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鶴の舞 第五幕」(2007/02/26 (月) 18:06:12) の最新版変更点

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「横いいかいっ」<br> と風呂に入ってきた鶴屋さんは、俺と一緒に夜の星空を見上げている。<br> 星がよく見える。今夜ハ晴天ナリ。ってやつか。<br> 時折聞こえてくる、風の音。なびく木の葉のささやき。<br> もうすぐ、春がやって来るんだな。<br> 心地よい湯船に揺られ、いつしか極楽へといざなう。<br> 「「あ~、極楽極楽」」<br> って鶴屋さんも、同じこと考えてたんすか。<br> ニカッと笑う笑顔も、気分を和やかにする。<br> <br> 「ところでさっ」<br> 鶴屋さんが話しかけてきた。<br> 「はいはい、なんでしょうか」<br> 風呂につかって、友人とのふれあいもまた楽しみの一つ。<br> 「わたし・・・強い女だとおもう?」<br> ふむ、鶴屋さんが強いとな?<br> 意外なご相談ではあるが、それほど心配することもないでしょう。<br> 「強いというか・・・パワフルですよね。」<br> 「あれれ、おんなじ意味じゃないかっ?」<br> まあそうなんですけどね。ただ・・・<br> 「パワフルはパワフルでも・・・マッチョではないんですよね」                           さっと身を隠さないでください。そっちじゃありませんから。<br> 「じゃあ・・・どうなのさっ」<br> 「たとえば、ハルヒが結婚するとしましょう。<br> ええ、はい、仮定です。そんな顔しないでください。<br> どんな主婦になると思いますか?」<br> 「きっと鬼嫁になっているにょろっ。<br> ハルにゃんの旦那さん、いつも奥さんのわがままを聞いて、とても幸せそうにょろっ」<br> いや、幸せかどうかはわかりませんが。<br> まあ、カカア天下は間違いないだろうな。<br> 「それが、どうかしたにょろ?」<br> 「それって、パワフルってよりかはマッチョですよね、イメージ的に。」<br> 鶴屋さんは少し考えて、<br> 「それってどういう意味さっ」<br> なにやら楽しそうに俺の話を聞いてくれている。いいよな、こういうのって。<br> 「パワフルとマッチョな主婦ってのは、似ているようで似てないんです。」<br> 「ほうほう、どういう風に?」<br> 俺は深呼吸入れて、これは自分の勝手な想像ですけど、と前置きした。<br> 「マッチョの主婦っていつも元気があって、常に旦那さんを振り回していますよね。<br> 時には暴力を振るっちゃいますが。」<br> 「うんうん、ハルにゃんがそんなことしているのが簡単に想像できるにょろ~」<br> 「けど、旦那さんを愛しているのには変わりがないんです。<br> もし、旦那さんがとてもつらいことを経験して、鬱になっていたら、<br> 奥さんはやさしく抱きしめると思うんですよ。                                  『大丈夫。あたしがいるから。 あんたは気にしないで自分の道を進みなさい』                  ってね。そして旦那さんが元気をとりもどした刹那、                                 抱きしめていた手を首にやってプロレスの技をかけると。」                                     「あっはっは~。本当にハルにゃん、してそうにょろ~」<br> まあ、俺の実体験なんですがね。あの時はマジで痛かった。<br> もう少し手加減してくれてもいいじゃないか、ハルヒ。<br> まあ、あんな優しい言葉は微塵も無かったがな。<br> 「んでんで、パワフルの人はどうなのさっ」<br> 「そのパワフルな人っていうのは、普段は物静かなんです。<br> 旦那さんの愚痴話を聞くとか、要は亭主関白な夫婦ですね。」<br> 「あれ、でもそれってパワフルじゃないにょろ~」<br> 「ええ、まあそうなんですが、もし、今さっきのように、<br> 旦那さんが思いつめていた時には、ビシッと言うんですよ。<br> 『あなたがしっかりしなければ、私達家族は路頭に迷うことになるのですよ』と。」<br> 鶴屋さんの目が涙ぐんでいるような気がした。<br> 「と・・・いうことは・・・私って・・・」<br> 「はい、あなたはそういう風な、強い人ですよ。鶴屋さん。」<br> 突然鶴屋さんが大声で泣き出した。<br> あ・・・あれ~、な、なんで泣いていらっしゃるのですかね、つ、鶴屋さん。<br> ひょっとして俺の責任か?そんなに傷ついたことを言ったのか、俺は。<br> 本日最大の汚点、女性を泣かす。<br> 「あ、あの・・・ごめんなさい・・・」<br> 「うっ・・・そんなんじゃ・・・うぐっ、なぐって・・・」<br> 少なくとも「殴って」じゃあないですよね。「そんなんじゃなくって」か?<br> じゃあなんなんですか。<br> 「そのっ・・・」<br> 鶴屋さんが深呼吸一つ置いて、はっきりこう言った。<br> 「ありがとう・・・」                                                                  ええとつまり?・・・嬉し涙というわけですか、鶴屋さん。<br> そんなに感激されなくても。というか、かなりこの風呂に入っていますよね。<br> 「そろそろあがりましょう。のぼせちゃいますよ。」<br> 鶴屋さんは、コクンとうなずいた。顔には、嬉しさ爆発な表情を浮かべていた。<br> <br> まさかタオル一丁の鶴屋さんと一緒に出ることはできないので、<br> とりあえず俺から先にあがることにした。<br> ん、まてよ。着替えの部屋には、鶴屋さんの下着があるってことだよな?!<br> いや、そこまで力まなくてもいいだろ、俺。<br> と少しぐらいは期待して着替えの部屋に入ると、<br> まあなんと利儀なことか。俺の脱いだ服がすでに着替えの服に変わっているではないか。<br> まあこの様子だと、鶴屋さんの服も当然変えてあるだろうねえ。<br> ・・・決して見たかったわけではない。<br> <br> 着替える服を見ても、やっぱすげえと思ってしまう。<br> ただの浴衣にしか見えないか、中はとてもとても暖かく、<br> なんだか幸せな気分になってしまう。お初ばかりだな。<br> 浴衣をきて終始優雅な気分を満喫していると、ドアが開く音が聞こえた。<br> 鶴屋さんか。<br> 「あー、あっついにょろね~」<br> 一応見ないようには努力したさ。けどな・・・その・・・なんとういか・・・<br> 少しぐらいは隠したほうがいいですよ。・・・鏡で見てしまった。<br> そしてこっから俺の息子があー!・・・なんともなかった。<br> 不思議だねえ。まあ、つまり俺は、鶴屋さんを受け入れてしまったということか。<br> (今日だけなんだよな、この関係・・・)<br> っておい俺。何考えてやがる。なんで残念がっているんだよ。<br> <br> <br> <br> <br> <br>

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