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「台風の溜息」(2007/09/07 (金) 23:04:36) の最新版変更点
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<p>OK、まず今目の前にある状況を整理しよう。なぜハルヒが俺の部屋にいる?<br>
しかもいくら呼びかけても返事がない。俺の言葉など全く聞こえていないようだし、我が家の雨戸がきしみ外から聞こえる風の音が強くなるたびに体を震わせている。<br>
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昨日の天気予報で台風が直撃すると聞いた。どういったわけか親も妹もこの周辺に旅行を組んでいて、台風の進路からは離れたところにいやがる。俺は家に一人だ。食糧とかはあらかじめ用意しておいたから、なんとか籠城はできるな。<br>
「しょうがないわね!明日の不思議探検は中止!」<br>
とかわが団長さまは叫んでおられたな。俺自身は財布にフリーザ様が突入する回数が減っただけありがたいわけで、しかしながらいざ台風が来てみれば外に出られるわけでもなく、暗い空と降りしきる雨を無心に見つめていたら向こうの方で白い石のようなものが風に吹き飛ばされている様子を見て、雨戸を嫌々ながら閉めて屋根に来る音を聞きながら<br>
ベッドの上に寝そべっていた。これはこれで、非自然的日常を何故か普段から目の前にしている俺にとってはごくごく普通なる自然の営みを感じて、ゆったりと心を休ませることができるから心地よいものである。というか俺も適応能力高くなったな。<br>
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で、俺が僭越ながら瞑想もどきをやっていたあと、ふと目を開けてみたらこれだ。<br>
部屋の真ん中にハルヒがどかっと座っている。あの不満顔で。いや、どことなくおびえている?あの天下無敵の団長様が?<br>
お~い、俺の部屋にいつの間にいるんだ?<br>
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ダメか。<br>
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しょうがない。誰かに連絡をとるか…って、電話までやられてる?ここは牢獄かよ。<br>
しかも魔王様がおられる大部屋か。俺の精神が錯乱するのも時間の問題だ。部屋を出よう。おわっと…すまん…ってあれ?<br>
俺はハルヒのほうによろけたが目の前には床しかない。これは奴の幻影か?<br>
まあいい。台所で水でも飲んで落ち着けば消えるだろう。<br>
そう考えた俺が甘かった。奴は瞬間移動してきやがった!しかもちゃんと食卓に鎮座してやがる。<br>
でたらめだな全く。代われるやつがいるなら代わってくれ。頼む。<br>
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ふと、俺の頭を一閃したものがある。<br>
今見えているのはハルヒの現在進行形の姿なのか?そうだとするならもっと俺の精神がもたねぇよ。生ゴロ…いや、もっとたちが悪い。<br>
…台風で荒れ狂っているが外に逃げ出そうか。そして、俺はハルヒのわがままに付き合わなきゃならんのだろうな。やれやれだ。<br>
とりあえず外に出ては見たものの、下手したら先ほどの白い石と同じ運命をたどりそうだ。目的地をとっとと決めて直行しないと死ねる。<br>
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気づくと俺は悪魔の家に来ていた。<br>
「せっかくあたしが団長自ら団員のことを思って探索を中止したのに、あんたは何でずぶぬれになって出歩いてるのよ!」<br>
知るか。お前のせいだろう。<br>
俺だって来たくて来たわけじゃねぇ。<br>
「それにしたって相変わらず間抜けなことしかしてないじゃないのよ、もっと頭を使いなさい!団長命令よ!」<br>
だからお前のせいだってんだよ。全く人の状況も知らないで相変わらず無茶言いやがる。長門の家は遠いし、古泉のところに話を持ち込むのはなぜだか癪に障る。<br>
「あんな怖い天気の中歩いて死んじゃったらどうするのよ…」<br>
ん?なんだって?<br>
「な、ななななんでもないわよ!それよりキョン、団長の家に来たんだから何か私を満足させなさい!」<br>
全く、人の気を攪乱させといていざ行ってみたらこのザマか。これで何度目になるかわからんが言わせてもらおう。<br>
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やれやれだ。<br>
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その笑顔の中に時々混じる不安な顔を俺は見逃さなかったがな。<br>
はて、何で俺はこんなに不安になっているハルヒのことを構うのかね。<br>
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