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しっと団の野望 ~最後の聖戦~ 後編」(2020/03/08 (日) 00:03:19) の最新版変更点

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<p><br> さて、いよいよ「しっと団」との最終決戦が始まったわけだが、<br> 別に闇の洞窟にいるわけでも異次元にいるわけでも無く、<br> 穏やかな春空の下の競技場。とても緊張感に欠ける。<br> なんというのかね、運動会気分?<br>  <br> 「さあキョン君!クジを引いてください!」<br>  <br> 朝比奈さんが取り出したのは手を入れるタイプの抽選箱。<br> お楽しみ回じゃないんだから……余計に緊張感が薄れるな。<br> さて、俺が取り出した紙に書いてあったのは!<br>  <br>  <br> 『長距離走』<br>  <br>  <br> どうやら本当に運動会だったようだ。というか、コレってもしかしなくてもハズレのような気がする。<br>  <br> 「おいキョン!!なんつーもん引き当ててくれたんだ!!」<br>  <br> 言うな、俺だって辛いんだ。<br> なんでこんな戦いでマラソンをさせられなきゃいかん。棄権させてくれ、罰金払うから。<br>  <br> 「距離は10km。10km分このグラウンドを走ってもらいます。1周200mだから50週です。」<br>  <br> じゅっきろ……ごじゅっしゅう……勘弁してくれ………<br>  <br> 「キョンー!谷口なんかに負けたら死刑よ!!」<br> 「『ジャッカル』君!負けは許されませんよ!」<br>  <br> ハルヒと朝比奈さんが互いを応援している。ああ、どうせなら朝比奈さんに応援してほしかったぜ。<br> 俺と谷口はしぶしぶスタートラインにたった。<br> 新川さんが銃を上に向け、合図をする<br>  <br> 「よーい……スタート!」<br>  <br> 俺達は10kmのマラソンをスタートした……っておい谷口!最初から飛ばしすぎだろ!<br> 谷口は一瞬こちらを振り向くと、ニヤリと笑った。<br>  <br> 野郎………<br>  <br> そういうことならこちらも乗ってやるさ!<br> 俺も長距離走とは思えないハイペースで追いかける。というか、ほぼ全力疾走だ。<br> 周りの観客もヒートアップする。<br>  <br> 「『ジャッカル!』いいわよ!そのまま逃げきりなさい!」<br> 「キョン~!!早く抜かすのよ~!!」<br>  <br> 我ながらムキになりすぎていると思う。<br> だが、コイツにだけは、絶対に負けられねえんだ!<br>  <br>  <br> ~1時間後~<br>  <br> はぁ……はぁ……ぜぇ……ぜぇ……<br> 俺は重い身体を引きずって歩いている。え?歩くな?冗談じゃない。もう走れない。<br> 最初に飛ばしすぎたのが原因だな、どう考えても。<br> そして俺のすぐ横には谷口がいる。コイツもバテて一緒に歩いている。<br>  <br> 「キョン、俺はもう歩くのも辛い。棄権する、お前の勝ちでいい。」<br> 「何言ってるんだ谷口。ゴールまであと少しだ。最後まで一緒に行こうぜ。」<br> 「キョン……!!」<br>  <br> そうだ後少しだ。俺のカウントが間違ってなければあと1周……!<br> あまりに辛い闘いだった。だが、それももうすぐ終わる!<br> 長門は読書してるしハルヒは古泉とオセロに興じている。何持ってきてるんだ古泉よ。<br> 朝比奈さんも朝倉となんか談笑してるし、真面目に見てくれてるのは周カウントしてる新川さんぐらいだ。<br> でも構わない。これは自分自身との闘いなんだ!!<br> そして俺は谷口と並んで同時にゴールした。<br>  <br> 「ゴール!!」<br>  <br> 新川さんが高らかに叫ぶ。終わった、終わったんだ……!!<br>  <br> 「あ、終わったの?で、どっち勝った?」<br> 「同時にゴールされたようですよ。」<br> 「同時ぃ!?何やってるのよキョン!ラストスパートぐらいかけなさいよ!」<br>  <br> ハルヒが怒鳴る。だが俺には関係ないのさ。<br> 最後の最後で裏切ってスパートかけるなんて出来るわけなかったさ。<br> だって俺らは……<br>  <br> 「戦友、だもんな!」<br>  <br> 谷口が言う。その通りだ。俺は勝利なんかよりよっぽど大事なものを手に入れたんだ……<br>  <br> 「何いい話で終わらせようとしてるんですか!ただマラソンでバテただけじゃないですか!<br>  ……まあいいです、引き分けで。次!長門さんと朝倉さん!」<br>  <br> 宇宙人対決か。さてどんな戦いになるのやら。チート合戦か?<br> 長門がくじを引いた。そこに書いてあったのは……<br>  <br>  <br> 『大食い対決。』<br>  <br> ……勝ったな。長門が大食いで負けるはずがない。<br>   <br> 「ちなみにメニューは、カレーとなります。」<br>  <br> 負ける要素が無いとはまさにこのことだろう。大食い勝負でしかもカレー。<br> どうすれば長門が負けるのか逆に教えてもらいたいね。<br>  <br> 何時の間にか用意された長机と椅子に長門と朝倉が並んで座る。<br> 長門にカレーを渡す役は古泉、朝倉にカレーを渡す役は新川さんが担当する。<br> ……そういや大量のカレーなんてどうやって調達したんだ。これも機関クオリティか。<br>  <br> 「長門さん、頑張ってくださいね。」<br> 「大丈夫。負けるわけがない。」<br>  <br> 古泉が長門を激励するが長門は強気だ。まあそりゃそうだろうな。<br>  <br> 「よーい……すたーとぉ!」<br>  <br> 朝比奈さんの可愛らしい掛け声で大食い対決がスタートした!<br> おお、早速長門が猛スピードで食ってる。流石だ。<br> ……って何!?朝倉も同じ速度で食べている!?<br>  <br> 「ゆはんひははねなはとはん。わはしほはやふいにはひひんあるのほ。<br>  (油断したわね長門さん。私も早食いには自信あるのよ)」<br> 「ほうひて?はなたはおおふいはらではなはったはふ<br>  (どうして?あなたは大食いキャラでは無かったはず。)」<br> 「ふうとうへいきゃらへんひへたはらね。へもほんほうははへるのはいすひほ。<br>  (優等生キャラ演じてたからね。でも本当は食べるの大好きよ。)」<br> 「ふはふ。へほまへない。(うかつ。でも負けない。)」<br>  <br> 端から見てると何言ってるのかさっぱりわからん。<br> 口に食べ物含みながらしゃべるのやめなさい!汚いから!<br> AマイナーとAAランクプラスの美少女が、とても映像には表せないような食い方をしている。<br> よかったなこれがSSで。アニメだったら放送禁止ものだぜ。<br>  <br> 「すごい戦いね……いろんな意味で……」<br>  <br> ほら見ろ。あのハルヒでさえ若干引き気味だ。<br> 古泉と新川さんも大忙しだ……ってあれ?<br>  <br> 「どうしたのよ。」<br> 「次は?」<br>  <br> カレーが止まってしまった。もしや……<br>  <br> 「申し訳ありません、どうやらカレーのストックが切れたようです。」<br>  <br> やっぱり!そりゃあんな化け物×2が居たらすぐに無くなるだろうさ。<br> 仕方ないのでそこで勝負終わり、食った皿の数を数えてみたが、<br>  <br> 「なんと……」<br> 「まったく同じ、ですね。」<br>  <br> 驚く古泉と新川さん。どうやらまったく同じペースで食い尽くしたらしい。流石、としか言えない。<br> ……おお!長門と朝倉が握手をしている!大食い同士、友情が生まれたんだろう………イヤな友情だな。<br>  <br> さて、結局また引き分けに終わり、副将戦へと移る。新川さん対古泉の機関対決だ。<br> 古泉がくじを引く。中から出てきた紙に書いてあった対決内容、それは……<br>  <br>  <br> 『我慢対決』<br>  <br> ……もう競技場がどうとか関係無くなってきたな。<br> 我慢対決って、何をするんだろう。<br>  <br> 「我慢と言えばやはりこれでしょう!熱闘風呂!!」<br>  <br> 朝比奈さんが指さした先には、現在進行形でグツグツに煮えてる熱闘風呂が。<br> ……なんでここにこんなもんがあるんだよ。これもまた機関クオリティか。<br>  <br> 「やっぱり我慢の定番はコレよね……」<br>  <br> おいハルヒ、少しはおかしいなと気付け。相変わらずおめでたいな。<br> 他のヤツらも……ってあれ?肝心の古泉と新川さんが居ないぞ。<br>  <br> 「僕ならここですよ。」<br>  <br> 古泉が歩いてきた。その姿はタオルを腰に巻いているだけ!新川さんも同じだ。<br> 3月とは言えまだまだ寒いこの時期に、そんな格好で外に居たら寒いだろうに。<br> もうこの時点で我慢が始まっているような気がする。<br>  <br> 「ではよぉい……すたぁとぉ!!」<br>  <br> 相変わらずの癒し系ボイスを合図に二人が熱闘風呂に入った。<br> その瞬間、二人の顔が苦痛に歪む!キツそうだ……<br>  <br> おや?その時俺は妙なことに気がついた。お湯から、小さな泡が出ている……これってまさか!<br>  <br> 「おい長門!今あのお湯何度になってるか分かるか?」<br> 「摂氏100℃。沸騰状態にあると思われる。」<br> 「やっぱり!!」<br>  <br> あの泡は、沸騰している泡だったんだ!もう風呂ってレベルじゃねーぞ!<br>  <br> 「朝比奈さん!沸騰はやり過ぎでしょう!」<br> 「いいえ!これぐらいやらないと……どっちが先にギブアップしますかね……?ふふふふ……」<br> 「死にますって!ほら、二人も苦痛に顔を……って……あれ?」<br>  <br> 俺は自分の目を疑った。二人は……笑ってる?<br>  <br> 「いやあいいですねぇ。この痛みを伴うほどの熱さ。ふふふ……」<br> 「まったくですな。このままずっと入っていたい気分ですぞ。ほっほっほ……」<br>  <br> この笑みは……間違いない。快感を感じている笑みだ。もちろん性的な意味で。<br> コイツラそろいも揃ってMだったのか……<br> まあハルヒに振り回され閉鎖空間へ行かされる日々、マゾじゃないとやってられないよなあ……<br>  <br> どうやら他の面々もそれに気付いたらしい。みんなドン引きしている。<br>  <br> 「あ、朝比奈さん……」<br> 「なんですか?」<br> 「どうやら快感を覚えているようだから……自分から出ることは無いと思いますよ。<br>  それこそ気絶するまで……」<br> 「そうですね……中止して引き分けにしちゃいましょう……」<br>  <br> 朝比奈さんもげんなりした顔だ。まあそうなるわな……<br> 中止を言い渡され風呂から出た二人は、残念そうな顔をしていた。<br>  <br> 「ドクターストップは残念でしたね。あと3分続けてれば新たな境地に辿り着けそうでしたが。」<br>  <br> ええい、近づくな!気持ち悪いからさっさと着替えて来い!!<br>  <br> ここまで3引き分けとまったくの互角。というかまだ白黒すらついていない。<br> 最後ぐらいは、ちゃんとした結果にならないと納得いかないだろう。<br> しっと団もSOS団も、そしてパソコンの前にいる諸君らも。<br> 最後は大将対決。ハルヒと朝比奈さんの対決だ。<br>  <br> 「みくるちゃん!こんな組織作って私にはむかったことを、後悔させてあげるわ!」<br> 「後悔するのはそっちです!年中頭の中がお花畑のバカップル達に負けるつもりはありません!」<br>  <br> おお、朝比奈さんがハルヒと互角にやりあっている!<br> そしてハルヒの手が抜き取った勝負内容は……<br>  <br>  <br> 『100mハードル走』<br>  <br> ……勝ったな。お世辞にも朝比奈さんは運動神経が良いとは言えない。<br> ハルヒなら、陸上選手並みに軽やかにハードルを越えていくことだろう。<br>  <br> 「…………」<br>  <br> しかし、ハルヒの様子がおかしい。顔が青ざめている。どうしたんだ?<br>  <br> 「あたし……ダメなのよ。」<br> 「ダメ?何がだ。」<br> 「ハードルだけはダメなのよ……あたし……」<br>  <br> な、なんですとー!?運動神経抜群のハルヒが、なんでまた!<br>  <br> 「小学校の頃ハードルで転んで骨折したことがあってね……<br>  それ以来ハードルだけは怖くて飛べないの……」<br>  <br> 小学校の時のトラウマが原因か……そう言えば体育でハードルやってる時も休んでたな。<br>  <br> 「棄権してもいいですよぉ?」<br>  <br> 朝比奈さんが挑発してくる。まさか、狙ってたんじゃないだろうな……<br>  <br> 「……冗談じゃないわ!SOS団に敗北は許されない!あたし、やるわ!」<br>  <br> ハルヒは強がる。だが、まだ顔は青ざめている。無理するなよ、ハルヒ……どうせくだらん戦いなんだから。<br> とそこで、俺のシャツが引っ張られた。……なんだ長門。<br>  <br> 「作戦があります。」<br>  <br> すぐ横に元の服に着替えた古泉が居た。顔を近づけるなっての!<br>  <br> 「来て。」<br>  <br> 長門が歩き出した。何をするのかまったくわからんが、この二人が言うならまともな作戦なのだろう。<br>  <br>  <br> 朝比奈さんとハルヒはスタートラインに立った。<br> そして新川さんは銃を構え……<br>  <br> ドン!<br>  <br> その銃声と共に朝比奈さんがぽてぽてと走り出した……あれは走っているのか?相当遅い。<br> だがそれ以上に問題なのはハルヒだ。まだ1歩も動けていない。やはりトラウマなのだろう。<br>  <br> さて、そんな俺はどこにいるかと言うと、ゴールラインの前にいる。<br> そして何故か……古泉に羽交い締めにされてる。なんだこりゃ!<br>  <br> 『涼宮さ~ん!!』<br>  <br> 古泉がスピーカーを使いハルヒに呼びかける。<br>  <br> 『彼の身柄は預かりました!さあ長門さん!やっちゃってください!』<br>  <br> 長門が俺の前に立つ。そして手にはアレだ、ティッシュを細い糸状にしたものが握られてる<br> ……おい、まさか……冗談だろ……?<br>  <br> 「へっへっ……ふぇっ……!!」<br>  <br> 冗談では無かった!長門の持ってるティッシュが、俺の鼻の穴に侵入する!<br> 長門の神懸り的な手さばきで、的確にくしゃみが出そうで出ない状態を持続させる!これはキツすぎる!<br> そんな中古泉が耳打ちしてきた。<br>  <br> (さあ、涼宮さんに助けを求めてください。)<br>  <br> そういうことか。作戦の趣旨は理解した。だがこれは無いだろう。<br> 俺は古泉からスピーカーを奪い取り、全力で叫んだ。<br>  <br> 『ハルヒ~!!助けてくれ~!!!』<br>  <br> その時であった!ハルヒが走り出し、ハードルを次々と乗り越えていく!!<br> すげえ……それはまるで陸上選手を見ているかのような、軽やかさであった!<br>  <br> 「キョン!大丈夫!?」<br>  <br> 結局30秒もかからずにここまで来てしまった。惚れ惚れするぜ、ハルヒ。<br>  <br> 「大丈夫さ、お前が来てくれたからな。」<br> 「まったく情けないわね!あたしがいないとほんとダメなんだから!」<br>  <br> まあ否定はしないさ。この勝負はハルヒの勝ち。1勝3引き分けで、俺達SOS団の勝利だ!<br> ようやくこれまでの因縁にも終止符が……<br>  <br> 「待って!まだよ!」<br>  <br> まだ?ハルヒの視線の先には、まだコースの半分しか行ってない朝比奈さんが居た。<br> ハードルは……見事に全て倒しながら進んでいる。<br>  <br> 「ふぇぇ……」<br>  <br> 今にも泣きそうな顔をしている。そりゃそうだ、もう負けが決定してるわけだからな。<br> もうやめさせてあげてもいいんじゃないか?<br>  <br> 「ダメよ!……古泉くん、それ貸して。」<br>  <br> ハルヒは古泉の手からスピーカーを奪い取った。<br>  <br> 『みくるちゃん!最後までやりとげなさい!あんたが売った喧嘩なんだから、最後まで責任持つのよ!<br>  あたしも応援するから!頑張って、みくるちゃん!』<br>  <br> そうだ。俺達も応援しなければ、朝比奈さんの走りを!<br>  <br> 「朝比奈さ~ん!!頑張れ~!!」<br> 「あともう少しですよ、朝比奈さん!!」<br> 「……頑張って。」<br>  <br> 長門と古泉も俺と一緒に応援する。みんな心は1つなんだ。そう、コイツらだって……<br>  <br> 「『トゥモロー』!頑張ってください!!」<br> 「ハードルなんかに負けちゃダメよ、『トゥモロー』!!」<br> 「自分との闘いですぞ!『トゥモロー』!!」<br>  <br> しっと団のヤツらも朝比奈さんを応援する。<br> この時、競技場は1つになっていた。しっと団もSOS団も関係無い。<br> みな、朝比奈さんの走りを応援しているのだ!<br>  <br> 「はぁ、はぁ……」<br>  <br> そして朝比奈さんが最後のハードルを超える!へたへたと走り……ついにゴールをした。<br>  <br> 「やった!!」<br>  <br> 俺は思わず隣に居たハルヒとハイタッチをしてしまった。<br> そうさ、これが答えなんだ。勝ち負けなんて関係ない。<br> 大事なのは、みんながひとつになるってことなのさ……!<br>  <br> 終わり<br>  <br>  <br>  <br>  <br> 「終わるなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」<br>  <br> 朝比奈さんが叫んだ。<br> ……やっぱダメですか?俺的にはあれで終わりで構わないんですけど……<br>  <br> 「構います!それに……応援してくれたのは嬉しいですけどこれ本人にとってはみじめなんです!<br>  マラソンでビリの人に贈られる拍手の残酷さを知らないのですか!?」<br>  <br> ああ、確かにアレは本人にとっちゃトラウマものだよな……<br>  <br> 「まあとにかく、これであたし達の完全勝利よ!!残念だったわね、しっと団!」<br>  <br> ハルヒが高らかに言った。3引き分けだから完全ってほどでも無いと思うが……<br> だがそれでも勝ったのは事実だ。朝比奈さんを始めしっと団の面々は悔しそうな顔をしている。<br>  <br> 「くぅ~……悔しいです!特に最後、『愛の力で勝った』的な展開になったのが特に……!!」<br>  <br> まあ、確かにアレはハルヒの愛の力だと思う。感謝してるぜ、ハルヒ<br>  <br> 「ちょ、今そんなこと言わなくてもいいでしょ……」<br>  <br> ハルヒは顔を赤らめた。そういうところが可愛いんだぜ。<br>  <br> 「バカ……」<br> 「「「「いちゃつき禁止!!」」」」<br>  <br> しっと団の4人の声がハモった。<br> ちっ、せっかくいいムードになりかけてたのに……<br> とここでハルヒが、とんでもないことを言い出した。<br>  <br> 「ていうかさ、一人身がイヤなんでしょ?だったらあたしにいい考えがあるわ。」<br>  <br> いい考え?あまり期待できないが、言ってみろ。<br>  <br> 「あんた達でカップルになればいいじゃない。<br>  ちょうど女二人男二人だし、いいんじゃない?」<br>  <br> そうか、その発想は無かった。<br>  <br> 「「「「えええーーー!!?」」」」<br>  <br> またもやハモる4人の声!<br> ハルヒの予想外の提案をしっと団はどう受けとめるのか!<br> そしてしっと団はどのような結末を迎えるのか!<br> 俺個人としてはあまり興味は無いが……次回、最終回!</p>
<p><br /> さて、いよいよ「しっと団」との最終決戦が始まったわけだが、<br /> 別に闇の洞窟にいるわけでも異次元にいるわけでも無く、<br /> 穏やかな春空の下の競技場。とても緊張感に欠ける。<br /> なんというのかね、運動会気分?<br />  <br /> 「さあキョン君!クジを引いてください!」<br />  <br /> 朝比奈さんが取り出したのは手を入れるタイプの抽選箱。<br /> お楽しみ回じゃないんだから……余計に緊張感が薄れるな。<br /> さて、俺が取り出した紙に書いてあったのは!<br />  <br />  <br /> 『長距離走』<br />  <br />  <br /> どうやら本当に運動会だったようだ。というか、コレってもしかしなくてもハズレのような気がする。<br />  <br /> 「おいキョン!!なんつーもん引き当ててくれたんだ!!」<br />  <br /> 言うな、俺だって辛いんだ。<br /> なんでこんな戦いでマラソンをさせられなきゃいかん。棄権させてくれ、罰金払うから。<br />  <br /> 「距離は10km。10km分このグラウンドを走ってもらいます。1周200mだから50週です。」<br />  <br /> じゅっきろ……ごじゅっしゅう……勘弁してくれ………<br />  <br /> 「キョンー!谷口なんかに負けたら死刑よ!!」<br /> 「『ジャッカル』君!負けは許されませんよ!」<br />  <br /> ハルヒと朝比奈さんが互いを応援している。ああ、どうせなら朝比奈さんに応援してほしかったぜ。<br /> 俺と谷口はしぶしぶスタートラインにたった。<br /> 新川さんが銃を上に向け、合図をする<br />  <br /> 「よーい……スタート!」<br />  <br /> 俺達は10kmのマラソンをスタートした……っておい谷口!最初から飛ばしすぎだろ!<br /> 谷口は一瞬こちらを振り向くと、ニヤリと笑った。<br />  <br /> 野郎………<br />  <br /> そういうことならこちらも乗ってやるさ!<br /> 俺も長距離走とは思えないハイペースで追いかける。というか、ほぼ全力疾走だ。<br /> 周りの観客もヒートアップする。<br />  <br /> 「『ジャッカル!』いいわよ!そのまま逃げきりなさい!」<br /> 「キョン~!!早く抜かすのよ~!!」<br />  <br /> 我ながらムキになりすぎていると思う。<br /> だが、コイツにだけは、絶対に負けられねえんだ!<br />  <br />  <br /> ~1時間後~<br />  <br /> はぁ……はぁ……ぜぇ……ぜぇ……<br /> 俺は重い身体を引きずって歩いている。え?歩くな?冗談じゃない。もう走れない。<br /> 最初に飛ばしすぎたのが原因だな、どう考えても。<br /> そして俺のすぐ横には谷口がいる。コイツもバテて一緒に歩いている。<br />  <br /> 「キョン、俺はもう歩くのも辛い。棄権する、お前の勝ちでいい。」<br /> 「何言ってるんだ谷口。ゴールまであと少しだ。最後まで一緒に行こうぜ。」<br /> 「キョン……!!」<br />  <br /> そうだ後少しだ。俺のカウントが間違ってなければあと1周……!<br /> あまりに辛い闘いだった。だが、それももうすぐ終わる!<br /> 長門は読書してるしハルヒは古泉とオセロに興じている。何持ってきてるんだ古泉よ。<br /> 朝比奈さんも朝倉となんか談笑してるし、真面目に見てくれてるのは周カウントしてる新川さんぐらいだ。<br /> でも構わない。これは自分自身との闘いなんだ!!<br /> そして俺は谷口と並んで同時にゴールした。<br />  <br /> 「ゴール!!」<br />  <br /> 新川さんが高らかに叫ぶ。終わった、終わったんだ……!!<br />  <br /> 「あ、終わったの?で、どっち勝った?」<br /> 「同時にゴールされたようですよ。」<br /> 「同時ぃ!?何やってるのよキョン!ラストスパートぐらいかけなさいよ!」<br />  <br /> ハルヒが怒鳴る。だが俺には関係ないのさ。<br /> 最後の最後で裏切ってスパートかけるなんて出来るわけなかったさ。<br /> だって俺らは……<br />  <br /> 「戦友、だもんな!」<br />  <br /> 谷口が言う。その通りだ。俺は勝利なんかよりよっぽど大事なものを手に入れたんだ……<br />  <br /> 「何いい話で終わらせようとしてるんですか!ただマラソンでバテただけじゃないですか!<br />  ……まあいいです、引き分けで。次!長門さんと朝倉さん!」<br />  <br /> 宇宙人対決か。さてどんな戦いになるのやら。チート合戦か?<br /> 長門がくじを引いた。そこに書いてあったのは……<br />  <br />  <br /> 『大食い対決。』<br />  <br /> ……勝ったな。長門が大食いで負けるはずがない。<br />   <br /> 「ちなみにメニューは、カレーとなります。」<br />  <br /> 負ける要素が無いとはまさにこのことだろう。大食い勝負でしかもカレー。<br /> どうすれば長門が負けるのか逆に教えてもらいたいね。<br />  <br /> 何時の間にか用意された長机と椅子に長門と朝倉が並んで座る。<br /> 長門にカレーを渡す役は古泉、朝倉にカレーを渡す役は新川さんが担当する。<br /> ……そういや大量のカレーなんてどうやって調達したんだ。これも機関クオリティか。<br />  <br /> 「長門さん、頑張ってくださいね。」<br /> 「大丈夫。負けるわけがない。」<br />  <br /> 古泉が長門を激励するが長門は強気だ。まあそりゃそうだろうな。<br />  <br /> 「よーい……すたーとぉ!」<br />  <br /> 朝比奈さんの可愛らしい掛け声で大食い対決がスタートした!<br /> おお、早速長門が猛スピードで食ってる。流石だ。<br /> ……って何!?朝倉も同じ速度で食べている!?<br />  <br /> 「ゆはんひははねなはとはん。わはしほはやふいにはひひんあるのほ。<br />  (油断したわね長門さん。私も早食いには自信あるのよ)」<br /> 「ほうひて?はなたはおおふいはらではなはったはふ<br />  (どうして?あなたは大食いキャラでは無かったはず。)」<br /> 「ふうとうへいきゃらへんひへたはらね。へもほんほうははへるのはいすひほ。<br />  (優等生キャラ演じてたからね。でも本当は食べるの大好きよ。)」<br /> 「ふはふ。へほまへない。(うかつ。でも負けない。)」<br />  <br /> 端から見てると何言ってるのかさっぱりわからん。<br /> 口に食べ物含みながらしゃべるのやめなさい!汚いから!<br /> AマイナーとAAランクプラスの美少女が、とても映像には表せないような食い方をしている。<br /> よかったなこれがSSで。アニメだったら放送禁止ものだぜ。<br />  <br /> 「すごい戦いね……いろんな意味で……」<br />  <br /> ほら見ろ。あのハルヒでさえ若干引き気味だ。<br /> 古泉と新川さんも大忙しだ……ってあれ?<br />  <br /> 「どうしたのよ。」<br /> 「次は?」<br />  <br /> カレーが止まってしまった。もしや……<br />  <br /> 「申し訳ありません、どうやらカレーのストックが切れたようです。」<br />  <br /> やっぱり!そりゃあんな化け物×2が居たらすぐに無くなるだろうさ。<br /> 仕方ないのでそこで勝負終わり、食った皿の数を数えてみたが、<br />  <br /> 「なんと……」<br /> 「まったく同じ、ですね。」<br />  <br /> 驚く古泉と新川さん。どうやらまったく同じペースで食い尽くしたらしい。流石、としか言えない。<br /> ……おお!長門と朝倉が握手をしている!大食い同士、友情が生まれたんだろう………イヤな友情だな。<br />  <br /> さて、結局また引き分けに終わり、副将戦へと移る。新川さん対古泉の機関対決だ。<br /> 古泉がくじを引く。中から出てきた紙に書いてあった対決内容、それは……<br />  <br />  <br /> 『我慢対決』<br />  <br /> ……もう競技場がどうとか関係無くなってきたな。<br /> 我慢対決って、何をするんだろう。<br />  <br /> 「我慢と言えばやはりこれでしょう!熱闘風呂!!」<br />  <br /> 朝比奈さんが指さした先には、現在進行形でグツグツに煮えてる熱闘風呂が。<br /> ……なんでここにこんなもんがあるんだよ。これもまた機関クオリティか。<br />  <br /> 「やっぱり我慢の定番はコレよね……」<br />  <br /> おいハルヒ、少しはおかしいなと気付け。相変わらずおめでたいな。<br /> 他のヤツらも……ってあれ?肝心の古泉と新川さんが居ないぞ。<br />  <br /> 「僕ならここですよ。」<br />  <br /> 古泉が歩いてきた。その姿はタオルを腰に巻いているだけ!新川さんも同じだ。<br /> 3月とは言えまだまだ寒いこの時期に、そんな格好で外に居たら寒いだろうに。<br /> もうこの時点で我慢が始まっているような気がする。<br />  <br /> 「ではよぉい……すたぁとぉ!!」<br />  <br /> 相変わらずの癒し系ボイスを合図に二人が熱闘風呂に入った。<br /> その瞬間、二人の顔が苦痛に歪む!キツそうだ……<br />  <br /> おや?その時俺は妙なことに気がついた。お湯から、小さな泡が出ている……これってまさか!<br />  <br /> 「おい長門!今あのお湯何度になってるか分かるか?」<br /> 「摂氏100℃。沸騰状態にあると思われる。」<br /> 「やっぱり!!」<br />  <br /> あの泡は、沸騰している泡だったんだ!もう風呂ってレベルじゃねーぞ!<br />  <br /> 「朝比奈さん!沸騰はやり過ぎでしょう!」<br /> 「いいえ!これぐらいやらないと……どっちが先にギブアップしますかね……?ふふふふ……」<br /> 「死にますって!ほら、二人も苦痛に顔を……って……あれ?」<br />  <br /> 俺は自分の目を疑った。二人は……笑ってる?<br />  <br /> 「いやあいいですねぇ。この痛みを伴うほどの熱さ。ふふふ……」<br /> 「まったくですな。このままずっと入っていたい気分ですぞ。ほっほっほ……」<br />  <br /> この笑みは……間違いない。快感を感じている笑みだ。もちろん性的な意味で。<br /> コイツラそろいも揃ってMだったのか……<br /> まあハルヒに振り回され閉鎖空間へ行かされる日々、マゾじゃないとやってられないよなあ……<br />  <br /> どうやら他の面々もそれに気付いたらしい。みんなドン引きしている。<br />  <br /> 「あ、朝比奈さん……」<br /> 「なんですか?」<br /> 「どうやら快感を覚えているようだから……自分から出ることは無いと思いますよ。<br />  それこそ気絶するまで……」<br /> 「そうですね……中止して引き分けにしちゃいましょう……」<br />  <br /> 朝比奈さんもげんなりした顔だ。まあそうなるわな……<br /> 中止を言い渡され風呂から出た二人は、残念そうな顔をしていた。<br />  <br /> 「ドクターストップは残念でしたね。あと3分続けてれば新たな境地に辿り着けそうでしたが。」<br />  <br /> ええい、近づくな!気持ち悪いからさっさと着替えて来い!!<br />  <br /> ここまで3引き分けとまったくの互角。というかまだ白黒すらついていない。<br /> 最後ぐらいは、ちゃんとした結果にならないと納得いかないだろう。<br /> しっと団もSOS団も、そしてパソコンの前にいる諸君らも。<br /> 最後は大将対決。ハルヒと朝比奈さんの対決だ。<br />  <br /> 「みくるちゃん!こんな組織作って私にはむかったことを、後悔させてあげるわ!」<br /> 「後悔するのはそっちです!年中頭の中がお花畑のバカップル達に負けるつもりはありません!」<br />  <br /> おお、朝比奈さんがハルヒと互角にやりあっている!<br /> そしてハルヒの手が抜き取った勝負内容は……<br />  <br />  <br /> 『100mハードル走』<br />  <br /> ……勝ったな。お世辞にも朝比奈さんは運動神経が良いとは言えない。<br /> ハルヒなら、陸上選手並みに軽やかにハードルを越えていくことだろう。<br />  <br /> 「…………」<br />  <br /> しかし、ハルヒの様子がおかしい。顔が青ざめている。どうしたんだ?<br />  <br /> 「あたし……ダメなのよ。」<br /> 「ダメ?何がだ。」<br /> 「ハードルだけはダメなのよ……あたし……」<br />  <br /> な、なんですとー!?運動神経抜群のハルヒが、なんでまた!<br />  <br /> 「小学校の頃ハードルで転んで骨折したことがあってね……<br />  それ以来ハードルだけは怖くて飛べないの……」<br />  <br /> 小学校の時のトラウマが原因か……そう言えば体育でハードルやってる時も休んでたな。<br />  <br /> 「棄権してもいいですよぉ?」<br />  <br /> 朝比奈さんが挑発してくる。まさか、狙ってたんじゃないだろうな……<br />  <br /> 「……冗談じゃないわ!SOS団に敗北は許されない!あたし、やるわ!」<br />  <br /> ハルヒは強がる。だが、まだ顔は青ざめている。無理するなよ、ハルヒ……どうせくだらん戦いなんだから。<br /> とそこで、俺のシャツが引っ張られた。……なんだ長門。<br />  <br /> 「作戦があります。」<br />  <br /> すぐ横に元の服に着替えた古泉が居た。顔を近づけるなっての!<br />  <br /> 「来て。」<br />  <br /> 長門が歩き出した。何をするのかまったくわからんが、この二人が言うならまともな作戦なのだろう。<br />  <br />  <br /> 朝比奈さんとハルヒはスタートラインに立った。<br /> そして新川さんは銃を構え……<br />  <br /> ドン!<br />  <br /> その銃声と共に朝比奈さんがぽてぽてと走り出した……あれは走っているのか?相当遅い。<br /> だがそれ以上に問題なのはハルヒだ。まだ1歩も動けていない。やはりトラウマなのだろう。<br />  <br /> さて、そんな俺はどこにいるかと言うと、ゴールラインの前にいる。<br /> そして何故か……古泉に羽交い締めにされてる。なんだこりゃ!<br />  <br /> 『涼宮さ~ん!!』<br />  <br /> 古泉がスピーカーを使いハルヒに呼びかける。<br />  <br /> 『彼の身柄は預かりました!さあ長門さん!やっちゃってください!』<br />  <br /> 長門が俺の前に立つ。そして手にはアレだ、ティッシュを細い糸状にしたものが握られてる<br /> ……おい、まさか……冗談だろ……?<br />  <br /> 「へっへっ……ふぇっ……!!」<br />  <br /> 冗談では無かった!長門の持ってるティッシュが、俺の鼻の穴に侵入する!<br /> 長門の神懸り的な手さばきで、的確にくしゃみが出そうで出ない状態を持続させる!これはキツすぎる!<br /> そんな中古泉が耳打ちしてきた。<br />  <br /> (さあ、涼宮さんに助けを求めてください。)<br />  <br /> そういうことか。作戦の趣旨は理解した。だがこれは無いだろう。<br /> 俺は古泉からスピーカーを奪い取り、全力で叫んだ。<br />  <br /> 『ハルヒ~!!助けてくれ~!!!』<br />  <br /> その時であった!ハルヒが走り出し、ハードルを次々と乗り越えていく!!<br /> すげえ……それはまるで陸上選手を見ているかのような、軽やかさであった!<br />  <br /> 「キョン!大丈夫!?」<br />  <br /> 結局30秒もかからずにここまで来てしまった。惚れ惚れするぜ、ハルヒ。<br />  <br /> 「大丈夫さ、お前が来てくれたからな。」<br /> 「まったく情けないわね!あたしがいないとほんとダメなんだから!」<br />  <br /> まあ否定はしないさ。この勝負はハルヒの勝ち。1勝3引き分けで、俺達SOS団の勝利だ!<br /> ようやくこれまでの因縁にも終止符が……<br />  <br /> 「待って!まだよ!」<br />  <br /> まだ?ハルヒの視線の先には、まだコースの半分しか行ってない朝比奈さんが居た。<br /> ハードルは……見事に全て倒しながら進んでいる。<br />  <br /> 「ふぇぇ……」<br />  <br /> 今にも泣きそうな顔をしている。そりゃそうだ、もう負けが決定してるわけだからな。<br /> もうやめさせてあげてもいいんじゃないか?<br />  <br /> 「ダメよ!……古泉くん、それ貸して。」<br />  <br /> ハルヒは古泉の手からスピーカーを奪い取った。<br />  <br /> 『みくるちゃん!最後までやりとげなさい!あんたが売った喧嘩なんだから、最後まで責任持つのよ!<br />  あたしも応援するから!頑張って、みくるちゃん!』<br />  <br /> そうだ。俺達も応援しなければ、朝比奈さんの走りを!<br />  <br /> 「朝比奈さ~ん!!頑張れ~!!」<br /> 「あともう少しですよ、朝比奈さん!!」<br /> 「……頑張って。」<br />  <br /> 長門と古泉も俺と一緒に応援する。みんな心は1つなんだ。そう、コイツらだって……<br />  <br /> 「『トゥモロー』!頑張ってください!!」<br /> 「ハードルなんかに負けちゃダメよ、『トゥモロー』!!」<br /> 「自分との闘いですぞ!『トゥモロー』!!」<br />  <br /> しっと団のヤツらも朝比奈さんを応援する。<br /> この時、競技場は1つになっていた。しっと団もSOS団も関係無い。<br /> みな、朝比奈さんの走りを応援しているのだ!<br />  <br /> 「はぁ、はぁ……」<br />  <br /> そして朝比奈さんが最後のハードルを超える!へたへたと走り……ついにゴールをした。<br />  <br /> 「やった!!」<br />  <br /> 俺は思わず隣に居たハルヒとハイタッチをしてしまった。<br /> そうさ、これが答えなんだ。勝ち負けなんて関係ない。<br /> 大事なのは、みんながひとつになるってことなのさ……!<br />  <br /> 終わり<br />  <br />  <br />  <br />  <br /> 「終わるなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」<br />  <br /> 朝比奈さんが叫んだ。<br /> ……やっぱダメですか?俺的にはあれで終わりで構わないんですけど……<br />  <br /> 「構います!それに……応援してくれたのは嬉しいですけどこれ本人にとってはみじめなんです!<br />  マラソンでビリの人に贈られる拍手の残酷さを知らないのですか!?」<br />  <br /> ああ、確かにアレは本人にとっちゃトラウマものだよな……<br />  <br /> 「まあとにかく、これであたし達の完全勝利よ!!残念だったわね、しっと団!」<br />  <br /> ハルヒが高らかに言った。3引き分けだから完全ってほどでも無いと思うが……<br /> だがそれでも勝ったのは事実だ。朝比奈さんを始めしっと団の面々は悔しそうな顔をしている。<br />  <br /> 「くぅ~……悔しいです!特に最後、『愛の力で勝った』的な展開になったのが特に……!!」<br />  <br /> まあ、確かにアレはハルヒの愛の力だと思う。感謝してるぜ、ハルヒ<br />  <br /> 「ちょ、今そんなこと言わなくてもいいでしょ……」<br />  <br /> ハルヒは顔を赤らめた。そういうところが可愛いんだぜ。<br />  <br /> 「バカ……」<br /> 「「「「いちゃつき禁止!!」」」」<br />  <br /> しっと団の4人の声がハモった。<br /> ちっ、せっかくいいムードになりかけてたのに……<br /> とここでハルヒが、とんでもないことを言い出した。<br />  <br /> 「ていうかさ、一人身がイヤなんでしょ?だったらあたしにいい考えがあるわ。」<br />  <br /> いい考え?あまり期待できないが、言ってみろ。<br />  <br /> 「あんた達でカップルになればいいじゃない。<br />  ちょうど女二人男二人だし、いいんじゃない?」<br />  <br /> そうか、その発想は無かった。<br />  <br /> 「「「「えええーーー!!?」」」」<br />  <br /> またもやハモる4人の声!<br /> ハルヒの予想外の提案をしっと団はどう受けとめるのか!<br /> そしてしっと団はどのような結末を迎えるのか!<br /> 俺個人としてはあまり興味は無いが……次回、最終回!</p>

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