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まぁなんだ、高校時代、俺は散々ハルヒにもっと考えろー、みたいなことを言葉にするにしろしないにしろ考えていたと思うんだが、どうやらそれは少し前の俺にこそ言うべきだったようだ。 結局俺は古泉に言われるままハルヒの大学に来ていた。俺の通う二流大学とは比べ物にならない風格が漂っている。 やっぱ国立は違うねまったく。 だがよく考えると古泉もここに通っているわけで、顔も良くて頭も良くて何だオマエははとか思ったり思わなかったりする。 ただそれでも、 「それでは僕は講義がありますので」 などといって立ち去っていったのはやっぱり気を遣ってくれたのだろう。 しかし。 ハルヒに会うのはいい。だが、何を言えばいいというんだ?  確かにSOS団で集まりたいとは思った。だがハルヒと1対1でとなれば話は違う。 しかもそれは漠然とした考えでしかなくて、いざ会うとなると何を言えばいいのか分からない。 え? 古泉とは普通に会話をしていた? それは相手が古泉だからな。 色々なことを曝け出しあった仲だ。いや、いやらしい意味じゃねぇよ。 などと悶々としていたのだが、何だこれは。まるで俺がハルヒを意識しているみたいじゃないか。 断じてそんなことは……ないんだろう。多分。 と、そこに。 「……キョン?」   ああ、ハルヒ。オマエにそんな疑問形の文は似合わないな。 やっぱり涼宮ハルヒは断定しなくちゃならない。 リテイク。 「キョンでしょ?」   そうかい。俺の思い通りにはならないってかい。 「その通りだハルヒ。久しぶりだな、ぁっ!?」   変な声が漏れた。 俺がハルヒの方を向いたとき、やつは段々顔を真っ赤にしていき、それは間違いなく、あのハルヒが泣き出す瞬間だった。 とにかく、大学の構内では、泣いている女と所在無さげな男という組み合わせは無駄に学生の好奇心を煽るだけなので、とりあえず手近な喫茶店に泣きじゃくるハルヒを抱きかかえるようにして連れて行こうとした。 だが、そんなところに行ったところで大して変わりはないことに道中で気付き、結局近くのやや大きめの市民公園に場所を移した。 場所も季節も違うというのに、朝比奈さんから話を聞いたあの日を思い出す。 どうやら屋外のベンチというシチュエーションは俺にとってビッグイベントの前触れのようだ。それがバッドなものかグッドなものか分からないが。 そこのベンチに腰を下ろす頃には流石にハルヒもすっかり泣き止んでいたが、それでもあのハルヒに泣き腫らした目などというのは似合うはずもなく、何となく気まずい雰囲気がお互いに流れていた。 「なぁ、ハルヒ」 「何よ」   打てば響くように返ってきたその返事を聞いて、やっぱりハルヒはハルヒのままなのだなと少し安心した。 ハルヒは泣いていたからか恥ずかしそうに顔を赤らめていたが、それすら隠すように固めの表情を作っている。恥ずかしい表情もいいと思うんだがな。 だがしかし、それでも俺は思う。 そうさ。オマエはその強気な顔がいい。 それだけでひとまず満足したので声をかけたまま何も言わない俺を見て、根負けしたようにハルヒも口を開いた。 「ねぇ、キョン」 「何だ」 「会いたかった……」   いきなりハルヒが俺の方に頭を預けてきた。 ちょ、ちょっと待てハルヒ。おまえにそんな女の子らしい行動は似合わない! 断じて似合わない! アレだ、怒鳴れ、罵れ、元気出してくれ! などとは口に出せず心で思うだけだったが。俺も空気くらい読めるさ。 「どうして……どうして何も連絡くれないのよ! しかも今更現れて……」   ちょっと待て。 それはこっちのセリフだ。そんなに俺の顔が拝みたかったのなら電話でもメールでもよこせばよかったというのに。 なんてまるでハルヒに責任転嫁するようなことは言えるはずもなく、俺はハルヒの言葉を黙って聞いていた。 高校を出た途端何も連絡をくれず不安だったこと。 高校時代にした自分の行いがもとで俺に嫌われていたのではないかと思っていたこと。 だから自分からは怖くて連絡を取れなかったこと。 話を聞いて、そして、俺は決心した。 「ハルヒ」 ハルヒの言葉を紡いでいた形のいい唇が閉じる。 「好きだった。高校の頃から。ハルヒさえよければ……付き合ってくれないか。オマエの傍にいるだけで楽しいんだ。心が安らいで、温かくなる。だからこれからは、もっと近くにいてほしい」   高校時代からぼんやりと描いていた思いを。 大学に入ってからよりはっきりしてきた思いを。 俺は言葉にした。 そう、俺はSOS団で過ごした日々が好きだった。だけどそれは、その中心にハルヒが居たからなんだ。 まぁ、再会していきなりこれはどうかと思うんだが。 「もう……バカ、なんで、こんなときに……っ」   何てことだ。また泣き出してしまった。 だけれども、女性の涙への耐性がどうやら復活したらしい。俺はハルヒをそっと抱き寄せた。 「キョン。もう、どこにも行かないって……約束しなさい」   ふぅ。ハルヒ。強要したら約束とは言わないだろう? だけれど今回ばかりは……見逃すとしよう。 「ああ、絶対に、約束する」 本格的にハルヒが俺の胸に顔をうずめてきた。 「…………………」 「え? 何だって?」 「あたしも好きだって言ったのよ! 何でも言わせるなバカキョン!」   ああ、そうだ、俺は今きっと、今までにないくらい幸せだろう。 朝比奈さんの生着替えよりも、長門の表情の変化を見つけたときよりも、きっと、いや間違いなく、幸せなんだ。叫びだしたいくらいにな。 「これからよろしくな、ハルヒ」 結局あの後は、ハルヒを家に送り届けて帰路についた。 安心してくれ。何もしていない。キスまでしかな。
まぁなんだ、高校時代、俺は散々ハルヒにもっと考えろー、みたいなことを言葉にするにしろしないにしろ考えていたと思うんだが、どうやらそれは少し前の俺にこそ言うべきだったようだ。 結局俺は古泉に言われるままハルヒの大学に来ていた。俺の通う二流大学とは比べ物にならない風格が漂っている。 やっぱ国立は違うねまったく。 だがよく考えると古泉もここに通っているわけで、顔も良くて頭も良くて何だオマエははとか思ったり思わなかったりする。 ただそれでも、 「それでは僕は講義がありますので」 などといって立ち去っていったのはやっぱり気を遣ってくれたのだろう。 しかし。 ハルヒに会うのはいい。だが、何を言えばいいというんだ?  確かにSOS団で集まりたいとは思った。だがハルヒと1対1でとなれば話は違う。 しかもそれは漠然とした考えでしかなくて、いざ会うとなると何を言えばいいのか分からない。 え? 古泉とは普通に会話をしていた? それは相手が古泉だからな。 色々なことを曝け出しあった仲だ。いや、いやらしい意味じゃねぇよ。 などと悶々としていたのだが、何だこれは。まるで俺がハルヒを意識しているみたいじゃないか。 断じてそんなことは……ないんだろう。多分。 と、そこに。 「……キョン?」   ああ、ハルヒ。オマエにそんな疑問形の文は似合わないな。 やっぱり涼宮ハルヒは断定しなくちゃならない。 リテイク。 「キョンでしょ?」   そうかい。俺の思い通りにはならないってかい。 「その通りだハルヒ。久しぶりだな、ぁっ!?」   変な声が漏れた。 俺がハルヒの方を向いたとき、やつは段々顔を真っ赤にしていき、それは間違いなく、あのハルヒが泣き出す瞬間だった。 とにかく、大学の構内では、泣いている女と所在無さげな男という組み合わせは無駄に学生の好奇心を煽るだけなので、とりあえず手近な喫茶店に泣きじゃくるハルヒを抱きかかえるようにして連れて行こうとした。 だが、そんなところに行ったところで大して変わりはないことに道中で気付き、結局近くのやや大きめの市民公園に場所を移した。 場所も季節も違うというのに、朝比奈さんから話を聞いたあの日を思い出す。 どうやら屋外のベンチというシチュエーションは俺にとってビッグイベントの前触れのようだ。それがバッドなものかグッドなものか分からないが。 そこのベンチに腰を下ろす頃には流石にハルヒもすっかり泣き止んでいたが、それでもあのハルヒに泣き腫らした目などというのは似合うはずもなく、何となく気まずい雰囲気がお互いに流れていた。 「なぁ、ハルヒ」 「何よ」   打てば響くように返ってきたその返事を聞いて、やっぱりハルヒはハルヒのままなのだなと少し安心した。 ハルヒは泣いていたからか恥ずかしそうに顔を赤らめていたが、それすら隠すように固めの表情を作っている。恥ずかしい表情もいいと思うんだがな。 だがしかし、それでも俺は思う。 そうさ。オマエはその強気な顔がいい。 それだけでひとまず満足したので声をかけたまま何も言わない俺を見て、根負けしたようにハルヒも口を開いた。 「ねぇ、キョン」 「何だ」 「会いたかった……」   いきなりハルヒが俺の方に頭を預けてきた。 ちょ、ちょっと待てハルヒ。おまえにそんな女の子らしい行動は似合わない! 断じて似合わない! アレだ、怒鳴れ、罵れ、元気出してくれ! などとは口に出せず心で思うだけだったが。俺も空気くらい読めるさ。 「どうして……どうして何も連絡くれないのよ! しかも今更現れて……」   ちょっと待て。 それはこっちのセリフだ。そんなに俺の顔が拝みたかったのなら電話でもメールでもよこせばよかったというのに。 なんてまるでハルヒに責任転嫁するようなことは言えるはずもなく、俺はハルヒの言葉を黙って聞いていた。 高校を出た途端何も連絡をくれず不安だったこと。 高校時代にした自分の行いがもとで俺に嫌われていたのではないかと思っていたこと。 だから自分からは怖くて連絡を取れなかったこと。 話を聞いて、そして、俺は決心した。 「ハルヒ」 ハルヒの言葉を紡いでいた形のいい唇が閉じる。 「好きだった。高校の頃から。ハルヒさえよければ……付き合ってくれないか。オマエの傍にいるだけで楽しいんだ。心が安らいで、温かくなる。だからこれからは、もっと近くにいてほしい」   高校時代からぼんやりと描いていた思いを。 大学に入ってからよりはっきりしてきた思いを。 俺は言葉にした。 そう、俺はSOS団で過ごした日々が好きだった。だけどそれは、その中心にハルヒが居たからなんだ。 まぁ、再会していきなりこれはどうかと思うんだが。 「もう……バカ、なんで、こんなときに……っ」   何てことだ。また泣き出してしまった。 だけれども、女性の涙への耐性がどうやら復活したらしい。俺はハルヒをそっと抱き寄せた。 「キョン。もう、どこにも行かないって……約束しなさい」   ふぅ。ハルヒ。強要したら約束とは言わないだろう? だけれど今回ばかりは……見逃すとしよう。 「ああ、絶対に、約束する」 本格的にハルヒが俺の胸に顔をうずめてきた。 「…………………」 「え? 何だって?」 「あたしも好きだって言ったのよ! 何でも言わせるなバカキョン!」   ああ、そうだ、俺は今きっと、今までにないくらい幸せだろう。 朝比奈さんの生着替えよりも、長門の表情の変化を見つけたときよりも、きっと、いや間違いなく、幸せなんだ。叫びだしたいくらいにな。 「これからよろしくな、ハルヒ」 結局あの後は、ハルヒを家に送り届けて帰路についた。 安心してくれ。何もしていない。キスまでしかな。 [[縁は…3>http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2597.html]]

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