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「涼宮ハルヒの決意」(2020/03/12 (木) 23:35:11) の最新版変更点
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<div class="main">
<div>「ねぇ、キョン。駆け落ちしよっか?」<br></div>
<br>
<div>
朝っぱらから物思いに耽っていると思ったら・・・何を言い出すんだ、コイツは。<br>
”駆け落ち”なんていう言葉は、お互いを愛し合っているが結ばれない運命にある二人がその運命を打ち破るためにだな。<br>
</div>
<br>
<div>「あたしとさ、樹海に行かない?」<br></div>
<br>
<div>しかも、死ぬこと前提でかよ。<br></div>
<br>
<div>
頬杖つきながら、ぼーっとした顔で空を眺めんでくれ。<br>
俺はいつも馬鹿みたいにテンション高いお前しか知らんのだ。<br>
そんな違う一面を見せられたら、したくなくても『なぜか』動揺してしまう。<br>
</div>
<br>
<div>「ねぇ、聞いてるの?」<br></div>
<br>
<div>
頬杖を止めてこちらを向いたハルヒの眉がキリキリと上がる。<br>
これでこそ、俺の知っているハルヒだ。<br>
論理的な思考型な俺は、理由を聞いてから何事にも答えるようにしているが、<br>
ハルヒは突飛なことを言う割りにその理由を聞かれると不機嫌になるし、答えようとはしない。<br>
『駆け落ちしよっか?』って言った理由をハルヒに聞くのはナンセンスだ。<br>
…だが、聞いてしまう。<br>
だって、それが俺の思考パターンだからだ。<br></div>
<br>
<div>
「聞いてたけど、どうしてまた駆け落ちなんだ?・・・その前にどうして俺なんだ?」<br>
こいつはいつも主語と述語が抜ける。そして、その経緯、説明もない。<br>
まるで”私の思考はアンタには伝わってるから、説明しなくてもいいのよ”みたいな。<br>
</div>
<br>
<div>
あいにく俺は、古泉みたいに超能力者でもないから相手の思考を読み取ったりできない。<br>
…ってアイツは閉鎖空間の中でしか能力使えなかったか。<br>
例えにもならないとは、本当に使えない奴だ。<br></div>
<br>
<div>「キョンなら、着いてきてくれると思ったの!」<br>
恥ずかしそうに目線を外す・・・普通の女の子っぽい仕草も出来たんだな。<br>
って、どうして俺なら着いてきてくれるなんて思ったんだ?<br>
俺の思考を読み取ったかのようにハルヒが続けて口を開いた。<br>
</div>
<br>
<div>
「だって、アタシのいう事素直に聞いてくれるんだもん。だから」<br>
ちょっと待て。この際、俺の長所・性格・人物像は関係なしかよ。<br>
どうみても、ハルヒの主観イメージだけじゃねぇか・・・<br>
</div>
<br>
<div>
しかし、俺が安易に否定すればハルヒはまた不機嫌になるだろう。<br>
古泉・長門・朝比奈さん(大)は口を揃えて、その事を忠告したけど、俺には関係ないし、<br>
どうするかはハルヒ次第なのだから・・・ごく平凡一般の俺がとやかく言っても仕方がない。<br>
</div>
<br>
<div>
まぁ、古泉の言っていたハルヒの言葉をできるだけ尊重するようにしてやんわりと話を流してみるか。<br>
</div>
<br>
<div>
「お前がどうして『駆け落ち』だとか、『樹海に行きたい』とか言ったか分からんが、そんな事しなくても俺は3年間お前にこきつかわれる運命だ」<br>
</div>
<br>
<div>
「いつ、何処で、何時、何分、何秒にアタシがアンタをコキ使いたいって言ったのよ!」<br>
</div>
<br>
<div>
「お前の俺への態度を見たら、誰が見ても奴隷とご主人様みたいな関係に見えるぜ?」<br>
ハルヒが何か言おうとしたので、トドメの一撃を刺しておこうと思う。<br>
</div>
<br>
<div>「でも、別にお前に使われるのは嫌いじゃない」<br>
ちょっとでも、恥ずかしい台詞を言われるとあたふたして、柄にもなく論理的に否定したり、話変えたりするから<br>
この戦法はかなり有効なのだ。・・・しかも、実証済み。<br>
</div>
<br>
<div>
すると、暫くハルヒは何か考え込んだ後、パチンと手を合わせて、俺を指差した。<br>
</div>
<br>
<div>
「決めたっ!アタシに使われるのが好きなら、高校3年間と言わずその後も使ってあげるわ」<br>
</div>
<br>
<h4><a id="id_6d7fce9f" name="id_6d7fce9f"></a></h4>
<div>「・・・なーんて、事があったんだよ」<br>
部室にて、古泉と将棋を指しながら今日の昼休みにあった事を話した。<br>
…というか、どうしてコイツは手数掛かるのに穴熊作ろうとしてんだ?その間に攻め込まれたら終わりなのに。<br>
</div>
<br>
<div>「キョン君はまた仕出かしましたね」<br>
なんて、真剣な台詞をにこやかに言う古泉。<br>
続けて「僕のバイトもずっと続きそうですねぇ」なんて言いながら、ため息つきやがって。<br>
</div>
<br>
<div>「どういうことだよ?俺がなんかやったか?」<br>
俺が質問を投げかけると、古泉は鼻の頭を撫でながらこう言った。<br>
</div>
<br>
<div>
「涼宮さんは新たに思い込んでしまいました・・・いや、決意したと言ったところでしょう。彼女は言ったのでしょう?<br>
『高校3年間と言わずその後も使ってあげるわ』と。その意味は分かりますか?その後とは彼女にとってどれぐらいの期間なんでしょうねぇ。<br>
その言葉を推理して、最も現実的で実現可能な事となると・・・」<br>
</div>
<br>
<div>「なんだよ」<br></div>
<br>
<div>
「キョン君。結婚式には呼んでくださいね。・・・あと、あなたは主夫に向いてますよ」<br>
古泉がまたアホな事を言い出した。<br>
こいつは、推理してるとき自分に酔っているんじゃないかと思うことがある。<br>
推理に気を取られて、将棋がおざなりになっているのはコイツらしい。<br>
</div>
<br>
<div>
「王手・・・はい、どうやっても詰みな。しかし、お前の例えはよく分からん」<br>
</div>
<br>
<div>「はは、負けちゃいましたね」<br>
自分が負けたのにニコニコとしているのもコイツらしい。<br>
さて、と。ハルヒが朝比奈さんの写真撮影を終えて帰ってくる前に、このフラッシュメモリにmikuruフォルダを移動させておくか。<br>
将棋の片付けをしている古泉がポツリとこう言った。<br></div>
<br>
<div>
「あなたは、涼宮さんにプロポーズしてOKされたんですよ。順序から言うと、涼宮さんがプロポーズして、あなたがOKしたというか」<br>
</div>
<br>
<div>なんて言いながら、クスクス笑う古泉。<br>
今のお前相当キモイ悪いぞ。<br></div>
<br>
<br>
<div>fin<br></div>
</div>
<!-- ad -->
<div class="main">
<div>「ねぇ、キョン。駆け落ちしよっか?」</div>
<div>朝っぱらから物思いに耽っていると思ったら・・・何を言い出すんだ、コイツは。<br />
”駆け落ち”なんていう言葉は、お互いを愛し合っているが結ばれない運命にある二人がその運命を打ち破るためにだな。</div>
<div>「あたしとさ、樹海に行かない?」</div>
<div>しかも、死ぬこと前提でかよ。</div>
<div>頬杖つきながら、ぼーっとした顔で空を眺めんでくれ。<br />
俺はいつも馬鹿みたいにテンション高いお前しか知らんのだ。<br />
そんな違う一面を見せられたら、したくなくても『なぜか』動揺してしまう。</div>
<div>「ねぇ、聞いてるの?」</div>
<div>頬杖を止めてこちらを向いたハルヒの眉がキリキリと上がる。<br />
これでこそ、俺の知っているハルヒだ。<br />
論理的な思考型な俺は、理由を聞いてから何事にも答えるようにしているが、<br />
ハルヒは突飛なことを言う割りにその理由を聞かれると不機嫌になるし、答えようとはしない。<br />
『駆け落ちしよっか?』って言った理由をハルヒに聞くのはナンセンスだ。<br />
…だが、聞いてしまう。<br />
だって、それが俺の思考パターンだからだ。</div>
<div>「聞いてたけど、どうしてまた駆け落ちなんだ?・・・その前にどうして俺なんだ?」<br />
こいつはいつも主語と述語が抜ける。そして、その経緯、説明もない。<br />
まるで”私の思考はアンタには伝わってるから、説明しなくてもいいのよ”みたいな。</div>
<div>あいにく俺は、古泉みたいに超能力者でもないから相手の思考を読み取ったりできない。<br />
…ってアイツは閉鎖空間の中でしか能力使えなかったか。<br />
例えにもならないとは、本当に使えない奴だ。</div>
<div>「キョンなら、着いてきてくれると思ったの!」<br />
恥ずかしそうに目線を外す・・・普通の女の子っぽい仕草も出来たんだな。<br />
って、どうして俺なら着いてきてくれるなんて思ったんだ?<br />
俺の思考を読み取ったかのようにハルヒが続けて口を開いた。</div>
<div>「だって、アタシのいう事素直に聞いてくれるんだもん。だから」<br />
ちょっと待て。この際、俺の長所・性格・人物像は関係なしかよ。<br />
どうみても、ハルヒの主観イメージだけじゃねぇか・・・</div>
<div>しかし、俺が安易に否定すればハルヒはまた不機嫌になるだろう。<br />
古泉・長門・朝比奈さん(大)は口を揃えて、その事を忠告したけど、俺には関係ないし、<br />
どうするかはハルヒ次第なのだから・・・ごく平凡一般の俺がとやかく言っても仕方がない。</div>
<div>まぁ、古泉の言っていたハルヒの言葉をできるだけ尊重するようにしてやんわりと話を流してみるか。</div>
<div>「お前がどうして『駆け落ち』だとか、『樹海に行きたい』とか言ったか分からんが、そんな事しなくても俺は3年間お前にこきつかわれる運命だ」</div>
<div>「いつ、何処で、何時、何分、何秒にアタシがアンタをコキ使いたいって言ったのよ!」</div>
<div>「お前の俺への態度を見たら、誰が見ても奴隷とご主人様みたいな関係に見えるぜ?」<br />
ハルヒが何か言おうとしたので、トドメの一撃を刺しておこうと思う。</div>
<div>「でも、別にお前に使われるのは嫌いじゃない」<br />
ちょっとでも、恥ずかしい台詞を言われるとあたふたして、柄にもなく論理的に否定したり、話変えたりするから<br />
この戦法はかなり有効なのだ。・・・しかも、実証済み。</div>
<div>すると、暫くハルヒは何か考え込んだ後、パチンと手を合わせて、俺を指差した。</div>
<div>「決めたっ!アタシに使われるのが好きなら、高校3年間と言わずその後も使ってあげるわ」</div>
<h4><a id="id_6d7fce9f" name="id_6d7fce9f"></a></h4>
<div>「・・・なーんて、事があったんだよ」<br />
部室にて、古泉と将棋を指しながら今日の昼休みにあった事を話した。<br />
…というか、どうしてコイツは手数掛かるのに穴熊作ろうとしてんだ?その間に攻め込まれたら終わりなのに。</div>
<div>「キョン君はまた仕出かしましたね」<br />
なんて、真剣な台詞をにこやかに言う古泉。<br />
続けて「僕のバイトもずっと続きそうですねぇ」なんて言いながら、ため息つきやがって。</div>
<div>「どういうことだよ?俺がなんかやったか?」<br />
俺が質問を投げかけると、古泉は鼻の頭を撫でながらこう言った。</div>
<div>「涼宮さんは新たに思い込んでしまいました・・・いや、決意したと言ったところでしょう。彼女は言ったのでしょう?<br />
『高校3年間と言わずその後も使ってあげるわ』と。その意味は分かりますか?その後とは彼女にとってどれぐらいの期間なんでしょうねぇ。<br />
その言葉を推理して、最も現実的で実現可能な事となると・・・」</div>
<div>「なんだよ」</div>
<div>「キョン君。結婚式には呼んでくださいね。・・・あと、あなたは主夫に向いてますよ」<br />
古泉がまたアホな事を言い出した。<br />
こいつは、推理してるとき自分に酔っているんじゃないかと思うことがある。<br />
推理に気を取られて、将棋がおざなりになっているのはコイツらしい。</div>
<div>「王手・・・はい、どうやっても詰みな。しかし、お前の例えはよく分からん」</div>
<div>「はは、負けちゃいましたね」<br />
自分が負けたのにニコニコとしているのもコイツらしい。<br />
さて、と。ハルヒが朝比奈さんの写真撮影を終えて帰ってくる前に、このフラッシュメモリにmikuruフォルダを移動させておくか。<br />
将棋の片付けをしている古泉がポツリとこう言った。</div>
<div>「あなたは、涼宮さんにプロポーズしてOKされたんですよ。順序から言うと、涼宮さんがプロポーズして、あなたがOKしたというか」</div>
<div>なんて言いながら、クスクス笑う古泉。<br />
今のお前相当キモイ悪いぞ。</div>
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