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「『涼宮ハルヒの怪談』」(2007/10/13 (土) 22:44:28) の最新版変更点
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<p>『涼宮ハルヒの怪談』</p>
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ある晴れた新緑が眩しい初夏の放課後、俺はSOS団部室で古泉とオセロで対決し、長門はいつもの無表情で本を読み、朝比奈さんはメイドの衣装でまるで妖精のように歩き回っていた。</p>
<p><br>
コンピ研から不条理に強奪して来たパソコンと睨めっこしていたハルヒは叫んだ。<br>
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「キョン、依頼よ!依頼が来てるわ!」<br>
<br>
SOS団に寄せられた依頼と言えば・・・<br>
生徒会長書記の喜緑江美里の恋人のコンピ研部長の件に<br>
阪中さんのペットの件とかあったっけ。 </p>
<p>久し振りの依頼だ。今度はまともな依頼である事を祈る。もう二度とカマドウマに襲われたくなどないからな。<br>
デスクトップに映し出されたメール本文はご丁寧に明朝体でこう書かれていた。<br>
<br>
「光陽園駅前公園にしばかりを見る女性が現れます。それも、朝9時にいつも噴水前のベンチに座っているんです。それも1時間はそこから動かないんです。なんだか目も虚ろな感じで…怖いので調べてください、お願いします!」<br>
<br>
「キョン、これって何か不吉な感じがすると思わない?しばかりを見てるのよ!」<br>
<br>
「あぁ、やっかいだな。で、この依頼をどうするんだ?」<br>
<br>
「決まってるじゃないキョン、あんたが明日調べてくるのよ!」<br>
<br>
なんだ?SOS団は全員一緒に行動するのが基本じゃなったのか?<br>
<br>
「だってその女に殺されるかも分からないでしょ!?古泉くんや、みくるちゃんや、有希が傷ついたりしたら私は一体どうすればいいのよ!」<br>
<br>
だったら団長であるお前がメンバーを守ればいいだろう。朝倉涼子の時みたいにナイフで殺されかけるなんてもうごめんだ。
情報操作で治せると分かってても有希にもう2度と怪我などさせたくはない。<br>
<br>
「とにかく明日調べて報告するのよ!でないと、死刑だから。」<br>
<br>
言い終わるとハルヒは荷物を持って帰ってしまった。</p>
<p>やれやれ、不吉なのはどっちなんだか…<br>
<br>
さて、どうするか。<br>
古泉に向き直って話しかける。<br>
<br>
「なぁ、古泉。明日なんだけど…」<br>
<br>
突然携帯電話の振動音が鳴り響く。<br>
<br>
「ちょっと失礼」<br>
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あの野郎、わざわざ荷物を引っ張り出して出て行きやがった。しかもなんだあの笑みは。<br>
<br>
「朝比奈さん、明日どうですか?一緒に行きませんか?」<br>
<br>
朝比奈さんは少し考え込むと、顔を上げた。<br>
<br>
「ごめんなさい、遠慮しておきます。」<br>
<br>
断り、それ以降何も喋らずに帰り支度を始めてしまった。<br>
<br>
最後の手段、長門。長門に聞いてみよう。<br>
<br>
「なぁ、長門」<br>
<br>
「何?」<br>
<br>
「今回の依頼、どう思う?」<br>
<br>
長門は、本に顔を伏せたまま答えた。<br>
<br>
「ユニーク」<br>
<br>
何? 今、長門はなんと答えた? ユニーク?<br>
この4文字にはどんな意味があるんだ? それになんだか長門の顔が震えてるように見えるのは何故だ?<br>
しばかりを見る女がそんなにユニークなのか?</p>
<p><br>
まぁいい。これ以上考えるのは止めてもう一度朝比奈さんに聞いてみよう。未来から来たんだから何か知っているかもしれない。<br>
<br>
「朝比奈さん。」<br>
<br>
帰り支度を終えた朝比奈さんはビクッとしてこちらを向いた。<br>
<br>
「な、何でしょうか?」<br>
<br>
「朝比奈さんは無理に着いてこなくていいんです。この依頼は危険らしいので朝比奈さんを巻き込みたくはありません。ただひとつ、聞きたい事があります。</p>
<p>俺が明日公園に行くと、何が起こるんですか?」<br>
<br>
朝比奈さんは天使のような微笑を見せ、人差し指を唇に当ててこう言った。<br>
<br>
「禁則事項です。」<br>
<br>
それだけ言うと部室を出て行った。<br>
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長門も「ぱたん」と本を閉じ、部室を出る。<br>
<br>
くっ…<br>
自分の目で確かめるしかないのか。<br>
<br>
次の日、俺はまだ6月になったばかりだというのに真夏日並みの気温の中、自転車をこいで光陽園駅に自転車を置き、公園にやってきた。<br>
<br>
そろそろ「しばかりを見る女」とやらが来る時間だ。 何処かに身を隠そう。</p>
<p> </p>
<p>俺は、噴水前のベンチのはす向かいにあるベンチに隠れる事にした。<br>
そうこうしていると、噴水前のベンチに女がやってくる。<br>
<br>
女は何度か携帯電話を取り出して時間を見ている。<br>
<br>
「な、何が始まるんだ?」</p>
<p> </p>
<p>現在の時刻は午前9:30、それは起こった。<br>
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俺は目を疑ったね。今の自分の動作を漫画チックに表わすと両手と両足を伸ばし、仰向けにスライディングするというなんとも痛々しいズッコケだ。</p>
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なんせ女は恍惚とした表情で、「芝刈り」を始めた全身薄茶色の作業服を着た30代半ばかと思われる阿部寛に似たスーツが似合いそうな男性2人を見てウットリしてたんだからな。 </p>
<p>なるほど、古泉や長門や朝比奈さんが笑いを堪えてた理由が分かった気がする。<br>
おまけに、メールの本文にはしっかりと 「光陽園駅前公園に芝刈りを見る女性が現れます。」 と書いてあったしな。</p>
<div id="diary_body">
ある晴れた新緑が眩しい初夏の放課後。俺はSOS団部室で古泉とオセロで対決し、長門はいつもの無表情で本を読み、朝比奈さんはメイドの衣装でまるで蓮の花から生まれたんじゃないかってくらい可愛らしい妖精のように歩き回っていた。<br>
<br>
コンピ研から不条理に強奪して来たパソコンと睨めっこしていたハルヒは叫んだ。<br>
<br>
「キョン、依頼よ!依頼が来てるわ!」<br>
<br>
ハルヒの大声に俺を含めたメンバーがハルヒの方に視線を集中させた。<br>
<br>
SOS団に寄せられた依頼と言えば・・・<br>
生徒会長書記の喜緑江美里の恋人のコンピ研部長の件に<br>
阪中さんのペットの件とかあったっけ。<br>
<br>
久し振りの依頼だ。今度はまともな依頼である事を祈る。もう二度とカマドウマに襲われたくなどないからな。<br>
<br>
デスクトップに映し出されたメール本文にはご丁寧に明朝体でこう書かれていた。<br>
<br>
「光陽園駅前公園にしばかりを見る女性が現れます。それも、朝9時にいつも噴水前のベンチに座っているんです。それも1時間はそこから動かないんです。なんだか目も虚ろな感じで…怖いので調べてください、お願いします!」<br>
<br>
「キョン、これって何か不吉な感じがすると思わない?この女の人はしばかりを見てるのよ!」<br>
<br>
「あぁ、やっかいだな。で、この依頼をどうするんだ?」<br>
<br>
「決まってるじゃないキョン、あんたが明日調べてくるのよ!」<br>
<br>
なんだ?SOS団は全員一緒に行動するのが基本じゃなったのか?<br>
<br>
「だってその女に殺されるかも分からないでしょ!?古泉くんや、みくるちゃんや、有希が傷ついたりしたら私は一体どうすればいいのよ!」<br>
<br>
だったら団長であるお前がメンバーを守ればいいだろう。朝倉涼子の時みたいにナイフで殺されかけるなんてもうごめんだ。情報操作で治せると分かってても有希にもう2度と怪我などさせたくはない。ましてや、朝比奈さんに危害を与えた日には乱闘だ、乱闘プレイだ。<br>
<br>
「とにかく明日調べて報告するのよ!でないと、死刑だから。」<br>
<br>
言い終わるとハルヒは荷物を持って帰ってしまった。<br>
<br>
やれやれ、不吉なのはどっちなんだか…<br>
<br>
さて、どうするか。<br>
古泉に向き直って話しかける。<br>
<br>
「なぁ、古泉。明日なんだけど…」<br>
<br>
突然携帯電話の振動音が鳴り響く。<br>
<br>
「ちょっと失礼」<br>
<br>
あの野郎、わざわざ荷物を引っ張り出して出て行きやがった。しかもなんだあの笑みは。<br>
<br>
「朝比奈さん、明日どうですか?一緒に行きませんか?」<br>
<br>
朝比奈さんは少し考え込むと、顔を上げた。<br>
<br>
「ごめんなさい、遠慮しておきます。」<br>
<br>
断り、それ以降何も喋らずに帰り支度を始めてしまった。<br>
最後の手段、長門。長門に聞いてみよう。<br>
<br>
「なぁ、長門」<br>
<br>
「何?」<br>
<br>
「今回の依頼、どう思う?」<br>
<br>
長門は、本に顔を伏せたまま答えた。<br>
<br>
「ユニーク」<br>
<br>
何? 今、長門はなんと答えた? ユニーク?<br>
この4文字にはどんな意味があるんだ? それになんだか長門の顔が震えてるように見えるのは何故だ?しばかりを見る女がそんなにユニークなのか?<br>
<br>
まぁいい。これ以上考えるのは止めてもう一度朝比奈さんに聞いてみよう。未来から来たんだから何か知っているかもしれない。<br>
<br>
「朝比奈さん。」<br>
<br>
帰り支度を終えた朝比奈さんはビクッとしてこちらを向いた。<br>
<br>
「な、何でしょうか?」<br>
<br>
「朝比奈さんは無理に着いてこなくていいんです。この依頼は危険らしいので朝比奈さんを巻き込みたくはありません。ただひとつ、聞きたい事があります。俺が明日公園に行くと、何が起こるんですか?」<br>
<br>
朝比奈さんは天使のような微笑を見せ、人差し指を唇に当ててこう言った。<br>
<br>
「禁則事項です。」<br>
<br>
それだけ言うと部室を出て行った。<br>
長門も「ぱたん」と本を閉じ、部室を出る。<br>
<br>
くっ…<br>
自分の目で確かめるしかないのか。<br>
<br>
次の日、俺はまだ6月になったばかりだというのに真夏日並みの気温の中、自転車をこいで光陽園駅に自転車を置き、公園にやってきた。<br>
<br>
そろそろ「しばかりを見る女」とやらが来る時間だ。 何処かに身を隠そう。<br>
<br>
俺は、噴水前のベンチのはす向かいにあるベンチに隠れる事にした。<br>
そうこうしていると、噴水前のベンチに女がやってくる。<br>
<br>
女は何度か携帯電話を取り出して時間を見ている。<br>
<br>
「な、何が始まるんだ?」<br>
<br>
現在の時刻は午前9:30、それは起こった。<br>
<br>
俺は目を疑ったね。今の自分の動作を漫画チックに表わすと両手と両足を伸ばし、仰向けにスライディングするというなんとも痛々しいズッコケだ。<br>
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なんせ女は恍惚とした表情で、「芝刈り」を始めた全身薄茶色の作業服を着た30代半ばかと思われる阿部寛に似たスーツが似合いそうな男性2人を見てウットリしてたんだからな。<br>
<br>
なるほど、古泉や長門や朝比奈さんが笑いを堪えてた理由が分かった気がする。<br>
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おまけに、メールの本文にはしっかりと 「光陽園駅前公園に芝刈りを見る女性が現れます。」 と書いてあったしな。</div>