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<div class="main">
<div>午前中の診察が終わり、医局でくつろいでいる。<br>
朝比奈さんがお茶を淹れてくれる所は、SOS団の頃と変わりないな。<br>
勿論、甘露であることも変わりない。<br>
ただ、朝比奈さんはお茶を淹れたあとに「外来の仕事がありますので<br>
ぇ〜」と言いながら仕事に戻っていった。ハルヒは高校の頃と変わらず<br>
どこかに行っているし、長門は外来が長引いてまだ仕事が終わっていな<br>
い。<br>
つまり、医局にいるのは古泉と俺だけ、と言うわけだ。<br></div>
<br>
<div>
「相変わらず、朝比奈さんの淹れてくれるお茶をおいしそうに飲んでい<br>
ますね。」<br>
ああ、それだけは高校時代から変わってないがな。一気に飲み干すハ<br>
ルヒとは違うんだ。お前はどうなんだ?<br>
「僕にとっても、癒しの一服ですよ。仕事が忙しいだけに、このお茶を<br>
飲みながらあなたと話すこの時間が癒しになっていますよ。」<br>
なんだ、古泉、顔が近いぞ。息がかかる。気持ちが悪いぞ。<br>
少し体を引きながら、話を変えてみる。<br></div>
<br>
<div>
なあ、古泉、よく消化器内科なんか選んだな。一日中検査漬けなんて<br>
俺には耐えられんぞ。<br>
「いや、内視鏡も慣れれば面白いものですよ。僕に適性があったのでし<br>
ょうね。指先は器用だと、自分では思っていますからね。」<br>
午前中に胃カメラをしまくって、このあとは大腸カメラか、ご苦労な<br>
ことだな。<br>
「いえいえ、趣味と実益を兼ねると言いますか。」<br></div>
<br>
<div>冷や汗が走る。<br>
適 性 ? 趣 味 と 実 益 ?<br>
肛門からカメラを挿入するのが"適性"で、"趣味と実益"だと!?<br>
今更、高校時代から奴に立っていた噂を思い出す。<br></div>
<br>
<div>
「この頃、僕の腕も上達して、かなり自信がついてきたのですよ。もし、<br>
あなたに大腸カメラが必要なときは、僕が担当してもいいですよ。」<br>
古泉、お前は俺をそんな目で見ていたのか?<br>
「おや、何のことです?」<br>
0円スマイルは変わらず、奴が近づいてくる。<br>
やめろ、本当に近づくな、「プルルルルルル....<br></div>
<br>
<div>野郎の院内PHSが鳴った。<br>
「はい、もう準備が整ったのですね。分かりました。5分後に参ります。」<br>
こっちを見るな!<br>
「残念です、午後の検査が始まるようです。」<br>
何が「残念」なんだ! 頼むから、そのスマイルでこっちを見るな!<br>
「続きはまた後ほど。」<br>
古泉は医局から出て行ったが、冷や汗はまだ出ている。<br>
後に何をしようと言うんだ、古泉! <br></div>
<br>
<div>【了】<br></div>
<br>
<div>【おまけ】<br>
長門が医局に戻ってきた。さっきの古泉の話をしてみた。<br>
</div>
<br>
<div>「ユニーク。」<br>
たしかにユニークだが。俺の身になってくれ。命の危険はあまり感じない<br>
が、貞操の危険は非常に感じるところだ。<br>
「彼は元々そう。適性がある。」<br>
適性と言っても、内視鏡の適性ではないと思うのは俺だけか? それより<br>
"もともと"ってどういうことだ? 俺にはその手の趣味はないぞ。<br>
「……大丈夫。彼よりもうまくできる自信はある。」<br>
アッー!!<br></div>
</div>
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