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夏の夜の・・・」(2020/03/12 (木) 23:36:19) の最新版変更点

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「もう あっついわね」<br> <br> 季節は夏、昼間の炎天下にあぶられて夜になっても<br> 気温は一向にさがらない、風でもあればまだ幾分<br> 気持ち的にも楽になろうかというのに、風鈴も宝の持ち腐れ<br> <br> でもなんといっても一番の問題は、家の電気系統が壊れてしまった現実<br> <br> そう 冷房が効かない<br> <br>    最悪<br> <br> それでも しばらくは窓を開け放って部屋で我慢大会の参加者のごとく<br> がんばってはみたものの<br> <br>   も う 限 界<br> <br>     【夏の夜の・・・】<br> <br> 夜で人目もないだろうから、寝巻きがわりにきているT-シャツに短パンの軽装で<br> 私は夜の散歩へでることにした<br> <br> 別段にあてがあっての散歩ではない、とくかくあの蒸し風呂のような部屋から<br> 逃げ出したいだけ<br> <br> 適当に角をまがって進んでゆく<br> <br> 歩いていると多少なりとも風を感じるのか、結構な距離をあるいたと思う<br> <br> 気がつくと中学校の前にたっていた<br> <br> そしてそこに人影があった<br> <br>     誰 こんな時間に<br> <br>     もう何年も前の  わすれられない <br> <br>     ジョン・・・<br> <br> <br> 「ハルヒ なんだ こんな時間に」<br> <br>  へっ<br> <br> いきなり現実に引き戻されて、あほみたいな声がでる<br> <br> 「キョン! あんたこそ なんでこんな場所にいるのよ」<br> <br> 「ああ、中学時代の友達がこっちの方にいてな、遊んでた帰り<br> おまえこそ、こんな時間に散歩か?」<br> <br> 「暑くて ねむれなくって」<br> <br> 「元気の塊みたいな おまえでも そんなことがあるんだ」<br> <br> 「失礼ね 家のクーラー壊れちゃったのよ まったく でも あっついわね」<br> <br> 「そうだな、<br> <br>   街灯の光の加減だろうか、あの日のジョンと今のキョンの姿がだぶる<br>   時間の経過をすっとばして、あの日の続きを<br>   <br>   そこまで思って、気がついた、あの日の思いはちゃんと届いていたんだって<br>   3年ばかりの遅刻だったけど<br> <br> 「ねぇ キョン 泳ぎ行こう!」<br> <br> 「ああ いいな 明日何時に集合する」<br> <br> 「違うわよ、い ま か ら」<br> <br> 「どこで」<br> <br> 「あるじゃないプール、目の前に」<br> <br>   今度はキョンが へっ て 顔<br> <br> 「ハルヒ 暑さでとうとう 」<br>   <br>   とんでもないこといいだした<br> <br> 「目の前にあるじゃない 中学校のプール」<br> <br>    絶句しているキョンをひっぱって、校門をよじのぼる<br> <br> 「やっぱ まずいんじゃないか」<br>   <br>   変なとこ常識的な奴である<br> <br> 「卒業生の私がいるんだから問題ないでしょ」<br> <br> 「いつぞやの傘とはわけがちがうぞ」<br> <br> 「無理にとは いわないわよ」<br>   <br>   ぶつぶついうわりには あいつもしっかりついてくる<br>   いくつかの柵をすこし手伝ってもらって、プールサイドへ<br> <br> 月の光は しょぼい中学校の25メートルプールでもちょっと幻想的にしてくれる<br> <br> 「さあ 泳ぎましょ、少しは涼しくなるわ」<br> <br> 「泳ぐっておまえ」<br> <br>   キョンの声を背中で聞いて、私はそのまま プールに飛び込む<br> <br> 「気持ち いいわよ」<br> <br>   呆れ顔で肩をすくめたあいつをプールサイドに置いてきぼりにして、私は泳ぐ<br>   ひとしきり泳いで水からあがり あいつのそばにゆく<br>   <br>   ん あきらかに眼が泳いでいる<br> <br> 「おまえ、俺のこと棒っきれかなんかと思ってるだろ」<br>   <br>   質問の意味を考えあぐねていると なにか聞こえる 足音<br> <br> 「やばい 見回りが、いいわけつかん 逃げるぞ」<br>   <br>   いい終わらないうちに あいつは私の手首をとって走り出す<br>   ん 前にこんな夢みたことがあったけ<br> <br>   途中なんどが身をかがめ、見回りをやりすごし なんとか外へ<br> <br> 「おまえといると本当 退屈だけは しないな」<br>   <br> 「なによ それ」<br> <br> 「これでも 褒めているつもりなんだが」<br> <br>   あいかわらず 眼が泳いでますけど<br> <br> 「あの その なんだ、もしよかったら、 家にこないか、妹の部屋でよきゃ、クーラーあるし<br> そもそも その格好で もどるもの   」<br> <br>   ん なにいってんのこいつ<br> <br> 「まあ そこまで いうんなら」<br> <br>   キョンから誘ってくれるのって、ひょっとして初めて?<br> <br> 「おまえ 俺の後ろ歩けな その 上 つけてないだろ 水に濡れてだな 」<br> <br>   そこまでいわれて はっと きづく 眼が泳いでいたのはそうゆうわけか<br>   はずかしくて顔まで真っ赤になるのが自分でも判る<br> <br> 「ばか! すけべ! 変態!」<br> <br>   私はキョンの背中をおもいっきりひっぱたいた<br>   いいわけをくりかえすあいつの背中をみながら<br> <br>   もう少しゆっくりでもいいよね まだ時間はあるんだから ね キョン<br> <br> おしまい<br> <!-- ad -->
<p>「もう あっついわね」<br /> <br /> 季節は夏、昼間の炎天下にあぶられて夜になっても<br /> 気温は一向にさがらない、風でもあればまだ幾分<br /> 気持ち的にも楽になろうかというのに、風鈴も宝の持ち腐れ<br /> <br /> でもなんといっても一番の問題は、家の電気系統が壊れてしまった現実<br /> <br /> そう 冷房が効かない<br /> <br />    最悪<br /> <br /> それでも しばらくは窓を開け放って部屋で我慢大会の参加者のごとく<br /> がんばってはみたものの<br /> <br />   も う 限 界<br /> <br />     【夏の夜の・・・】<br /> <br /> 夜で人目もないだろうから、寝巻きがわりにきているT-シャツに短パンの軽装で<br /> 私は夜の散歩へでることにした<br /> <br /> 別段にあてがあっての散歩ではない、とくかくあの蒸し風呂のような部屋から<br /> 逃げ出したいだけ<br /> <br /> 適当に角をまがって進んでゆく<br /> <br /> 歩いていると多少なりとも風を感じるのか、結構な距離をあるいたと思う<br /> <br /> 気がつくと中学校の前にたっていた<br /> <br /> そしてそこに人影があった<br /> <br />     誰 こんな時間に<br /> <br />     もう何年も前の  わすれられない <br /> <br />     ジョン・・・<br /> <br /> <br /> 「ハルヒ なんだ こんな時間に」<br /> <br />  へっ<br /> <br /> いきなり現実に引き戻されて、あほみたいな声がでる<br /> <br /> 「キョン! あんたこそ なんでこんな場所にいるのよ」<br /> <br /> 「ああ、中学時代の友達がこっちの方にいてな、遊んでた帰り<br /> おまえこそ、こんな時間に散歩か?」<br /> <br /> 「暑くて ねむれなくって」<br /> <br /> 「元気の塊みたいな おまえでも そんなことがあるんだ」<br /> <br /> 「失礼ね 家のクーラー壊れちゃったのよ まったく でも あっついわね」<br /> <br /> 「そうだな、<br /> <br />   街灯の光の加減だろうか、あの日のジョンと今のキョンの姿がだぶる<br />   時間の経過をすっとばして、あの日の続きを<br />   <br />   そこまで思って、気がついた、あの日の思いはちゃんと届いていたんだって<br />   3年ばかりの遅刻だったけど<br /> <br /> 「ねぇ キョン 泳ぎ行こう!」<br /> <br /> 「ああ いいな 明日何時に集合する」<br /> <br /> 「違うわよ、い ま か ら」<br /> <br /> 「どこで」<br /> <br /> 「あるじゃないプール、目の前に」<br /> <br />   今度はキョンが へっ て 顔<br /> <br /> 「ハルヒ 暑さでとうとう 」<br />   <br />   とんでもないこといいだした<br /> <br /> 「目の前にあるじゃない 中学校のプール」<br /> <br />    絶句しているキョンをひっぱって、校門をよじのぼる<br /> <br /> 「やっぱ まずいんじゃないか」<br />   <br />   変なとこ常識的な奴である<br /> <br /> 「卒業生の私がいるんだから問題ないでしょ」<br /> <br /> 「いつぞやの傘とはわけがちがうぞ」<br /> <br /> 「無理にとは いわないわよ」<br />   <br />   ぶつぶついうわりには あいつもしっかりついてくる<br />   いくつかの柵をすこし手伝ってもらって、プールサイドへ<br /> <br /> 月の光は しょぼい中学校の25メートルプールでもちょっと幻想的にしてくれる<br /> <br /> 「さあ 泳ぎましょ、少しは涼しくなるわ」<br /> <br /> 「泳ぐっておまえ」<br /> <br />   キョンの声を背中で聞いて、私はそのまま プールに飛び込む<br /> <br /> 「気持ち いいわよ」<br /> <br />   呆れ顔で肩をすくめたあいつをプールサイドに置いてきぼりにして、私は泳ぐ<br />   ひとしきり泳いで水からあがり あいつのそばにゆく<br />   <br />   ん あきらかに眼が泳いでいる<br /> <br /> 「おまえ、俺のこと棒っきれかなんかと思ってるだろ」<br />   <br />   質問の意味を考えあぐねていると なにか聞こえる 足音<br /> <br /> 「やばい 見回りが、いいわけつかん 逃げるぞ」<br />   <br />   いい終わらないうちに あいつは私の手首をとって走り出す<br />   ん 前にこんな夢みたことがあったけ<br /> <br />   途中なんどが身をかがめ、見回りをやりすごし なんとか外へ<br /> <br /> 「おまえといると本当 退屈だけは しないな」<br />   <br /> 「なによ それ」<br /> <br /> 「これでも 褒めているつもりなんだが」<br /> <br />   あいかわらず 眼が泳いでますけど<br /> <br /> 「あの その なんだ、もしよかったら、 家にこないか、妹の部屋でよきゃ、クーラーあるし<br /> そもそも その格好で もどるもの   」<br /> <br />   ん なにいってんのこいつ<br /> <br /> 「まあ そこまで いうんなら」<br /> <br />   キョンから誘ってくれるのって、ひょっとして初めて?<br /> <br /> 「おまえ 俺の後ろ歩けな その 上 つけてないだろ 水に濡れてだな 」<br /> <br />   そこまでいわれて はっと きづく 眼が泳いでいたのはそうゆうわけか<br />   はずかしくて顔まで真っ赤になるのが自分でも判る<br /> <br /> 「ばか! すけべ! 変態!」<br /> <br />   私はキョンの背中をおもいっきりひっぱたいた<br />   いいわけをくりかえすあいつの背中をみながら<br /> <br />   もう少しゆっくりでもいいよね まだ時間はあるんだから ね キョン<br /> <br /> おしまい</p>

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