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「俺達がいた世界へ」(2007/01/15 (月) 07:32:07) の最新版変更点
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<div>俺達は、今、高校三年である。<br>
SOS団も2周年と言った所だろうか。<br>
SOS団を設立した始まりは2年前の春…。<br>
俺のクラスに変わった人がいた。それが、<br></div>
<br>
<div>涼宮ハルヒ<br></div>
<br>
<div>あの時、あいつが言ってた事は忘れもしない。<br>
「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、<br>
あたしのところに来なさい。以上」<br>
あの時の俺は、呆然したね。<br>
変な奴だと思ったからな。<br>
だが、今は違う、変な人だとしても、中身は普通の女の子だ。<br>
</div>
<br>
<div>
…その後、SOS団を設立しようとしたハルヒは、俺に強制的に作れと言われたっけな。<br>
ハルヒは、場所を探して見つけたらしく、俺は行って見たのは覚えてる。<br>
その場所は、俺のクラスから離れた所に校舎がある。<br>
その校舎の中に「文芸部」がある。そこからSOS団に生まれ変わった<br>
</div>
<br>
<div>
SOS団とは、「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」略してSOS団である。<br>
そんな中に、次々と仲間が出来た。<br></div>
<br>
<div>長門有希…自称、宇宙人。<br>
無感情で、本を読む毎日として過ごしてる。<br>
朝倉に襲われそうになった時に、助けに来てくれたのか、長門である。<br>
俺にとっては、命の恩人でもあり、放っとけない存在である。<br>
</div>
<br>
<div>朝比奈みくる…自称、未来人。<br>
朝比奈さんは、時々、ハルヒのオモチャにされたりするか、ハルヒとは仲良しである。<br>
時には、過去を戻り、正しい方向へ変える…。<br>
時には、朝比奈さん(大)に会う事がある。<br>
朝比奈さんは、運命を変える女神である。…なーんでな、言ってみたかっただけだ。<br>
</div>
<br>
<div>古泉一樹…自称、超能力者。<br>
古泉は、怪しい所があるんだが、演説好きで、よく聞かされる。<br>
『機関』と言う集団の一員として涼宮ハルヒと俺を監視してる。<br>
しかし、何で俺の考えてる所を読めたのだろうか。<br>
つくづく、いけ好かない男だ。<br></div>
<br>
<div>
そんな奴等と一緒に、ハルヒの中心として2年間活動して、今に至る。<br>
</div>
<br>
<div>三年になって、1ヶ月経った。<br>
この年は、受験生の年だと言っていいのに、ハルヒは<br>
「ダメよ!最後まで活動しないと意味が無いでしょ!」<br>
最後って、1年間の事を言ってるのか?<br>
「そうよ!」<br>
普通なら、9月まで部活やって、後は受験勉強…と言うのが普通ではないのか?ハルヒよ。<br>
「さぁ、ミーディングやりましょ!」<br>
聞いちゃいねぇ…。<br>
「仕方ないんですよ、ハルヒさんは、最後まで活動したいと望んでるんですよ」<br>
と、古泉が言った。<br>
「お前のスマイル顔はやめろ、何かムカツクんだが…」<br>
「おやおや、すみませんね」<br>
こいつ、反省してねぇ…<br>
俺は、ふと窓側を見た。<br>
そこに、一人の少女が座って本を読んでる。<br>
「……」<br>
長門である。<br>
相変わらず無感情で本を読んでる。<br>
そして…我らアイドルの…。<br>
「キョン君、お茶ですよ」<br>
朝比奈さんである。<br>
「ありがとうございます。」<br>
朝比奈さんは、大学合格し、無事に卒業したが。<br>
たまに、ここへ訪れている。<br>
それでも、昔とは変わらないSOS団である。<br>
あの運命の日が来るまでは…<br></div>
<br>
<div>今の季節は、春が終わり、夏が来る頃だろうか。<br>
もう少ししたら、衣替え始まるだろう。<br>
「暑いわねぇ、キョン、あたしも扇いでくれない?」<br>
「ダメだ、自分で扇げ!」<br>
「…ムッ」<br>
ハルヒは、仏頂面で唇を突き出していた。<br>
全く、何でもやってくれると思うなよ、ハルヒ。<br>
「はぁ~…暇だね、何か凄い事起こらないのかな?」<br>
おぃおぃ、「1995年頃に起きた阪神・淡路大震災が復活しました」なんでやめてくれよ。<br>
俺は、凄い事より小さな事がいいと思うけどな。<br>
「はぁ~、やっぱ暇…」<br>
やれやれ…いつものハルヒだな。<br>
俺は、ハルヒが何か言ってるのを無視し、寝ようと思ってた時に、<br>
「ん?」<br>
誰かが見られてる、窓の外を見てもそれらしき人がいない。<br>
「どしたの?」<br>
「ん、いや…何でもない」<br>
気のせいだろうか。多分、俺は気が抜けてるんじゃないかと思っとく事にした。<br>
</div>
<br>
<div>学校が終わり、放課後、俺はSOS団室へ向かった。<br>
入る前に、ノックしてっと<br>
「はい、どうぞ」<br>
この声は、古泉だなと思い、扉を開けた。<br>
「あぁ、キョンさん、ゲームしませんか」<br>
今度は何だ?カードゲームか?人生ゲームか?<br>
「いぇ、あなたの運命が決まるゲームですよ」<br>
…何だって?<br>
「どう言う事だ、古泉」<br>
と、俺は椅子に座った。<br>
「簡単なルールですよ。このコインを使って表か裏か決まるんですよ」<br>
なるほど、バカバカしいゲームだな。<br>
それで俺の運命が決まると?<br>
「はい」<br>
と、古泉はスマイルした。<br>
俺は、古泉のスマイルを顔見ないで、窓の外を眺めた。<br>
「…こんな手は乗らんぞ」<br>
「これだったどうです?例えば…」<br>
例えば…何だ。<br>
「この世界は終わるか終わらないか」って事にしましょう」<br>
「…古泉?」<br>
「これも、運命ですよ」<br></div>
<br>
<div>
…このコインを使って、「世界は終わるか終わらないか」を賭けるだと?<br>
冗談じゃない。俺は確信してるさ、世界は終わらないとね。まったく…<br>
「笑える話だな」<br>
俺は、動揺を隠して言った。<br>
「…冗談ではないですよ」<br>
何だと?<br>
「ハルヒさんは、今、この世界を何か起こって欲しいと望んでるんですよ」<br>
それは、どう言う事…だ…ま、まさか…。<br></div>
<br>
<div>
(「はぁ~…暇だね、何か凄い事起こらないのかな?」)<br></div>
<br>
<div>ハルヒが、あの時言ったからなのか。<br>
「そのまさかです。ハルヒさんは冗談のつもりだったのかもしれませんか、それを実行したのです」<br>
実行しただと?<br>
「そうです」<br>
ん、待てよ…冗談だとしたら、何故、実行するんだ?<br>
「それは、僕には分かりませんか…多分、誰かがハルヒさんの話を聞いて、密かに実行したと考えていいでしょうか」<br>
誰かだと?誰かこんな事を…。<br>
「あなたは、今まで異変を感じた事ありませんか?」<br>
い、いや…待てよ。<br>
「確かにあった、朝だったな…誰かが見られてる気配がしたな」<br>
「それなのかもしれません」<br>
いつの間にか、古泉のスマイルが消え、真面目な顔になった。<br>
「だろうな…」<br>
俺は、下へ俯いたまま呆然した。<br></div>
<br>
<div>その時に、ドアを勢い良く開けた音がした。<br>
「やっほーぃ!…ってあれ?」<br>
ハルヒが言う。<br>
「おまたせしました…あら?」<br>
朝比奈さんが言う。<br>
「ただいま」<br>
長門が言う。<br>
「どうしたの?古泉君にキョン、浮かばない顔して」<br>
ハルヒは、気付いてないみたいだな。<br>
「あ、いや…何でもないんだ!何か疲れてな…」<br>
俺は、無理矢理、笑顔を作った。<br>
「僕もですよ」<br>
古泉は、いつものスマイルに戻った。<br>
「ふーん、シャキッとしなさいよ!そうじゃないと、活動出来なくなるでしょ!」<br>
ハルヒは、団長席へ行って座った。<br>
俺は、団長の目を盗んで、長門に言った。<br></div>
<br>
<div>「長門、今日の異変に気付いたのか?」<br>
「気付いた」<br>
「じゃ、朝、誰かが見られてる気配したんだが、気のせいなのか」<br>
「気のせいではない」<br>
「どう言う事だ」<br>
「それは不明」<br>
俺は、今まで思い出してみた。<br>
一つだけあった。<br>
「…まさか、朝倉涼子だよな?」<br>
「かもしれない」<br>
かもしれないだと?すると、あいつはまだ生きてるというのか。<br>
ヤバイ事になったな。<br>
「…でも」<br>
長門は、鞄の中にある本を取り出した。<br>
「可能性は低い」<br>
と、言って本を読み始めた。<br>
低い…だとすれば、誰なんだ。<br>
今まで、思い起こして考えて見たが…結局、手掛かりは無かった。<br>
</div>
<br>
<div>「じゃ、解散!まだ明日ね~っ!」<br>
とハルヒは、部室から出た。<br>
俺は、茶碗蒸しを片付けてる朝比奈さんに言ってみた。<br>
「朝比奈さん、未来はどうなってるんです?」<br>
「あ、はい…何やらヤバイ状況に陥ってるようです…」<br>
朝比奈さんは、暗い顔で言った。<br>
「…どれぐらい、持ちます?」<br>
「残念ながら、明日の昼までです」<br>
明日の昼!?おぃおぃ、こんな事をしてる暇ねぇじゃねぇか…。<br>
「明後日の午後14時00分00秒に世界は終わる」<br>
長門は言った。<br>
そんな、そんなバカな…。<br>
「っ!朝比奈さん!過去へ戻って、それを実行した奴をを捕まえてみましょう!」<br>
「……」<br>
朝比奈さんは、俯いたまま黙っていた。<br>
「ど、どうしたんです」<br>
「…過去へ行けません…つい先ほど、遮断されました…すみません!」<br>
と言って、部室から出た。<br>
遮断されただと!?そんな事は…。<br>
「長門、この状況…変えられるか?」<br>
「やってみた、でも…出来なかった」<br>
な、何だって!?いくら長門でも出来ないとは…。<br>
「…ごめんなさい」<br>
長門は、部室から出た。<br>
部室に残ったのは、俺と古泉だけだった。<br></div>
<br>
<div>「……」<br>
「……」<br>
二人は、沈黙したまま時間が過ぎて行く…。<br>
やがて、沈黙を破ったのは…。<br>
「やれやれ…仕方ないですね」<br>
古泉であった。<br>
「何で、仕方ないのだ」<br>
古泉は、椅子に座り言った。<br>
「この状況は避ける事は出来ないんですよ」<br>
「じゃ、このままでいいのか?」<br>
俺と古泉は、窓の外を眺めた。<br>
「…一つだけ避けられる方法あります」<br>
「それは何だ」<br>
「あなたが、先ほど、誰かが見てる気配がしたと言ってましたね」<br>
「あぁ…」<br>
「そいつを捕まえるんですよ」<br>
古泉は、いつものスマイルで言って部室から出た。<br></div>
<br>
<div>…捕まえるってか…。<br>
俺は、団長席に座り、考えてた。<br>
何故、こうなったのか。<br>
それに、実行した人物は…本当に朝倉ではないのか。<br>
じゃあ、この世界はどうなる、ハルヒはどうなる、SOS団はどうなるんだ。<br>
「…っ!?」<br>
胸が苦しい…。<br>
目が熱い…。<br>
喉渇いた気がする…。<br>
俺は、泣いた…。<br>
悔しかったのだ。ここまで生きて、なんでこんな運命が来るんだと…。<br>
俺は、思わず叫んだ。<br>
「一体、この世界はどうなってしまうんだよぉっ!!」<br>
誰も居ない部室の中で泣いてしまった。<br></div>
<br>
<div>次の日、妹に起こされ、学校へ行った。<br>
…これで、最後の登校になるのか。<br>
いや、諦められない。<br>
どこが、避けられる道あるはずだ。<br>
絶対にあるはずだ。<br></div>
<br>
<div>
学校に着き、教室の中へ入ると、目の前にハルヒが居た。<br>
「ん、おはよう、キョン」<br>
「…あぁ、おはよう」<br>
ハルヒは可愛い。それでも告白出来ないヘタレな俺がいる。<br>
今日は、最期の日…だから、告白したい。<br>
「…ハルヒ」<br>
「何?」<br>
「昼休みにSOS団室へ来てくれ…話したい事ある」<br>
「…分かったわ」<br></div>
<br>
<div>昼休み、俺は急いでSOS団室へ行って待った。<br>
5分後、ハルヒが来た。<br>
「…来たわよ、何か用?」<br>
「あぁ…」<br>
ここで、告白するんだ。今までの想いを。<br></div>
<br>
<div>
「ハルヒ、今まで一緒に居て分かった。お前は可愛い、俺はついお前を守りたくなるぐらい可愛いんだ。<br>
俺は、お前と一緒にいて本当に良かったと思ってる…正直、楽しかったし、面白かったよ。」<br>
「……」<br>
ハルヒは、動揺もせず黙って聞いている。<br>
「ハルヒ、俺はお前の事が好きだ!愛してる!」<br>
「……」<br>
ちゃんと言えた…。<br>
あとは、返事が来るのを待つだけだ。<br>
「…キョン」<br>
「何だ」<br>
「あたしは、あんたに会えて本当に良かったよ。あんたのお陰で…あたしは、少しは変わったよ…。<br>
ありがとう、キョン」<br>
ハルヒは一旦、俯いて覚悟決めてるような雰囲気だった。<br>
そして、顔上げ、言った。<br>
「あ、あたしも…す、好きだよっ!好きだから、好きに決まってるでしょうか!」<br>
ハルヒは、恥ずかしそうに、まだ俯いた。<br>
「ありがとう」<br>
「…キスして」<br>
ん、今…なんで言ったんだ。<br>
「今、何で言った」<br>
「だから、キスしてって言ってるでしょ!」<br>
「!…お、おぅ」<br>
俺は、ハルヒにキスした。甘いレモンの味がした。<br>
「…バカ」<br>
「すまん…!?」<br>
その時、二人の時間は終わった。<br></div>
<br>
<div>あの時の気配だ。どこだ…入り口の方?<br>
「ど、どしたの?キョン」<br>
ハルヒは黙ってくれ。<br>
「う、うん…」<br>
俺は、深呼吸して言った。<br>
「…そこにいるのは誰だ!昨日といい、何で俺を見るんだ!」<br>
と、扉は開いた。<br>
俺は驚いた。<br>
何故なら、アイツだったからだ。<br>
朝倉でもない、長門でもない、朝比奈さんでも無い…<br></div>
<br>
<div>
「やぁ、二人の時間は終わってしまいましたね、すみませんでした」<br>
</div>
<br>
<div>古泉である。<br></div>
<br>
<div>「な、何でお前なんだ…」<br>
「昨日も僕ですよ」<br>
古泉は、いつものスマイル顔で答えた。<br>
「何でだ!何でお前が実行したのか!」<br>
と俺が言うと、<br>
「ふふふふ…ははははは…」<br>
「何がおかしい!」<br>
「確かに、アレも僕です」<br>
「何だと!」<br>
古泉は、椅子に座った。<br>
「ちょっと、キョン…何があったの」<br>
ハルヒは、戸惑っていた。<br>
「スマン、ハルヒ…この先は、覚悟してくれ」<br>
「え?ど、どういう事?」<br>
その時に、朝比奈さんと長門が来た。<br>
「朝比奈さん!長門!」<br>
「あなたでしたね!時間を遮断させたのは!」<br>
あ、朝比奈さんが怒ってる…初めて見たな。<br>
「確かに、僕です」<br>
まだ、スマイル顔だ。<br>
「古泉一樹を敵性と判定する…」<br>
長門も怒ってるみたいだな。<br>
「はははは…敵にされるとは、悲しいですね」<br>
全て、お前がやったくせに、何言ってるんだ。<br></div>
<br>
<div>「だけどね、僕には勝てませんよ」<br>
スマイルが消え、真面目な顔になった。<br>
「お前が…言う事かーっ!」<br>
と、俺はパンチで殴ろうとしたが…。<br>
「!?」<br>
蹴られた…俺の腹にキックされたのである。<br>
「くおっ!?」<br>
軽く飛ばされ、冷蔵庫に当たった。<br>
「キョン!」<br>
「キョン君!」<br>
「…!」<br>
ハルヒとみくると長門は、俺の側へ駆けつけた。<br>
「だから言った筈、僕には、倒せないと!」<br>
「くっ…貴様!」<br></div>
<br>
<div>ゴゴゴッ…<br></div>
<br>
<div>突然、地響きがした。<br>
「な、何なの!」<br>
ハルヒは驚いてる。<br>
「はははは…始まりましたね、この世界の終焉を!」<br>
古泉は、嬉しそうに叫んだ。<br>
「ふさげるな!」<br>
俺は、反論した。<br></div>
<br>
<div>「何でですか?」<br>
「お前の本当の目的は何だ!」<br>
と、俺が言う。<br>
「目的ですか…『機関』の命令ですよ…それは、新たなる世界に変える為ですよ」<br>
「何だと!」<br>
「この世界はどう思ってるんですか!腐ってるんですよ!」<br>
「確かに、腐ってる! だけど、今の世界でいいじゃないか!」<br>
「ふん、僕はですね…この世界は人々のエゴの塊の中にいるような感じがするんですよ」<br>
「それは、違う!」<br>
「違うと否定できるんですか!人と言う人のインテリは、もはやナンセンスに過ぎないんですよ!」<br>
「それは、お前のエゴだ!」<br>
「エゴだって?あなたは何も分かってませんよ」<br>
古泉は、やれやれ…という仕草を見せる。<br>
「分かってないだと?」<br>
「そうです、この世界は…涼宮ハルヒ、あなたが動かしたんですよ」<br>
まだスマイル顔に戻った。<br></div>
<br>
<div>「え?あ、あたし」<br>
「そうですよ」<br>
「おぃ、貴様!ハルヒ、お前は違うんだ!」<br>
「違いませんよ、僕は超能力者…長門さんは宇宙人、みくるさんは未来人って事ですよ」<br>
「う、嘘でしょ…」<br>
「こぉぉぉいずみぃぃぃぃぃっ!」<br>
俺は叫んだ。こいつ何を言ってやがるんだ…。<br>
何で、そこまでハルヒに言うんだ。<br>
何故だ、何故だ!<br>
「涼宮さん…」<br>
「みくるちゃん、あんた…未来人だったの?」<br>
ハルヒは、悲しい表情で言った。<br>
「…は、はい」<br>
「そう…」<br>
「すみません…」<br>
「いいの…有希は」<br>
と、長門に言った。<br>
「私は宇宙人」<br>
「…そうだったのね」<br>
「ゴメンなさい」<br>
「いいの!あんた達は、それでも友達よ!」<br>
「涼宮さん…」<br>
「……」<br>
「もぅ、みくるちゃん…泣くんじゃないの!有希、ありがとね」<br>
「は、はいぃ…」<br>
「…うん」<br>
ハルヒは、二人を優しく抱き締めた。<br></div>
<br>
<div>「これで、終わりですか?」<br>
古泉が言う。<br>
「古泉君、あんたは間違ってるよ!」<br>
「何故、間違ってると言う事ですか」<br>
「そ、それは…」<br>
ハルヒの代わりに俺が言った。<br>
「それは、お前が思ってる事は、間違ってる!」<br>
「キョン…」<br>
「こんな世界でも、皆、頑張って生きてるんだ!それなのに、何でそれが分からないのか」<br>
「分かりますよ!しかし…僕は、限界なんですよ!こんな世界と付き合うのはっ!」<br>
「貴様!」<br></div>
<br>
<div>ゴゴゴゴゴゴ…<br></div>
<br>
<div>段々、地響きがデカくなった。<br>
「キ、キョン君!あと、一時間ですよ!」<br>
朝比奈さんが言う。<br>
「はははは…僕の勝ちです!誰も止めはしない…キョンさん、2年間お疲れ様でした」<br>
「古泉!何とかしろ!」<br>
「僕は、何とか出来ませんよ」<br>
「…くっ」<br>
もはや、これまでか…。<br>
ゴメンな、ハルヒ…守ってやれなくて…。<br>
長門…スマン。<br>
朝比奈さん、すみません…未来へ帰れなくて…。<br></div>
<br>
<div>「あたしが止めるわ!」<br>
ハルヒは立ち上がって言った。<br>
「ハルヒ!」<br>
「古泉君、あたしは、世界を変えられる力あるって言ったわね」<br>
「えぇ、そうですよ」<br>
「だったら…」<br>
「ですが…そうは行きませんよ」<br>
古泉のブレザーのポケットからピストルを取り出した。<br>
「古泉!これは!」<br>
古泉のピストルは、ハルヒに向けている。<br>
「やったら、あなたを撃ちますよ」<br>
古泉の顔は、スマイルではなく冷たい表情に変わった。<br>
「うっ…あたしを撃つなんで、卑怯よ!」<br>
「確かに、卑怯ですが…これは仕方ない事です」<br>
「仕方ないのなら、やるな!」<br>
「しかしですね!やらなきゃいけないのですよ!」<br>
「古泉ぃ!」<br>
くっ、万事休すってか…。<br>
「…ブツブツブツ…」<br>
ん、長門?<br>
「……許可した…」<br>
何をだ…。<br>
「攻撃開始」<br></div>
<br>
<div>
すると、古泉の真上から、数本の剣らしき物が現れた。<br>
「!?な、何だ!?」<br>
古泉が言った。<br>
その剣達は、古泉に向けて降下した。<br>
「ちぃっ!」<br>
避けまくる古泉。<br>
「…今、行くといい」<br>
長門…すまないな。<br>
「…(コクリ」<br>
「古泉ぃぃぃぃぃぃっ!」<br>
「!ちぃっ」<br>
俺は、パンチした…命中した。<br>
古泉は床へ落ちた。<br>
「くおっ!」<br>
「古泉、でめぇっ!」<br>
まだパンチしようと思ったが。<br>
「やらせるか!」<br>
古泉が先にパンチされた。<br>
「くっ!いてぇな!」<br>
俺と古泉は、殴り合いをしてる。<br>
血が出ても、止まらないほど殴り合いである。<br>
「キョン、古泉君…もう、やめて…もう、やめて!」<br>
ハルヒが叫び、喧嘩も止めた。<br>
「キョン、やめてよ…古泉君もやめてよ…喧嘩するのはやめてよ…」<br>
そうか、ハルヒは普通の女の子だったな。<br>
男同士の喧嘩を見たら、心が痛むんだな。<br>
「…スマン、ハルヒ…」<br>
俺は、ハルヒを優しく抱いた。<br></div>
<br>
<div>「…どうやら、僕の負けのようですね」<br>
古泉は、俯いたまま呟いた。<br>
「そうさ、古泉!お前の負けだよ」<br>
「そうよ、一緒に止めましょ」<br>
「キョンさん、涼宮さん……分かりました」<br>
古泉は、顔上げ…目を瞑り、何かを決心したようだ。<br>
「あなた達の意思で止めてください…そして、僕は…」<br>
「!?お、おぃ」<br>
「こ、古泉君!」<br>
「古泉くん…」<br>
「……」<br>
古泉は、ピストルを持ち、自分の頭に向けた。<br>
「…これが、僕の償いです…早くして下さい…世界はどうなってもいいんですか?」<br>
「し、しかし…」<br>
「あなたは、ハルヒを守るために生きて来たでしょう…それを忘れないで下さい」<br>
「古泉君…」<br>
「涼宮さん、出来るだけ力を抑えといて下さいね…」<br>
「古泉くん」<br>
「みくるさん、あなたは時空を越えても、キョンさんと涼宮さんを見守ってくださいね」<br>
「……」<br>
「長門さん、キョンさんと涼宮さんの事を…頼みましたよ」<br>
「…(コクリ」<br>
「後は…頼み…ま…すよ…」<br>
「!?」<br>
俺は、今見たのだ。あの古泉が泣いてるのを…。<br>
古泉、まさか…悩んでたのか。<br>
『機関』に就くか、裏切るかを…。<br></div>
<br>
<div>
「閉鎖空間、作りましたので…ここから脱出して下さい!」<br>
「お、おぃ…!」<br>
閉鎖空間へす、吸い込まれる!?<br>
マジかよ!おぃ、古泉!<br>
「古泉!お前も来るんだ!死ぬんじゃないぞ!」<br>
「古泉君、あたしは許すから…来てよーっ!」<br>
「古泉くん、私達の所へ!」<br>
「お願い」<br></div>
<br>
<div>「ありがとうございます」<br>
俺達が最後に見たのは、古泉の得意なスマイル顔だった。<br>
「古泉ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……」<br>
4人は、消え…古泉だけが残った。<br>
「これでいい…僕はやるべき事をやりました…」<br>
古泉は、部室の周りを見た。<br>
「キョンさん、涼宮さん、みくるさん、長門さん…あなた達に会えて、本当に良かったです…<br>
本当にありがとうございました」<br>
古泉は、ピストルの引き金を引きながら言った。<br>
「そうですよね…母さん…」<br></div>
<br>
<div>ダァーン…<br></div>
<br>
<div>「うっ…ここは…」<br>
見上げれば、空は鼠色、壁は白…。<br>
「ここは、閉鎖空間か…」<br>
…あ、ハルヒは!朝比奈さんは!長門は!<br>
周りを見ると、側に3人が倒れてた。<br>
「おぃ、ハルヒ!ハルヒ!起きろ!ハルヒ!」<br>
俺は、ハルヒを起こそうとしてる。<br>
「…う…ここは…」<br>
俺は心の底からホッとした…<br>
続いて、朝比奈さんも長門も起きた。<br>
「これからは、どうするんですか」<br>
朝比奈さんが言った。<br>
「古泉の言う通りにやるしかない…」<br>
「でも、古泉君は…あたし達を…」<br>
「…そうだな」<br>
「……」<br>
俺達は、古泉の事思い出すと、悲しくなった。<br></div>
<br>
<div>そして、長門は言った。<br>
「このままでは、終わらない」<br>
「うん、そうですね」<br>
「うん、古泉君のために!」<br>
「世界のために!」<br>
「今、私達が祈りましょう!」<br>
「祈ろう」<br>
俺は、ハルヒを見つめる。<br>
ハルヒも俺を見つめる。<br>
俺達は、ここまで行ったんだ…だから、諦めない…<br>
だから…<br>
「俺達がいた世界へ!」<br>
「帰ろう!」<br>
「私達が生まれた!」<br>
「…故郷へ」<br></div>
<br>
<div>キィィィイン…<br></div>
<br>
<div>こうして、世界は救った。<br>
俺は、いつものように学校へ行き、放課後にSOS団室へ行く。<br>
ふと、古泉が持ってたゲームを見る。<br>
「…ふ、お疲れさん…古泉」<br></div>
<br>
<div>バァン!<br></div>
<br>
<div>扉が勢い良く開く音がした。<br>
「ちょっと、キョン!」<br>
「何だ」<br>
「いいの見つけたわよ!」<br>
「?」<br>
ハルヒは、長門を呼んだ。<br>
何なんだろうな。<br></div>
<br>
<div>「これ見て!」<br>
と、ハルヒが見せたのは…猫だった。<br>
「…これは」<br>
「有希かね、見つけたのよ!」<br>
「…(コクッ」<br></div>
<br>
<div>その時に、朝比奈さんがやって来た。<br>
「遅くなって、すみませぇ~ん…あら、その猫…可愛いですね」<br>
いやいや、朝比奈さんの方が可愛いですよ。<br>
「でも、これ…誰が似てない? 」<br>
よく見ると、スマイルな表情をした猫だった。<br>
「名前はどうするのです?」<br>
「決まってるわよ!」<br>
「俺も決まってるぜ!」<br>
「私も」<br>
「あ、皆さんもですか?実は、私も決まってます」<br>
俺達は、猫の周りを囲んだ。<br>
「じゃ、いっせいので名前言うよ!」<br>
「あぁ」「はぃ」「……」<br></div>
<br>
<div>「いっせーので<br></div>
<br>
<div> 「「「「一樹」」」」<br></div>
<br>
<div>「ニャァオー…」<br></div>
<br>
<br>
<br>
完