演技真っ最中の声が響き渡りました。<br>
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「何だ、古泉か。あんな喋り方をして損をしたぜ。てっきり他の生徒と思って、今まで吸っていたタバコも捨てちまった。弁償してくれ」<br>
「生徒会長。学内でタバコを吸うなとは仰いませんが、せめて制服を脱いでから吸ってもらえませんか?我々ももみ消すのが大変ですので」<br>
「ふん、わかったよ」<br>
彼――生徒会長はしぶしぶ制服のブレザーを脱ぎだしました。<br>
「これでいいか?」<br>
「ええ、ご尽力有難う御座います。これで我々の仕事もより楽になります。色々と」<br>
「何だ。やけにご機嫌じゃないか」<br>
「それはもう。こちらの思惑通りに事が運びましたから」<br>
そう言って僕は彼の方を見ました。<br>
「有難う御座います。あなたのおかげで、世界の運命はより良い方向へと導かれたみたいです」<br>
僕は彼――生徒会の体育部長――に、謝礼を述べました。<br>
「あんな感じでよかったのか?正直、俺は小難しい演技はしなかったぜ。お前が誂えた手紙を彼に渡し、そして土曜日に言われたとおりの行動をしたまでだ。正直、彼の乱入が来るとは思ってみなかったがな」<br>
体育部長の言葉に、僕は喉を鳴らしました。<br>
「僕にとっては想定内でした。彼があの場に来る事は」<br>
「だが、来なかったらどうするつもりだったんだ?」<br>
「それはそれで構いません。その場合、彼が近いうちに行動を起こす事もこちらの予想の範疇に収まっています」<br>
「ちっ、相変わらずいけすかねえ野郎だ。少しくらいは台本を見せてくれても構わないじゃないか」<br>
「古泉や、古泉の組織の連中はあんな感じだ。諦めたほうがいいぜ」<br>
「そうなんです。機関の協力者とはいえ、1から10まで喋るわけにはいきませんのでね。そう言った意味もこめて、謝礼を支払っているのです」<br>
僕はこの言葉の後、体育部長に札束が入った封筒を手渡しました。<br>
「ふん、まあいい、もらえるものを貰ったからこれ以上は何も言わない事にするよ。だが、お前も大変な仕事をしているんだな。態々アミューズメントアークのパレードの時間を意図的に設定したり、デートスポットに御誂えな点心専門店をオープンさせたり、あまつさえ未だ日本未</font></font></span><span style="font-size: 10pt; font-family: "MS Pゴシック"; mso-ansi-language: JA; mso-font-kerning: 0pt"><font color="#000000"><font size="3">上陸の洋画を上映させるなど、はっきり言って異常とも言える行動だ」<br>
「仕方ありませんね。これも彼女に選ばれた故のことですので」<br>
僕が微笑を浮かべると、体育部長は不機嫌な顔をしながらも口を結びました。その代わり、<br>
「古泉。一つ質問がある」<br>
生徒会長が喋りだしました。<br>
「今回お前は、涼宮と彼の距離を接近させる事で閉鎖空間とやらの発生数を少なくしようとしていたが、あの手紙のせいで、逆に閉鎖空間が増える可能性があったんじゃないか?」<br>
「なかなか鋭い質問です。そのとおりです。あの期間中は、いつもと様子が違いましたが、閉鎖空間が立て続けに発生いたしました。彼からの手紙と勘違いした涼宮さんが、期待と不安で苛まれた期間でもありますから」<br>
「閉鎖空間での仕事は俺には良く分からんが、決して楽な仕事ではないのだろう?どうしてそんな危なっかしい行動を取ったんだ?」<br>
「我々は、賭けに出たんです」<br>
「賭けだと?」<br>
「ええ。もしこの賭けに失敗したら、僕達の命どころか世界の運命すら怪しくなります。ですが、既に涼宮さんの心の中では未曾有の不満が溜まっておりました。それはまだ閉鎖空間を生み出すほどのものではないですが、でもいつか積もり積もったものが爆発すれば、この世界は確実に崩壊していました。それほど危険な爆弾を抱えていたのです」<br>
「……」<br>
「そして、その不満を取り除ける人物は唯一人――彼だったのです」<br>
「つまり、世界の運命は『滅ぶかもしれない』と『確実に滅びる』の2拓に絞られたってわけか。それで、少しでも生き延びられる方を選んだということか」<br>
「そのとおりです。僕もこの世界が好きなので、できれば延命したいと思い増したので。そしてその意見は、機関の皆が皆同じでした」<br>
「なるほどな、ほとほと苦労人だよ。お前は」<br>
生徒会長が呆れ顔で僕に賞賛の言葉を述べてくれました。<br>
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「それでは、失礼致しました」<br>
「ちょっと待て、古泉」<br>
生徒会長が沈黙したのを見計らって、この場を去ろうとした僕を呼び止めたのは体育部長でした。<br>
「お前はまた十字架を負ってしまったな。お前はまたあいつら2人の監視をしつづけなければいけないんだ。それならいっそのこと、世界をリセットしてみても良かったんじゃないのか?」<br>
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「くくくくく、それもそうですね。二人が喧嘩するような事があれば、考えてみますよ」<br>
体育部長の言葉に、僕は苦笑せざるを得ませんでした。<br></font><br>
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