「SOS団プレゼンツ 第一回 涼宮ハルヒ争奪戦 ―試練その3―」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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<p>俺は濡れたモーニングを鶴屋さんに返却し、着替えることにした。鶴屋さんから渡されたディレクータズスーツに。しかし、やっぱり礼服なんですね。<br>
「開会式は正装がいいけど、争奪戦中は準礼装でもかまわないっさ!」<br>
いや、そうゆう意味では無いんですが…どうせなら紋付袴の方が楽そうでいいです。<br>
「おや?キョン君は和装派だったのかい?何なら今から準備するかい?そうするとハルにゃんも和装にしなきゃね。<br>
文金高島田も十二単もあるし、ハルにゃんなら何着ても似合うっさ!」<br>
…いや、このままでいいです。しかし、何故ハルヒと俺の衣装を合わせる必要があるのだろうか?<br>
…もしかして本当に結婚式でも挙げさせたいのだろうか?この名誉顧問様は?<br>
<br>
俺の着替えが終わると、ステージ近くでは何やらいい香りがしてきた。これはカレーの匂いである。<br>
昼飯の準備をしているようだ。参加者全員に振る舞うのだろうか。流石鶴屋家、羽振りがいい。<br>
<br>
「みんなー、鬼ごっこお疲れサマサマー!もうすぐお昼ご飯だね!ここまで残ったみんなにはななななんと、お昼ご飯をご馳走するっさ!」<br>
参加者から歓声がわき上がる。鶴屋家の昼飯を1000円で相伴できるとは、二度と無いことだろうしな。<br>
「でも、ただ食べるだけじゃないよ!『試練その3 料理当てクイズ』をやるっさ!<br>
今からハルにゃん、有希っこ、みくるがそれぞれ作ったカレーとサラダが配られるよ!<br>
その中から、ハルにゃんが作ったのを当てるんだ!愛情があればハルにゃんが作ったのがどれかなんて、すぐ分かるっさ!」<br>
<br>
…これはかなり厳しい。三人がどんな料理を作るか知らない奴がほとんどだし、それに俺ですら分かる気がしない。<br>
バレンタインの時のチョコケーキみたいに、アイデンティティが分かる文字やらキッチンペーパーの切れ端なんて入れてないだろうしな。<br>
<br>
俺は自分の席に座り、一息ついていた。<br>
遠くを眺めてみると、3つの寸胴が用意され、それぞれ鶴屋家侍従が参加者達にカレーを振る舞っているよだ。<br>
予想通り、みんな苦悩と苦悶の顔をして考えていた。遠目なので分からないが、見た目に違いは無さそうである。 <br>
<br>
「あんたも当ててみなさい」<br>
ハルヒはそう言いながら、俺の分のカレーを持って来てくれた。<br>
皿には番号が振ってあり、左から順番に、『1.ポークカレー』、『2.ビーフカレー』、『3.チキンカレー』となっていた。<br>
「当てたらさっきの不祥事はチャラにしてあげるわ。精々頑張りなさい」<br>
そう言ってハルヒは鶴屋家の厨房に戻っていった。<br>
<br>
やれやれ。これは何とかして当てないとな。<br>
3つのカレーを眺める。入っている具が違う物の、それ以外に差異は見られなかった。<br>
俺はそれぞれ一口ずつ口に運んでみた。どれも美味である。しかし、これだけでは全く分からん。<br>
辛さは辛い順にビーフ、チキン、ポークとなっており、具の大きさは大きい順にチキン、ビーフ、ポークとなっていた。<br>
それぞれ使用しているスパイスが微妙に違うみたいだが、三人の特徴が表れているとは言い難く、判別に困難を極めた。…こりゃ、ギブアップかな?<br>
<br>
―ふと、俺は夏の暑さには心地よい、しかし冷たい目線が、俺の体を冷却していくのを感じていた。<br>
「……………」<br>
…長門!?いつの間に??<br>
「……食べて」<br>
これは…サラダか?そう言えばサラダ付きだったんだよな。<br>
「……この試練は私が考えた。涼宮ハルヒは自分の料理だと理解できる人、自分の料理を美味しいと言ってくれる人が彼になって欲しいと願っている。<br>
だから私がこの試練を提案した」<br>
なるほどな。<br>
「同時に私は、あなたにこの問題を正答してくれることを希望している。必ず当てて欲しい」<br>
とはいっても、難しいぜ。古泉みたいに性格や深層心理から当てることなんてできないぜ?<br>
「…大丈夫。あなたならできる。ヒントは、このサラダ」<br>
サラダがヒント?<br>
「…そう。よく味わって欲しい」<br>
<br>
そう言って、長門も厨房に戻って行った。サラダがヒントだと?どれも同じサラダじゃないか?<br>
三つのサラダはどれもトマト、キャベツ、キュウリ等の野菜にローストビーフが乗っかり、パルミジャーノがかかって……<br>
<br>
あれ?…これはどこかで……? <br>
<br>
俺は順番に食べてみた。1のサラダには和風ドレッシング、2のサラダには中華風ドレッシング、<br>
そして3のサラダにはハーブが薫る、バルサミコ酢とオリーブオイルのドレッシングがかかっていた。<br>
…なるほど、そうゆうことか。ありがとうよ。長門。<br>
<br>
食事終了後、いよいよ正解発表となった。<br>
「さあさあ、みんなわかったっかなー!今から正解を超!発表するよー!答えは、ジャカジャカジャカジャカジャカジャカ…
3番!チキンカレーっさ!!」<br>
参加者から歓喜や怒号、様々な声が飛んでいた。<br>
<br>
正解発表後、ハルヒは俺の元まで来て、ニヤケ顔で問いかけてきた。<br>
「あんた、正解だったわよね?まさか間違えたなんて言わせないわよ!?」<br>
ああ、バッチリ正解だ。あの勉強会の時、長門が作ってくれたサラダと一緒だ。<br>
「なによそれ。それなら有希のサラダ当てたってことでしょ。あんた有希とあたしを間違えて、まぐれで当てたのね?それじゃ正解とは言わせないわよ!」<br>
…長門もお前も言ったじゃないか。このドレッシングを考えたのはお前だって。<br>
だから長門は敢えてここでは使わなかったのさ。お前のオリジナル料理がわかってもらえるか、っていう試練だったんだろ?<br>
<br>
「…なによ、あんたそうやっていっつも有希のことばっかり考えているの?いやらしい。変態。<br>
…でも正解は正解ね。約束通りチャラにしてあげるわ。午後からもしっかりやんなさい!」<br>
そう宣言してハルヒは去ろうとした。<br>
<br>
「…ハルヒ」<br>
「何よ」<br>
「美味かったぞ。ありがとな」 <br>
<br>
「………………」<br>
<br>
…ハルヒはこちらを振り返りもせず、自分の席へと戻って行った。さっきと同じように…<br>
<br>
※<a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2827.html">試練その4</a>に続く</p>
<p>俺は濡れたモーニングを鶴屋さんに返却し、着替えることにした。鶴屋さんから渡されたディレクータズスーツに。しかし、やっぱり礼服なんですね。<br />
「開会式は正装がいいけど、争奪戦中は準礼装でもかまわないっさ!」<br />
いや、そうゆう意味では無いんですが…どうせなら紋付袴の方が楽そうでいいです。<br />
「おや?キョン君は和装派だったのかい?何なら今から準備するかい?そうするとハルにゃんも和装にしなきゃね。<br />
文金高島田も十二単もあるし、ハルにゃんなら何着ても似合うっさ!」<br />
…いや、このままでいいです。しかし、何故ハルヒと俺の衣装を合わせる必要があるのだろうか?<br />
…もしかして本当に結婚式でも挙げさせたいのだろうか?この名誉顧問様は?<br />
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俺の着替えが終わると、ステージ近くでは何やらいい香りがしてきた。これはカレーの匂いである。<br />
昼飯の準備をしているようだ。参加者全員に振る舞うのだろうか。流石鶴屋家、羽振りがいい。<br />
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「みんなー、鬼ごっこお疲れサマサマー!もうすぐお昼ご飯だね!ここまで残ったみんなにはななななんと、お昼ご飯をご馳走するっさ!」<br />
参加者から歓声がわき上がる。鶴屋家の昼飯を1000円で相伴できるとは、二度と無いことだろうしな。<br />
「でも、ただ食べるだけじゃないよ!『試練その3 料理当てクイズ』をやるっさ!<br />
今からハルにゃん、有希っこ、みくるがそれぞれ作ったカレーとサラダが配られるよ!<br />
その中から、ハルにゃんが作ったのを当てるんだ!愛情があればハルにゃんが作ったのがどれかなんて、すぐ分かるっさ!」<br />
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…これはかなり厳しい。三人がどんな料理を作るか知らない奴がほとんどだし、それに俺ですら分かる気がしない。<br />
バレンタインの時のチョコケーキみたいに、アイデンティティが分かる文字やらキッチンペーパーの切れ端なんて入れてないだろうしな。<br />
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俺は自分の席に座り、一息ついていた。<br />
遠くを眺めてみると、3つの寸胴が用意され、それぞれ鶴屋家侍従が参加者達にカレーを振る舞っているよだ。<br />
予想通り、みんな苦悩と苦悶の顔をして考えていた。遠目なので分からないが、見た目に違いは無さそうである。 <br />
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「あんたも当ててみなさい」<br />
ハルヒはそう言いながら、俺の分のカレーを持って来てくれた。<br />
皿には番号が振ってあり、左から順番に、『1.ポークカレー』、『2.ビーフカレー』、『3.チキンカレー』となっていた。<br />
「当てたらさっきの不祥事はチャラにしてあげるわ。精々頑張りなさい」<br />
そう言ってハルヒは鶴屋家の厨房に戻っていった。<br />
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やれやれ。これは何とかして当てないとな。<br />
3つのカレーを眺める。入っている具が違う物の、それ以外に差異は見られなかった。<br />
俺はそれぞれ一口ずつ口に運んでみた。どれも美味である。しかし、これだけでは全く分からん。<br />
辛さは辛い順にビーフ、チキン、ポークとなっており、具の大きさは大きい順にチキン、ビーフ、ポークとなっていた。<br />
それぞれ使用しているスパイスが微妙に違うみたいだが、三人の特徴が表れているとは言い難く、判別に困難を極めた。…こりゃ、ギブアップかな?<br />
<br />
―ふと、俺は夏の暑さには心地よい、しかし冷たい目線が、俺の体を冷却していくのを感じていた。<br />
「……………」<br />
…長門!?いつの間に??<br />
「……食べて」<br />
これは…サラダか?そう言えばサラダ付きだったんだよな。<br />
「……この試練は私が考えた。涼宮ハルヒは自分の料理だと理解できる人、自分の料理を美味しいと言ってくれる人が彼になって欲しいと願っている。<br />
だから私がこの試練を提案した」<br />
なるほどな。<br />
「同時に私は、あなたにこの問題を正答してくれることを希望している。必ず当てて欲しい」<br />
とはいっても、難しいぜ。古泉みたいに性格や深層心理から当てることなんてできないぜ?<br />
「…大丈夫。あなたならできる。ヒントは、このサラダ」<br />
サラダがヒント?<br />
「…そう。よく味わって欲しい」<br />
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そう言って、長門も厨房に戻って行った。サラダがヒントだと?どれも同じサラダじゃないか?<br />
三つのサラダはどれもトマト、キャベツ、キュウリ等の野菜にローストビーフが乗っかり、パルミジャーノがかかって……<br />
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あれ?…これはどこかで……? <br />
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俺は順番に食べてみた。1のサラダには和風ドレッシング、2のサラダには中華風ドレッシング、<br />
そして3のサラダにはハーブが薫る、バルサミコ酢とオリーブオイルのドレッシングがかかっていた。<br />
…なるほど、そうゆうことか。ありがとうよ。長門。<br />
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食事終了後、いよいよ正解発表となった。<br />
「さあさあ、みんなわかったっかなー!今から正解を超!発表するよー!答えは、ジャカジャカジャカジャカジャカジャカ…
3番!チキンカレーっさ!!」<br />
参加者から歓喜や怒号、様々な声が飛んでいた。<br />
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正解発表後、ハルヒは俺の元まで来て、ニヤケ顔で問いかけてきた。<br />
「あんた、正解だったわよね?まさか間違えたなんて言わせないわよ!?」<br />
ああ、バッチリ正解だ。あの勉強会の時、長門が作ってくれたサラダと一緒だ。<br />
「なによそれ。それなら有希のサラダ当てたってことでしょ。あんた有希とあたしを間違えて、まぐれで当てたのね?それじゃ正解とは言わせないわよ!」<br />
…長門もお前も言ったじゃないか。このドレッシングを考えたのはお前だって。<br />
だから長門は敢えてここでは使わなかったのさ。お前のオリジナル料理がわかってもらえるか、っていう試練だったんだろ?<br />
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「…なによ、あんたそうやっていっつも有希のことばっかり考えているの?いやらしい。変態。<br />
…でも正解は正解ね。約束通りチャラにしてあげるわ。午後からもしっかりやんなさい!」<br />
そう宣言してハルヒは去ろうとした。<br />
<br />
「…ハルヒ」<br />
「何よ」<br />
「美味かったぞ。ありがとな」 <br />
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「………………」<br />
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…ハルヒはこちらを振り返りもせず、自分の席へと戻って行った。さっきと同じように…<br />
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※<a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2827.html">試練その4</a>に続く</p>