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仲直り」(2007/12/01 (土) 22:21:47) の最新版変更点

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<p><br> 「佐々木さん、ちょっと相談に乗ってほしいのです……」</p> <p> </p> <p>橘さんから相談を受けた。また神だとかそういう話かい?</p> <p> </p> <p>「違うんです!この前会った涼宮さんの傍に居た彼のことなんですが、彼の好きなものってわかります?」<br> 「え?キョンの好きなもの?」<br> 「はい、私彼に嫌われてるらしくって……なんとか彼との関係を修復したいんです。」<br> 「う~んそうだね……彼はあまり物欲が無いからなあ……<br>  ああ、そう言えば彼は芥川龍之介のファンだと言っていたな、彼も。」<br> 「それです!ありがとうございます!」</p> <p> </p> <p>彼女は喜びの表情を浮かべて走り去った。<br> いろいろ変なことを言うけれど、こうして見ると普通の女の子だなあ……</p> <p> </p> <p>~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~</p> <p> </p> <p>今日は土曜日。不思議探索の日だ。<br> 最近はこの活動も悪くは無いと思い始めてる自分がいる。なんだかんだで楽しいしな。</p> <p>だが、この組み合わせの場合話は別だ。</p> <p> </p> <p>「おや、そんなに嫌ですか?」<br> 「当たり前だ。なんでよりにもよってお前と二人きりなんだ。」<br> 「僕としては嬉しいですけどね。1番気がね無く話せるのはあなたですし。」<br> 「気持ち悪いことを言うな。顔が近い。」</p> <p> </p> <p>古泉との気乗りしないトークを繰り広げていると、前方に一人の少女が現れた。<br> あのツインテールは……!</p> <p> </p> <p>「おや、橘さんでは無いですか。」<br> 「お久しぶりです、古泉さん。それに……キョンさん。」<br> 「お前にあだ名で呼ばれる筋合いは無い。」</p> <p> </p> <p>俺は冷たく言い放った。当然だ。コイツは朝比奈さんを誘拐した憎き女だ。<br> まあ外見は悪くは無いとは思うが……目下俺の嫌いなヤツランキングではダントツの1位だ。<br> 今度はどんな悪巧みをするつもりなんだ?忌々しい。</p> <p> </p> <p>「い、いえ、今日はただあなたに渡したいものがあって……ど、どうぞ。」</p> <p> </p> <p>おずおずと差し出されたものは、芥川龍之介の本だ。俺が1番好きな著者だな。</p> <p> </p> <p>「これを俺に?」<br> 「はい。あなたに……」<br> 「なんで俺の1番好きな著者を、お前が知っているんだ。」<br> 「それは佐々……」<br> 「お前の組織で、俺のことを調べ上げたんだろう。ご苦労なこったな。」<br> 「ち、違……」<br> 「そんでこれを渡して、俺に媚びを売ってお前らの軍団に引き抜こうって作戦か。<br>  悪いが俺はそんな物で釣られる人間じゃないんでね。……こんなものでな!」</p> <p> </p> <p>俺は橘から貰った本を地面に投げ捨てた。<br> 忌々しい。やることがいちいち薄汚いんだよ、お前は。</p> <p> </p> <p>「あ……あ……」</p> <p> </p> <p>地面に落ちた本を呆然と見る橘。<br> 橘の目に涙がたまっていく。そしてそれは決壊して……</p> <p> </p> <p>「うわぁぁぁぁん!!」</p> <p> </p> <p>泣きながら走り去ってしまった。そんなに作戦が失敗したのが悔しいのかねえ。<br> まったくやれやれだ。なあ古泉?と俺はとなりのニヤケ面に……あれ?ニヤケていない……</p> <p> </p> <p>「今のは、あんまりだったんじゃないでしょうか?」</p> <p> </p> <p>その声はいくぶんか怒りの要素が入っているように聞こえる。</p> <p> </p> <p>「なんだよ、お前だってあいつとは敵対関係だろ。どうせ今の行動だって下心が……」<br> 「……見てください。さっきの本に、何か紙が挟まっていますよ。」</p> <p> </p> <p>古泉が指差したのは地面に落ちた本。そこから確かに、紙が挟まれている。<br> 俺は本を手に取りその紙を抜き取った。これは……手紙?</p> <p> </p> <p>『あの事件はごめんなさい。あなたの仲間を傷つけたこと、深くお詫びいたします。<br>  私があなたに嫌われているのは知っています。許してもらえないかもしれない。<br>  でも、私はあなたと良好な関係になりたいと願っていることだけは知っていてほしいのです。<br>  これは組織も佐々木さんも涼宮さんも関係ない、私個人の願いです<br>                                  橘京子 』</p> <p><br> これは……</p> <p> </p> <p>「彼女は純粋に、あなたと仲良くなりたかったと思いますよ?……追いかけた方がよろしいのでは?」<br> 「言われなくてもそうするさ!」</p> <p> </p> <p>俺はかすかに見える橘の後ろ姿に向かって、全力で走り出した。……もちろん、本と手紙も持ってな。</p> <p> </p> <p>~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~</p> <p> </p> <p>私は公園のブランコに一人座っていました。<br> 派手に泣いたので目が真っ赤です。恥ずかしいなあ……<br> 彼の私に対する憎しみは予想以上だったようです。<br> そしてきっと今回の件で溝は更に深まった。もう会ってもくれないかも……</p> <p> </p> <p>「おい。」</p> <p> </p> <p>……!!<br> 後ろを振り向くと、彼がそこに居ました。……まだ恨み言が言い足りなかったのでしょうか……</p> <p>ところが彼は私と目が会うと思いっきり頭を下げました。</p> <p> </p> <p>「すまん!!!」</p> <p> </p> <p>え……?</p> <p> </p> <p>「手紙、読んだよ。お前は純粋な気持ちでこの本をくれたんだな……<br>  それなのに俺……最低だったな。<br>  お前の気持ちは分かったし、本も有難く貰う。<br>  そんで……お前も、キョンって呼んで構わないから。」</p> <p> </p> <p>彼は少し照れながら話しました。……気持ちが伝わったみたいで、嬉しいです。<br> また私の目に涙が浮かんできました。でもこれは、嬉し涙……</p> <p> </p> <p>「で、でも、悪いがお前の気持ちに答えることは……」</p> <p> </p> <p>え?</p> <p> </p> <p>「俺には一応ハルヒっていう彼女がいるわけで……<br>  いやもうお前のことを嫌ってるというワケではないんだが、それとこれとは話が別で……」</p> <p> </p> <p>もしかして……彼は……<br> 彼の勘違いに気付いた時、私はプッと吹き出してしまいました</p> <p> </p> <p>「な、なんだよ。」<br> 「すいません、でも私はあなたと仲直りしたいと思っただけで、<br>  別に付き合ってほしいとかそういうわけではないんですよ。」<br> 「へ?」<br> 「涼宮さんからあなたを取るなんて、そんな恐れ多いこと出来るわけないじゃないですか。」<br> 「は、はは、俺は恥ずかしいな……はははは!」<br> 「……あははは!!」</p> <p> </p> <p>私は彼と二人で大笑いしました。<br> あーおかしい……さっきまでの憂鬱な気分がウソのようです。</p> <p> </p> <p>二人とも落ちついてきたところで、私は彼に尋ねました。</p> <p> </p> <p>「ところで、ずっとここに居ちゃマズイんじゃないですか?涼宮さんが……」<br> 「え?あ、正午過ぎてる!急がなきゃやべえ!!」</p> <p> </p> <p>彼は慌てて立ちあがり、走りだそうとしました<br> ……が、止まって私に向き合いました。</p> <p> </p> <p>「あーなんだ、これからもいろいろあるとは思うが…これからもよろしくな、橘。」</p> <p> </p> <p>彼が改めて挨拶をしてくれました。<br> 私はそれに、まだ泣き跡が残ってる顔で、笑顔を作って答えます</p> <p> </p> <p>「……はい!こちらこそ!」</p> <p> </p> <p>終わり</p> <p> </p>
<p><br> 「佐々木さん、ちょっと相談に乗ってほしいのです……」</p> <p> </p> <p>橘さんから相談を受けた。また神だとかそういう話かい?</p> <p> </p> <p>「違うんです!この前会った涼宮さんの傍に居た彼のことなんですが、彼の好きなものってわかります?」<br> 「え?キョンの好きなもの?」<br> 「はい、私彼に嫌われてるらしくって……なんとか彼との関係を修復したいんです。」<br> 「う~んそうだね……彼はあまり物欲が無いからなあ……<br>  ああ、そう言えば彼は芥川龍之介のファンだと言っていたな、彼も。」<br> 「それです!ありがとうございます!」</p> <p> </p> <p>彼女は喜びの表情を浮かべて走り去った。<br> いろいろ変なことを言うけれど、こうして見ると普通の女の子だなあ……</p> <p> </p> <p>~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~</p> <p> </p> <p>今日は土曜日。不思議探索の日だ。<br> 最近はこの活動も悪くは無いと思い始めてる自分がいる。なんだかんだで楽しいしな。</p> <p>だが、この組み合わせの場合話は別だ。</p> <p> </p> <p>「おや、そんなに嫌ですか?」<br> 「当たり前だ。なんでよりにもよってお前と二人きりなんだ。」<br> 「僕としては嬉しいですけどね。1番気がね無く話せるのはあなたですし。」<br> 「気持ち悪いことを言うな。顔が近い。」</p> <p> </p> <p>古泉との気乗りしないトークを繰り広げていると、前方に一人の少女が現れた。<br> あのツインテールは……!</p> <p> </p> <p>「おや、橘さんでは無いですか。」<br> 「お久しぶりです、古泉さん。それに……キョンさん。」<br> 「お前にあだ名で呼ばれる筋合いは無い。」</p> <p> </p> <p>俺は冷たく言い放った。当然だ。コイツは朝比奈さんを誘拐した憎き女だ。<br> まあ外見は悪くは無いとは思うが……目下俺の嫌いなヤツランキングではダントツの1位だ。<br> 今度はどんな悪巧みをするつもりなんだ?忌々しい。</p> <p> </p> <p>「い、いえ、今日はただあなたに渡したいものがあって……ど、どうぞ。」</p> <p> </p> <p>おずおずと差し出されたものは、芥川龍之介の本だ。俺が1番好きな著者だな。</p> <p> </p> <p>「これを俺に?」<br> 「はい。あなたに……」<br> 「なんで俺の1番好きな著者を、お前が知っているんだ。」<br> 「それは佐々……」<br> 「お前の組織で、俺のことを調べ上げたんだろう。ご苦労なこったな。」<br> 「ち、違……」<br> 「そんでこれを渡して、俺に媚びを売ってお前らの軍団に引き抜こうって作戦か。<br>  悪いが俺はそんな物で釣られる人間じゃないんでね。……こんなものでな!」</p> <p> </p> <p>俺は橘から貰った本を地面に投げ捨てた。<br> 忌々しい。やることがいちいち薄汚いんだよ、お前は。</p> <p> </p> <p>「あ……あ……」</p> <p> </p> <p>地面に落ちた本を呆然と見る橘。<br> 橘の目に涙がたまっていく。そしてそれは決壊して……</p> <p> </p> <p>「うわぁぁぁぁん!!」</p> <p> </p> <p>泣きながら走り去ってしまった。そんなに作戦が失敗したのが悔しいのかねえ。<br> まったくやれやれだ。なあ古泉?と俺はとなりのニヤケ面に……</p> <p>あれ?ニヤケていない……</p> <p> </p> <p>「今のは、あんまりだったんじゃないでしょうか?」</p> <p> </p> <p>その声はいくぶんか怒りの要素が入っているように聞こえる。</p> <p> </p> <p>「なんだよ、お前だってあいつとは敵対関係だろ。どうせ今の行動だって下心が……」<br> 「……見てください。さっきの本に、何か紙が挟まっていますよ。」</p> <p> </p> <p>古泉が指差したのは地面に落ちた本。そこから確かに、紙が挟まれている。<br> 俺は本を手に取りその紙を抜き取った。これは……手紙?</p> <p> </p> <p>『あの事件はごめんなさい。あなたの仲間を傷つけたこと、深くお詫びいたします。<br>  私があなたに嫌われているのは知っています。許してもらえないかもしれない。<br>  でも、私はあなたと良好な関係になりたいと願っていることだけは</p> <p> 知っていてほしいのです。</p> <p> これは組織も佐々木さんも涼宮さんも関係ない、私個人の願いです<br>                                  橘京子 』</p> <p><br> これは……</p> <p> </p> <p>「彼女は純粋に、あなたと仲良くなりたかったと思いますよ?……追いかけた方がよろしいのでは?」<br> 「言われなくてもそうするさ!」</p> <p> </p> <p>俺はかすかに見える橘の後ろ姿に向かって、全力で走り出した。……もちろん、本と手紙も持ってな。</p> <p> </p> <p>~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~</p> <p> </p> <p>私は公園のブランコに一人座っていました。<br> 派手に泣いたので目が真っ赤です。恥ずかしいなあ……<br> 彼の私に対する憎しみは予想以上だったようです。<br> そしてきっと今回の件で溝は更に深まった。もう会ってもくれないかも……</p> <p> </p> <p>「おい。」</p> <p> </p> <p>……!!<br> 後ろを振り向くと、彼がそこに居ました。……まだ恨み言が言い足りなかったのでしょうか……</p> <p>ところが彼は私と目が会うと思いっきり頭を下げました。</p> <p> </p> <p>「すまん!!!」</p> <p> </p> <p>え……?</p> <p> </p> <p>「手紙、読んだよ。お前は純粋な気持ちでこの本をくれたんだな……<br>  それなのに俺……最低だったな。<br>  お前の気持ちは分かったし、本も有難く貰う。<br>  そんで……お前も、キョンって呼んで構わないから。」</p> <p> </p> <p>彼は少し照れながら話しました。……気持ちが伝わったみたいで、嬉しいです。<br> また私の目に涙が浮かんできました。でもこれは、嬉し涙……</p> <p> </p> <p>「で、でも、悪いがお前の気持ちに答えることは……」</p> <p> </p> <p>え?</p> <p> </p> <p>「俺には一応ハルヒっていう彼女がいるわけで……<br>  いやもうお前のことを嫌ってるというワケではないんだが、それとこれとは話が別で……」</p> <p> </p> <p>もしかして……彼は……<br> 彼の勘違いに気付いた時、私はプッと吹き出してしまいました</p> <p> </p> <p>「な、なんだよ。」<br> 「すいません、でも私はあなたと仲直りしたいと思っただけで、<br>  別に付き合ってほしいとかそういうわけではないんですよ。」<br> 「へ?」<br> 「涼宮さんからあなたを取るなんて、そんな恐れ多いこと出来るわけないじゃないですか。」<br> 「は、はは、俺は恥ずかしいな……はははは!」<br> 「……あははは!!」</p> <p> </p> <p>私は彼と二人で大笑いしました。<br> あーおかしい……さっきまでの憂鬱な気分がウソのようです。</p> <p> </p> <p>二人とも落ちついてきたところで、私は彼に尋ねました。</p> <p> </p> <p>「ところで、ずっとここに居ちゃマズイんじゃないですか?涼宮さんが……」<br> 「え?あ、正午過ぎてる!急がなきゃやべえ!!」</p> <p> </p> <p>彼は慌てて立ちあがり、走りだそうとしました<br> ……が、止まって私に向き合いました。</p> <p> </p> <p>「あーなんだ、これからもいろいろあるとは思うが…これからもよろしくな、橘。」</p> <p> </p> <p>彼が改めて挨拶をしてくれました。<br> 私はそれに、まだ泣き跡が残ってる顔で、笑顔を作って答えます</p> <p> </p> <p>「……はい!こちらこそ!」</p> <p> </p> <p>終わり</p> <p> </p>

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