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「朝比奈みくるの釣堀」(2007/01/15 (月) 16:58:24) の最新版変更点
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<div class="main">
<div>
「あ、あの!キョン君!放課後時間あ、あるかなあ…む、無理なら!別にいいんだけど…」<br>
この世に朝比奈さんの誘いを断る男がいるのだろうか?<br>
いやむしろ俺以外なら全員断らせるがな。<br>
「あの…キョン君?」<br>
「え?ああ!空いてますよ、何か?」<br>
「ちょっと付き合って欲しいの…」<br>
あなたとならどこまでも付き合って差し上げますとも、朝比奈さん。<br>
…いや待て待て、過去に朝比奈さんに付き合ってどうなったかを思い返すんだ。<br>
もしかして今回も…?<br>
「よかったあ、じゃあ放課後に、待ってます!あ、今回は任務とかじゃないから…」<br>
そう言って朝比奈さんは声を潜める。ですが朝比奈さん、あなたがそう言っても<br>
いきなり朝比奈さん(大)が現れてあっという間に未来人のゴタゴタに<br>
巻き込まれるなんてことは過去にもあったじゃないですか。<br>
</div>
<br>
<div>
そう思いながらも俺はやはり若干の期待とともに待ち合わせた場所に急ぐのだった。<br>
「あっキョン君!」<br>
俺がそこに行くと朝比奈さんは既にいた。待たせてしまっただろうか。<br>
「ううん、私も今来たところだから…」<br>
ああよかった。朝比奈さんを待たせたとあれば北高全男子生徒から命を狙われることになる。<br>
まあこうして二人きりってもの充分に奴らの狙撃対象条件を満たしているのか。<br>
とりあえずこれからどうしたものか。朝比奈さんはどこに付き合ってと言うのだろう。<br>
「あ、あの…とりあえず、お茶でもどうかなあ…」<br>
ああいいですよ、でもそれってただのデートってやつじゃないですか、朝比奈さん。<br>
何か他の用事があって、それは俺がいないといけないものではないんですか?<br>
でも任務は関係ないとか言ってたなと思い出したところで朝比奈さんに連れられ喫茶店に着く。<br>
なんとも小洒落た店だな、周りも女の子ばかりだ。うーむなんとなく居心地が悪い。<br>
「えへへ、ここ一度来てみたくて。」<br>
なんだよ、そういうことなら俺じゃなくても誰か他の女の子と来ればいいじゃないか。<br>
いい加減俺を誘った訳を教えて欲しいものだ。<br>
「今日キョン君を誘ったのは、少しお話したくて…」<br>
おっと期待するな俺、お話ってのはまた未来がどうこうのお話さ。<br>
「あっあの…キョン君ってどっどういう子がタイプなのかなあっ…」<br>
ん?まてまてどういう意味だ?<br>
「たっ例えば年上でもいっ嫌じゃないかなあっ…」<br>
俺が過去朝比奈さんに巻き込まれた数々の事件を連想しかけると<br>
赤面している彼女がそう言った。この時点で俺は既に裏があるなんてことは考えていなかった。<br>
むしろ俺の思考は朝比奈さんがどうしてこんなことを言ったのかということに<br>
占領されていたのさ。だって女の子が赤面しながらこんなこと聞くなんて<br>
やっぱり俺じゃなくてもそう思うさ。だから俺は答えた。<br>
「年上でも関係ないですよ、朝比奈さん。」<br>
さあ朝比奈さん、あなたがなんと聞こうと俺はあなたを否定するような応答はしませんよ。<br>
「よ、よかったあ~。」<br>
朝比奈さんは胸をなでおろした。<br>
ああ朝比奈さんの身長に見合わない反則的バストも俺のものに…。<br>
「キョン君は、生まれ育った環境が自分と全く違ってもその人を受け入れられるのかな…」<br>
受け入れますとも。でも朝比奈さん、あなたもその小さな体で<br>
俺のモノを受け入れられるのかな。早合点な妄想は止まらない。<br>
「朝比奈さん、恋に二人の環境なんかは関係ないですよ。」<br>
朝比奈さんの顔が明るくなる。これでもういつでも切り出せるはずだ。<br>
「じゃあ多分言っても大丈夫だよね…」<br>
朝比奈さんが呟く。何を言うかはわかってますよ、朝比奈さん。<br>
俺はあなたの気持ちを受け取るだけです。<br>
「あっあのっきっキョン君のことがっすっ好きっ…」<br></div>
<br>
<div>
ああ春よ…ついに俺も…それも北高一かわいい朝比奈さん、<br>
明日から男子生徒の目が厳しくなるな、ハッハッハッ!<br>
さあ俺、言うことは一つさ。<br>
「…っていう子がいるのっ…はぁっ」<br>
「いいですよ、是非とも付き合いましょう!」<br>
二つの声ほぼ同時だった。朝比奈さんは唖然としている。<br>
ああ、そういうことね。俺の早合点、今までの妄想を返してくれ。<br>
「ほっ本当に?でもまだ会ってないのに…」<br>
「あ…いや今のは」<br>
しまった。これは勘違いされている。朝比奈さんは多分こうなると一人で突っ走ってしまう。<br>
そうして空回りして、結局朝比奈さん(大)に踊らされるのだ。<br>
だが今回は違う。朝比奈さん、頼むから突っ走って行かないでくださいね?<br>
「でもそうだよね、キョン君は真剣な気持ちを裏切らないんだね、<br>
よかったあ」<br>
ああ言ったそばから暴走してますよ、朝比奈さん。<br>
「あの…その子っていうのが…」<br>
確かに気になる。年上?、二人の生まれ育った環境が全く違っても?<br>
朝比奈さんの言葉から特定を試みるが出来なかった。<br>
その上俺なんかに興味を示すなんてどんな変わり者か。<br>
「鶴屋さんなんだけど…」<br>
ああ…素直に納得してしまった。そのおかげか、冷静に考えられた。<br>
容姿は上級生の中でも朝比奈さんと並び最高だ。<br>
性格はハルヒに近いが断然丸い。ただ元気で明るいだけだ。包容力もある。<br>
そして…ああ、環境って朝比奈さん、そういうことですか。<br>
恐ろしく金持ちであり由緒正しいお家柄だ。俺なんかの雑種の血が混じってもいいものか<br>
っておいおいそこまで妄想が進んでるのかよ。<br>
だが鶴屋さんが俺を好きだって?もしそうなら嬉しいが複雑な気持ちだな。<br>
「あ…うん…大丈夫だったよ…」<br>
気付けば朝比奈さんは電話をしていた。<br>
「それがなんか…キョン君の方から付き合ってって…」<br>
ん?まてまて鶴屋さんに電話してるんじゃないか?<br>
そりゃあ俺の方から付き合ってとは言ったがあれは単なる早合点が<br>
生み出したものでまあたしかに鶴屋さんと付き合うってのは悪いことじゃない。<br>
むしろ喜ばしい。だが…<br>
「うん…伝えとく」<br>
一人で葛藤していると朝比奈さんは電話を終えてこう言った。<br>
「あ、あのっ伝言が…」<br>
何やら赤面している。<br></div>
<br>
<div>「明日は迎えに行くよ、ダーリン!」<br></div>
<br>
<div>
「だそうです…じゃあ私はこれで…ほっ本当はただキョン君の<br>
好みとか私が聞いてから本人がこっこ告白するらしかったんだけど、<br>
キョン君から言ってくれるなんて…まっまた明日っ!」<br>
そう言って朝比奈さんは帰ってしまった。おっとまた俺のおごりか、ん?まてまて<br>
今の話だと俺から鶴屋さんに告白したみたいじゃねえか。<br>
だが全ては俺の早とちりが原因か。<br>
「―――まったくな」<br></div>
<br>
<div>「キョン君~鶴屋さんだよ~!」<br>
翌朝準備をしていた俺はやっぱり来たのかと少し緊張していた。<br>
「お母さ~ん!鶴屋さんがキョン君のことダーリもごもご」<br>
うるさい妹だ。余計なことを喋るともうシャミに触らせないとでも言っておこう。<br>
外に出ると鶴屋さんと鶴屋家の高級車らしき、いや高級車なんだがな、があった。<br>
「ダーリン!学校までぶっ飛ばすよー!」<br>
俺は車内に引っ張り込まれた。なんだか俺だけ緊張していたみたいでバカだったようだな。<br>
「ふっふっふっ」<br>
鶴屋さんは隣で不適な笑みを浮かべている。車内で逃げ場はなし、というか逃げなくてもいいだろ、俺。<br>
だがこの人は何を考えているのだろうか。<br>
「ダーリンっ朝のキスがまだっさ~!」<br>
そう言うと鶴屋さんは俺に迫ってくる。<br>
「ひっひっひっ~年下君はかわいいね~」<br>
唇と唇が触れ合う。何か包み込むような優しさだ。<br>
「お嬢様、到着です。」<br>
「へっへっへっ~続きはまた今度だぞぉダーリンっ!」<br>
体から重さが消える。<br>
ドアから降りて鶴屋さんは俺の腕に絡み着いた。<br>
「さあさあダーリンっ!めがっさラブラブを見せつけよう!」<br>
この人と付き合うといつもこうなのか、まあ結構楽しいもんだが。<br>
俺たちへの視線は気になるな、だが男どもの羨望の眼差しには多少優越感を覚える。<br>
教室の前で鶴屋さんとは別れた。<br>
「じゃあダーリンっ放課後ねっ私も部室行くから!」<br>
そういや鶴屋さんはSOS団の名誉顧問?だったな、あの人はハルヒの悪ノリを増長させる。<br>
「キョン!お前裏切ったな!」<br>
谷口か、俺がいつお前と同盟を組んだんだ。<br>
「今の2年生だよね?ダーリンって」<br>
「ああ、俺は鶴屋さんと付き合ってるんだ。」<br>
またしてもクラスの男達の羨望の眼差し。だが一番気になるのは―――<br>
</div>
<br>
<div>「ちょっとキョン!あんた鶴屋さんと…」<br>
「ああ、付き合ってるんだ。」<br>
「っ!…あ、あんた…まあいいわ!団長として団員の恋路を<br>
見守ってあげるから感謝しなさいよね!」<br>
なんて野郎だ、お前に何が関係あるんだって?<br>
こいつに見守られる恋路なら100年の愛も冷めるだろうよ。<br>
「それであんた、本当に鶴屋さんのことが好きなの?」<br>
「ああ、付き合ってるんだ。当たり前さ。」<br>
と言うべきだろうな、ここは。<br>
仮にも付き合ってるんだし、まあいろいろあったけど今のところ楽しいもんだしな。<br>
ふと鶴屋さんの唇の感触を思い出した。<br>
「っ!…そ、そうなんだ、ふーん。まあいいわ……ってエロい顔してんじゃないわよ<br>
このバカキョン!」<br>
拳の感触が唇の感触をかき消した。マズいマズい、俺今変な顔になってたか?<br>
「おーいキョン!飯はどうする?」<br>
俺はつまらない授業を聞き流し昼を迎えた。ハルヒは珍しく静かだったな。<br>
「ああ、谷口か、一緒にと言いたいが…」<br>
「ダーリンっ!お弁当一緒に食べよっ!おいしくてラブラブパワーがめがっさアップさ!」<br>
というわけさ、すまんな谷口。<br>
谷口とは別に何か後ろからとてつもない視線を感じたがすぐ消えた。<br>
さあ飯にあり着こう。<br>
そうして鶴屋さんに食べさせて貰ってバカップルを堪能したのさ。<br>
放課後、部室に二人で行くとハルヒ以外はみんな揃っていた。<br>
「おや、名誉顧問の鶴屋さんですか。」<br>
何が言いたいんだ、古泉よ。てめえの全て知ったようなニヤケ顔がムカつくんだよ、めがっさな。<br>
「…あっ鶴屋さん!とキョン君…いっ今お茶煎れますね!」<br>
朝比奈さんは鶴屋さんとチラチラ目を合わせていた。<br>
そんなあからさまな合図を受けて鶴屋さんは古泉バリのニヤケ顔だ。<br>
鶴屋さん、ニヤつく前に朝比奈さんに秘密事のAtoZを教えてあげてください。<br>
ガチャ<br>
ハルヒがやってきた。俺と鶴屋さんに突っかかるかと思いきや<br>
全く見向きもしないで団長の席に座りいつものように<br>
SOS団のサイトの過疎っぷりに文句を付けている。<br>
「涼宮さんは何か無理をなさっているようですね。」<br>
考えすぎの超能力者は無視してチェックメイトをかける。<br>
いい加減強くなれよ、古泉。<br>
「おや、負けてしまいましたか――」<br>
プルルルル<br>
古泉のケータイに電話が入った。その瞬間、本にかじり付いていた長門が視線を上げ、<br>
朝比奈さんは不安そうに顔を歪める。このパターンはわかるぞ。アルバイトだろう?古泉。<br>
「涼宮さん、申し訳ないのですが急用が入りました。僕はこれで。」<br>
「あらそう、仕方がないわね。お疲れ様。」<br>
古泉の急用とやらにいつもツッコミを入れないのはどうしてなんだ、ハルヒ。<br>
だが古泉に例のアルバイトが入ったのは何故だ?ハルヒはいつも通り―――<br>
「―――涼宮さんは何か無理をなさっているようですね」<br>
あの言葉が引っかかった。何故かって引っかかるのだから仕方がないさ。<br>
</div>
<br>
<div>一体ハルヒは何に無理をしているんだ?<br>
考えるうちに下校時刻だ。俺達は足早に下校する。鶴屋さんと手を繋いで帰るなんて素晴らしいじゃないか。<br>
朝比奈さんは何か居心地が悪そうだ。<br>
そして別れ際…<br>
「ダーリンっ!明日はポニーテールにするからお楽しみだよっ」<br>
そう言って鶴屋さんはいなくなった。ポニーテールか…いいね。<br>
「じゃあな、ハルヒ。また明日。」<br>
「…」<br>
「ハルヒ?」<br>
すれ違う瞬間、ハルヒの目元が光った気がした。<br>
ハルヒはそのまま家へ向かって闇に消えていった。<br>
「鶴屋さん…やりすぎ…」<br>
朝比奈さんが何か呟いたようだが聞こえない。<br>
俺は家に向かって歩いた。その後ハルヒは学校に来なくなった。<br>
「なあキョン、涼宮のやつ最近学校こないな。」<br>
谷口がハルヒの心配かよ、まあ確かにあいつが1週間も休むなんておかしい。<br>
というか1日でも休めば異常ってもんだ。あいつが病気ってのも信じられないしな。<br>
どうしたものか。<br>
「ごめんダーリンっ!私今日はみくると帰るからさっ!」<br>
女の子同士もいろいろあるんだろうね。あれからすっかり俺達は<br>
恋人を満喫しているがたまには別行動もありさ。<br>
同時にあのキスから何の進展もないがそれはそれで焦るものでもないだろう。<br>
「ありがとさんっ!代わりと言っちゃあ何だけど、明日の休みに映画見に行こっ!」<br>
いいね、考えれば初デートだ。学校以外で会うと何か進展しそうだし。<br>
「それで…夜は…ねっ?」<br>
耳打ちで鶴屋さんの熱い吐息がふっとかかる。<br>
体が一気に固まった。何かとてつもないことを囁かれたのだ。<br>
鶴屋さんはなんて大胆な人なんだろう。<br>
「へっへっへっ~じゃあ明日駅前に10時っバイバイっ」<br>
その夜俺は興奮して眠れなかった。かっこわるくて悪かったね。<br>
俺はその後鶴屋さんを思いながら眠りについたのさ。<br></div>
<br>
<div>翌朝俺は待ち合わせ場所の駅前に向かっていた。<br>
自然と足早になるってのはこういうことか。<br>
一人で納得しながら、ああ、きっとこの時俺はとてつもなく<br>
ニヤケ顔で気持ち悪かっただろうね、歩き続けた。<br>
そんなニヤケ顔がすぐ消えた。<br>
「おいハルヒ!」<br>
あいつ学校休んでなにしてるんだよ。腕時計に目をやる、まだ時間はあるな。<br>
「っ!キョン!?」<br>
「お前何してたんだよ、学校休んでみんな心配してたぞ!」<br>
「うっさいわねバカキョン!ああ何?今日はひょっとしてデートかしら?<br>
よかったわね、あたしに構わないで楽しんできたら!」<br>
「ハルヒ…お前が何言ってるかわかんないぞ?」<br>
「この分からず屋!だからバカキョンなのよ!<br>
あっあんたみたいなバカはね!<br>
あっあたしが一緒じゃなきゃダメなんだから!」<br>
「――!」<br>
「そっそれなのにあっあんたときたら!…グスッ」<br>
「…あ…あんたときたら…グスッ…なんで…<br>
ヒグッ…なんで…エグッ…なんであたしじゃないのよ…」<br>
「…涼宮お前…」<br>
「バカキョン!」<br>
ハルヒは俺を突き飛ばして走り出した。<br>
追うか?いやだがもう時間が微妙だぞ。<br>
―――でも…<br>
ここで追わなければあいつにもう会えない気がした。<br>
「ハルヒ!待てよ!」<br>
あー走り出したら止まんないね。鶴屋さんごめんなさい。<br>
怒るだろうな、でもハルヒを失う方が辛いよ、俺が本当に好きなのはあいつだもん。<br>
もとは俺の早合点から始まった恋、今まで流されてたけど<br>
これは恋じゃなかったんだって、鶴屋さんに言わないとな。<br>
ハルヒは既に信号の向こうにいた。流石はハルヒだが追いついてみせるぜ。<br>
ハルヒが何か叫んでやがる。<br>
バカキョン!追ってこないでよ!…違うな。<br>
「キョン!戻って!危ない!」<br></div>
<br>
<div>キキーッ!ドン!<br></div>
<br>
<div>ここは病気だね。覚えてるさ、俺は牽かれたんだ。<br>
「キョン!」<br>
「キョン君!」<br>
気付けばSOS団勢揃い、いつだか同じことがあったな。<br>
違うのは鶴屋さんがいるってことか。あ、<br>
「鶴屋さん俺―――」<br>
「いいっさ!キョン君は素直じゃないなっ!どれだけ苦労したかっ」<br>
「ごめんなさい!ごめんなさい!」<br>
朝比奈さん?何をそこでずっと謝っているんですか?<br>
「お二人はあなたと涼宮さんをお互いの気持ちに気付かせるために<br>
この2週間…そうですね、演出していたのです。」<br>
そこでお前がネタあかしかよ、いつも全て知ったようなニヤケ顔で。<br>
ムカつくぜ。<br>
「ハルヒ…」<br>
ハルヒの目は先ほどまで泣いていたのだろう、赤くなっている。<br>
「さあさあみんなっお邪魔虫は帰るよっ」<br>
鶴屋さんがそう言ってみんなを連れだし、俺とハルヒは二人きりになる。<br>
「ハルヒ…」<br>
再び名前を呼び、ハルヒの頬に手を当てて涙の後をなぞった。<br>
あれ?抵抗しないんだね。じゃあ言っちまおうぜ。<br>
「ハルヒ…俺はあの時お前がいなくなると思ったら無性に怖くなった。<br>
だからもう俺の前から消えようとしないでくれ…。」<br>
「バカキョン…今度は車に牽かれてないでちゃんとあたしを捕まえなさいよね…グスッ」<br>
「ハルヒ…好きだ…」<br>
「知ってるわよ…あんたにはあたししかいないんだから…」<br>
ああそうだ、俺にはハルヒしかいないさ。だから一生大切にするのさ。<br>
</div>
<br>
<div>ハルヒはしばらく病室にいた。<br>
「ところであんた、ネタとは言え鶴屋さんとはどこまでいったのよ?」<br>
思い出した、あの時ハルヒを追わなければ俺は今頃鶴屋さんと…<br>
「このバカキョン!エロい顔すんじゃないわよ!…あ…ごめ…」<br>
ハルヒの拳が俺の症状を全身打撲+1ptにした。<br>
まあ実際はあの時の唇がただ触れただけのキスのみさ。<br>
「ふーん、じゃあこれであたしの勝ちね!」<br>
「―――!」<br>
ハルヒの唇が俺の唇に覆い被さる。なんとも乱暴なやり方だが<br>
その唇はとても柔らかくやさしかった。<br>
「―――!」<br>
ハルヒの生暖かい舌が侵入したと思えばまたしても乱暴な絡みつきをする。<br>
それは必死に愛を求めるようだったのかな。<br>
「…何よ」<br>
「やわらかい」<br>
「ばっ、このバカキョン!変態!」<br>
そう言ってハルヒは病室から出ていった。<br>
おいおいハルヒ、目が笑ってたぜ。<br></div>
<br>
<div>ガチャ<br></div>
<br>
<div>
ハルヒが出て少し、入れ替わりで朝比奈さんが入ってきた。<br>
「あの…キョン君ごめんなさい…」<br>
あなたにそんな顔で謝られると何も言えないですよ、朝比奈さん。<br>
「私達は二人に一緒になって欲しくて…それが一番だって…」<br>
ええもう俺は自分の気持ちに素直になりましたから大丈夫ですよ、朝比奈さん。ありがとうございます。<br>
「いいんです、朝比奈さん。それに鶴屋さんとキス出来たし。儲けもんですよ。」<br>
「…キス?まさかあ…私達の計画にはそんなのありませんでしたよお…」<br>
</div>
<br>
<div>―――ずるいな、鶴屋さん<br></div>
<br>
<div>
「ん?ああ、そうなんですか、だったら俺の勘違いです。<br>
朝比奈さん、もう遅いしそろそろ…」<br>
「え?あ、そう…じゃあキョン君お大事に!」<br></div>
<br>
<div>バタン<br></div>
<br>
<div>
―――一番素直じゃないのは鶴屋さんじゃないですか…<br></div>
<br>
<br>
<br>
<br>
<br>
<div>fin.<br></div>
</div>
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