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凡人に泣いた日」(2020/03/13 (金) 00:56:51) の最新版変更点

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ある日、珍しくハルヒとのペアで不思議探索をしている時のことであった。<br> デート中にでも見えたのだろうか…頭の悪そうな不良に絡まれてしまった。<br> しかし、さすがにハルヒが相手では分が悪い。<br> 不良は口で罵倒されて、プッツンして手を出してきても、軽く一蹴。<br> …いや、なんかもう、ご愁傷様としか言いようがないね。<br> おめおめと逃げ帰る不良たちの後ろ姿は情けなかった。<br> ところが話はこれでは終わらなかった。<br> みっともない話だが、ハルヒにはかなわないと判断した不良たちは<br> 一般的凡人の象徴とも言える、俺に標的を絞ってきたのだ。<br> <br> 「は、はは…情け…ない、の…は、俺…のほう…じゃ、ねぇ…かよ…」<br> <br> 声にならない、自分のモノローグに対する空しいツッコミが夕方の空に響いて消える。<br> 待ち伏せをくらった、凡人たる俺は不良たちに勝てるはずもなく<br> 人通りのほとんどない道の脇に放置されている。<br> 動きたくても、動けない。助けを呼びたくても、呼べない。<br> 両腕・両肩・両すね・両腿の骨を折られ、喉も潰されてる。<br> 不意に涙がこぼれた。<br> ハルヒに責任を押しつける気などない。不良たちへの憎悪でもない。<br> <br> ただ…自分が情けなかった…<br> <br> 俺は…いつも、みんなのお荷物にしかなりゃしないじゃないか。<br> 自分が凡人に生まれてきたことをこれほど恨んだことはない。<br> 声のあげられない涙を流していると、遠くから足音が聞こえてきた。<br> <br> 「キョン!!!」<br> ハ、ハルヒ…?なぜ、ここに…?<br> 「どうしたの!?誰にやられたの!?っ!もしかして…あの不良たちの仕業!?」<br> ハルヒが目に涙を溜めながら続けて言う。<br> 「ごめんね、キョン…あたしの…あたしのせい、だよね…」<br> 違う…違うんだ、ハルヒ…<br> 「あたしを許して、とは言わない…言えないけど…あいつらだけは…キョンをこんなにした、あいつらだけは…あたしが許さない!」<br> ハルヒの背中から、どんよりとした負の感情が立ち上っているのを、俺は感じた。<br> 「ダ、メだ…い、行か…ない、で…くれ…ハ、ル…ヒ…」<br> 俺は、音の鳴らない声をあげて、必死にハルヒを呼び止めた。<br> <br> 「キョン…?」<br> お前は、悪くないんだ…俺がただ、何の力もない凡人なのが、いけなかったんだ…<br> 途切れ途切れの、死にかけの人間ような俺の言葉を、ハルヒは黙って聞いていた。<br> <br> 迷惑、ばっかかけちまって…ごめんな…<br> 俺は心の底から、そう思った。<br> <br> 「ううん!そんなことない!キョンは…迷惑なんか掛けてないわよ!!」<br> ハルヒ…?<br> ハルヒがボロ布のような、俺の体を抱きしめながら、言った。<br> 不思議と、ハルヒに抱かれているはずの俺の体には、痛みはなかった。<br> 「迷惑かけてばっかなのは…あたしのほうよ…」<br> ハルヒ…だが、俺がこんな凡人じゃなかったら…<br> 「いいのよ!キョンが凡人だろうと!あたしにとって、キョンは《特別な人》なんだから!」<br> ハルヒ………<br> 「だから…そんなに自分を責めないで…あたしにはキョンが必要なの…」<br> 俺から、自分を卑下する感情が消えていった。<br> は、ははは……<br> 「キョン?」<br> ハルヒ…お前も、さっきから自分のことを責めてるじゃないか…<br> 「あ…あたしは別にいいのよ!」<br> 何だよそりゃ?ハルヒ、お前は俺にとっての《特別な人》なんだから、そう自分を責めるなよ…?<br> <br> 「キョン…」<br> <br> 俺とハルヒは見つめ合い、そのまま……<br> <br> ―――その頃………<br> <br> 「おんどれらぁ!!よくも僕のキョンタンをぉぉ―――!!!!」<br> 「な、なんだお前は…」<br> 「問答無用!ふんもっふ!ふんもっふ!ふんもっふ!」<br> 「アッー!!!!」<br> <br> オチなしHappy end...<br>
<p>ある日、珍しくハルヒとのペアで不思議探索をしている時のことであった。<br /> デート中にでも見えたのだろうか…頭の悪そうな不良に絡まれてしまった。<br /> しかし、さすがにハルヒが相手では分が悪い。<br /> 不良は口で罵倒されて、プッツンして手を出してきても、軽く一蹴。<br /> …いや、なんかもう、ご愁傷様としか言いようがないね。<br /> おめおめと逃げ帰る不良たちの後ろ姿は情けなかった。<br /> ところが話はこれでは終わらなかった。<br /> みっともない話だが、ハルヒにはかなわないと判断した不良たちは<br /> 一般的凡人の象徴とも言える、俺に標的を絞ってきたのだ。<br /> <br /> 「は、はは…情け…ない、の…は、俺…のほう…じゃ、ねぇ…かよ…」<br /> <br /> 声にならない、自分のモノローグに対する空しいツッコミが夕方の空に響いて消える。<br /> 待ち伏せをくらった、凡人たる俺は不良たちに勝てるはずもなく<br /> 人通りのほとんどない道の脇に放置されている。<br /> 動きたくても、動けない。助けを呼びたくても、呼べない。<br /> 両腕・両肩・両すね・両腿の骨を折られ、喉も潰されてる。<br /> 不意に涙がこぼれた。<br /> ハルヒに責任を押しつける気などない。不良たちへの憎悪でもない。<br /> <br /> ただ…自分が情けなかった…<br /> <br /> 俺は…いつも、みんなのお荷物にしかなりゃしないじゃないか。<br /> 自分が凡人に生まれてきたことをこれほど恨んだことはない。<br /> 声のあげられない涙を流していると、遠くから足音が聞こえてきた。<br /> <br /> 「キョン!!!」<br /> ハ、ハルヒ…?なぜ、ここに…?<br /> 「どうしたの!?誰にやられたの!?っ!もしかして…あの不良たちの仕業!?」<br /> ハルヒが目に涙を溜めながら続けて言う。<br /> 「ごめんね、キョン…あたしの…あたしのせい、だよね…」<br /> 違う…違うんだ、ハルヒ…<br /> 「あたしを許して、とは言わない…言えないけど…あいつらだけは…キョンをこんなにした、あいつらだけは…あたしが許さない!」<br /> ハルヒの背中から、どんよりとした負の感情が立ち上っているのを、俺は感じた。<br /> 「ダ、メだ…い、行か…ない、で…くれ…ハ、ル…ヒ…」<br /> 俺は、音の鳴らない声をあげて、必死にハルヒを呼び止めた。<br /> <br /> 「キョン…?」<br /> お前は、悪くないんだ…俺がただ、何の力もない凡人なのが、いけなかったんだ…<br /> 途切れ途切れの、死にかけの人間ような俺の言葉を、ハルヒは黙って聞いていた。<br /> <br /> 迷惑、ばっかかけちまって…ごめんな…<br /> 俺は心の底から、そう思った。<br /> <br /> 「ううん!そんなことない!キョンは…迷惑なんか掛けてないわよ!!」<br /> ハルヒ…?<br /> ハルヒがボロ布のような、俺の体を抱きしめながら、言った。<br /> 不思議と、ハルヒに抱かれているはずの俺の体には、痛みはなかった。<br /> 「迷惑かけてばっかなのは…あたしのほうよ…」<br /> ハルヒ…だが、俺がこんな凡人じゃなかったら…<br /> 「いいのよ!キョンが凡人だろうと!あたしにとって、キョンは《特別な人》なんだから!」<br /> ハルヒ………<br /> 「だから…そんなに自分を責めないで…あたしにはキョンが必要なの…」<br /> 俺から、自分を卑下する感情が消えていった。<br /> は、ははは……<br /> 「キョン?」<br /> ハルヒ…お前も、さっきから自分のことを責めてるじゃないか…<br /> 「あ…あたしは別にいいのよ!」<br /> 何だよそりゃ?ハルヒ、お前は俺にとっての《特別な人》なんだから、そう自分を責めるなよ…?<br /> <br /> 「キョン…」<br /> <br /> 俺とハルヒは見つめ合い、そのまま……<br /> <br /> ―――その頃………<br /> <br /> 「おんどれらぁ!!よくも僕のキョンタンをぉぉ―――!!!!」<br /> 「な、なんだお前は…」<br /> 「問答無用!ふんもっふ!ふんもっふ!ふんもっふ!」<br /> 「アッー!!!!」<br /> <br /> オチなしHappy end...</p>

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