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本命は誰だ」(2020/05/20 (水) 08:54:28) の最新版変更点

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<div class="main"> <div>私はキョンと付き合いだしてから三ヶ月になる。<br> 告白したのは私。キョンによく我が儘を言うからOK貰えるなんて思ってなかったの<br> だから勇気を出してみて本当に良かったと思ってる。<br> 付き合い出してからの毎日は楽しいわ。まるで人生がかわったみたい!<br> ・・・ただ一つだけ問題があるの。<br> 三ヶ月付き合っててもキスで止まっちゃってるってこと。<br> 私はもっとガンガン先に進みたいのに・・・。<br> もちろんそんなことキョンには言えないけどね。<br> あ、もう部室に行かなくちゃ<br></div> <br> <br> <div> 「ごめーん!!掃除当番だったから遅くなっちゃったわ」<br> 私はいつもどおり勢いよく部室の扉を開けた<br> 「すす涼宮さん!?い、今お茶いれますね」<br> ・・・驚いたのかしら?みくるちゃんらしいわねと思いながら私はキョンに話しかけた<br> 「あれ?アンタとみくるちゃんだけ?」<br> 「あぁ、古泉と長門は掃除当番だ」<br> 「ふーん」<br> 随分素っ気ない会話だけどそれは仕方ない。<br> だってキョンと私が付き合ってるのは皆には内緒だから。<br> 内緒にしようと言い出したのはキョン。理由は恥ずかしいからなんですって。<br> それを聞いたときキョンが可愛く見えて思わず抱きしめちゃった。<br> ・・・あんまりキョンのことを考えてると顔がにやけちゃうからそろそろやめないと。<br> 「涼宮さん。お茶ですぅー・・・あれ?なんかにやけてますよ?」<br> まずい!!すでに顔に出てた!!<br> 私はごまかすようにみくるちゃんの入れてくれたお茶を一気飲みした。<br> </div> <br> <div> その後古泉君と有希が来て何事もなく今日の部活は終わった。<br> このまま何も無ければよかったのに…。<br></div> <br> <div> もちろん帰るのは団員全員で。少し残念だけど私は今これで満足してる。<br> 右隣にはみくるちゃんその反対には有希。少し後に古泉君とキョン。<br> 少しだけ古泉君が羨ましいわ。<br> しばらく歩くとそれぞれの家の方向に皆バラバラ別れる。<br> 「じゃあ明日ね!!」<br> 私は皆大きく手を振った。<br> 古泉君はではと言って、みくるちゃんははいまた明日と言って、<br> 有希は何も言わずに、キョンはまたなと言って、家に帰っていった。<br> 私は少し歩いてからすぐに引き返した。<br> なんでって?決まってるじゃない。キョンの家に行くためよ。<br> ・・・でも大丈夫かしら?いきなり行ったりして。大丈夫よね!!だって私彼女だし。<br> そう思いながらキョンの家の方向に急いだ。<br> 私はこの行動を後からひどく後悔することになる。<br></div> <br> <div> 急いで歩いたせいかキョンにはすぐに追いついた。でも私は近づかなかった。<br> ・・・隣にいるのは誰?・・・あれは・・・有希だ!!<br> なんで?どうして?疑問が頭を支配する。<br> 別に家の方向一緒じゃないでしょ?<br> 嫌な予感がする。<br> やめて。なんでそんなに楽しそうに喋ってるの?<br> さっさとキョンに話しかければいいじゃない?<br> 色んな不安がグルグルして思考がまとまらい。<br> 頭はぐちゃぐちゃでも二人から目が離せない。<br> そのうえ二人から見えない場所に移動してる。<br> やめて、やめて、やめて<br> そう思いながら見ている私を他所に<br></div> <br> <div>キョンと有希はキスをした<br></div> <br> <div> あの現場を目撃した後、私は逃げるように家に帰った<br> 色んなことを考えすぎて今日は眠れそうにない<br> 嘘?嘘でしょ?なんでキョンと有希が…だって私はキョンと付き合ってるのよ?<br> 何で?どうして?訳わかんない。<br> ……うわき?よりによって有希と?<br> 考えたくない。<br> 初めてのデートの時に楽しそうだったキョン<br> 初めて手を繋いだ時恥ずかしいそうだったキョン<br> 初めてキスした時の少し顔が赤かったキョン<br> 全部嘘なの?そんなの嫌。絶対に嫌。<br> とにかく明日有希に問いただしてみよう。<br> そう思って私は無理矢理、目を閉じた<br></div> <br> <div> 次の日、私はキョンと一言も話さなかった。だって話せるわけないじゃない。<br> キョンは心配そうに「何かあったのか?」なんて聞いてきたけど私は完全無視した<br> 聞きたいことは色々ある。でも今の私がキョンと話したって喧嘩になるだけ。<br> そんなのは嫌<br> 責めるなら有希を責める<br> キョンは悪くない。悪くないって思いたい<br> 私は疑問と不安と苛立ちを抱え込みながら部活の時間のなるのを待った。<br> </div> <br> <div>帰りのHRが終わったと同時に私は教室を飛び出した<br> 視界の端でキョンがやれやれ…、みたいな顔のが見えた<br> 私がこんな気持ちなのはあんたのせいなのに何よその態度!!<br> 怒りが込み上げてくる。でも怒るにはまだ早い。<br> 怒るのは有希に話を聞いてからだ<br> 苛立ちを無理矢理抑えながら私は勢いよく部室の扉をあけた。<br> </div> <br> <div>部室には有希とみくるちゃんが居た。<br> 私は有希に怒鳴りつけてやろうと思っていたのに<br> そんなこと出来るような雰囲気じゃなかった<br> 有希はムカツクくらいいつもどおりに本を読んでいるけど<br> みくるちゃんが泣いている。別にみくるちゃんが泣く事は珍しいことじゃなかったけど<br> こんな泣きかたしてるのは初めて見た。<br> しかも制服のままだ。メイド服に着替える余裕すらないのかしら?<br> ・・・・それにしてもなんて悲しそうに泣いてるんだろう?<br> 本当は有希に聞きたいことがたくさんある<br> でもこんな泣きかたしてるみくるちゃんの前で修羅場を作るわけにはいかない<br> …団員になにかあった時助けてあげるのは団長の私じゃない?<br> みくるちゃんの話を聞いてあげてからでも遅くないでしょ?<br> そう自分に言い聞かせて気を落ち着かせた<br> 「みくるちゃん、何かあったの?」<br> 話し掛けながらみくるちゃんが座ってる席の正面に座った<br> ここなら有希も視界に入らないし。<br> みくるちゃんはハンカチで涙を拭きながら「実は…」と言いかけた。<br> それと同時に扉が開いた。<br> 一瞬キョンかと思ってドキッとして扉の方向を見たらそこに立っているのは古泉君だった<br> 泣いているみくるちゃんを見て不思議そうな顔をした古泉君が私に話し掛けてきた<br> 「どうかしたんですか?」<br> 私はちょっと考えて<br> 「…ごめん。急なんだけど、今日の部活休みになったの。だから帰っていいわよ」<br> それを聞いた古泉君は少し何か考えているようだった<br> 「分かりました。彼にもそう伝えておきますね」<br> 「そうしてちょうだい」<br> 「では、僕はこれで」<br> バタンと扉が閉まる。<br></div> <br> <div>「有希は残ってなさい」<br> 本を棚にしまっている有希に私は言った<br> そう言うと有希はまたいつもどおりに本を読み始めた<br> まったく…有希ったら古泉君と違って物分りが悪いわね。<br> まぁ、とにかくこれでみくるちゃんの話を落ち着いて聞くことができるわ<br> さっさとみくるちゃんの話を聞き終えて有希に色々聞きださないと<br> 有希のこと考えたらイライラしてきたわ…駄目今はみくるちゃんの話を聞かなくちゃ<br> 私はみくるちゃんに苛立ってることを悟られないように笑顔で話し掛けた<br> 「男が居たら話しづらい事でもここだったら好きなだけ話していいわよ。みくるちゃん」<br> 「…グスッ……ありがとう涼宮さん」<br> そんな無理して笑顔作らなくてもいいのに、今の私が言えたことではないけれど。<br> 落ち着いてからみくるちゃんはゆっくりと話を始めた。<br> 「その…私、付き合ってる人が居るんですけど」<br> 「その話初耳よ!!」<br> 「す、すいません…。…周りからのひやかしが嫌で黙ってたんです」<br> 「団員が団長に隠し事するなんて駄目じゃないの!!」<br> 「ご、ごめんなさぁい!!」<br> 「・・・・まぁいいわ。で?」<br> 「ご、ごめんなさい…。で…その・・・・えーっと」<br> みくるちゃんは話しづらそうに口を動かしている<br> 「何話しても怒らないわよ。早く話しなさい」<br> 「…驚かないでくださいね?」<br> 「大丈夫よ。早く話して」<br> 昨日の出来事よりも驚くことなんて絶対ないから<br> するとみくるちゃんは再び口を動かし始めた。<br> 「…私、その…二股かけられてたんです」<br> 「みくるちゃんにそんなことするなんて凄い度胸ねその男。でそれがショックで泣いて<br> たの?大丈夫よ。明日あたり私が絞めてあげるから。そいつ誰?同じがっ…」<br> 「ち、違うんです!!」<br> 珍しくみくるちゃんが大きな声を出したから私は少しビックリして黙った<br> </div> <br> <div>「す、すいません。話にはまだ続きがあるんです」<br> 「…わかったわ。それで?」<br> 聞きたいことを抑えて私は大人しく聞くことにした<br> 「・・・・二股かけてた相手の子が私のお友達で…えーっと…鶴屋さんで…」<br> 私はかなり驚いた。<br> みくるちゃんと鶴屋さんを手玉にとって同時に付き合ってたの?<br> そんな大物いたっけ?この学校に…?<br> 「それで…その…その男の子が…」<br> いよいよ本題ね。みくるちゃんと鶴屋さんをもて遊んだ最低男の名前。<br> 絶対私がブン殴ってやるわ。…でも知らない人だったらどうしよう。<br> まぁいい。そのときはそのときだ。<br> しかしみくるちゃんが口にした人物の名は私がよく知ってる人だった<br> しかも今一番聞きたくない名前<br></div> <br> <div>「実は…キョンくんなんです」<br></div> <br> <div> 硬直した私の後ろで有希が本を落とす音が聞こえた <br></div> <br> <div> 私は呆然としていた。怒る事も悲しむ事も出来なかった<br> …どういうこと?キョンこれは一体何なの?<br> 「彼は私と交際している」<br> いつの間にか有希が私の隣にきて話しに加わっている。<br> みくるちゃんの話が衝撃的すぎて有希に起こる気をなくしちゃったわ。むかつくけど<br> 「えぇ!!な、な、長門さんそれはどういうことですか!?」<br> 驚いてワタワタしてるみくるちゃんに私は言った。<br> 「私もキョンと付き合ってるわよ」<br> 「す、す涼宮さんまで!?」<br> みくるちゃんは驚いた顔からまた泣き顔に戻っていく<br> 「ねぇ有希、昨日キョンとキスしてたでしょ?私見たんだけど」<br> 私の声は案外冷静だった<br> 有希は「そう」とだけ言って俯いた。<br> なによ?それだけ?というか会話終了?私は黙って唇を噛んだ<br> 誰も何も言わない。重い静寂が部屋を支配する。<br> そんな雰囲気に耐え切れなくなって<br> 「鶴屋さんを呼びましょ」<br> と言って私は鶴屋さんにメールをした<br></div> <br> <div> しばらくすると「なんの用だい?ハルにゃん!!」といつも通りの鶴屋さんが来た<br> でも部室にいるみくるちゃんを見て少し気まずそうな顔をする<br> みくるちゃんも有希も何も言わなさそうだったから私が話を切り出した<br> 「とりあいずどっか適当に座って。話が長くなるから」<br> 「もしかして…みくるから話聞いたのかい?…そのことだったら二人の問題だから…」<br> 鶴屋さんがそう言いかけた時以外にも有希が喋った。<br> 「それは違う。これは私達の問題」<br> 「・・・・どいうことだい?」<br> 「とにかく座って」<br> 私は鶴屋さんを無理矢理座らせた。<br> それからしばらくして私は鶴屋さんに説明を始めた<br></div> <br> <div>「…嘘だよね?ハルにゃん」<br> 笑顔じゃない笑顔で私に聞いてくる<br> 「全部本当のこと」<br> 有希が淡々と喋る。いつもより寂しそうな顔してる気がするけど。<br> そんな事を考えてるといきなり鶴屋さんが叫んだ<br> 「嘘だよっ!!キョンくんはあたしを抱きしめてくれたし、<br> 一緒に居て楽しいって言ってくれたよっ!?しかも来週で三ヶ月目だし!!」<br> 「私はとっくに三ヶ月目突入してるわよ」<br> 思わず私は言い返す<br> 「キスだってしてるさっ!!」<br> 「私だってしてるわよ」<br> 抑え込んでいた苛立ちがいきなり沸いてきた私は立ち上がって叫んだ<br> 「私のほうが長く付き合ってんのよ!?キョンとさっさと別れてよ!!!<br> 鶴屋さんだけじゃないわ、有希もみくるちゃんも!!!」<br> 「長く付き合ってるとか関係ないよ!!あたしはハルにゃんより<br> キョンくんを好きな自信があるよっ!!!!」<br> そう言いながら鶴屋さんは手で机を叩いて立ち上がった<br> 「そんなことあるわけないでしょ!!私の方がキョンのこと好きよ!!<br> キョンだって私のほうが好きって言ってくれるわよ!!」<br> 思考がぐちゃぐちゃで頭がまわらない。口が勝手に動く<br> 私と鶴屋さんの声を張り上げた言い合いは続く<br> 「でもハルにゃん凄い我が侭じゃないか!!キョンくんだってすぐ嫌になるよ!!」<br> 「鶴屋さんのその変な喋り方だって嫌になるに決まってるわ!!」<br> 「ハルにゃん友達少ないからお情けで付き合ってもらってるだけだよ!!」<br> 「鶴屋さんなんかみくちゃんのおまけみたいなもんでしょ!!??」<br> 「そんなことな…「やめてください!!」<br> みくるちゃんの叫び声が部室に響いた<br> 「今ここで言い争っても仕方ないじゃないですか…キョンくんが何を考えているかは<br> 分からないですよ。涼宮さんと鶴屋さんが怒りたくなるのも分かります…<br> でも私達が争っても無意味ですよ。だから二人とも落ち着いて下さい」<br> </div> <br> <div> みくるちゃんのいつもとは違う落ち着いた声に私は驚いた。もちろん鶴屋さんも。<br> 鶴屋さんは席について声を出して泣き出した。<br> 私は泣き出したい気持ちを抑えてみくるちゃんに謝った<br> 「…ごめんね」<br> 「いいんです。それよりどうしますか?キョンくんのこと」<br> そう言いながらみくるちゃんは鶴屋さんの背中をさすっている。優しいわねみくるちゃん<br> 「…全員でキョンの家に行くのはどう?」<br> 私はやけに冷静なみくるちゃんを見習って冷静に考えたのち一番よいであろう提案をした<br> 「それでいい」有希は言った<br> みくるちゃんはゆっくり頷き、鶴屋さんは泣きながら頷いた。<br> 「今週の土曜日の活動を休みにしましょ。どうせキョンのことだから<br> 寝てるに違いないわ。そこに皆で押しかけるの。それでいいわね?」<br> 「…それでどうするんですか?」<br> 「やっぱり…皆キョンのこと好きよね?」<br> 泣いたままの鶴屋さんが頷いた、はいと少し恥ずかしそうにみくるちゃん<br> …有希は頷き過ぎ<br> 「私ももちろんキョンが好きよ。・・・・それでねキョンに一人に絞ってもらうの<br> それで選ばれなかった人は諦める。いいわね?」<br> 私は三人を見回した。三人とも少し考えてから賛成してくれた。<br> 「とにかく次の土曜日までこの話は保留ね。あと私達がこの事に気付いたことは絶対<br> キョンにばれちゃ駄目よ?わかったわね?・・・・ということで今日はもう帰りましょ」<br> 私はこんなにも冷静な私自信に少し驚いていた。…みくるちゃんのお陰ね<br> そんなことを考えつつ私はみくるちゃん達をつれて部室を後にした。<br> </div> <br> <div> 「…さっきはありがとね。みくるちゃん。お陰で頭冷えたわ」<br> 帰り道私はみくるちゃんにお礼を言った。<br> 「お礼なんて…私偉そうなこと言っちゃって・・・・それにあの時私怒ってたんですよ?」<br> 「あんなに冷静だったのに?」<br> 「…涼宮さんと鶴屋さんが言い合ってるのを見て、キョンくんに対してイラッと<br> きたんです。だってキョンくんは私達が仲良いって知ってるんですよ?それを<br> 思ったら・・・・とにかく土曜日が楽しみですね」<br> そう言ってみくるちゃんはふふふと笑った。<br> 友情を大事にするのねみくるちゃんは。新しい一面を見た気がするわ…。<br> ちなみに私とみくるちゃんが話してる間、有希は鶴屋さんを慰めてたみたい。<br> 凄い珍しい光景だわ。<br> 帰り際鶴屋さんが私にさっきは本当にごめんよと小さい声で言ってきた<br> 私は慌てて私こそごめんって言っておいた<br></div> <br> <div>皆とわかれたあと、色んなことを考えて帰った<br> キョンはなんでこんなことをしたの?<br> みくるちゃんの言ってた通り私達は顔見知りでけっこう仲が良い。<br> キョンはそれを知っている。<br> ・・・・分かんない。本当に分かんない。<br> キョンの本当に好きな人は誰?<br> キョン、私には分からない。今あなたが考えてることが<br></div> <br> <div>私は立ち止まって少しだけ涙を流した<br></div> <br> <br> <div>金曜日はあっという間に過ぎて行った。<br> きっとキョンは私達がいつもどおりに振舞ってるふりをしてるなんて<br> 全然気付いてなかった。四股がばれてるなんて全然気付いてないのね。バカキョン。<br> 私は明日が来て欲しいような欲しくないような複雑な気持ちでベットに入った<br> </div> <br> <div>土曜日。運命の日がやってきた。<br> キョンとふられるかどうか決まる日。<br> …四股されても好きだなんておかしいのかもしれない。でも恋ってそういうものでしょ?<br> キョンが誰に恋をしているのかも今日でわかる。<br> みくるちゃんも有希も鶴屋さんも少し緊張しているようだ。…当たり前よね。<br> 私達の四人は会話のないままキョンの家に着いた。<br> 幸い家族は居なさそう。妹ちゃんの自転車はないし、車庫ある筈の車がない。<br> 私はインターホンを押した。<br> ヤバイ。なんか緊張してきた。<br> そのときガチャリとドアが開いた<br> 「はいー…ってハルヒ?っていうか長門も朝比奈さん、鶴屋さんまで」<br> ドアを開けたキョンは私達四人を見て驚いている。<br> 「上がるわよ」と言って私は中に入った。<br> 「ちょっと待て!!部屋には上げられないし今人が来てんだよ。<br> 玄関先でなら話を聞いてやっていいぞ。客が来てるから手短にしろよ」<br> そう言ってキョンは私を引きとめた。しかも結構慌てている。<br> 人が来てるって言ったわね。それにこの慌て様。絶対女連れ込んでるわ。<br> とにかくキョンと話をしないといけないので私たちは玄関まで入った。<br> 「なんだよ。話って」<br> 「このメンバーを見てもしらばっくれる気!?もう全部知ってるのよ」<br> 私はキョンの胸倉をつかんだ<br> 「涼宮さん…それじゃキョン君話せませんよ」…それもそうね。私はキョンを離して睨みつけた<br> 「あたなは私達と四人と同時期に付き合いだした。その理由が知りたい」<br> 「そーだよキョンくん!!」<br> 有希と鶴屋さんが口を開いた。<br></div> <br> <div>キョンは少し考えてから<br> 「丁度いい時に四人から告白されたから付き合っただけだよ」<br> なんですって?意味がわからない!!<br> 「ちょっと真面目に答えてよ!!しかも人が来てるって誰?新しい女!?」<br> 私は殴りたい気持ちを抑えて怒鳴りつけた。<br> 「そんなんじゃない、それに真面目に答えた」<br> もう駄目!!こいつぶん殴る!!そう思った時みくるちゃんが私をおさまえた<br> 「涼宮さん暴力は駄目です。…それにあの事聞かなくちゃ」<br> ・・・・そうだった。私達はキョンに選んでもらうために来たんだ。<br> 私は息を整えてから言った<br> 「キョン、アンタの本命を教えなさい」<br> 私達四人に緊張が走る。<br> キョンはまた何か考えてから口を開こうとした。<br> それと同時に奥の部屋から誰かがこっちにくる足音が聞こえた。<br> </div> <br> <div>「なにやってんだ?」<br> そこに立っていたのは谷口だった。…なによこいつか。女かと思ってた。<br> 「アンタちょっと席を外してなさい。今このバカキョンに大事な話をしてるの」<br> 「なんだよ大事な話って?」<br> 「…こいつ四股したのよ。しかも相手は私とみくるちゃんと有希と鶴屋さんよ」<br> 私がそう言った時、キョンはしまった、という顔をした。<br> 「へぇー四股か…。キョンお前お仕置きして欲しいのか?」<br> …は?何この異様な雰囲気。私達四人がポカンとしていると<br> キョンが説明するように話始めた<br> 「実は俺たち付き合ってんだよ。あ、ちなみに入学式の日からだ。<br> お互いに一目惚れしたんだよ。俺は谷口が好きだ。でもな思ったんだよ。<br> このまま男と付き合ってるだけでいいのかって。そう思ってた時に四人から<br> 告られたから丁度いいなと思って付き合うことにしたんだ。<br> それで最近気付いたんだよ。俺は谷口じゃなきゃ駄目だってな。」<br> そこまで一気に喋り終えたキョンは何やら恥ずかしそうに顔赤らめている。<br> そんなキョンに谷口は「嬉しいこと言ってくれんな。今日は頑張っちまうぞ」と言って<br> キョンの腰に手を回した。「バーカ。今日も、だろ」とキョンは嬉しそうに答えた。<br> 私達四人の思考は完全に止まっている。<br> 意味が分からないしまったく笑えない。<br> 固まって動けない私達を見てキョンは<br> 「まぁそういうことだから。あ、別れ話は月曜な」<br> と言って私達を無理矢理家から追い出した。<br></div> <br> <div>そして世界は終わった<br></div> <br> <div>完<br></div> </div> <!-- ad -->
<div class="main"> <div>私はキョンと付き合いだしてから三ヶ月になる。<br /> 告白したのは私。キョンによく我が儘を言うからOK貰えるなんて思ってなかったの<br /> だから勇気を出してみて本当に良かったと思ってる。<br /> 付き合い出してからの毎日は楽しいわ。まるで人生がかわったみたい!<br /> ・・・ただ一つだけ問題があるの。<br /> 三ヶ月付き合っててもキスで止まっちゃってるってこと。<br /> 私はもっとガンガン先に進みたいのに・・・。<br /> もちろんそんなことキョンには言えないけどね。<br /> あ、もう部室に行かなくちゃ</div>   <div>「ごめーん!!掃除当番だったから遅くなっちゃったわ」<br /> 私はいつもどおり勢いよく部室の扉を開けた<br /> 「すす涼宮さん!?い、今お茶いれますね」<br /> ・・・驚いたのかしら?みくるちゃんらしいわねと思いながら私はキョンに話しかけた<br /> 「あれ?アンタとみくるちゃんだけ?」<br /> 「あぁ、古泉と長門は掃除当番だ」<br /> 「ふーん」<br /> 随分素っ気ない会話だけどそれは仕方ない。<br /> だってキョンと私が付き合ってるのは皆には内緒だから。<br /> 内緒にしようと言い出したのはキョン。理由は恥ずかしいからなんですって。<br /> それを聞いたときキョンが可愛く見えて思わず抱きしめちゃった。<br /> ・・・あんまりキョンのことを考えてると顔がにやけちゃうからそろそろやめないと。<br /> 「涼宮さん。お茶ですぅー・・・あれ?なんかにやけてますよ?」<br /> まずい!!すでに顔に出てた!!<br /> 私はごまかすようにみくるちゃんの入れてくれたお茶を一気飲みした。</div>   <div>その後古泉君と有希が来て何事もなく今日の部活は終わった。<br /> このまま何も無ければよかったのに…。</div>   <div>もちろん帰るのは団員全員で。少し残念だけど私は今これで満足してる。<br /> 右隣にはみくるちゃんその反対には有希。少し後に古泉君とキョン。<br /> 少しだけ古泉君が羨ましいわ。<br /> しばらく歩くとそれぞれの家の方向に皆バラバラ別れる。<br /> 「じゃあ明日ね!!」<br /> 私は皆大きく手を振った。<br /> 古泉君はではと言って、みくるちゃんははいまた明日と言って、<br /> 有希は何も言わずに、キョンはまたなと言って、家に帰っていった。<br /> 私は少し歩いてからすぐに引き返した。<br /> なんでって?決まってるじゃない。キョンの家に行くためよ。<br /> ・・・でも大丈夫かしら?いきなり行ったりして。大丈夫よね!!だって私彼女だし。<br /> そう思いながらキョンの家の方向に急いだ。<br /> 私はこの行動を後からひどく後悔することになる。</div>   <div>急いで歩いたせいかキョンにはすぐに追いついた。でも私は近づかなかった。<br /> ・・・隣にいるのは誰?・・・あれは・・・有希だ!!<br /> なんで?どうして?疑問が頭を支配する。<br /> 別に家の方向一緒じゃないでしょ?<br /> 嫌な予感がする。<br /> やめて。なんでそんなに楽しそうに喋ってるの?<br /> さっさとキョンに話しかければいいじゃない?<br /> 色んな不安がグルグルして思考がまとまらい。<br /> 頭はぐちゃぐちゃでも二人から目が離せない。<br /> そのうえ二人から見えない場所に移動してる。<br /> やめて、やめて、やめて<br /> そう思いながら見ている私を他所に</div>   <div>キョンと有希はキスをした</div>   <div>あの現場を目撃した後、私は逃げるように家に帰った<br /> 色んなことを考えすぎて今日は眠れそうにない<br /> 嘘?嘘でしょ?なんでキョンと有希が…だって私はキョンと付き合ってるのよ?<br /> 何で?どうして?訳わかんない。<br /> ……うわき?よりによって有希と?<br /> 考えたくない。<br /> 初めてのデートの時に楽しそうだったキョン<br /> 初めて手を繋いだ時恥ずかしいそうだったキョン<br /> 初めてキスした時の少し顔が赤かったキョン<br /> 全部嘘なの?そんなの嫌。絶対に嫌。<br /> とにかく明日有希に問いただしてみよう。<br /> そう思って私は無理矢理、目を閉じた</div>   <div>次の日、私はキョンと一言も話さなかった。だって話せるわけないじゃない。<br /> キョンは心配そうに「何かあったのか?」なんて聞いてきたけど私は完全無視した<br /> 聞きたいことは色々ある。でも今の私がキョンと話したって喧嘩になるだけ。<br /> そんなのは嫌<br /> 責めるなら有希を責める<br /> キョンは悪くない。悪くないって思いたい<br /> 私は疑問と不安と苛立ちを抱え込みながら部活の時間のなるのを待った。</div>   <div>帰りのHRが終わったと同時に私は教室を飛び出した<br /> 視界の端でキョンがやれやれ…、みたいな顔のが見えた<br /> 私がこんな気持ちなのはあんたのせいなのに何よその態度!!<br /> 怒りが込み上げてくる。でも怒るにはまだ早い。<br /> 怒るのは有希に話を聞いてからだ<br /> 苛立ちを無理矢理抑えながら私は勢いよく部室の扉をあけた。</div>   <div>部室には有希とみくるちゃんが居た。<br /> 私は有希に怒鳴りつけてやろうと思っていたのに<br /> そんなこと出来るような雰囲気じゃなかった<br /> 有希はムカツクくらいいつもどおりに本を読んでいるけど<br /> みくるちゃんが泣いている。別にみくるちゃんが泣く事は珍しいことじゃなかったけど<br /> こんな泣きかたしてるのは初めて見た。<br /> しかも制服のままだ。メイド服に着替える余裕すらないのかしら?<br /> ・・・・それにしてもなんて悲しそうに泣いてるんだろう?<br /> 本当は有希に聞きたいことがたくさんある<br /> でもこんな泣きかたしてるみくるちゃんの前で修羅場を作るわけにはいかない<br /> …団員になにかあった時助けてあげるのは団長の私じゃない?<br /> みくるちゃんの話を聞いてあげてからでも遅くないでしょ?<br /> そう自分に言い聞かせて気を落ち着かせた<br /> 「みくるちゃん、何かあったの?」<br /> 話し掛けながらみくるちゃんが座ってる席の正面に座った<br /> ここなら有希も視界に入らないし。<br /> みくるちゃんはハンカチで涙を拭きながら「実は…」と言いかけた。<br /> それと同時に扉が開いた。<br /> 一瞬キョンかと思ってドキッとして扉の方向を見たらそこに立っているのは古泉君だった<br /> 泣いているみくるちゃんを見て不思議そうな顔をした古泉君が私に話し掛けてきた<br /> 「どうかしたんですか?」<br /> 私はちょっと考えて<br /> 「…ごめん。急なんだけど、今日の部活休みになったの。だから帰っていいわよ」<br /> それを聞いた古泉君は少し何か考えているようだった<br /> 「分かりました。彼にもそう伝えておきますね」<br /> 「そうしてちょうだい」<br /> 「では、僕はこれで」<br /> バタンと扉が閉まる。</div>   <div>「有希は残ってなさい」<br /> 本を棚にしまっている有希に私は言った<br /> そう言うと有希はまたいつもどおりに本を読み始めた<br /> まったく…有希ったら古泉君と違って物分りが悪いわね。<br /> まぁ、とにかくこれでみくるちゃんの話を落ち着いて聞くことができるわ<br /> さっさとみくるちゃんの話を聞き終えて有希に色々聞きださないと<br /> 有希のこと考えたらイライラしてきたわ…駄目今はみくるちゃんの話を聞かなくちゃ<br /> 私はみくるちゃんに苛立ってることを悟られないように笑顔で話し掛けた<br /> 「男が居たら話しづらい事でもここだったら好きなだけ話していいわよ。みくるちゃん」<br /> 「…グスッ……ありがとう涼宮さん」<br /> そんな無理して笑顔作らなくてもいいのに、今の私が言えたことではないけれど。<br /> 落ち着いてからみくるちゃんはゆっくりと話を始めた。<br /> 「その…私、付き合ってる人が居るんですけど」<br /> 「その話初耳よ!!」<br /> 「す、すいません…。…周りからのひやかしが嫌で黙ってたんです」<br /> 「団員が団長に隠し事するなんて駄目じゃないの!!」<br /> 「ご、ごめんなさぁい!!」<br /> 「・・・・まぁいいわ。で?」<br /> 「ご、ごめんなさい…。で…その・・・・えーっと」<br /> みくるちゃんは話しづらそうに口を動かしている<br /> 「何話しても怒らないわよ。早く話しなさい」<br /> 「…驚かないでくださいね?」<br /> 「大丈夫よ。早く話して」<br /> 昨日の出来事よりも驚くことなんて絶対ないから<br /> するとみくるちゃんは再び口を動かし始めた。<br /> 「…私、その…二股かけられてたんです」<br /> 「みくるちゃんにそんなことするなんて凄い度胸ねその男。でそれがショックで泣いて<br /> たの?大丈夫よ。明日あたり私が絞めてあげるから。そいつ誰?同じがっ…」<br /> 「ち、違うんです!!」<br /> 珍しくみくるちゃんが大きな声を出したから私は少しビックリして黙った</div>   <div>「す、すいません。話にはまだ続きがあるんです」<br /> 「…わかったわ。それで?」<br /> 聞きたいことを抑えて私は大人しく聞くことにした<br /> 「・・・・二股かけてた相手の子が私のお友達で…えーっと…鶴屋さんで…」<br /> 私はかなり驚いた。<br /> みくるちゃんと鶴屋さんを手玉にとって同時に付き合ってたの?<br /> そんな大物いたっけ?この学校に…?<br /> 「それで…その…その男の子が…」<br /> いよいよ本題ね。みくるちゃんと鶴屋さんをもて遊んだ最低男の名前。<br /> 絶対私がブン殴ってやるわ。…でも知らない人だったらどうしよう。<br /> まぁいい。そのときはそのときだ。<br /> しかしみくるちゃんが口にした人物の名は私がよく知ってる人だった<br /> しかも今一番聞きたくない名前</div>   <div>「実は…キョンくんなんです」</div>   <div>硬直した私の後ろで有希が本を落とす音が聞こえた </div>   <div>私は呆然としていた。怒る事も悲しむ事も出来なかった<br /> …どういうこと?キョンこれは一体何なの?<br /> 「彼は私と交際している」<br /> いつの間にか有希が私の隣にきて話しに加わっている。<br /> みくるちゃんの話が衝撃的すぎて有希に起こる気をなくしちゃったわ。むかつくけど<br /> 「えぇ!!な、な、長門さんそれはどういうことですか!?」<br /> 驚いてワタワタしてるみくるちゃんに私は言った。<br /> 「私もキョンと付き合ってるわよ」<br /> 「す、す涼宮さんまで!?」<br /> みくるちゃんは驚いた顔からまた泣き顔に戻っていく<br /> 「ねぇ有希、昨日キョンとキスしてたでしょ?私見たんだけど」<br /> 私の声は案外冷静だった<br /> 有希は「そう」とだけ言って俯いた。<br /> なによ?それだけ?というか会話終了?私は黙って唇を噛んだ<br /> 誰も何も言わない。重い静寂が部屋を支配する。<br /> そんな雰囲気に耐え切れなくなって<br /> 「鶴屋さんを呼びましょ」<br /> と言って私は鶴屋さんにメールをした</div>   <div>しばらくすると「なんの用だい?ハルにゃん!!」といつも通りの鶴屋さんが来た<br /> でも部室にいるみくるちゃんを見て少し気まずそうな顔をする<br /> みくるちゃんも有希も何も言わなさそうだったから私が話を切り出した<br /> 「とりあいずどっか適当に座って。話が長くなるから」<br /> 「もしかして…みくるから話聞いたのかい?…そのことだったら二人の問題だから…」<br /> 鶴屋さんがそう言いかけた時以外にも有希が喋った。<br /> 「それは違う。これは私達の問題」<br /> 「・・・・どいうことだい?」<br /> 「とにかく座って」<br /> 私は鶴屋さんを無理矢理座らせた。<br /> それからしばらくして私は鶴屋さんに説明を始めた</div>   <div>「…嘘だよね?ハルにゃん」<br /> 笑顔じゃない笑顔で私に聞いてくる<br /> 「全部本当のこと」<br /> 有希が淡々と喋る。いつもより寂しそうな顔してる気がするけど。<br /> そんな事を考えてるといきなり鶴屋さんが叫んだ<br /> 「嘘だよっ!!キョンくんはあたしを抱きしめてくれたし、<br /> 一緒に居て楽しいって言ってくれたよっ!?しかも来週で三ヶ月目だし!!」<br /> 「私はとっくに三ヶ月目突入してるわよ」<br /> 思わず私は言い返す<br /> 「キスだってしてるさっ!!」<br /> 「私だってしてるわよ」<br /> 抑え込んでいた苛立ちがいきなり沸いてきた私は立ち上がって叫んだ<br /> 「私のほうが長く付き合ってんのよ!?キョンとさっさと別れてよ!!!<br /> 鶴屋さんだけじゃないわ、有希もみくるちゃんも!!!」<br /> 「長く付き合ってるとか関係ないよ!!あたしはハルにゃんより<br /> キョンくんを好きな自信があるよっ!!!!」<br /> そう言いながら鶴屋さんは手で机を叩いて立ち上がった<br /> 「そんなことあるわけないでしょ!!私の方がキョンのこと好きよ!!<br /> キョンだって私のほうが好きって言ってくれるわよ!!」<br /> 思考がぐちゃぐちゃで頭がまわらない。口が勝手に動く<br /> 私と鶴屋さんの声を張り上げた言い合いは続く<br /> 「でもハルにゃん凄い我が侭じゃないか!!キョンくんだってすぐ嫌になるよ!!」<br /> 「鶴屋さんのその変な喋り方だって嫌になるに決まってるわ!!」<br /> 「ハルにゃん友達少ないからお情けで付き合ってもらってるだけだよ!!」<br /> 「鶴屋さんなんかみくちゃんのおまけみたいなもんでしょ!!??」<br /> 「そんなことな…「やめてください!!」<br /> みくるちゃんの叫び声が部室に響いた<br /> 「今ここで言い争っても仕方ないじゃないですか…キョンくんが何を考えているかは<br /> 分からないですよ。涼宮さんと鶴屋さんが怒りたくなるのも分かります…<br /> でも私達が争っても無意味ですよ。だから二人とも落ち着いて下さい」</div>   <div>みくるちゃんのいつもとは違う落ち着いた声に私は驚いた。もちろん鶴屋さんも。<br /> 鶴屋さんは席について声を出して泣き出した。<br /> 私は泣き出したい気持ちを抑えてみくるちゃんに謝った<br /> 「…ごめんね」<br /> 「いいんです。それよりどうしますか?キョンくんのこと」<br /> そう言いながらみくるちゃんは鶴屋さんの背中をさすっている。優しいわねみくるちゃん<br /> 「…全員でキョンの家に行くのはどう?」<br /> 私はやけに冷静なみくるちゃんを見習って冷静に考えたのち一番よいであろう提案をした<br /> 「それでいい」有希は言った<br /> みくるちゃんはゆっくり頷き、鶴屋さんは泣きながら頷いた。<br /> 「今週の土曜日の活動を休みにしましょ。どうせキョンのことだから<br /> 寝てるに違いないわ。そこに皆で押しかけるの。それでいいわね?」<br /> 「…それでどうするんですか?」<br /> 「やっぱり…皆キョンのこと好きよね?」<br /> 泣いたままの鶴屋さんが頷いた、はいと少し恥ずかしそうにみくるちゃん<br /> …有希は頷き過ぎ<br /> 「私ももちろんキョンが好きよ。・・・・それでねキョンに一人に絞ってもらうの<br /> それで選ばれなかった人は諦める。いいわね?」<br /> 私は三人を見回した。三人とも少し考えてから賛成してくれた。<br /> 「とにかく次の土曜日までこの話は保留ね。あと私達がこの事に気付いたことは絶対<br /> キョンにばれちゃ駄目よ?わかったわね?・・・・ということで今日はもう帰りましょ」<br /> 私はこんなにも冷静な私自信に少し驚いていた。…みくるちゃんのお陰ね<br /> そんなことを考えつつ私はみくるちゃん達をつれて部室を後にした。</div>   <div>「…さっきはありがとね。みくるちゃん。お陰で頭冷えたわ」<br /> 帰り道私はみくるちゃんにお礼を言った。<br /> 「お礼なんて…私偉そうなこと言っちゃって・・・・それにあの時私怒ってたんですよ?」<br /> 「あんなに冷静だったのに?」<br /> 「…涼宮さんと鶴屋さんが言い合ってるのを見て、キョンくんに対してイラッと<br /> きたんです。だってキョンくんは私達が仲良いって知ってるんですよ?それを<br /> 思ったら・・・・とにかく土曜日が楽しみですね」<br /> そう言ってみくるちゃんはふふふと笑った。<br /> 友情を大事にするのねみくるちゃんは。新しい一面を見た気がするわ…。<br /> ちなみに私とみくるちゃんが話してる間、有希は鶴屋さんを慰めてたみたい。<br /> 凄い珍しい光景だわ。<br /> 帰り際鶴屋さんが私にさっきは本当にごめんよと小さい声で言ってきた<br /> 私は慌てて私こそごめんって言っておいた</div>   <div>皆とわかれたあと、色んなことを考えて帰った<br /> キョンはなんでこんなことをしたの?<br /> みくるちゃんの言ってた通り私達は顔見知りでけっこう仲が良い。<br /> キョンはそれを知っている。<br /> ・・・・分かんない。本当に分かんない。<br /> キョンの本当に好きな人は誰?<br /> キョン、私には分からない。今あなたが考えてることが</div>   <div>私は立ち止まって少しだけ涙を流した</div>   <div>金曜日はあっという間に過ぎて行った。<br /> きっとキョンは私達がいつもどおりに振舞ってるふりをしてるなんて<br /> 全然気付いてなかった。四股がばれてるなんて全然気付いてないのね。バカキョン。<br /> 私は明日が来て欲しいような欲しくないような複雑な気持ちでベットに入った</div>   <div>土曜日。運命の日がやってきた。<br /> キョンとふられるかどうか決まる日。<br /> …四股されても好きだなんておかしいのかもしれない。でも恋ってそういうものでしょ?<br /> キョンが誰に恋をしているのかも今日でわかる。<br /> みくるちゃんも有希も鶴屋さんも少し緊張しているようだ。…当たり前よね。<br /> 私達の四人は会話のないままキョンの家に着いた。<br /> 幸い家族は居なさそう。妹ちゃんの自転車はないし、車庫ある筈の車がない。<br /> 私はインターホンを押した。<br /> ヤバイ。なんか緊張してきた。<br /> そのときガチャリとドアが開いた<br /> 「はいー…ってハルヒ?っていうか長門も朝比奈さん、鶴屋さんまで」<br /> ドアを開けたキョンは私達四人を見て驚いている。<br /> 「上がるわよ」と言って私は中に入った。<br /> 「ちょっと待て!!部屋には上げられないし今人が来てんだよ。<br /> 玄関先でなら話を聞いてやっていいぞ。客が来てるから手短にしろよ」<br /> そう言ってキョンは私を引きとめた。しかも結構慌てている。<br /> 人が来てるって言ったわね。それにこの慌て様。絶対女連れ込んでるわ。<br /> とにかくキョンと話をしないといけないので私たちは玄関まで入った。<br /> 「なんだよ。話って」<br /> 「このメンバーを見てもしらばっくれる気!?もう全部知ってるのよ」<br /> 私はキョンの胸倉をつかんだ<br /> 「涼宮さん…それじゃキョン君話せませんよ」…それもそうね。私はキョンを離して睨みつけた<br /> 「あたなは私達と四人と同時期に付き合いだした。その理由が知りたい」<br /> 「そーだよキョンくん!!」<br /> 有希と鶴屋さんが口を開いた。</div>   <div>キョンは少し考えてから<br /> 「丁度いい時に四人から告白されたから付き合っただけだよ」<br /> なんですって?意味がわからない!!<br /> 「ちょっと真面目に答えてよ!!しかも人が来てるって誰?新しい女!?」<br /> 私は殴りたい気持ちを抑えて怒鳴りつけた。<br /> 「そんなんじゃない、それに真面目に答えた」<br /> もう駄目!!こいつぶん殴る!!そう思った時みくるちゃんが私をおさまえた<br /> 「涼宮さん暴力は駄目です。…それにあの事聞かなくちゃ」<br /> ・・・・そうだった。私達はキョンに選んでもらうために来たんだ。<br /> 私は息を整えてから言った<br /> 「キョン、アンタの本命を教えなさい」<br /> 私達四人に緊張が走る。<br /> キョンはまた何か考えてから口を開こうとした。<br /> それと同時に奥の部屋から誰かがこっちにくる足音が聞こえた。</div>   <div>「なにやってんだ?」<br /> そこに立っていたのは谷口だった。…なによこいつか。女かと思ってた。<br /> 「アンタちょっと席を外してなさい。今このバカキョンに大事な話をしてるの」<br /> 「なんだよ大事な話って?」<br /> 「…こいつ四股したのよ。しかも相手は私とみくるちゃんと有希と鶴屋さんよ」<br /> 私がそう言った時、キョンはしまった、という顔をした。<br /> 「へぇー四股か…。キョンお前お仕置きして欲しいのか?」<br /> …は?何この異様な雰囲気。私達四人がポカンとしていると<br /> キョンが説明するように話始めた<br /> 「実は俺たち付き合ってんだよ。あ、ちなみに入学式の日からだ。<br /> お互いに一目惚れしたんだよ。俺は谷口が好きだ。でもな思ったんだよ。<br /> このまま男と付き合ってるだけでいいのかって。そう思ってた時に四人から<br /> 告られたから丁度いいなと思って付き合うことにしたんだ。<br /> それで最近気付いたんだよ。俺は谷口じゃなきゃ駄目だってな。」<br /> そこまで一気に喋り終えたキョンは何やら恥ずかしそうに顔赤らめている。<br /> そんなキョンに谷口は「嬉しいこと言ってくれんな。今日は頑張っちまうぞ」と言って<br /> キョンの腰に手を回した。「バーカ。今日も、だろ」とキョンは嬉しそうに答えた。<br /> 私達四人の思考は完全に止まっている。<br /> 意味が分からないしまったく笑えない。<br /> 固まって動けない私達を見てキョンは<br /> 「まぁそういうことだから。あ、別れ話は月曜な」<br /> と言って私達を無理矢理家から追い出した。</div>   <div>そして世界は終わった</div>   <div>完</div> </div>

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