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涼宮ジョジョの奇妙な憂鬱」(2020/08/20 (木) 17:24:18) の最新版変更点

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その日、俺は面倒臭い掃除当番という激務をこなしてから部室に向かった。<br> この俺が部室にいなかった30分の間に、コトは始まっていたのだと考えるのが妥当だと思われる。<br> 詳しい日時は知ったことじゃないが、俺は既に罠にはまっていたのだ。<br> <br> <br>       ガチャリ<br> <br> 「お、今日はもう全員揃っているのか」<br> 「遅いわよキョン! もう活動は始まってるんだからね!」<br> <br> 俺が部室に入った時、古泉はトランプでソリティアを遊び、<br> 長門はいつも通りの位置で本を読み、朝比奈さんはちょうどお茶を淹れようとしていた所だった。<br> ハルヒは団長席にどっかり腰を据えてパソコンをいじっていたりする。<br> 俺はそのまま適当なパイプ椅子に座り、ハルヒが変なことを何か言い出してやしないか、表情を横目で確認したりした。<br> そう、ここまでは普通だったのだ。<br> 長門は相変わらずの無表情だったが、朝比奈さんも古泉もそれまでは普通に微笑んでいた。<br> ハルヒも割合機嫌は良さそうだったのだ。<br> <br> 「あ、キョンくん。今お茶淹れる所ですけれど、飲みますか?」<br> 「それじゃあ、一杯頂きますよ」<br> <br> 俺がそう答えたのが、今回の騒動の始まりだった。<br> <br> 「だが断る」<br> 「………え?」<br> 「だが断る、と言っているんだ」<br> <br> 朝比奈さんが顔に壮絶な程の冷徹な表情を作りながら、<br> メイド服に包まれた豊かな胸を堂々と張って宣言していた。<br> <br> 「ど、どういうことですか朝比奈さん?」<br> 「ふん。この朝比奈みくるの最も好きなことの一つは、<br>  あたしのお茶をタダ飲みするヤツに『NO』と断ってやることだ」<br> <br> これが、あの小心者で童顔巨乳の未来人上級生の言葉だろうか?<br> いつも丁寧語で、下級生の俺にも優しく接してくれていたあの朝比奈さんの言葉とは、到底思えない。<br> <br> 「なんの冗談です? お礼を言わなかったのが悪かったなら謝りますから……」<br> 「この朝比奈みくるが、お礼やちやほやされるためにお茶を淹れていると思っていたのかァーーーーッ!<br>  わたしは『飲んで貰うため』にお茶を淹れいてる! 『飲んで貰うため』ただそれだけのためだ!<br>  単純なただ一つの理由だが、それ以外はどうでもいいのだ! バカにするんじゃあない!」<br> <br> バチャと中身を撒き散らしながら、湯飲みがテーブルに叩き付けられた。<br> ダメだ……どうしてこんなに俺が怒られているのか、全然理解ができない。<br> こと朝比奈さんがこんなに激怒するなんて、俺は一体どんなことをやったんだ……。<br> 俺はオロオロと周りを見渡した。<br> 誰かに、怒っている朝比奈さんとの渡りをつけて欲しかったのだ。<br> <br> 「……………」<br> <br> 長門と目があった。あの冷静な長門なら、この状況に的確な助言をくれるかも知れない。<br> そう思って取り敢えず(助けてくれ!)と視線を送る。<br> <br> 「……よくぞ聞いてくれた。わたしは宇宙人。『ヌ・ユキタカゾ・ンシ』。年齢は216歳」<br> <br> い、意味がわからん。確かにお前は宇宙人だが、そんな名前じゃなかっただろ。<br> <br> 「良い友情関係には3つの『U』が必要」<br> 「今度こそマトモなアドバイスか?」<br> 「3つの『U』」<br> 「…………? わからん。聞いたことないぞ3つの『U』なんて」<br> 「『うそをつかない』。『羨まない』。『敬う』。友情の3つの『U』」<br> <br> 知らん。<br> <br> 「『うそをつかない』。『羨まない』。『敬う』」<br> <br> わからん。<br> <br> 「1度でいい事を、2度言わなければならないのは、あなたが低脳だから」<br> <br> ひ、ひでぇ! そんなことまで言わなくてもいいじゃないか。<br> 俺が一体何をしたって言うんだよ。朝比奈さんも長門も……。<br> <br> 「キョン。あんた本当にわかっていないの?<br>  あんたは、自分が『悪』だと気付いていない、もっともドス黒い『悪』ね!」<br> <br> ハルヒまで!<br> <br> 「どうやら、あなたは流れが読めていなかったようですね。<br>  今、団員全員で『ジョジョの奇妙な冒険』のセリフで会話をしていた所だったんですよ」<br> 「古泉くん、団長を差し置いていきなりネタバレする気!?」<br> 「仕方ないと思いますよ。彼は『ジョジョ』を全く知らないようですから。これではゲームになりません」<br> <br> 助かったぞ古泉。<br> 確かに俺は、その『ジョジョのなんたらかんたら』とやらを一度も読んだことがない。<br> いきなり罵られて危うくリアルで泣きが入るところだった。<br> <br> 「でも、まだ古泉くんはセリフを言ってないのよ。このままだとキョンと一緒に罰ゲームだらかね!」<br> 「おいおい、ゲームに参加できてない俺は罰ゲーム直行か?」<br> 「団員は強制参加よ! だいたい一般常識問題なんだからね、ジョジョの名ゼリフは!」<br> <br> それは本当か? あの長門や朝比奈さんまで知っているとなると、なんだか反論し辛いな。<br> <br> 「まぁまぁ涼宮さん。僕が、自分の回答と彼への罰ゲームを一緒にやれば問題はないでしょう?」<br> 「あ、そういうことね。それなら構わないわ」<br> <br> ん? ハルヒが凄い勢いで頷いているが……どういうことだ。<br> <br> 「つまりこういうことです。『ようこそ男の世界へ』ッ!」<br> 「ま、待て、なんで俺のズボンに手をかける。下げるなちょっと待てちょっと」<br> 「(震えるキョンたんに)震えるぞハート! 燃え尽きる程(股間が)ヒート!<br>  ふぅーーーーーーーんもっふゥーーーーーーーーーーーーーーーッ!」<br> 「あ、アナルだけは! アナルだけは………アッー!」<br> <br> <br> ハルヒ&長門&みくる「やれやれだぜ」<br>
<p>その日、俺は面倒臭い掃除当番という激務をこなしてから部室に向かった。<br /> この俺が部室にいなかった30分の間に、コトは始まっていたのだと考えるのが妥当だと思われる。<br /> 詳しい日時は知ったことじゃないが、俺は既に罠にはまっていたのだ。<br /> <br /> <br />       ガチャリ<br /> <br /> 「お、今日はもう全員揃っているのか」<br /> 「遅いわよキョン! もう活動は始まってるんだからね!」<br /> <br /> 俺が部室に入った時、古泉はトランプでソリティアを遊び、<br /> 長門はいつも通りの位置で本を読み、朝比奈さんはちょうどお茶を淹れようとしていた所だった。<br /> ハルヒは団長席にどっかり腰を据えてパソコンをいじっていたりする。<br /> 俺はそのまま適当なパイプ椅子に座り、ハルヒが変なことを何か言い出してやしないか、表情を横目で確認したりした。<br /> そう、ここまでは普通だったのだ。<br /> 長門は相変わらずの無表情だったが、朝比奈さんも古泉もそれまでは普通に微笑んでいた。<br /> ハルヒも割合機嫌は良さそうだったのだ。<br /> <br /> 「あ、キョンくん。今お茶淹れる所ですけれど、飲みますか?」<br /> 「それじゃあ、一杯頂きますよ」<br /> <br /> 俺がそう答えたのが、今回の騒動の始まりだった。<br /> <br /> 「だが断る」<br /> 「………え?」<br /> 「だが断る、と言っているんだ」<br /> <br /> 朝比奈さんが顔に壮絶な程の冷徹な表情を作りながら、<br /> メイド服に包まれた豊かな胸を堂々と張って宣言していた。<br /> <br /> 「ど、どういうことですか朝比奈さん?」<br /> 「ふん。この朝比奈みくるの最も好きなことの一つは、<br />  あたしのお茶をタダ飲みするヤツに『NO』と断ってやることだ」<br /> <br /> これが、あの小心者で童顔巨乳の未来人上級生の言葉だろうか?<br /> いつも丁寧語で、下級生の俺にも優しく接してくれていたあの朝比奈さんの言葉とは、到底思えない。<br /> <br /> 「なんの冗談です? お礼を言わなかったのが悪かったなら謝りますから……」<br /> 「この朝比奈みくるが、お礼やちやほやされるためにお茶を淹れていると思っていたのかァーーーーッ!<br />  わたしは『飲んで貰うため』にお茶を淹れいてる! 『飲んで貰うため』ただそれだけのためだ!<br />  単純なただ一つの理由だが、それ以外はどうでもいいのだ! バカにするんじゃあない!」<br /> <br /> バチャと中身を撒き散らしながら、湯飲みがテーブルに叩き付けられた。<br /> ダメだ……どうしてこんなに俺が怒られているのか、全然理解ができない。<br /> こと朝比奈さんがこんなに激怒するなんて、俺は一体どんなことをやったんだ……。<br /> 俺はオロオロと周りを見渡した。<br /> 誰かに、怒っている朝比奈さんとの渡りをつけて欲しかったのだ。<br /> <br /> 「……………」<br /> <br /> 長門と目があった。あの冷静な長門なら、この状況に的確な助言をくれるかも知れない。<br /> そう思って取り敢えず(助けてくれ!)と視線を送る。<br /> <br /> 「……よくぞ聞いてくれた。わたしは宇宙人。『ヌ・ユキタカゾ・ンシ』。年齢は216歳」<br /> <br /> い、意味がわからん。確かにお前は宇宙人だが、そんな名前じゃなかっただろ。<br /> <br /> 「良い友情関係には3つの『U』が必要」<br /> 「今度こそマトモなアドバイスか?」<br /> 「3つの『U』」<br /> 「…………? わからん。聞いたことないぞ3つの『U』なんて」<br /> 「『うそをつかない』。『羨まない』。『敬う』。友情の3つの『U』」<br /> <br /> 知らん。<br /> <br /> 「『うそをつかない』。『羨まない』。『敬う』」<br /> <br /> わからん。<br /> <br /> 「1度でいい事を、2度言わなければならないのは、あなたが低脳だから」<br /> <br /> ひ、ひでぇ! そんなことまで言わなくてもいいじゃないか。<br /> 俺が一体何をしたって言うんだよ。朝比奈さんも長門も……。<br /> <br /> 「キョン。あんた本当にわかっていないの?<br />  あんたは、自分が『悪』だと気付いていない、もっともドス黒い『悪』ね!」<br /> <br /> ハルヒまで!<br /> <br /> 「どうやら、あなたは流れが読めていなかったようですね。<br />  今、団員全員で『ジョジョの奇妙な冒険』のセリフで会話をしていた所だったんですよ」<br /> 「古泉くん、団長を差し置いていきなりネタバレする気!?」<br /> 「仕方ないと思いますよ。彼は『ジョジョ』を全く知らないようですから。これではゲームになりません」<br /> <br /> 助かったぞ古泉。<br /> 確かに俺は、その『ジョジョのなんたらかんたら』とやらを一度も読んだことがない。<br /> いきなり罵られて危うくリアルで泣きが入るところだった。<br /> <br /> 「でも、まだ古泉くんはセリフを言ってないのよ。このままだとキョンと一緒に罰ゲームだらかね!」<br /> 「おいおい、ゲームに参加できてない俺は罰ゲーム直行か?」<br /> 「団員は強制参加よ! だいたい一般常識問題なんだからね、ジョジョの名ゼリフは!」<br /> <br /> それは本当か? あの長門や朝比奈さんまで知っているとなると、なんだか反論し辛いな。<br /> <br /> 「まぁまぁ涼宮さん。僕が、自分の回答と彼への罰ゲームを一緒にやれば問題はないでしょう?」<br /> 「あ、そういうことね。それなら構わないわ」<br /> <br /> ん? ハルヒが凄い勢いで頷いているが……どういうことだ。<br /> <br /> 「つまりこういうことです。『ようこそ男の世界へ』ッ!」<br /> 「ま、待て、なんで俺のズボンに手をかける。下げるなちょっと待てちょっと」<br /> 「(震えるキョンたんに)震えるぞハート! 燃え尽きる程(股間が)ヒート!<br />  ふぅーーーーーーーんもっふゥーーーーーーーーーーーーーーーッ!」<br /> 「あ、アナルだけは! アナルだけは………アッー!」<br /> <br /> <br /> ハルヒ&長門&みくる「やれやれだぜ」</p>

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