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<div class="main"> <div> 「有希とキョンと一緒か……なかなかない組み合わせよね」<br> くそう、古泉の奴め。朝比奈さんと二人きりとは実に羨ましい。<br> こっちは宇宙人とトンデモ団長との三人旅だってのに。<br> 「さ、行くわよ!二人とも早くするっ!」<br> 俺はとりあえず会計を済ませ、先を歩く二人の背中を追いかけた。<br> 「どっちに行こうかしら。西側?それとも東側?二人ともどっちがいい?」<br> どうせどっちに行っても何も見つかりゃしないんだ。楽な道が多い方を選ぶか。<br> そう思って俺が口を開こうとした時だった。<br> 意外な人物がハルヒを怒らすような台詞を吐いたのだ。<br> 「図書館」<br> 長門よ……頼むからゴタゴタだけはやめてくれ。<br> 「ほほーう、有希。あんたいい度胸してるじゃない。図書館にどんな不思議があるのか今すぐ言いなさい」<br> ハルヒは少し怒っているようだ。そういえばハルヒが長門に怒ることは珍しいな。<br> 「不思議はない。だけど読書で知識を得ることと、心の平穏を得ることは大切」<br> 言ってることは間違ってないが、やってることは間違いだ。ハルヒに対しては火に油なんだよ。<br> 「何でよ、有希。いつもはあたしについてきてくれるのに、なんで今日はそんなにわがまま言うのよ!」<br> 少し考える様子を見せた後、長門はゆっくりと口を開いた。<br> 「……彼がいるから」<br> 俺って長門に頼りにされてるんだな。うれしいもんだ。<br> ……だからそんなに睨まないでくれよ、ハルヒ。<br> 「……だってさ。どうすんのよ、キョン。どっちでもいいからあんたが決めなさい」<br> どっちの機嫌も損ねない方法があったら教えてくれ。<br> まったく……しょうがない、ハルヒには後で埋め合わせするとしよう。<br> </div> <br> <div> とりあえずは図書館に行こう。そこでハルヒは俺と不思議を探すぞ。それじゃダメか?<br> 「……しょうがないわね。今日だけは有希に特別サービスしてあげるわ」<br> これにて、一件落着。<br> 三人で図書館に入り、すぐさま長門は大量に並べてある本の山へと足を進めて行った。<br> </div> <br> <div> 「あ~あ、あんたって本当に有希には優しいわよねぇ。……あたしには気を遣ってくれないくせに……」<br> ん?最後の方が聞こえなかったんだが……。<br> 「聞こえないように言ったのよ」<br> そうか。長門に優しいのは……なんだか世話したくならないか?あいつ見てるとさ。<br> 「なによ、あんたどこのお父さんよ」<br> じゃあお前がお母さんか?<br> 「ば、ば、バカ!……確かに有希はかわいいし、面倒みたくなるわよね」<br> だろ?だから今日は許してくれよ。何でも言うこと聞いてやるからさ。<br> 「ふぅん……何でも?」<br> 出来る範囲でな。<br> 「じゃあ、今日の夜に二人で探索やり直しね」<br> よ、夜って何時だよ。<br> 「九時からでいいわ。また駅前に集合ね」<br> やれやれ、これも自業自得って奴か。<br> まぁいいだろう。たまには星空の下で散歩ってのも悪くない。本当に何か出てきそうな気はするがな。<br> </div> <br> <div> しかし……読書と探索か。二人とも譲れない物を持ってるんだな。<br> 俺にもいつかそんな物が出来るだろうか。<br> 「キョン、有希。そろそろ時間だから戻るわよ!」<br> 俺と長門の腕を取り、晴れやかに笑うハルヒ。<br> とりあえずはこの笑顔を曇らせたくないってのが俺の譲れない物だな。<br> ……なぁ、ハルヒ。<br> 「なによ、バカキョン」<br> 夜の探索、楽しみにしてるぜ。絶対に何か見つけだそうな。<br> 「……あったり前じゃない!少しでもダラけたら……死刑だからねっ!」<br> 改めてハルヒの笑顔を見て、俺は微笑み返した。<br> 図書館から外に出ると、季節など関係無しに太陽光が照り付けてきた。<br> まるで、ハルヒの笑顔のようだな……。<br> 「ほらっ!バカキョン!早くしないと置いてくわよ!」<br> 何がうれしいのか、満面の笑みで長門を引っ張って猛ダッシュをしている。<br> そんな二人を見て、幸せな気持ちと、大切な物に気付いた晴れた日の午前なのだった。<br> </div> <br> <br> <div>おわり<br></div> </div> <!-- ad -->
<div class="main"> <div>「有希とキョンと一緒か……なかなかない組み合わせよね」<br /> くそう、古泉の奴め。朝比奈さんと二人きりとは実に羨ましい。<br /> こっちは宇宙人とトンデモ団長との三人旅だってのに。<br /> 「さ、行くわよ!二人とも早くするっ!」<br /> 俺はとりあえず会計を済ませ、先を歩く二人の背中を追いかけた。<br /> 「どっちに行こうかしら。西側?それとも東側?二人ともどっちがいい?」<br /> どうせどっちに行っても何も見つかりゃしないんだ。楽な道が多い方を選ぶか。<br /> そう思って俺が口を開こうとした時だった。<br /> 意外な人物がハルヒを怒らすような台詞を吐いたのだ。<br /> 「図書館」<br /> 長門よ……頼むからゴタゴタだけはやめてくれ。<br /> 「ほほーう、有希。あんたいい度胸してるじゃない。図書館にどんな不思議があるのか今すぐ言いなさい」<br /> ハルヒは少し怒っているようだ。そういえばハルヒが長門に怒ることは珍しいな。<br /> 「不思議はない。だけど読書で知識を得ることと、心の平穏を得ることは大切」<br /> 言ってることは間違ってないが、やってることは間違いだ。ハルヒに対しては火に油なんだよ。<br /> 「何でよ、有希。いつもはあたしについてきてくれるのに、なんで今日はそんなにわがまま言うのよ!」<br /> 少し考える様子を見せた後、長門はゆっくりと口を開いた。<br /> 「……彼がいるから」<br /> 俺って長門に頼りにされてるんだな。うれしいもんだ。<br /> ……だからそんなに睨まないでくれよ、ハルヒ。<br /> 「……だってさ。どうすんのよ、キョン。どっちでもいいからあんたが決めなさい」<br /> どっちの機嫌も損ねない方法があったら教えてくれ。<br /> まったく……しょうがない、ハルヒには後で埋め合わせするとしよう。</div>   <div>とりあえずは図書館に行こう。そこでハルヒは俺と不思議を探すぞ。それじゃダメか?<br /> 「……しょうがないわね。今日だけは有希に特別サービスしてあげるわ」<br /> これにて、一件落着。<br /> 三人で図書館に入り、すぐさま長門は大量に並べてある本の山へと足を進めて行った。</div>   <div>「あ~あ、あんたって本当に有希には優しいわよねぇ。……あたしには気を遣ってくれないくせに……」<br /> ん?最後の方が聞こえなかったんだが……。<br /> 「聞こえないように言ったのよ」<br /> そうか。長門に優しいのは……なんだか世話したくならないか?あいつ見てるとさ。<br /> 「なによ、あんたどこのお父さんよ」<br /> じゃあお前がお母さんか?<br /> 「ば、ば、バカ!……確かに有希はかわいいし、面倒みたくなるわよね」<br /> だろ?だから今日は許してくれよ。何でも言うこと聞いてやるからさ。<br /> 「ふぅん……何でも?」<br /> 出来る範囲でな。<br /> 「じゃあ、今日の夜に二人で探索やり直しね」<br /> よ、夜って何時だよ。<br /> 「九時からでいいわ。また駅前に集合ね」<br /> やれやれ、これも自業自得って奴か。<br /> まぁいいだろう。たまには星空の下で散歩ってのも悪くない。本当に何か出てきそうな気はするがな。</div>   <div>しかし……読書と探索か。二人とも譲れない物を持ってるんだな。<br /> 俺にもいつかそんな物が出来るだろうか。<br /> 「キョン、有希。そろそろ時間だから戻るわよ!」<br /> 俺と長門の腕を取り、晴れやかに笑うハルヒ。<br /> とりあえずはこの笑顔を曇らせたくないってのが俺の譲れない物だな。<br /> ……なぁ、ハルヒ。<br /> 「なによ、バカキョン」<br /> 夜の探索、楽しみにしてるぜ。絶対に何か見つけだそうな。<br /> 「……あったり前じゃない!少しでもダラけたら……死刑だからねっ!」<br /> 改めてハルヒの笑顔を見て、俺は微笑み返した。<br /> 図書館から外に出ると、季節など関係無しに太陽光が照り付けてきた。<br /> まるで、ハルヒの笑顔のようだな……。<br /> 「ほらっ!バカキョン!早くしないと置いてくわよ!」<br /> 何がうれしいのか、満面の笑みで長門を引っ張って猛ダッシュをしている。<br /> そんな二人を見て、幸せな気持ちと、大切な物に気付いた晴れた日の午前なのだった。</div>   <div>おわり</div> </div>

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