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そんな日曜日 (後編)」(2007/10/14 (日) 17:08:43) の最新版変更点

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<p>九曜にどうやったら諭吉の弔いができるか、考えながら、3人の待つデパートの入り口へと歩く。<br> 入り口に着くと、朝比奈さんと佐々木が仲良く話していた。あの2人はかなり気が合うようだな。<br> 九曜のことはどうでもいい。<br> 「--おこってる?」<br> 「--なんで?」<br> 「--わたし--のせい?」<br> 「--ごめん--なさい」<br> 「--ゆるして」<br> 上目遣いで謝ってくる。やばい、これはかなり強烈だ。これのせいで九曜への怒りが霧散しまった。<br> 俺って、ダメだな。<br> 「別に怒ってないぞ。気にするな」<br> 「--ありがとう」<br> ……九曜、抱き締めていいか?可愛いすぎるぞ。<br> 「キョン、僕たちの前でイチャイチャするのはやめてくれないか?早くしないと日が暮れてしまうよ」<br> 「キョンくん、あまり、いろんな女の子の所に行っちゃいけませんよ」<br> 黒いオーラが見える。朝比奈さんには、黒なんて似合いませんよ。<br> だから、早くその変なオーラを消してください…<br> 黒いオーラを纏った2人と、元から真っ黒なやつらと共に、ゲームセンターを目指した。<br>  <br> しばらく歩き、ゲームセンターに着く。<br> ゲーセンなんて中学の時以来だな。高校に入ってからは、来る暇なんてなかったもんな。<br> 店内に入ると、九曜はさっさとどこかへ行ってしまった。<br> 「いいじゃないか。時間の過ごし方は人それぞれだ。自由にすればいいさ。僕たちも何かしようじゃないか。」<br> 佐々木に言われ、俺たちも移動することにした。<br> UFОキャッチャー、レーシングゲーム、シューティングゲーム、太鼓の○人など一通りのゲームをやった。<br> UFОキャッチャーでとったぬいぐるみを朝比奈さんにあげた、その時の笑顔。あれは、極上の笑顔だ。<br> 1700円も使ってしまったことや、隣で佐々木が睨んできたこと、全く気にならないね。<br> しばらく遊んで、休憩をとることにした。佐々木と朝比奈さんを残し、2人のためにジュースを買いに行く。<br> こうでもしないと、さっきから、なぜかムッツリしている佐々木の機嫌が良くならないからな。<br> ジュースを買って戻ると、待っている2人に同じく2人組の兄ちゃんが話しかけていた。一方は金髪、もう一方は坊主だ。<br> 何だアレ?ナンパか?よく分からないが、良い雰囲気ではなさそうだ。<br> 「なぁ、俺たちとどこか遊びに行こうよ」<br> 「気持ちいいことしようぜぇ」<br> 決定、あれナンパだ。しかし、あの2人は頭悪そうだな。<br> 佐々木は無言で2人のことを睨み、朝比奈さんは目に涙を溜めて震えていらっしゃる。<br> ここは俺の出番のようだ。困っている女性を助けなきゃ男が廃るぜ!正直、少し怖いけどな。<br> 「おい、止めろ。2人が嫌がっているじゃないか」<br> 「なんだテメェ!」<br> 「邪魔すんじゃねぇ!」<br> 何だこいつら。ちょっと注意しただけじゃないか。人の話もまともに聞けないのか?話して納得してくれる奴らじゃないな。仕方ない、あの手を使うか。<br> 俺は、2人に買ってきたジュースをおもいっきり振った。金髪と坊主はポカンとしている。<br> そして、そのジュースを2人に向けて開けた。<br> もう、お分かりだろう。俺が買ってきたものは炭酸ジュース。ちなみに、コーラね。勢いよく飛び出たコーラはあいつらの目に入ったようだ。あちゃー、あれは痛い。何やら訳の分からないことを叫んでいる、金髪と坊主。<br> ちょっとやりすぎたかな?<br> その隙に、朝比奈さんと佐々木の手を取り、店から飛び出した。2人の手を引き、全速力で近くの公園までノンストップで走る。そして、無事公園に到着し、息を整えた。<br> 「はぁっ、はぁっ、まったく、きみはもう少しマシな助け方はできなっかたのかい?」<br> 「し、仕方ないだろ。2対1で喧嘩しても勝てる訳なっかたんだからな」<br> 「何故、そこで喧嘩するという考えが出てくるんだ?もう少し話し合う努力をするべきだったはずだ。でも、君に助けられたのは事実だそこ関してはちゃんと礼を言うよ」<br> お前が感謝してくるなんて珍しいな。少しは男を見せたかいがあったようだ。<br>  <br> 朝比奈さんは話すこともできないくらい疲れている。この人は本当に体力がないんだな。まあ、そこが、庇護欲をそそる、魅力の1つなんだがな。<br> 「それよりどうするんだい?店には戻るんだろう?」<br> 「何でだ?まだあいつらが居るかもしれないじゃないか」<br> 「君。九曜さんのこと忘れていないかい?」<br> あっ、忘れてた。<br>  <br> 朝比奈さんの体力が回復するのを待ち、再びゲームセンターに向かう。<br> ゲームセンターに着き、入り口から中を確認すろ。よし、あいつらはもういないようだ。<br> 3人で九曜を探す。<br> 九曜を探していると、店内の一部に人だかりができているのを見つけた。何だと思い、その集団に近づいていく。<br> 集団の中心にあるのは、どうやら格闘ゲームのようだ。なんでも、たった1コインでずっとやっている凄腕の少女がいるとのことだ。まさかと思いつつ、集団」を掻き分けて前に進む。そこには、予想通り、九曜がいた。<br> 画面には、67連勝と映っている。<br> 「お前、どんだけ強いんだよ!」<br> 思わずつっこんでしまう。<br> 「--れんしゅう--してる」<br> そうですか。お前の相手ができるのは、長門くらいなもんだろうな。<br> 「九曜さん、お楽しみのところ悪いが、そろそろ帰らないかい?朝比奈さんがもうお疲れのようだしね。時間もいい頃だ」<br> 佐々木が話しかける。<br> 「------わかった」<br> 長い沈黙の後、名残惜しそうに九曜が答える。<br>  <br> 再び4人となり、店を出て駅まで歩く。丁度、駅まで半分ときたところ、<br> 「キョン、ちょっと頼みがあるんだ」<br> 「何だ?」<br> 「実は、さっきのゲームセンターに忘れ物をしてしまってね。あれがないと、とても困るんだ。取りに行こうと思うんだが、1人で戻るには不安がある。さっきみたいにね。だから一緒に戻ってくれないか?」<br> 正直また戻るのは、しんどい。でもまた、佐々木が危険にあうことは絶対に避けたい。<br> 「分かった。一緒に行ってやるよ」<br> 「君はそう言ってくれると思っていたよ。本当に助かるよ」<br> 佐々木はどことなく嬉しそうだった。<br>  <br> 「俺と佐々木は戻りますけど、朝比奈さんはどうしますか?周防もどうする?」<br> 「わたしはこのまま帰ります。キョンくん、今日はありがとう。今日かったお茶は、明日淹れるから、楽しみにしててくださいね。佐々木さんと九曜さんも今日はお疲れ様でした」<br> 「--たのしかった--また--いっしょに」<br> それぞれ挨拶をし、朝比奈さんと九曜は駅の方に歩いて行った。<br>  <br> 俺と佐々木は、もと来た道を戻る。<br> 「何を忘れたんだ?お前が忘れ物なんて珍しいじゃないか?」<br> 「それはゲームセンターに戻ってからのお楽しみだよ」<br> 「はあ?」<br> 何で、人の忘れ物を楽しみにしなければいけないんだ?そんなこと考えていると、再びゲームセンターに着いた。<br> 佐々木は中に入り、真っ直ぐと、ある場所を目指す。そして、佐々木が立ち止まった場所は…<br> 「これがお前の忘れ物か?」<br> 「そうだよ。せっかくゲームセンターに来たのにこれをしなかったのは、僕のミスだ」<br> 「プリクラがか?」<br> 「僕だって、女だ。普通の女の子っぽいことをしてみたくなるんだよ」<br> 「1人で撮るのか?」<br> 「君は僕がそうするように見えるかい?もちろん、2人で撮るんだ。キョン、君とね」<br> 「わざわざ、このためだけに俺を連れて来たのか?」<br> 「あぁ、そうだとも。では、早速撮ろうではないか」<br> 佐々木に強制的にプリクラ機の中に引っ張り込まれる。やれやれだな。<br> 中はこうなっているのか。知らなかった。佐々木は何かフレームがどうのこうの言っている。<br> 「キョン、きみはいつもしかめっ面をしている。でも、今くらいは笑ってくれないか?」<br> しかめっ面で悪かったな。生憎だが、笑顔は結構得意なんだぜ?なんせいつもニヤニヤした奴とオセロをしているくらい<br> だからな。笑顔なんかそいつの真似すりゃいいだけだ。<br> 機械の声に合わせて、俺は古泉ばりの笑顔をする。よし、決まったぜ!<br> 「…キョン、君に笑顔は似合わないね」<br> うるさい!ほっとけ!<br> 撮り終わった後、佐々木は画面に何か書いている。覗こうとすると、全力で阻止された。<br> 「見せてくれたっていいじゃないか」<br> 「急がなくいてもいい。いつか絶対見ることができるはずだ」<br> 佐々木の意味ありげな言葉が俺を不安にさせる。何だよ、いったい…<br>  <br> 帰り道、俺と佐々木は並んで歩いていた。<br> 「こうやって歩くのも、ずいぶん久しい感じがするよ」<br> 「四月にも歩いたじゃないか」<br> 「あの時はまだ明るかった。今は夜だから余計に中学の時のことを思い出してしまうんだ」<br> 「そうか?俺は一緒だと思うがな」<br> 「君はやっぱりまったく変わってないね。いや、変われないのかな?」<br> 「どういう意味だよ?」<br> 「今の君には分からないよ。それよりも、今日は楽しかったかい?」<br> 「それなりにな」<br> 「そうか、それは良かった。僕も羽を伸ばすことができて楽しかったよ。またどうだい?今度は、涼宮さんも一緒に」<br> 「ちょっ、それだけは勘弁してくれ。どう考えても疲れるに決まってる」<br> 「それは残念だな。君のこまっている顔も見てみたかったんだけどな」<br>  <br> 中学の時みたいに、くだらない話をしながら歩いていたら、佐々木の家の前に着いた。<br> 「キョン、今日は楽しかったよ。ナンパの件も含めてもう一度礼を言うよ」<br> 「気にするな。男として当然のことをしたまでだ」<br> 「ジュースをかけただけじゃないか。それともうひとつお願いがあるんだがいいかな?」<br> 「今度は何だ?」<br> 「君の携帯電話をみせてくれないか?そろそろ機種変更などと考えていてね。選ぶ時の参考にしたいんだ」<br> 何だそりゃ、と思いつつも携帯を渡す。<br> 佐々木は受け取ると、俺に見えないようにして、何かコソコソし始めた。中のデータを覗いているわけではなさそうだ。<br> 別に見られても困るものは入っていないけどな。<br> やりたいことが終わったのか、佐々木が携帯を返してきた。<br> 「じゃあね、キョン。またあえる日を楽しみにしているよ」<br> 「ああ、じゃあな」<br>  <br> 俺は佐々木と別れ帰路につく。<br> 家に着いた俺は、風呂に入り、夕飯も食べ終えると、すぐにベッドに寝転んだ。<br> 今日は本当に疲れた。<br> これじゃあ、ハルヒがいてもいなくても変わらないじゃないか…<br> しかし今日の俺は普通の高校生みたいに遊んで疲れたんだ。<br> たまには、宇宙的、未来的、超能力的、神様的なこと以外のことで、疲労するのも悪くないな。<br> そう物思いにふけっていると、前日の寝不足のせいか、睡魔が襲ってきて、すぐに夢の世界へとダイブしてしまった。<br>  <br> そんな日曜日も、いいじゃないか<br>  </p>
<p>九曜にどうやったら諭吉の弔いができるか、考えながら、3人の待つデパートの入り口へと歩く。<br> 入り口に着くと、朝比奈さんと佐々木が仲良く話していた。あの2人はかなり気が合うようだな。<br> 九曜のことはどうでもいい。<br> 「--おこってる?」<br> 「--なんで?」<br> 「--わたし--のせい?」<br> 「--ごめん--なさい」<br> 「--ゆるして」<br> 上目遣いで謝ってくる。やばい、これはかなり強烈だ。これのせいで九曜への怒りが霧散しまった。<br> 俺って、ダメだな。<br> 「別に怒ってないぞ。気にするな」<br> 「--ありがとう」<br> ……九曜、抱き締めていいか?可愛いすぎるぞ。<br> 「キョン、僕たちの前でイチャイチャするのはやめてくれないか?早くしないと日が暮れてしまうよ」<br> 「キョンくん、あまり、いろんな女の子の所に行っちゃいけませんよ」<br> 黒いオーラが見える。朝比奈さんには、黒なんて似合いませんよ。<br> だから、早くその変なオーラを消してください…<br> 黒いオーラを纏った2人と、元から真っ黒なやつらと共に、ゲームセンターを目指した。<br>  <br> しばらく歩き、ゲームセンターに着く。<br> ゲーセンなんて中学の時以来だな。高校に入ってからは、来る暇なんてなかったもんな。<br> 店内に入ると、九曜はさっさとどこかへ行ってしまった。<br> 「いいじゃないか。時間の過ごし方は人それぞれだ。自由にすればいいさ。僕たちも何かしようじゃないか。」<br> 佐々木に言われ、俺たちも移動することにした。<br> UFОキャッチャー、レーシングゲーム、シューティングゲーム、太鼓の○人など一通りのゲームをやった。<br> UFОキャッチャーでとったぬいぐるみを朝比奈さんにあげた、その時の笑顔。あれは、極上の笑顔だ。<br> 1700円も使ってしまったことや、隣で佐々木が睨んできたこと、全く気にならないね。<br> しばらく遊んで、休憩をとることにした。佐々木と朝比奈さんを残し、2人のためにジュースを買いに行く。<br> こうでもしないと、さっきから、なぜかムッツリしている佐々木の機嫌が良くならないからな。<br> ジュースを買って戻ると、待っている2人に同じく2人組の兄ちゃんが話しかけていた。一方は金髪、もう一方は坊主だ。<br> 何だアレ?ナンパか?よく分からないが、良い雰囲気ではなさそうだ。<br> 「なぁ、俺たちとどこか遊びに行こうよ」<br> 「気持ちいいことしようぜぇ」<br> 決定、あれナンパだ。しかし、あの2人は頭悪そうだな。<br> 佐々木は無言で2人のことを睨み、朝比奈さんは目に涙を溜めて震えていらっしゃる。<br> ここは俺の出番のようだ。困っている女性を助けなきゃ男が廃るぜ!正直、少し怖いけどな。<br> 「おい、止めろ。2人が嫌がっているじゃないか」<br> 「なんだテメェ!」<br> 「邪魔すんじゃねぇ!」<br> 何だこいつら。ちょっと注意しただけじゃないか。人の話もまともに聞けないのか?話して納得してくれる奴らじゃないな。仕方ない、あの手を使うか。<br> 俺は、2人に買ってきたジュースをおもいっきり振った。金髪と坊主はポカンとしている。<br> そして、そのジュースを2人に向けて開けた。<br> もう、お分かりだろう。俺が買ってきたものは炭酸ジュース。ちなみに、コーラね。勢いよく飛び出たコーラはあいつらの目に入ったようだ。あちゃー、あれは痛い。何やら訳の分からないことを叫んでいる、金髪と坊主。<br> ちょっとやりすぎたかな?<br> その隙に、朝比奈さんと佐々木の手を取り、店から飛び出した。2人の手を引き、全速力で近くの公園までノンストップで走る。そして、無事公園に到着し、息を整えた。<br> 「はぁっ、はぁっ、まったく、きみはもう少しマシな助け方はできなっかたのかい?」<br> 「し、仕方ないだろ。2対1で喧嘩しても勝てる訳なっかたんだからな」<br> 「何故、そこで喧嘩するという考えが出てくるんだ?もう少し話し合う努力をするべきだったはずだ。でも、君に助けられたのは事実だそこ関してはちゃんと礼を言うよ」<br> お前が感謝してくるなんて珍しいな。少しは男を見せたかいがあったようだ。<br>  <br> 朝比奈さんは話すこともできないくらい疲れている。この人は本当に体力がないんだな。まあ、そこが、庇護欲をそそる、魅力の1つなんだがな。<br> 「それよりどうするんだい?店には戻るんだろう?」<br> 「何でだ?まだあいつらが居るかもしれないじゃないか」<br> 「君。九曜さんのこと忘れていないかい?」<br> あっ、忘れてた。<br>  <br> 朝比奈さんの体力が回復するのを待ち、再びゲームセンターに向かう。<br> ゲームセンターに着き、入り口から中を確認すろ。よし、あいつらはもういないようだ。<br> 3人で九曜を探す。<br> 九曜を探していると、店内の一部に人だかりができているのを見つけた。何だと思い、その集団に近づいていく。<br> 集団の中心にあるのは、どうやら格闘ゲームのようだ。なんでも、たった1コインでずっとやっている凄腕の少女がいるとのことだ。まさかと思いつつ、集団」を掻き分けて前に進む。そこには、予想通り、九曜がいた。<br> 画面には、67連勝と映っている。<br> 「お前、どんだけ強いんだよ!」<br> 思わずつっこんでしまう。<br> 「--れんしゅう--してる」<br> そうですか。お前の相手ができるのは、長門くらいなもんだろうな。<br> 「九曜さん、お楽しみのところ悪いが、そろそろ帰らないかい?朝比奈さんがもうお疲れのようだしね。時間もいい頃だ」<br> 佐々木が話しかける。<br> 「------わかった」<br> 長い沈黙の後、名残惜しそうに九曜が答える。<br>  <br> 再び4人となり、店を出て駅まで歩く。丁度、駅まで半分ときたところ、<br> 「キョン、ちょっと頼みがあるんだ」<br> 「何だ?」<br> 「実は、さっきのゲームセンターに忘れ物をしてしまってね。あれがないと、とても困るんだ。取りに行こうと思うんだが、1人で戻るには不安がある。さっきみたいにね。だから一緒に戻ってくれないか?」<br> 正直また戻るのは、しんどい。でもまた、佐々木が危険にあうことは絶対に避けたい。<br> 「分かった。一緒に行ってやるよ」<br> 「君はそう言ってくれると思っていたよ。本当に助かるよ」<br> 佐々木はどことなく嬉しそうだった。<br>  <br> 「俺と佐々木は戻りますけど、朝比奈さんはどうしますか?周防もどうする?」<br> 「わたしはこのまま帰ります。キョンくん、今日はありがとう。今日かったお茶は、明日淹れるから、楽しみにしててくださいね。佐々木さんと九曜さんも今日はお疲れ様でした」<br> 「--たのしかった--また--いっしょに」<br> それぞれ挨拶をし、朝比奈さんと九曜は駅の方に歩いて行った。<br>  <br> 俺と佐々木は、もと来た道を戻る。<br> 「何を忘れたんだ?お前が忘れ物なんて珍しいじゃないか?」<br> 「それはゲームセンターに戻ってからのお楽しみだよ」<br> 「はあ?」<br> 何で、人の忘れ物を楽しみにしなければいけないんだ?そんなこと考えていると、再びゲームセンターに着いた。<br> 佐々木は中に入り、真っ直ぐと、ある場所を目指す。そして、佐々木が立ち止まった場所は…<br> 「これがお前の忘れ物か?」<br> 「そうだよ。せっかくゲームセンターに来たのにこれをしなかったのは、僕のミスだ」<br> 「プリクラがか?」<br> 「僕だって、女だ。普通の女の子っぽいことをしてみたくなるんだよ」<br> 「1人で撮るのか?」<br> 「君は僕がそうするように見えるかい?もちろん、2人で撮るんだ。キョン、君とね」<br> 「わざわざ、このためだけに俺を連れて来たのか?」<br> 「あぁ、そうだとも。では、早速撮ろうではないか」<br> 佐々木に強制的にプリクラ機の中に引っ張り込まれる。やれやれだな。<br> 中はこうなっているのか。知らなかった。佐々木は何かフレームがどうのこうの言っている。<br> 「キョン、きみはいつもしかめっ面をしている。でも、今くらいは笑ってくれないか?」<br> しかめっ面で悪かったな。生憎だが、笑顔は結構得意なんだぜ?なんせいつもニヤニヤした奴とオセロをしているくらい<br> だからな。笑顔なんかそいつの真似すりゃいいだけだ。<br> 機械の声に合わせて、俺は古泉ばりの笑顔をする。よし、決まったぜ!<br> 「…キョン、君に笑顔は似合わないね」<br> うるさい!ほっとけ!<br> 撮り終わった後、佐々木は画面に何か書いている。覗こうとすると、全力で阻止された。<br> 「見せてくれたっていいじゃないか」<br> 「急がなくいてもいい。いつか絶対見ることができるはずだ」<br> 佐々木の意味ありげな言葉が俺を不安にさせる。何だよ、いったい…<br>  <br> 帰り道、俺と佐々木は並んで歩いていた。<br> 「こうやって歩くのも、ずいぶん久しい感じがするよ」<br> 「四月にも歩いたじゃないか」<br> 「あの時はまだ明るかった。今は夜だから余計に中学の時のことを思い出してしまうんだ」<br> 「そうか?俺は一緒だと思うがな」<br> 「君はやっぱりまったく変わってないね。いや、変われないのかな?」<br> 「どういう意味だよ?」<br> 「今の君には分からないよ。それよりも、今日は楽しかったかい?」<br> 「それなりにな」<br> 「そうか、それは良かった。僕も羽を伸ばすことができて楽しかったよ。またどうだい?今度は、涼宮さんも一緒に」<br> 「ちょっ、それだけは勘弁してくれ。どう考えても疲れるに決まってる」<br> 「それは残念だな。君のこまっている顔も見てみたかったんだけどな」<br>  <br> 中学の時みたいに、くだらない話をしながら歩いていたら、佐々木の家の前に着いた。<br> 「キョン、今日は楽しかったよ。ナンパの件も含めてもう一度礼を言うよ」<br> 「気にするな。男として当然のことをしたまでだ」<br> 「ジュースをかけただけじゃないか。それともうひとつお願いがあるんだがいいかな?」<br> 「今度は何だ?」<br> 「君の携帯電話をみせてくれないか?そろそろ機種変更などと考えていてね。選ぶ時の参考にしたいんだ」<br> 何だそりゃ、と思いつつも携帯を渡す。<br> 佐々木は受け取ると、俺に見えないようにして、何かコソコソし始めた。中のデータを覗いているわけではなさそうだ。<br> 別に見られても困るものは入っていないけどな。<br> やりたいことが終わったのか、佐々木が携帯を返してきた。<br> 「じゃあね、キョン。またあえる日を楽しみにしているよ」<br> 「ああ、じゃあな」<br>  <br> 俺は佐々木と別れ帰路につく。<br> 家に着いた俺は、風呂に入り、夕飯も食べ終えると、すぐにベッドに寝転んだ。<br> 今日は本当に疲れた。<br> これじゃあ、ハルヒがいてもいなくても変わらないじゃないか…<br> しかし今日の俺は普通の高校生みたいに遊んで疲れたんだ。<br> たまには、宇宙的、未来的、超能力的、神様的なこと以外のことで、疲労するのも悪くないな。<br> そう物思いにふけっていると、前日の寝不足のせいか、睡魔が襲ってきて、すぐに夢の世界へとダイブしてしまった。<br>  <br> そんな日曜日も、いいじゃないか<br>  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